全然文が進まずに気付けば年は明け、前後編が前中後編になってしまうということに…
卯月が来た翌日の朝。提督は洗濯のため、いつも通り朝の3時半起きる。
「ふわぁぁ…卯月が来てすぐとはいえ、なんか警戒してしまってあまり寝られなかった…いや、卯月を信じてないってわけじゃないぞ?うんうん。ちょっと身構えただけというか…って、誰に向かって言い訳してるんだ俺は...」
とは言え、いかに俺が艦娘たちを自分の娘のように思っているとはいえ、まだ来たばかりの卯月をすぐに信じ切るというのは難しかった。そのためか、一応どんないたずらを受けても大丈夫なように布団の横にはいろいろ置いてある。
「さてと…歯でも磨くか…っ!?か、辛っ!いつの間に練り歯磨きがハバネロエキスに!?っていうかこういうのは普通わさびだろ!ってそうじゃ無い!どうすれば…そういや辛いものには苦みが効くって言うな…コーヒーだっ!」
と、起きてすぐ作ったホットコーヒーを思いっきり飲んだ。
「あっつ…!ふぅ、なんとか収まってきたな。」
って言うか、朝早くにハバネロエキスとかキツ過ぎる…
「これ、卯月がやったのか?いやいや、決めつけはよくないな。証拠もないし。よし、切り替えて洗濯しに行こう。」
**
睦月型の部屋にいる艦娘達は静かに寝ていた。
…一人を除いては。
「ぷっぷくぷぅ~↓↓意外と本気でいったのになぁ~。これでもそんなに動じないとか凄いぴょん…でもでも?それだけ楽しめるってことだしぃ?これからも楽しませてもらうぴょん♪」
朝四時。前の夜に洗濯機に入れておいた艦娘達の服を取り出し、畳みだす。艦娘達の服といっても制服のみ、しかも1日交替で半分ずつ洗濯しているため、そこまで負担ではない。
「私服も洗おうとしたけど、皆に邪魔されたからな~。たしかにプライバシーに関わることだし、自分で洗うのもこの戦いが終わった後のためにもこういうのは重要だしな。」
こうして残り半分を過ぎたころ、あることに気が付いた。
「?やけに妖精さんが騒がしいな」
この棟は洗濯機や簡易的な調理場、大きい多目的室があって、いま俺は多目的室で洗濯物を畳んでいた。その向かいの部屋…たしか妖精さんたちのお菓子などが置いてある休憩所だったかな?こんな朝早くに何をしているんだろう…
妖精さんたちのプライベートを覗くという罪悪感よりも、好奇心が勝ってしまった。休憩室のドアに耳をつけて盗み聞きすることにした。
「今日は重大な問題が発生したため、皆に集まってもらった!」
あ、そういえば久しぶりに妖精さんの流暢な日本語を聞いた気がする。やっぱり元から鎮守府にいる妖精さんたちは日本語がうまいな…久しぶりすぎて妖精さんじゃないのかもとか思った…
「工廠長、声が大きいです。それでは秘密の会議にならないじゃないですか」
「秘密の会議…?それにしても声が小さくなってしまったから聞き取りづらいな…少しだけ近づいてみるか」
そう思い、近づこうとしたとき
『ビーッ!ビーッ!ビーッ!』
「うわっ!?な、なんだ!?」
急に警報が鳴った。きっとドアの付近に警報装置があったんだろう。それに驚いた拍子に大声を出すと、休憩室から工廠長が出てきた。
「警報が鳴ったから誰が来たのかと思ったら提督じゃねぇか。まったく、脅かせんなよな」
「す、すまん…ところで何を話していたんだ?警報装置なんてものまでつけて、何かあったんなら教えてくれ」
「...なんでもねぇよ。提督には関係のないことし、そこまで大きな問題でもねぇ。心配すんな」
「そうか。工廠長である君が言うんだ。信じよう。でも、何かあったら教えてくれ。鎮守府内の問題ごとは解決したいしな」
「おう。気持ちだけでもありがたく受け取っとくぜ」
まぁ、妖精さん同士の問題なら妖精さん同士で解決するのが一番だし、そこまで首を突っ込むことじゃなかったな。
そう思い、まだ残っていた洗濯物を片付けようと多目的室に行こうとすると、工廠長に呼び止められた。
「あ、そうだ。ちょっと待ってくれ。そういやなんか危なっかしい艦娘がここに来たらしいじゃねえか。たしか…卯月だったか?」
「あぁ、そうだな。他の鎮守府で問題を起こしたらしい。でも誰から聞いたんだ?このことは俺とその時秘書官だった鈴谷、卯月を連れてきた大淀しか知らないはずだが...」
「お前、忘れたのか!?まぁ、他の艦娘に気付かれない様に隠れてるからいつの間にか忘れてしまうのもしょうがないのか…?」
