捻くれた少年と海色に輝く少女達 AZALEA 編   作:ローリング・ビートル

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 皆さん、良いお年を!!!

 それでは今回もよろしくお願いします!


青春の影 ♯3

 

「ひ、比企谷先輩……さすが都会から来た人ずら……ですね」

 まだ方言を使うのが恥ずかしいのか、国木田が語尾を言い直して褒めてくれた。ちなみに表情は固い。プリキュアの話は満足していただけなかったようだ。

「花丸ちゃん。無理しなくていいんだよ。小町もゴミぃちゃんがこんなにゴミぃちゃんだって知らなかったから。それと都会の人全員がプリキュア見てるわけじゃないよ」

「おい」

「あはは……」

 小町の罵倒に黒澤妹が苦笑いをする。おかしいな。黒澤妹とかプリキュア好きそう、というかプリキュアに出演してそうな外見してるんだが…………。

「先輩。ルビィちゃんで変な想像したらだめ……ずら」

「断じてしてない」

「本当ずら?」

 ふぅ、やれやれだぜ。俺が出会って間もない女子に頭の中でプリキュアのコスプレなど着させる訳がない。ハチマン、ウソ、ツカナイ。さ、話題を変えよう。

「そ、そういや、三人は部活とか入るのか?」

「話を逸らそうとしてませんか?」

「そりゃあ、大事だからな部活。部活最高」

「また心にもない事を…………」

「オラは図書委員の仕事があるから部活は……」

「ルビィもやらないです」

「私も兄の世話があるので……」

 三者三様の答えが返ってきた。どれも話題の広げようがない。会話を断ち切りたい時のような答えである。

「そっか……」

「せ、先輩は何かやってたずら……やってましたか?」

 今度は国木田から質問される。あーよかった。お前とは会話したくないって遠回しに言われてるかと思ったわ-。

 しかし、質問されるのは予想外だった為、言い淀んでしまう。

「…………奉仕部」

「奉仕部?」

「ボランティア、ですか?」

「まあ、似たようなもんだ」

 ふと頭に浮かんだのは、ついこの前まで一緒にいた総武高校の面々。戸塚は元気だろうか。心配でたまらない。…………それと、あの二人も。ついでに生徒会長とか。

「悩んでいる人の手助けをするんだよ」

「おぉ、すごいずら!」

「いや、すごいとかじゃねえよ。強制入部だったし」

 本当に凄いのは、俺が入部する前からも一人でやっていたあいつだろう。

「これがそのきっかけになった作文だよ♪」

「…………は?」

 何でそんなのスマホに保存してんの?もっと有意義なものが沢山あるだろう。可愛い生き物とか。可愛い戸塚の写真とか。

「…………」

「…………寂しい」

「ほっとけ」

「ぴぎゃっ!ごめんなさい!」

「あ、いや、怒ってるわけじゃなくて…………」

 薄々感づいてはいたのだが、黒澤妹は見た目に反して、思った事を素直に言うタイプのようだ。綺麗な薔薇には何とやらってやつだろうか。

「むぅ……」

「国木田?」

 国木田はまだ作文とにらめっこをしている。

 どうやら読み直しているようだ。

「そんな大した事は書いてないぞ」

「オラ…………この作文、嫌いじゃないずら」

「…………」

 俺はその言葉に驚きながら、作文を読む国木田の真面目な表情をしばらく観察してしまった。  





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