Fate/kaleid liner エドモン☆ダンテス2wei!   作:雛宮メリー

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3話 混迷のメル子

「ここが俺の家だ」

「結構広いのね」

 

そういえばそうだな。

エーデルフェルト邸レベルではないがイリヤの家よりは大きい。

 

「ただいまー……って誰もいないのか」

 

メル子はホントどこ行ったのかと。

仕方がないのでメル子の部屋にクロを入れて例の夢幻召喚(コスプレ衣装)みたいなのから着替えさせた。

 

「勝手に使っちゃっていいの?」

「構いやしねぇよ」

 

どうせあいつの服は出所不明のものばかりだ。

メル子が家に来た次の日、どこからか宅配でメル子の生活用品一式が大量に送られて来たのは今でも恐怖体験として俺とメル子の間で語り継がれている。

 

「ふーん?」

「さて、リビングで雇用条件を見直すか。茶と菓子も出す」

「分かったわ」

 

そうしてしばらく話し込んでいたところでメル子が帰って来た。

 

「ただいま帰りました、エドさ…ンンン!?!」

「「おかえりー」」

 

メル子はクロを見て目を白黒させた。

 

ーーー

 

「えっと……つまり、エドさんは彼女ーークロさんをロンドンに行ってる間のメイドさんとして雇った、と?」

「ざっつらい。メル子も仲良くしてやれよ」

「よろしくね♪」

 

おー、混乱してる混乱してる。

 

「あら…。エド、そろそろ……」

「ん?魔力供給か?」

 

クロはどうやら常時魔力を使っているらしく魔力がすぐに無くなってしまうとのこと。

俺は素早くメル子の後ろに回り込み、動きを封じる。

 

「え?エドさん、一体何を……?」

「悪いな、メル子」

「それはどういう…んむっ!?!」

 

クロの魔力供給の方法は粘膜接触。

具体的に言えば『キス』。

一応、魔力量で言えば俺も可能なのだが、はっきり言って人命救助とはいえ男とキスするのは彼女も抵抗がある。

俺も小学生女児とキスするのは精神的に抵抗がある。

Q.ならどうするか?

A.メル子に生贄になってもらおう。

メル子からなら俺がロンドンへ行こうが家にいるので隙をついてキスしてしまえる。

魔力量も常人よりは上なので人選としては悪くない。

あと女の子同士なのでクロも大丈夫。

 

「お前の犠牲は忘れないぞ、メル子」

「んんんんん!!?」

 

艶かしい水音を全力でスルーしつつ、暴れるメル子の身体を抑える。

今更ながらこの絵面やべぇな。姉ちゃんとか帰って来たらどうしよう。

 

「ただいま」

 

おっふ、フラグ。

流石にクロも空気を読んで魔力供給をやめた。

メル子はぐったりとして目を回している。

 

「おかえり、姉ちゃん」

「…?何かあったの?それとそっちの子は?」

「今日から居候…というかメイドになるクロだよ。

今度、俺がロンドン行ってる間に家事を手伝ってくれるって」

「はじめまして、お姉ちゃん。

わたしのことはクロって呼んで?」

「わかった。よろしくクロちゃん」

 

メル子の惨状とか突然増えた居候とか突っ込みどころはそこら中にあるのに全く動じてねぇ……。流石は姉ちゃんだ。




ヒロインを生贄に捧げる主人公とかきょうび見ないな…。

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