俺が頭に?マークを出しながら首をかしげていると、工廠長はやれやれと俺の小さいころからの妖精さんを呼んだ。
「おーい、起きてんだろ?出てこいよ」
「?どこにもあいつの姿が見えないんだが…」
「全く、寝てやがるのか。おらー!起きやがれ!」
と、俺の髪の中に入っていった
「!?な、なにしてるんだ~!?」
すると俺の髪の中からあいつの声がした。
「ウ、ウワー!オキマシタ、オキマシタ!」
「!?!?な、なんで俺の髪の中から声が…!?」
すると、工廠長があいつを引っ張って出てきた。
「ったく、提督妖精がな~に呑気に寝てんだよ!仕事を全うしやがれ!」
「ス、スミマセン…」
「お前…妖精さんたちから提督妖精って呼ばれてるのかよ…って言うかお前いつも俺の髪の中にいたのか?」
「ハ、ハイ!テイトクヲ、マモルノガシゴト!」
「ま、そういうことだ。こいつ、頑張りはするんだが工廠仕事には向いてないしな。提督と話す機会があまりない俺たち妖精が提督の役に立つため、情報収集にこいつを使ってるのさ。って言うかこの提案をお前は結構前に了承してたのにもう忘れたのか…」
「完全に忘れてた…す、すまん…」
「ま、良いってことよ。まぁ、つまりこいつが卯月のことを俺たちに報告したってわけなのさ」
「な、なるほど…」
「ってことでこれを渡しとく。トランシーバーだ。まぁお前なら大体一人で解決できると思うが、それでも対処できない状況になったらこいつで呼んでくれ。いつでも力を貸してやる」
「ありがとう。恩に着る」
「良いってことよ。それじゃあな」
妖精さんの力も借りれるのは大きいことだ。あの子たちは現代の技術を超越している。これならなんとか卯月を改心させるまでの間、余裕で何とかなるかもな。
**
「…提督はもう行かれましたか?」
「あぁ、それじゃあ話し合いの続きをしようか。」
「そうですね。それにしても誰がこんなことを…」
「まぁ昨日の今日だし、考えずらいが卯月って子だろうな。でもまさかここまでするとはな。
「まったくです。まさか、工廠に置いてある大切な鎮守府の地図が消えるとは…」
「あれには本当に鎮守府のすべてが描いてある。構造はもちろん、緊急用の通路や、今は使われていない地下とかもな。…頑張れよ、提督。俺たちもお前を支援してやる」
洗濯物を畳み終えると、そろそろ朝のの点呼が終わり、食堂で朝食を取っているであろう時間になった。
「ふぅ、じゃあ俺もそろそろ朝ごはん、食いに行くか」
そして食堂に向かおうとしたとき、廊下から声がした。
「お~い!しれいかん~!」
「お、おう。卯月か。どうした?」
急な登場だ。しかもこの棟は艦娘達から食堂に行こうとすると真逆の方向にある。それなのに何故ここに?って言うか、なぜここにいることを知ってるんだ?そんな疑問を飲み込んで彼女に聞いた。
「いやいや~ただうーちゃんはしれーかんと一緒に朝ごはんが食べたいなぁ~って思ったんだぴょん!」
「お、そうか。それなら一緒に行くか?」
「おー!れっつご~!」
でもこうやって一緒に歩いてると見える彼女の天真爛漫な笑顔に昨日のいたずらをしているときの面影は一つも見られなかった。と言うか癒される。娘が本当にいたらこんな感じなのかもな~
と、そうやって和んでいると急に卯月が渡り廊下から外に出た。
「しれいかんって~いっつも仕事してるけど~体力ってどれくらいあるぴょ~ん?うーちゃんは今艤装つけてないから普通の子よりも少し速いくらいだけど~、果たしてしれいかんはうーちゃんに勝てるのかな~?競争だぴょん♪」
「おぉ、競争かぁ~言っておくが、足は速いほうだぞ?」
「ぷっぷくぷぅ~!そうこなくっちゃ!じゃあじゃあ、ゴールは食堂ね!よーいドンだぴょん♪」
そう言った途端、卯月はものすごいスピードで駆け抜けていった。
「は、早すぎだろ…艦娘って艤装つけてないときは普通の女の子位の体力じゃなかったっけ…?まぁ、いいか。あれぐらいなら何とか追いつけるかな。」
そして提督も全力で卯月を追いかけて行った。
「ぷっぷくぷぅ~!追いかけてきた、追いかけてきた~!よしよし、それじゃあ途中に作った落とし穴にはまるように誘導開始~♪」
