Fate/kaleid liner エドモン☆ダンテス2wei!   作:雛宮メリー

5 / 11
4話 トラウマ級シュート

次の日になってもメル子は口を聞いてくれなかった。

あとクロは朝早くからどこかへ出かけてしまった。

 

「……いや、昨日のことは悪かったと思ってるよ」

「つーん、エドさんなんて知りません」

 

うわぁ、口でつーんとか言う奴初めて見た。痛いわぁ……。

 

「え?ちょ、なんで急にそんな可哀想なものを見る目で私を見るんですか!?」

「…………」

「エドさん!?!」

 

おっとそろそろ学校の時間だ。

 

「行ってきまーす」

「ちょっとぉ!?!」

 

叫ぶメル子を無視して家を出た。

するとそこにはいつもと違う通学路が広がっていた。

 

「うわぁ、すっげ……惨状じゃん」

 

通りのそこらじゅうがまるで台風にあったみたいにめちゃくちゃになっていた。

ちょっと見ただけでもトラックが壁に突っ込み、植木鉢が割れ、電線が切れ、辺り一面が水浸しになっている。

 

「見ろよ、メル子。

こんな光景は台風後でも中々お目にかかれないぜ、レアだぜ!」

「なんですか、その偶然事故現場を見ちゃった小学生みたいな反応は……?」

 

いや、だって俺小学生だし。

 

「ところで昨日台風とかあったっけ?」

「ありませんよ?」

 

2人して首をかしげた。

おや?ということはこれらは自然現象ではなくなんらかの事故で……?

 

「なんか、嫌な予感するな」

「で、ですね……」

 

急に湧き上がる得体の知れない恐怖感に戦慄としながら、俺たちは学校へ向かった。

 

ーーー

 

「あ、やっべ」

 

体育の時間、今日はサッカー…なのだが。

 

「勢いよく蹴りすぎちまった」

 

蹴り出されたサッカーボールは吸い込まれるように保健室の窓に向かって一直線に飛び、そのまま窓を粉砕した。

……責任とって弁償かなぁ…?

いや、むしろあそこに誰かいて、割れたガラスで大怪我してたら…?

あ、ちょっとお腹痛くなってきた。

 

「ボール、回収してくる」

「あ、あぁ……」

 

クラスメイトは唖然とした顔で俺を送り出した。

あー、また黒歴史が増えた…。

 

トボトボと保健室に向かい、そこにちょうどいた保険室の先生に頭を下げる。

 

「ごめんなさい、華憐先生」

「大丈夫よ。さっきのボールもガラスも結果的に怪我人はいないから……残念なことに(ぼそっ)」

 

今なんか物騒なこと言わなかったか?

華憐先生は不意にベッドに視線を向けた。

 

「あぁ、たださっきまでそこにいた初等部の子たちは早退したわね。

破裂したサッカーボールの破片を顔にくっつけながら」

 

……え?人いたんだ…?

まさか突如飛んできたボールやガラスで怖がらせてしまっただろうか…?

しかもボール破裂したんだ…。

マズいぞー、これはかなりマズい。

普通の小学生が破裂するほどの勢いで飛んできたサッカーボールにトラウマを覚えてしまったかも……。

そうなった場合、犯人が俺だということは明白なわけで。

小学生にトラウマを植え付けたとなると俺に責任が……。

 

「あわわわ、謝ってこなきゃ!」

 

真っ青になりながら俺は保健室を後にした。

 

「こっ酷く殴られて死ぬほどの大怪我したら来ていいわよ(ぼそっ)」

 

物騒な保険医も残して。

 

ーーー

 

「その、さっきは悪かったな」

「ううん、大丈夫……」

 

校門の外まで追い掛けた先にいたのは早退中のイリヤと美遊だった。

どうやら保健室にいたのは2人だったらしい。

美遊が超睨んできて怖い。

俺は美遊の方を見ないようにしつつイリヤに話しかける。

俺ホントもう歴史とか考えてねぇわ。

 

「あからさまに疲れた表情だが……大丈夫か?」

「朝からちょっと運が悪くて……」

 

運が悪い?それはどういう…?

思わず聞き返そうとして、

 

「避けて!!」

 

突如飛来した一撃にそれは遮られた。

素早く隣にいたイリヤを引っ掴んで身を躱した俺はコンクリートの地面を深々と貫くソレに目をやる

 

「これは……?」

『攻撃です!!電柱の上…』

 

どこからかルビーが飛び出し、警告する。

慌てて電柱を見ると攻撃の主が素早く飛び上がった。

そのままイリヤに狙いを定めて矢を幾つも放つ。

 

「いや〜〜〜〜ッッ!!?」

 

悲鳴を上げながら避けるイリヤ。

その進路に降り立ったのは、

 

「ほんと…逃げ足だけは速いわね、イリヤ!」

「でっ…でたーーーー!!」

「喋りましたよ、この黒いの!!」

「あれ、クロじゃん!?」

 

最初にあった赤い弓兵コスのクロだった。




名前にエドがついて身体が小学生、頭脳が(転生前は)高校生。
そして、ガラスを割り、ボールが破裂するほどのシュート、か……。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。