やっとオリ主のターンです
6話 イニシャルK
「どこよ、ここ?」
目の前の雪景色に思わず呟いてしまったのも無理からぬことだろう。
さっきまでグランゾンと戦ってたんだけどなあ。
『あー、たぶんヨーロッパのどっかじゃねーか? そんな匂いがするぜ』
いつの間にかモバイルモードに戻っていたザンリュウジンが答えてくれた。
匂いもなにも一面の雪景色なんだけど。
リュウケンドー中でもザンリュウジンはヨーロッパにいたこともあったからわかるのか?
……それ以前に匂いをかげたのか。
「変身したままの方が寒くないんだけど……ブェェェックシッ!」
『ちきしょうめっ! っとくらあ』
「コンボつなぐのか」
こいつ、大江戸学園じゃつけてなかったのにどうして江戸っ子、と悩みながらスタッシュから出した防寒具を羽織る。
『黒いコートとはわかってるじゃねーか』
ザンリュウジンの本当の相棒、白波鋼一は黒コートを愛用していた金髪さんだったな。
俺が出したのは手持ちで一番暖かそうなやつだからなんだけどね。
「ここはどう見ても月じゃない。ってことは、失敗しちゃったのか?」
『あのグランゾンの爆発がトリガーになってんじゃねーのか? スキャンは成功したんだ、あとで調べてもらおうぜ』
「そうだな。みんなとも合流しないと」
ビニフォンを取り出してマップ表示するも、付近にファミリアの表示はなし。
「まいったな。ここをマーキングして一度拠点に戻るか」
魔法でマーカーを設置してからポータルを開こうとしたが、転移先として拠点を選べなかった。
『拠点、さっきの爆発でぶっ壊れちまったのか』
「……もしくは、拠点ができる前なのかもしれない」
グランゾンと戦っている最中にベルゼルート、グランティード、クストウェルのスーパーロボット大戦Jの主役機の他に、エクサランスも増援としてやってきてくれた。
エクサランスはスーパーロボット大戦Rの主役機で時流エンジンで動いている。作品中、この時流エンジンの暴走のせいでエクサランスは過去へ跳ばされてしまう。
「もし、さっきの戦闘中にエクサランスが暴走していたら俺たちは過去に跳ばされてしまったのかも」
『お前の担当じゃない異世界って線もあるぜ』
それもそうか。
指輪を宝石解放モードに変形させようとした時、ビニフォンが鳴り出した。
あれ? 誰もいないはずなのに?
悩みながらも電話に出る。
『私よ』
「華琳! よかった、無事だったのか」
『無事、でもないようね』
「ど、どこか怪我でもしたのか? 待っててくれ、すぐにそっちに行くから」
ビニフォンを持っているならそれをマーカーにすることができる。最新型に追加した機能だ。
『落ち着きなさい』
「落ち着いていられるか!」
『はあ……よく聞きなさい、私はあなたの妻ではないわ』
「えっ……」
妻じゃ、ない?
あまりのショックに持っていたビニフォンを落としてしまった。
『おいおい、泣いてる場合じゃねえだろ』
「だ、だって華琳が俺を捨て……ぐっ」
『だからよ、電話の嬢ちゃんは、お前の嫁さんじゃなくて、別の嬢ちゃんだって言ってるんだろ?』
ああ!
そうか。そうだよ、華琳ちゃんにもビニフォン渡していたじゃないか!
慌てて雪に埋もれてしまったビニフォンを拾う。
「華琳ちゃん! 華琳ちゃんなんだね?」
『そうよ。まったく、やっとわかったのね』
よかった! 俺が華琳に捨てられたわけじゃなかったのね。
今のでEPが3割ぐらい持ってかれたよ、きっと。
「だっていくらなんでも声だけじゃ見分けられないよ」
『わかったわ。今度から
なんかヤンデレさんに呼ばれているような気がするのはなぜだろう?