渡り廊下を無視して走ったため、遠回りにはなったがやはりもといた棟から食堂は近かったので走り出してから2分足らずで食堂が見えてきた。卯月の背中は見えているし、徐々に差を詰めてきてはいるがこのままいけば必ず、側道に着く時までには抜かせない状況だった。
「おぉ、やばいな。このペースでいくと卯月を追い越す前に食堂に着いてしまう…もう少しペース上げるか。って言うか本当に卯月速いな~島風とも良い競争できるんじゃないか?」
「提督、おっそ~い!なんちゃってwぷっぷくぷぅ~♪」
「うおぉぉぉ!!負けられるかぁ!」
「って、しれいかんが予想以上に速いぴょん!?こうなったら落とし穴の前で急カーブして落とさなきゃ…!」
そうして食堂が寸前に見え、そろそろ土の道からコンクリートの道に変わろうとしたその時、
「ここだぴょん!うーちゃん、急かーーぶ!!」
「なっ!?」
急に卯月が急カーブした。しかし、全速力で走っていた司令官は曲がることができなかった
「な、なにしてるんだ卯月!?そっちは食堂じゃないだろ!?」
「しれいかーん、前、前~」
「な、なんだ…?ってうわっ!!??」
提督が落とし穴に落ちた。
「ぷっぷくぷぅ~大成功、大成功~♪まさか競争なんかであんなに本気になるとは思わなかったけど、まぁ落とせたし、結果オーライ!しれいかん~、落とし穴どんな感じ?はははっ」
と、卯月が笑っていると、落とし穴から手が出てきた。
「な、なんだぴょん!?」
「おりゃぁぁぁ!」
提督だった。落とし穴から出てきたのだ。
「あ、ありえないぴょん…あの落とし穴、広さはないけど深さなら軽く提督の身長の1.5倍はあるのに…」
そうして卯月が硬直している間に、提督は落とし穴から這い出てそのまま走り、食堂にたどり着いた。
「ふぅ、どうだ!卯月、競争に勝ったぞ~!」
「あ、あははは…それは何よりだぴょん…」
そうして卯月は次に起こることを考えた。
『あ~ぁ、きっと怒られてそのまま罰受けるんだろうなぁ~これくらいだったら前のしれいかんは鎮守府五週くらいだった気がするぴょん。』
そして提督が近づいて、こう言った。
「いや~まさか卯月があんなに早いとは思わなかった!久しぶりに走ったって気がするよ。でもすまんな?服が泥だらけになってしまって…これじゃあ一緒に朝食が耐えられなくなってしまった。それに、さっきの穴のこともあるしな。まさかあんなところに落とし穴があったなんて…」
卯月はまたもや硬直した。予想外の言葉をかけられたからだ。
「...?どうした卯月?」
「い、いや…どうしてうーちゃんを責めたりしないのかな~って…」
「?だって卯月はあの穴の前で急カーブして、俺に「前、前」って言ってくれた。あれは忠告してくれたんだろ?そんなことする子が落とし穴なんて掘るわけないじゃないか。」
「は、はぁ…」
「じゃあ、朝食の分はまた埋め合わせするから今日は友達と昼食を楽しむと良い。それじゃあな。」
「はい…だぴょん…」
こうして、卯月は一人、食堂前に取り残された。
「何てことだぴょん…昨日の今日で疑われないわけがないのに。どうしてだぴょん…?」
まさかの展開である。昨日は会ってすぐにいたずらして、さっき、自分の目の前で落とし穴に落ちたって言うのに、疑わない。それに驚きと戸惑いを隠せなかった。
しかし、それは途端に嬉しさにも変わっていった。
「初めての人だぴょん。あんな馬鹿みたいに信用するなんて。これはもっともっといたずらしなきゃねぇ~。これもあるわけだしさ!ぷっぷくぷぅ~~♪」
そしてポケットの地図を確かめた卯月は満面の笑みで食堂の扉を開いた。
提「...!?ここはどこだ!?……なに?あとがき?なんか喋れ?」
作(はい。そうです。まぁ取り敢えず投稿が遅れたことについて何か謝罪を…)
提「はぁ?それは俺じゃなくてお前がするべきことだろうが!なんで俺なんだよ。と言
うか早く返してくれ。まだ洗濯物を畳み終えてないんだよ。」
作(言い返す言葉もないです。読んでくださった皆さん、投稿が遅くてスミマセン…)
提「なんだ謝れるじゃないか。ま、謝るほど沢山の人に読まれてるわけじゃないし、謝るも何もないと思うけどな」
作(ひ、ひどい!?そこには触れずに終わりたかったのに!)
提「まぁそんな訳で、これを読んでくださっている皆さん、ありがとうございます。次もお楽しみに!」
作(なんか勝手に締められたですけど!?)
…とある小説を読んであとがきにキャラを出そうとか思ってしまいました…やっぱりこれやめよう。