捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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 Aqoursで一番の名曲は『待ってて愛のうた』と思っているのは自分だけではないはず……!

 それでは今回もよろしくお願いします。


青春の影 ♯11

 

「ねえ、お兄ちゃん」

「どした?」

 自室で読書に耽っていると、小町が少しだけ真面目そうな表情で入ってきた。何かお兄ちゃんにお願いだろうか。財布の中には300円しか入っていないのだが。

「お兄ちゃんってさ……花丸ちゃんと付き合ってるの?」

「…………は?」

「いや、だから、お兄ちゃんは花丸ちゃんと付き合ってるんですか?」

「いや、付き合っていない」

 つい脊髄反射的に答えていたが、ようやく小町の言った事を理解した。

 ……俺と国木田が?

 だが、付き合ってるという事実に心当たりはないが、そう誤解される行動には心当たりがある。

「実は……」

 小町は学校での出来事を語り始めた。

『ねえねえ、国木田さんって彼氏いるの!?』

『ずらっ!?あ、いや、な、何の話?』

『昨日、他校の男子と並んで歩いてたでしょう?私達、みちゃったんだ!』

『多分、年上だよね?』

『何かこう……目は恐いけど、まあそこそこいい感じの人!』

『え?えーと、あの……』

『なになに?私も聞きたい!』

『国木田さんカレシいたんだ!可愛いもんね~!』

『そ、そんな……オラ……私は……』

『花丸ちゃん、昨日はウチの兄に忘れ物届けてくれてありがとう!』

『え?小町ちゃんの?』

『小町ちゃん、お兄ちゃんいたの?』

『うん、それで色々あって花丸ちゃんとも顔見知りだったから、忘れ物届けてもらってたの。私、用事があったから』

『何故放課後……』

『家で渡せば……』

『花丸ちゃん、ありがと~!!』

「お、お前……無理ありすぎんだろ……」

 妹の言い訳の下手さに涙が出ちゃう。だってお兄ちゃんなんだもん……。

「ごまかせたんだから文句言わないの。小町としては、二人が仲良くなるのは嬉しいけど、花丸ちゃんがああいう状況に慣れてないんだよね。」

「俺も慣れてないんだけど」

「お兄ちゃんは慣れてるじゃん。もっとひどい冷たい視線とかにも」

「お、おう……」

 妹としてそれは胸が痛まないのか。

「じゃあ、お兄ちゃん。後はよろしくね」

「おう……悪かったな」

「いいよ。それじゃ、おやすみ~♪」

 小町がドアを閉めてから、改めて考える。

 そんな広い町ではないし、確かに誰かに見られていてもおかしくはない。自分達がどう思っていようが、周りは勝手に判断するだろう。新天地で気が緩みすぎていたのかもしれない。

 去年の夏頃、似たような事があった。

 あの時は泣かせてしまった……。

 明かりを消して、ベッドに寝転がり、天井を見つめながら、俺は国木田に伝えるべき言葉を探した。





 読んでくれた方々、ありがとうございます!

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