嫌じゃないけどさ。
「でもなんで華琳ちゃんが? この指輪の
『ええ。さっきまではホワイトと呼ばれたあなたの指輪の中から外を視ていたわ』
分身で指輪が増えても、中の
「通話できているってことは、契約空間にいるんじゃなくて……今はカードじゃないの? もしかして」
『ええ、そうよ』
カードからは外の状況がわかるようなのに、契約空間や擬似契約空間とはビニフォンで通話ができない。
ファミリアカードの人間と連絡するには、俺が眠って擬似契約空間に入るしか手段がなかった。
『ちょっと待ちなさい、また連絡するわ』
「え、華琳ちゃん?」
突然、通話を切られてしまった。
なにかあったんだろうか?
「あれ、もう?」
切れてすぐに再びビニフォンが鳴り出した。
誰からかも確認せずに慌てて出る。
『も、もしもし』
あれ? この声華琳ちゃんじゃない。
「え、どちら様?」
『カティア・グリニャールです』
「……俺は天井煌一」
かけてきたのはスパロボJのヒロインの1人からだった。
え? そりゃさっきの戦闘には参加してくれてたけど、巻き込まれちゃったの?
探り合うように通話を続けると、スパロボJのヒロインが3人ともその場にいるらしい。しかもロボごと。
見たい!
たまらずに俺は、彼女たちのビニフォンをマーカーにしてそこへポータルを開いた。
彼女たちがいたのは雪景色ではなかったが、やはり人里離れた山中と思われる場所。ロボ以外の人工物は見当たらない。昔の特撮ヒーローが戦いそうな開けた岩場だ。
「おお! 3機揃ってると壮観だなあ」
『グランティードだけデケエな』
でも倍とまでは違わないから、OGではなくJ仕様みたいだ。
ヴォルレントかラフトクランズも並べたいね。
「あの……」
「あ、ごめん。改めまして、俺は天井煌一」
『ザンリュウジンってんだ。よろしくな、姉ちゃんたち』
コートをまくって
「私はカティア・グリニャール」
「アタシはフェステニア・ミューズ。みんなからはテニアって呼ばれてるよ」
「わたしはメルア・メルナ・メイアです」
ザンリュウジンに面喰ったようだが、3人娘もしっかりと名乗りを返してくれた。
黒髪のカティアは3人のリーダー格。生真面目で委員長気質。
身長も胸も3人の中で一番小さい赤毛のテニア。季衣ちゃんたちと同じ食欲魔神。
おっとり巨乳の金髪さんはメルア。お菓子好きだからチ子たんと話が合いそうだ。
ってのがゲームでの彼女たちのイメージだったんだけど、あまり違いはなさそうだね。
「それ、通信機じゃないんですか?」
『ちゃあんと、オレが話してるんだぜ。さっきの戦いでいっしょに戦ったじゃねえか』
「えっ?」
まあ、これじゃわからないか。
ザンリュウジンを手にとって
「あ、さっきのヒーローが持ってた武器だ」
『そうだぜ。スゲエだろ』
表情は変わらないけど、ザンリュウジンがなんとなくドヤ顔してるのがわかる。
それにしてもヒーローか。まさか俺がそう呼ばれるとはね。ありがとうテニアちゃん。
衣装もスパロボJと同じだった。雪はないけど、さすがにへそ出しは寒そうだったので彼女たちにも防寒具を渡す。
「それで、なんで君たちがビニフォンを持ってるんだ?」
マーカーになったってことは最新型で、ヴェルンド工房でも販売していない。彼女たちが持っているそれは俺が
「私たちは宇宙人に囚われていて、その脱出に協力してくれた方が渡してくれたのよ」
「なにかあったらこれを使え、って。説明書をくださいませんでしたから使い方をわかるまでに苦労しました」
誰だろう。華琳ちゃんか、それとも他に過去に跳ばされたのがいるのかも。
……俺たちもその可能性があるんだっけ。
「使い方はあとで教えるよ。ここにいるのは君たちだけなのか?」
スパロボJの主人公さんはいないの?
