Fate/kaleid liner エドモン☆ダンテス2wei! 作:雛宮メリー
あれから1ヶ月。季節は初夏。
ロンドンへの移動手段はなんとか手に入れた。俺の分だけだが。
「よく考えなくても俺の親の職場がロンドンだったわ」
「今更ですね、ホント」
あの手この手でロンドンへの行き方を調べていたあの頃がバカみたいだ。
とにかく、これでロンドンへ向かえる。
だが、姉ちゃんとメル子をどうするべきか……。
「あっ、そろそろ学校の時間ですよエドさん」
「そうだな、行くか。
んじゃ、姉ちゃんいってきまーす」
「ん、いってらっしゃい」
ロンドン行きへの一抹の不安を抱えつつ、俺は今日も学校に行くのだった。
ーーー
「海行こうぜ、うみーーー!!」
龍子の声が教室中に響く。
そろそろそんな季節か。
となると確か原作二期である2wei!が始まる頃だろうか?
相変わらず神様マニュアルは無反応なので正確な時期や何が起こるのかは己の記憶力頼りとなる。
「所詮はマニュアル頼りの原作知識だったしな……。転生前より頭の出来は良くなったがはたしてどこまで覚えていられるか」
イリヤや美遊たちと混じって笑い声を上げるメル子の様子を伺いつつ、記憶を頼りに主な出来事を思い出す。
思い出す……のだが…。
「あんまり興味無かったからなぁ……。ドライの士郎過去編以外」
本来のプランならば既に7枚のカードを集め、イリヤたちの物語を遠くから眺めるだけで済んでいたはずだったからなぁ。
正直、2wei!以降はほぼスルーに等しいんだよなぁ……。
「なるようになる、か」
後々から思い出すだろう、と考えたところで授業開始のチャイムが鳴った。
※放課後メル子が巻き込まれてイリヤ、美遊と共にルヴィアの車に拉致られて行きました。原作知識って大事だねっ!
ーーー
さて、メル子はどこへ行ったのやら。
放課後、俺は大空洞のある方でぶらつきながらメル子を探していた。
一応、メル子に持たせたキッズケータイのGPS反応的にはこっちにいるらしいのだが……。
「ん?」
「ん?」
ふと、目の前に某赤い弓兵みたいな格好をした女の子が現れた。
褐色の肌に薄いピンク混じりの白髪。
そしてイリヤと瓜二つの顔。
「お前誰だ?」
「わたし?やだなぁ、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンよ、クラスメイトでしょ?」
「……いつの間に増殖なんていう技術を覚えたのかと」
コイツは明らかに学校にいたイリヤではない。それは分かる。
だって、こう、なんていうか違う。
んー、こいつ確か原作に出てた気がするんだけど……誰だっけなぁ?
いや、気がするだけかもしれない。
「……へぇ見分け、つくんだ」
「とりあえずお前が俺の知ってるイリヤではないことは分かる」
めんどくさそうにどうはぐらかすか考えている様子の黒イリヤを見て、ふと今朝のことを思いだした。
そういえば、ロンドン行ってる間メル子どうしよう、と。
その間、メル子は姉ちゃんと2人で暮らすことになる。
となると、家のことは2人に任せることになるわけで……うわぁ、とっても不安だわ。
「なぁ、2Pカラー」
「2Pカラーゆーな」
「じゃあクロ」
「わたしは猫か…」
「単刀直入に聞くけどお前に今、活動拠点というか生活のための住居とかってあるか…?」
質問の意図が分からない、と言うように首を傾げるクロ。
「ないけど……?でもわたし、これからやらなきゃいけないことがあってどこかで定住するのはちょっと……」
「お前の目的とかそーゆーのは聞かない、しばらくの間、三食+寝床付きの条件を付ける代わりに住み込みでウチの家事を手伝ってくれないか?」
破格の条件。クロは訝しげにこちらを見る。
「わたしはいいけど……。それってあなたに何の得があるの?」
「近々、俺はロンドンへ行くんだがその間、マイペース姉とほわほわ従姉妹を家に残して行くことになるんだ」
「おーけー、だいたい分かったわ。
でもわたし、別に料理とかはまるっきり出来ないわよ?」
「そこについてはこの後詰めていこう。んじゃ契約成立で」
こうしてロンドンへ行ってる間のハウスキーパーを得たのだった。
重戸に2wei!の知識はありません←ここ重要な