結構無茶な設定でやっているので大目に見てゆっくり読んで行ってね。
ドラゴンボール
この言葉を知らない若者がいったいどれほどいるのだろうか?
世界中で人気を博したジャンプ界におけるパワーインフレの金字塔
主人公の放つかめはめ波にあこがれて多くの子供が真似したのではなかろうか
そしてドラゴンボールという作品における特徴の一つが、章を重ねるごとに急激に強くなっていく強敵たちだろう
その強敵たちの中の一人、魔人ブウを知っているだろうか?
ダメージが蓄積されないという特性と、驚異的な再生能力を兼ね合わせ
主人公 孫悟空と互角以上の戦いを繰り広げた化け物である。
さて、どうして今更こんな話をしているかというと……
「やった、やった~!とうとう二人の魔人の完成だ~い!」
目の前でどこぞで見たことある老けたチビがこちらを見て叫んでいるからだ。どう見てもバビディの色違い……なんだっけビビディ?
そして目の前にいる身体がピンクな魔人が一人。
ついでに自分の身体は灰色で姿かたちは目の前にいるピンクの化け物とおんなじの2Pカラーである。
そうです、俺は魔人ブウと同じなにかになってしまったのです。
「ウキャキャーーーーー(なんでじゃーーーーー)!!!!!」
「ウホホホホーーーーー!!!!!」
「ひ、ひ~~!なんてパワーだー!やめろ~ブウ、ビィ!創造主たる私を殺す気かーー!!」
おっといけない、流石は魔人のパワー
ちょっと叫んだだけで自分を中心に小さなクレーターができてしまった。
しかし、これからどうするか。
魔人としてビビディに造られたからにはここはドラゴンボールの世界なのだろう。
となると、憧れの孫悟空などのZ戦士に会えるということである。
しかし俺は今や、宇宙の帝王フリーザすら簡単にあしらう界王神を軽々殺すことができる魔人ブウと同タイプの魔人なのだ。
ちょっとした攻撃はその弾力性のあるボディが無効化し、粉々に吹き飛ばされようが煙にされようと再生できる無限に近い再生力。
スーパーサイヤ人がいないこの宇宙で自分を殺せる人はいないと言ってもいい。
しかし強い身体ではあるが元普通の人間としては、あんなとんでもバトルに参加などまっぴら御免である。
俺はバトルジャンキーではないのだ……多分
「ふう、ふう~。やっと大人しくなったか。いいかブウ、ビィ!今日からお前たちは私に仕え、私のために暴れるのだ。いいね!」
「う~~(りょ~かい)」
「うひゃひゃひゃ~~」
とりあえずは従っておくかまだまだ自分の力のコントロールやできることがわからないしな。
ところでオリジナルの方が早速言うこと聞こうとしていないんだが、こいつの相手とかメッチャ嫌なんだけど……
****
「やれやれ~魔人ブウ!いいぞ、もっとやれ~!」
「ウキャキャキャキャキャキャキャキャキャ!!」
とある惑星、名も知らぬ自然豊かな惑星で巨大な光の爆発がいくつも発生する。
その爆発の中心で、高笑いしながら気弾を連発しているのはブウであり。その近くでとある戦士とドキバカと殴り合っているのが俺だ。
いや~舐めてたね、魔人のスペックを。あまりのパワーに天狗にならざるを得ない。
今やっているのは実験を兼ねた戦闘という名の弱い者いじめである。
ビビディ自身が造った俺の戦闘力を知りたかったのもあるだろうが、俺としてはついでに手加減を覚えられるので一石二鳥だろう。
この自然豊かな星に住む戦闘力が宇宙的に見ても高いとされる種族の戦闘員と絶賛バトル中だ。
つい先日まで「俺バトルジャンキーじゃないから(キリ)」とか言ってた自分が恥ずかしい。
宇宙でも一二を争う種族らしく、実際最初の方は手も足もでず一方的に攻撃を受けていたが、段々と動きが見えるようになってからは一転。
ブウもそうだが、物凄い速さで戦い方が上達していく。
おかげで先程まで俺をボコっていた相手は逆にボコボコにされている。ここまで圧倒的だと笑いが本当に止まりません。
しかし不思議なものである。種族が変わったのが原因か、はたまたは俺が狂ったのか。外道と言われてもおかしくない行為が平然とできてしまう。
いや、殺してはいないけどね。
それだけは越えてはいけない一線だと想うんだ俺は。ブウはなんの戸惑いもなく殺戮を楽しんでいるが……
というわけで、最後の一人もこれでおしまいっと!!