「はい。気づいた時はカルヴィナさんがいなくて……」
「忽然と消えちゃったみたいなの」
カルヴィナ・クーランジュ。スパロボJの女性主人公でアシュアリー・クロイツェル社のテストパイロット。
ベルゼルートが連合軍のトライアル中だって華琳ちゃんが言っていたから、彼女が乗っていたのは当然か。
それが行方不明ってのはわからないけど、爆発で別々の場所に跳ばされたのかもしれない。
「一緒にコクピットの中にいたのよ」
「華琳ちゃんはもっと逸れにくい場所にいたのに、別々に跳ばされたみたいだよ」
少なくとも、その指輪にいたという
「ベルゼルートはカティアちゃんとカルヴィナが操縦してたんだね。他の2機は?」
「グランティードはアタシ!」
「クストウェルがわたしです」
グランティードがテニアちゃんで、クストウェルがメルアちゃんか。うん、能力やラフトクランズの必殺技から考えて無難な組み合わせだね。
でも、気になるのは他にもある。
「1人で操縦してたの?」
彼女たちはサブパイロットで、他にカルヴィナのようなメインパイロットが必要だったはず。
「大変でしたが、なんとか」
「とりあえずあの戦闘のそばにいればなんとかなるって言われたよ」
『たしかにあのデカイのと薄紫のはあんま動いてなかったぜ』
よく見ていたなザンリュウジン。俺なんかグランゾンをスキャンするので手一杯だったのにさ。
「跳ばされる時、一緒になるようにか? ……あの戦い、失敗することが前提だったのか」
それとも軍師たちが張った予防線?
だとしたら、他にもなにかしているのかな。
「その、君たちの脱出に協力してくれた人は他になにか言ってなかった?」
「他には」
ぐおぉぉぉぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!
話は巨大な音によって中断された。
獣の咆哮にも似たそれに一瞬、バーサーカー? とか思ったがそうではなく、テニアちゃんがお腹をおさえて真っ赤な顔をしていた。
「ごはんにしようか」
「うん!」
元気に返事をするテニアちゃん。季衣ちゃんや鈴々ちゃんを彷彿させる。彼女たちも無事だといいけど。
「箸は使える? ……ならこれを」
スタッシュから弁当とウェットティッシュを取り出して彼女たちに渡す。
「ありがとう、コーイチ!」
テニアちゃんには特大サイズの渡したらもの凄い喜びようだ。そんなにお腹減ってたのね。
「おいしい!」
「そりゃそうだよ。俺の嫁さんが作ったんだから」
「結婚なさってるんですか?」
「まあね」
左手の薬指を見せる。きっとイイ顔してるだろうな、俺。
でもすぐに心配になってきた。嫁さんたちもちゃんと食べてるだろうか。泣きそうになったのをぐっとこらえて俺も弁当をかっこむ。
「はい、お茶」
「それ、どうなってるの?」
スタッシュはやっぱり不思議だよね。
「収納空間から出し入れしてるんだよ。レベル上げたからね。あの3機だって入るよ」
「それならしまってもらおうよ。あれで街には入れないだろうし」
4リットルは入りそうな巨大弁当箱を空にして、後ろのロボを指差すテニアちゃん。たしかにロボ乗って街はちょっと無理がありそうだね。うかつな場所に置いて駐禁切られちゃうかもしれない。
「街ってアテはあるの?」
……。
まずった。彼女たちが無言になってしまった。
スパロボJだと、彼女たちは捕まった組織に改造されて、記憶が曖昧になってるんだった。
カルヴィナが行方不明な今、彼女たちに頼る人間などいない。
街だけじゃなくて、その先のことを考えて不安になってしまったんだろう。
スパロボJだったらナデシコという就職先(?)があったんだけど……。
ここはおっさんがやるしかないか。
「わかった。しばらくは面倒見るよ。一緒にいよう」
「……いいんですか?」
「そのビニフォンを渡されてるってことは嫁さんもそのつもりな可能性もあるからね」
路頭に迷う美少女3人。ほうっておいたら、どんな目に合うかわかったもんじゃない。
ましてや、ここがどんなとこだかも不明だしね。少しでも知った人間がいるのは心強いだろう。
「まあ、俺もこの地は不案内だからそれはごめんね」
「いえ、ありがとうございます」
いいの? 簡単に若い男、に見えるおっさんを受け入れちゃって。やはり不安だ。彼女たちは俺がしっかり面倒見ないと。
『いいのか、煌一?』
「ああ、仕方ないだろ。みんなだってわかってくれるさ」
『浮気だって怒られるんじゃないか?』
「俺がそんなことできるわけがないでしょうに」
いくら3人が美少女だからってさ、ちょっと一緒にいたぐらいで疑われはしないでしょ。
俺、呪われてるんだし。
とにかく、現状把握が最優先だ。
ビニフォンのマップ表記では地球だったけど、いつの地球かや、どんな世界の地球かはわからなかった。
他のビニフォンを探してみるも、華琳ちゃんとJ3人娘以外のは連絡先として出てこない。鍛えまくった探知スキルを使っても同じ。やはり違う世界に跳ばされてしまったんだろうか?
