Fate/kaleid liner エドモン☆ダンテス2wei!   作:雛宮メリー

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9話 強いていうなら面白い方の味方

 

「いやぁーーーっ!?

なんでーー!?おろしてーー!!」

 

完璧罠やね、アレ(俺)。

完璧罠ね、アレ(クロ)。

完璧罠です、アレ(メル子)。

数メートル先の茂みにて、俺、クロ、メル子の三人は様子を伺っていた。

 

「ねぇ、アレどうしたらいいと思う?

なんかあからさまに罠すぎてリアクションとりづらいんだけど」

「ご丁寧にイリヤの下にはどこぞの晩餐会並みの食卓が広がってるし。

しかもワインて……子供は飲まないだろ」

「エドさんは卓上より先にイリヤちゃんの心配をしてあげましょうよ……」

 

なんとなく出て行くタイミングを掴めずにいる俺たち。

こうなったのにはちょっとしたワケがある。

 

ーーー

 

それは今朝のことだった。

何気なくいつもは観ない占いコーナーを俺は見ていた。

 

『今日の運勢1位はかに座のあなた!

何をやってもうまくいく日!新しいことに挑戦してみるチャンスかも!

ラッキーカラーは黒!ラッキーアイテムは帽子!』

 

ほう。1日の初めにしてはなかなかにいい滑り出しじゃないか。

ちょっとしたるんるん気分でそこら辺にいたメル子の首根っこを引っ掴んで、「ふぇ!?なんですか!?」直感で家の隅の部屋の扉を開けた。

 

「げ」

「おいおい、ご挨拶だなクロ。

雇い主にそれはないだろう?」

「いや、そもそもの話、エドさんはクロさんを妨害する宣言したんだからそのリアクションは当然でしょうに」

 

丁度、家から出ようとするクロを発見した俺とメル子。

クロは嫌そうな顔でボヤく。

 

「あー、もー!サイアクよ!

よりにもよってこんな広い家のこんな隅っこの部屋の窓から出ようとしたのに見つかるなんて」

「残念ながらこういう時の俺の運はなかなか良いらしい」

「急にエドさんに引っ張られた時は何事かと思いましたよ……」

 

まぁ、今回は運が悪かったということでひとつ。

 

「で?見てわかる通りわたしは今からイリヤを殺しに行くんだけど」

「そうか……じゃあ止め……」

 

そういえば、魔法少女と戦ったことってないな。魔法少女との戦闘経験とか、新しい挑戦じゃね?

というわけで今回はあえてイリヤたちの敵側に回ってみるか。

あー、歴史保全気にしないって素晴らしい!自由だ!

 

「あ、エドさん!また余計なこと考えてますね!!」

「全然?ところでさ、クロ。付いてってもいいか?」

「えー」

 

露骨に嫌そうな顔をして窓から外に出るクロ。

まぁ、俺がいたら殺害は防がれるしな。

 

「んじゃ、勝手に付いてくわ。

復讐転身(アヴェンジトランス)》。行くぞ、メル子」

「展開についていけないんですが!!」

 

ーーー

 

そして今に至る。

今日はどうやらこの前クロと出会った大空洞の近くだ。

 

「……まぁ、わたしが行かないと始まらないみたいだし行くわ」

「そうしてくれ」

「え、えーと!クロさん、一応お気を付けて!」

 

すぐ戻るわよ、とひらひら手を振ってイリヤの元へ行くクロ。

 

「さて、メル子。今回の俺は一味違うぜ」

「なんですか、急に」

「今回はあえてイリヤたちを……倒すっ!」

「……ってなんでですかっ!!?」

 

新しいことへの挑戦である。

 

「悪ふざけもいい加減にして下さい!」

「メル子、心配するな。倒した後は別にどうもしない。

クロを止めてそこで戦闘終了だ。

いいから黙ってそこで見てな」

 

そう、あくまで倒すだけ。

俺の力を試すための模擬戦闘程度である。

俺は戦闘が始まったのを見計らって茂みから出る。

 

「さて、地獄……は見せないけどある程度試させてもらおうか」

 

まずはクロに迫っていた美遊の《破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)》を腕を掴むことで止める。

 

「「「「「は?」」」」」

「ククク、悪いな。今回はあえてこっちに付くんだ」

 

完全に全員の不意を突く形で現れた俺に戦場が一瞬停滞した。

パキン、という音と共に限定展開(インクルード)されたカードが解除される。俺は美遊の腕を離した。

 

「どういう……つもり?敵対はしないんじゃ?」

「悪いな。俺は面白い方の味方なんだ。

あと死人は出さないからそこだけは安心しろ。

最悪の場合、クロまでまとめてぶっ飛ばす」

「「ちょ!!」」

 

というか《破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)》とか確実にクロを殺しにかかってるな。

魔力そのものみたいなコイツがこれを刺されてたら今頃死んでるぞ。

 

「余計なお世話ね、エド」

「まぁ、そう言うなよ。

一時的に共闘くらいはしてやる。

俺はあっちの三人を相手するからお前はイリヤに集中しろ」

「とかなんとか言いつつ決定的な場面になったら止めに入るんでしょ?」

「トーゼン。前にも言った通りイリヤに死なれたら困るんでな」

 

クロと背中合わせになりながら話し合う。

さながら背中を預け合う戦友のように。

 

「はぁ、もう勝手にしなさいよ。

わたしも勝手にするから」

「その言葉を聞きたかった」

 

言われなくても好きにしてやるよ。

さて、とそれじゃあ始めますか。

 

「悪いな、美遊、凛さん、ルヴィアさん。あなたたちの相手はこのオレだ」

 

両手に渦巻く青黒い炎が、轟と音を立てた。




フリーダム主人公。どうしてこうなったーー!?

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