捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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青春の影 ♯50

 

「も、もすもす……八幡さん……」

「……おう。まだ慣れてないみたいだな」

「うぅ……だって電話はまだ緊張するずら~」

「そっか……てか、どうした?明日地区大会決勝だろ?朝早いんじゃないのか?」

「あ、はい。そうなんですけど……」

「?」

「その……オラ、今までの人生でこんなことなかったんですけど、気持ちが昂ぶっていまして……よかったら、眠くなるまで、お話しに付き合って欲しいずら……」

「…………」

「ダメ、ですか?」

「……いや、いいぞ。こっちも眠れなかったし」

「ふふっ」

「どした?」

「オラ、八幡さんのそういうところ好きずらよ。いつもさり気なく気遣ってくれて」

「バッカ、お前、ほ、本当に眠れなかったんだよ」

「わかりました。ありがとうございます」

「……それよか、予選突破してから注目度凄いことになってんな」

「いえ、それほどでも……」

「ウチの学校にも、サイン貰ったって喜んでる奴いたぞ」

「あはは……なんか照れちゃうずら。最近、ステージの上に立つのは慣れてきたんですけど」

「……別に冷たい視線に晒されてるわけじゃないからいいんじゃないか。女子に告白して、次の日にそれをクラスの全員が知ってたとかより全然マシだろ」

「な、何だかよくわからないけど、すごく物哀しい光景が目に浮かんだずら」

「そうか……なんか悪いな。ああ、それと東京土産ありがとな」

「いえいえ。八幡さんにも、『バック・トゥ・ぴよこ万十』をもっと愛して欲しいずら」

「……まあ、甘いもん好きだし……MAXコーヒーの次くらいには……」

「ふふっ……それはそうと八幡さん。この前、八幡さんのパソコンでSaint Snowの動画がいっぱい再生されていたのは何故ですか?特に、姉の聖良さんを中心に……」

「……気のせいだろ」

「気のせいじゃないずら」

「いや、ほら、あれだ……やっぱり元プロデューサーとしては、ライバルグループは気になるからな。一応調べておいたんだよ」

「そ、そうずらか……疑ってごめんなさい」

「いや、いい」

「二人共、ダンス上手ずら」

「ああ」

「歌も上手ずら」

「ああ」

「聖良さん、胸大っきいずら」

「ああ…………そうか?」

「今、誤魔化そうとしたずらね」

「……明日、早いんだろ?そろそろ寝た方がいいんじゃないのか?」

「むむむ……でも、八幡さんと話してたら、少し眠たくなってきたずら」

「話がつまらなくて悪かったな」

「ち、違うずら!そういう意味じゃないずらよ!」

「冗談だ。じゃあ、そろそろ寝たほうがいいぞ」

「あ、はい。ありがとうございました」

「……ああ……明日、応援しに行くから、楽しみにしてる」

「…………はい!楽しみにしててくださいずら!」

「それじゃあ……」

「はい、おやすみなさい」

 

 

 

 


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