「こ、こんな大きいの、無理よ」
「だいじょうぶだいじょうぶ」
「本当に入っちゃった……」
スタッシュには自分の物、借りた物以外は収納できないので、3人からロボを借りて収納。かわりにロディマ、じゃなかったキャンピングカーを出す。
「寒いからこの中で華琳ちゃんからの連絡を待とう」
よく考えたら食事もこの中でとればよかったね。
「なんだか魔法でも見てるみたいです」
「一応、それであってる」
もっと大きなそれこそ住めるような宇宙船もスタッシュにはあるけど、目立たないようにロボをしまったんだから、これでいいでしょ。
このキャンピングカーもプラモデルから成現した。ほとんど両さんが作ってくれたんで、かなりの出来だったよ。
仮設トイレの技術を使って水は魔法でなんとかなるからって、小さいながらもキッチン、バス、トイレ付き。さらには畳とコタツも完備している。
コタツに入りながら彼女たちがここにくるまでの話を聞いた。
「そうか、ちっちゃい頃にさらわれて記憶はほとんどないのか」
「自分がどこで生まれたかすら……」
酷い事をするなあ。
彼女たちをさらった宇宙人、フューリーは難民で月にある巨大宇宙船でほとんどがコールドスリープしている。
地球侵略はじぶんたちの生活環境を確保するため。でもさ、いくら住むところがないからって、幼女を誘拐、さらには実験体として生体改造なんて許せるわけがない。
「泣いているんですか?」
「苦労したんだねぇ」
ぐすっ。璃々ちゃんがさらわれたことを想像して、思わず泣いちゃったよ。
パリッ。俺の涙に若干ひきながらも、お茶請けに出したポテトチップスを減らしていくテニアちゃん。
「あの……ココアのお代わりもらえます?」
メルアちゃんはココアが気に入ったようだ。
涙を拭いて彼女たちにココアのお代わりを出す。
「ありがとうございます」
「いいよ、たくさんおあがり」
食料の貯蔵は充分だ!
たとえここに恋、季衣ちゃん、鈴々ちゃんがいてテニアちゃんと合わせて食欲魔神四天王となっても平気なぐらいには詰め込んである。……はずだ。スタッシュも分身で小さくなってて、中身は他の分身と分けているから何が残っているか確認しないといけないな。
外が暗くなった頃、ようやく華琳ちゃんからの連絡。
『こっちにきなさい』
「え、でも」
『今しかないわ。急いで!』
なんか急ぎっぽい。でも、ポータルを使えるのは使徒かファミリア。3人は連れて行けない。
「ちょっと出かけてくる。キャンピングカーは置いていくよ。すぐに戻るから心配しないで」
「どこへ?」
「転移先は……ロンドン? これは頑丈だからだいじょうぶだと思うけどなにかあったら連絡して。ビニフォンの使い方は覚えたよね?」
「はい」
俺は外に出る。やっぱ寒いな。一応、念のためにキャンピングカーに隠蔽の魔法をかけた。こんなことなら先に街を探した方がよかったかな?
華琳ちゃんのビニフォンをマーカーにしてポータルを開き、すぐに転移。窓から見てた彼女たち、また驚いてたね。
「お待たせ」
転移した先は豪華な洋室だった。どこかのお屋敷だろうか?