「ぐぅあああああ!!」
俺に殴られ最後の一人が気絶した戦闘員たちの上に吹っ飛ばされる。
こうして技もくそもない適当なパンチも当ててしまえば一撃ノックアウトである。
目の前に積み重なる敗者の山は芸術的とも言えよう。無論先程も言ったが死者は0だ。
「いいぞ魔人ブウ、ビィ、これだけ強ければ宇宙なんてあっという間に私のものだ!あ~はっはー!!」
それにしてもこいつどうしよう……
こいつといても碌なことなさそうなんだが……
「ところで魔人ビィ。どうやら生き残りがいるみたいだよ。殺してしまいなさい。」
あ˝あ˝
今なんて言った?
殺せ?
今俺にせっかく生かしたこいつらを殺せと言った?
俺は無言で腕をビビディの方に向ける。
「ど、どうしたビィ。どうしてこっちに手を向ける!?」
「ウヒャッ(消えろ)!!」
「ま!待てビィィィィィィ~~!!」
俺の手のひらから放たれるピンクの光は確実にビビディを消し飛ばした。
つもりだった。
「どういうつもりだビィ!この私に逆らうとは封印されたいか!!」
いつの間にか俺の横に移動したビビディが俺に文句を言う。
流石は全宇宙でも屈指の魔術師、今のをかわすか。
「ハヒャー!!」
と思っていたら、ブウもビビディに向かって気弾を放ち始めた。
「ヒ、ヒ~~!!止めないか馬鹿たれ~!!つ、次の星にいくよ~!!」
****
こうして隙あらばビビディを殺そうと動いて失敗するを繰り返すこと100年余り。
壊した星の数は百を超えてからは数えていない。
最初は壊すつもりなどなかった。
きっかけは最も禁忌していた人殺しだった。
初めての殺しは救いようのない悪党だった。それでも誰かを殺すということをしたことのなかった俺は余りの気持ち悪さに力をセーブできず星ごと破壊してしまったのだ。
その後も気持ち悪さが抜けず八つ当たりのように周辺の星々を壊してしまい、壊した星に人が住んでいたことを思い出して自己嫌悪に陥る。
気持ち悪さと罪の意識、あらゆる負の感情が一気に押し寄せるような気分が続き、まるで癇癪を起した子供のように暴れた。
そうして気が付けば東西南北あらゆる銀河で俺たちの悪名は轟いていたのである。
俺としては大変ブルーな話ではあるが、ビビディにとっては違う。
根っからの悪人であり俺を造りだしたビビディにとって暴れまわって悪名轟く俺たちの存在は誇らしいのだろう。
ブウはなにもかもを本当に楽しんでやっているようだが、俺たちが星々を壊しているときに一番喜んでいたのは彼だった。
そんな中で、少しづつ落ち着いてきた俺はビビディを殺すよりもさきにビビディの魔術を覚えようと努力している。なんだかんだでビビディを殺せない理由の大半が奴の魔術だからな。
次に向かう星は何も生き物のいない極寒の星、ブリザド。ビビディ曰くここに界王神を一人おびき寄せるのだとか……
界王神……ねえ……ヘタレなイメージしかないんだけど何故だろうか?
まあいい、ここで一芝居売ってビビディとはおさらばだ。
く、く、く、今に見てろよ。今までの分を含めてたっぷり仕返ししてやる。
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