「俺たちには後ろ盾がない。頼れるのは仲間と他の転生者たちだけだ。これからも協力していこう。それと、死んでも制限はあるが生き返らせることはできる。だけど海外勢のハニートラップによる脅迫はフォローしづらい。仲間のヘッドハンティングにも用心してほしい」
あっちでもそうだったもんなあ。嫁さんたちがいなかったら俺も引っかかっていた可能性が高すぎる。
対魔忍のハニートラップにはかかっていたともいえるかもしれんが……。あの世界の救済にも役立っていたし、ゆきかぜと凛子も愛はあったはず! 対魔忍の協力だって脅されてもいないから違うと思う方がいい。
会議では戦後のことは軽く、直近のことは帝国軍と連携するために渡りをつけるということになった。
人類側に敵扱いされないように連絡は大事だ。
「ってことで会議をしめたけど、どうだった?」
「よくあの面子に緊張しなかったな」
「いやむしろテンション上がるだろ。中身はたぶん
空井は会議を見てこっそり指示出していただけなのに疲れを感じさせるげっそりした表情。まあ、俺もむこうで大勢と会話すんの慣れるまで緊張したもんなあ。
あの連中よりも、こっちの世界の連中の方がシリアスな分、対応に困る。ネタも通用しないもんね。
「ゼロ魔の世界と繋がっているのは秘密にしたんだな」
「それ、お兄ちゃんがヒロインの子と
なにかを感付いたのか、唯ちゃんにヘッドロックされてしまった。むう、ルイズに手を出してしまったことはどう説明すればいいんだか。
嫌われるのは避けたいので、やっぱりわざわざ説明することもないよな。
「BETAがあっちに行けたら重
G元素って何種類かあるけど、精霊石だって風石以外にもあったはず。もしかしたら新種のBETAが出てくる可能性だってある。魔法に対抗策を持っているのがさ。
「ハルケギニアの地下に大量に風石あるみたいだもんなあ。むこうに残してきた俺が、これからなんとかしないといけない課題だよ」
大きくため息。
こっちはBETAの相手をしなきゃいけなさそうだし、それよりもなによりもはぐれてしまったみんなと合流しなければいけない。こっちもあっちも危険な世界だけに無事だといいのだけど。
「掘るのか?」
掘り出して安全なとこに確保しておきたいけど、BETAを呼びそうな気もして怖い。
ミズホに任せたらロボ開発に有効利用してくれないものだろうか?
あ、カライたちが味方になってくれるならミズホとフィオナもここに連れてきた方がいいかもしれない。
「一応、方法は考えている。あっちの俺が現在相談中だ。で、さっき話したスパロボのフィオナとミズホなんだけどここに連れてきていいか?」
「え? ここに?」
「そう。ここなら元の世界に戻る手段を見つける研究ができそう。魔法での調査はあっちの俺がするから」
駄目だったら、転生悟空がいるという神様の神殿に居候させてもらうのも考えなければいけないな。たぶん地球では一番安全な場所になっているはず。悟空を目指す転生者なら許してくれそうだ。
「嫌だと言ったら?」
「力づくでここを乗っ取ることもできるけど、そうするとお嬢さんたちに恨まれそうだし平和的にカライと融合するかな?」
ここはハッタリをかける。GPはなんか貯まっているので合成を行うことができないでもない。俺も〈独占〉スキルを入手できたからそれで失敗することはないはず。
でも実行したらこいつを転生させたという球神も怒るかな?
その神も謎だ。この世界の神なんだろうかね。
それとも修行神?