その部屋にいた華琳ちゃんはいつもとは違うドレス姿だ。これはこれでよく似合っている。
「ここを出るわ。ポータルを開いて」
「ちょっ、ちょっと待ってよ」
「詳しいことを話してる時間がないの!」
「でも、ポータルを使うには使徒かファミリアじゃないと」
レベルが上がって上位スキルを覚えればそうじゃないっぽいんだけどね、そこまで上がらなかった。大魔法使いの効果で上がりやすいはずの俺でも無理なスキル。GPで買おうにも高すぎたよ。
コンコンコン。
扉がノックされ、それに反応したかのように華琳ちゃんが素早く俺の手を握ってきた。
「契約するわ」
よほどのことなのだろう、普段はOFFにしている契約空間のスイッチを切り替えると、周囲は一瞬にして何もない真っ白い空間になる。
「ここが本物の契約空間……。
「あっちのアイテムは……どうなってるんだろ? 俺が持ってることになるのか?」
擬似契約空間は俺の夢の世界。俺の能力みたいだから……でも、華琳ちゃんに会ってた時に置いてきたアイテムは、両さんに会ってた時には無かったな。どうなってるんだろう。
「まあいいや。ここは外とは時間の流れが違う。どんな状況か教えてくれ」
契約空間から元の世界に戻ればほんの一瞬も進んでいない。ゆっくり話す時間はある。
「そうね。……私は
華琳・ブーンって、俺たちをグランゾンと戦わせたもう1人の華琳ちゃんだよな。
「カリン・ブーン。煌一なら知っているでしょう?」
「どこかで聞いた覚えがあるんだけど……ちょっとすぐには」
ビニフォンで検索した方が早そう。
華琳ちゃんはため息を1つはいて教えてくれる。
「兄の名はアスハム・ブーン」
「それならわかる! キングゲイナーに登場した……ここ、キングゲイナーの世界なの? いくら俺のコールサインがキングになったからって……」
分身した俺は区別のためにファイヤー、ホワイト、キングのコールサインをつけられた。
「もしかしたら違うかもしれないわ」
「え?」
「考えてみて。スーパーロボット大戦R、スーパーロボット大戦Jのロボットが登場したのよ」
ああ、華琳ちゃんも指輪の中から外を見ていてエクサランスやベルゼルートたちを見ているんだった。
「あ、Jの3人娘とは合流している」
「そういうことはもっと早く言いなさい!」
「華琳ちゃんがなんか焦ってて俺にほとんど話させてくれなかったんじゃないか」
「だって……アレを兄と呼ぶのは嫌よ。あの声で私を馴れ馴れしくカリンと呼ぶのよ」
顔色が悪い。そんなに嫌なのかな。
思い込みの激しいシスコンで、ちょっと……かなり残念なイケメンだね。
声が干吉と同じなのも嫌う理由か。華琳ちゃんも干吉に操られて俺を襲ったり、殺されそうになったりしたもんなあ。
「原因はわからないが私はカリン・ブーンと融合した。だから、アレを兄と思う気持ちもある。でも、咄嗟に殺しそうになるから近くにはいたくないの」
「そこまで嫌なのか……」
「アレはあれで有能な部分も権力もある。家を出てもすぐに見つけ出される可能性があるわ。私も、融合したカリンもこの世界の市井には疎い」
カリン・ブーンもお嬢さまだったっぽいからね。で、ゲイン・ビジョウにひっかかちゃって……。
「か、華琳ちゃん、もしかして、ゲインの子を妊娠してたり、産んじゃったなんてことは……」
もしそうだったらショックだ。俺の嫁さんな華琳とは違うけどさ、なんか嫌だ。
「彼とはまだつきあう前のようね」
「うん、ならすぐにここを出よう!」
「契約が先よ」
そうだった。華琳ちゃんに契約用のファミリアシートとペンを渡す。
「これに書けばいいのね」
「うん。名前を記入すれば契約完了だよ。あとは勝手に埋まるから」
名前を書きながら華琳ちゃんが言う。
「キングゲイナーもスーパーロボット大戦に登場しているわよね」
「まさか、ここも
「ええ。それも、スーパーロボット大戦Kじゃないかと私は見ているわ」
よりにもよってKですか。キングだからKとか……。