捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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 ラブライブ!サンシャイン!!最終回!!!!!&劇場版制作決定!!!!!
 
 それでは今回もよろしくお願いします。


青春の影 ♯17

『プロデューサー、スクールアイドルずらよっ!スクールアイドル!』

『ああ』

『ラブライブずらよっ!ラブライブ!』

『そうだな』

「先輩?」

「いや、何でもない……」

 いかん、俺としたことが妄想の世界に浸っていた。うっかりプラチナステージに上がっちゃってたぜ。

 いや、それより今は、国木田の突拍子もない発言についてだ。

「今、俺にスクールアイドルにしてくださいって言ったか?」

「はい」

 俺の疑問に、国木田は何の迷いも見せずに頷いた。

「……色々と意味がわからないんだが」

「そ、そうずらか?」

「そうだ。アイドルの事なら、親友の黒澤妹に頼めばいいだろ」

 俺の関わる余地など、どこにもない気がするのだが……。

「その……マルは体力に自信がないから、少し体力をつけてからにしたくて……それとアイドルの曲もあまり知らないし……」

「それこそ黒澤妹の出番だろ。俺はスクールアイドルを殆ど知らない」

「ルビィちゃんは、お姉さんに気を遣ってる部分もあるから」

「…………」

 黒澤姉の事情は今はさておき、まずは彼女に悟られないよう、こっそり始めたいという事だろうか。

「それと……これはマルの勝手なんですけど……」

「?」

「先輩となら頑張れそうな気がするずら……」

「…………」

 国木田は何度も目が合っては逸らしを繰り返す。小柄な体格も相まって、人を怖がる小動物のようにも見える。

 そんな頼りない様子を見ていると、何故か頭の中に、あの部室の何も依頼が来ていない時の他愛ないやり取りが、穏やかな時間が浮かんできた。

「……ダメですか?」

「……お前がスクールアイドル始めるまでなら」

「本当ですか!?」

 了承したことに、内心自分でも「おいおい」と声をかけたくなったが、見切り発車は止まる事を知らなかった。

「ああ、ただ俺は魚の捕り方を教えるだけだ。それ以外はお前自身でやってくれ」

「魚の……捕り方?」

「ああ」

「……面白い例えずらね」

「他人の受け売りだけどな」

 俺の口元が緩むのに合わせるように、国木田も微笑んだ。

「ふふっ、では、明日からよろしくお願いするずら」

「ちょっと待った」

「はい?」

「せめて何をやるかは今日中に決めといた方がいいだろ」

「ずらっ!」

 別に、ここで奉仕部活動をやろうってわけではない。

 やり残してきたことの代わりなんかじゃない。

 ただ、何かの縁で辿り着いたこの街で、偶然出会った少女のために、してあげられることがあればいいなんて柄にもなく思ってしまっただけだ。

「先輩……」

「どした?」

「まず、何から始めればいいずらか?」

 ……少し……いや、かなり前途多難だが。

 

 翌朝。

「……早いな」

「ずらっ。早起きは得意ずら!」

「じゃあ、さっそくだが……走るか」

「ずらっ!」

 スクールアイドルの練習などを検索した結果、ひとまず、付け焼き刃ではあるが、体力はつけておこうという話になった。

 つーか、μ'sの練習スケジュールをネットで探してみたが、何だよあの殺人スケジュール。遠泳10キロとかランニング10キロとか、ワンパンマンにでもなる気かよ。

 しかし、空気が綺麗な場所だからか、走るのも少し気持ちいい。爽やかな風にふわりと包まれて、自然と次の一歩が……

「はっ……はっ……ずらぁ」

「…………」

 マジか。

 まだ500メートルも走ってないと思うのだが……。

 自信がないとは言っていたが、まさかこれほどとは。

「国木田、大丈夫か?」

「だ、だ、大丈夫……ずら……」

「無理すんな、少し……休むか?」

「まだ、いける……ずら……」

「そっか……」

 体力はないものの、国木田はしっかり前を見据えて、確実に一歩ずつ進んでいた。今はそれでいいはずだ。

 俺は隣に並び、ゆっくり景色を楽しむことにした。

 

「あれは……花丸さんと八幡さん?」





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