融合したら球神の支配下にされるかもしれないのでしない方が無難か。
「お前はピッコロか?」
「転生悟空が喜びそうだろ」
「そ、そうなったら私がカライの嫁ということになるのだな!?」
こっちのクランがずいっと近づいてきた。むう、マジで好かれているね。俺のクランとは違うのはわかっているけどちょっと嫉妬する。
「冗談だよ。融合なんてしなくてもカライならきっとみんなを嫁にしてくれるって」
「お、おい」
「望むとこだろ? それともシャーリーのとこの女性スタッフの方がいいのか?」
「い、いや……でもみんなとなんて……」
今更1人としか結婚しないとでも言うつもりなんだろうか? 俺と同じ存在ならそれはないか。
もし1人だけなら誰を選ぶか気になるけどさ。
カライの仲間からだったら……うん、選べないな。
「まあ、連れてきていいか考えておいてくれ。ティスはどうする?」
「こっちにはデュミナス様みつかんねえ。早くあたいを元んとこに戻せよ」
「ティスちゃんって転位できなかったっけ?」
スパロボオリジナルの敵役らしく悪役組織に神出鬼没だったような。
この木星付近にだって到着しちゃってるし。
ワープかなんかできるんじゃないのかね。
「んな器用なことできりゃ、デュミナス様の願い叶えられてるっての」
「そっか。時間も超えなきゃいけないんだよなあ」
「タイムマシンですか」
「そんなとこ。俺たちの元いた場所は世界が違うだけじゃなくて、時間もズレているっぽい。セラヴィーと連絡が取れりゃなんとかなるんだけど、この時間のあいつは大魔王だし、そもそもいる世界に行く手段がない」
もしいけたら剣士にも会えるかな。会えたとしてもこっちのことはわからないだろうけど。タイムマシンと、世界間の移動ができるアイテム、両方を
すぐには思いつかんな。軍師キャラか華琳、レーティアがいてくれれば相談できるのに。
「セラヴィー? 大魔王?」
「赤ずきんチャチャのヤンデレ師匠だよ。今頃は洗脳されて魔族の手先として異世界で大魔王やってる」
セラヴィーならオリジナルハイヴぐらいなんとかしそう。どろしーちゃんが自分の元以外に行かないように世界を滅ぼそうとするぐらいの男だから、それぐらいの力はある。ギャグキャラだしさ。
あれ? こっちの世界に金髪縦ロールがいるなら、さらいにくる可能性もあんのか。
「マブラヴキャラに金髪くるくるっていたっけ? いたら会えるかもしれん」
「え? セラヴィー先生? あの変態師匠の? マジで?」
「一応俺の魔法の師匠でもある。ほら」
POMっと煙を出して魔法で猫に変身。明命を喜ばせるために人間以外で一番変身に慣れてる姿だ。
この姿には空井の仲間たちも驚く。
「立体映像の合成じゃないわよね?」
「ああ、マクロス世界ならそんな技術あったな。本物の魔法だよ」
「本当に猫になっているわ。でも、喋れる時点で猫とは違う」
シャロンが空中に猫化した俺のデータを表示する。骨格まで表示せんでもいいのに。本物の猫の骨格なんて見たことあるの、いないだろ。
「うむ。どう見ても猫だ。ここ、かぎしっぽ型の猫は幸運を呼ぶともされてるのだぞ」
あ、クランなら骨格ぐらい見たことありそう。尻尾の先、ちょっと曲がった骨をドヤ顔で指さしている。
俺の嫁のクランと同じように見えるだけに抱きしめたくなるのがツラい。
「エレメント能力? アクエリオンで使ったら巨大猫になるのかしら?」
「そういやアクエリオンって能力を発揮、というか強化できるロボなんだっけ」
エレメントと呼ばれるはアクエリオンのパイロットで、エレメント能力、つまり超能力を拡大化させるのがアクエリオンだ。魔法も強化できたら便利だよなあ。
あっちからルイズを連れてきてエレメントになってもらったらスゴい爆発を見せてくれそうだ。
あとは俺の〈鬼制御〉でパワーアップや〈分裂分身〉で分身もできたりするのだろうか?
「そっち方面ならデモンベインがあれば十分だろう」
「マジであるのか。でもアルちゃん、デモンベインは待ってくれ。転生ん時に球神の不許可リストに表示されてたんだ」
「なんだと?」
空井の言葉にがっくりとするアル。「アルちゃん」て言うとアルルゥのイメージだよね。美羽ちゃんと仲良くなりそうな子のさ。
でもなんで駄目なんだろ。転生者同士の連絡手段も最初に与えなかったし、人類を救うつもりあるんだろうか。転生者たちが苦しむのを楽しんでいるような……。
それともコスト的な問題?
「強さが桁違いなのはだいたい駄目だったかな。よくEVOLのアクエリオンが通ったよ。グレートゼオライマーはOKだったけど、次元連結システムの美久も別だし」
「あれはあとで回収したいから、場所を教えてくれシャロン」
「いいわ。でも運べるのかしら?」
「なんとかなる、かな。こっそり近づいて回収。すぐに撤退する」
そこまでの移動手段もないワケじゃない。ゼロ魔世界で見つけた武御雷は渡しちゃったけど、別のを使えばいいだけ。こっちの人間に俺だってバレにくくなるだろうからその方がいい。〈隠形〉ならBETAにも見つからないっぽいし。
手持ちのなにを使おうかな。スタッシュには容量節約のために
む! アクエリオンで
「アクエリオン貸してくれないか」
「え?」
「試したいこともあるんだ。いけるならそれで回収してくる」
今の俺は1/6になってて
空井の工場衛星を極秘にするために別の母艦系ってのがいいか。俺たちのこっちでの拠点代わりにもできるし。
「って言っても俺1人じゃ動かせないから、空井も乗ってくれ。魔法スキルがラーニングしやすくなるかもしれない。あとは」
アクエリオンは3機のベクターマシンが合体するロボだ。つまり3人乗り。それぞれのエレメントで性能が決まる。
つまりあともう1人乗ってもらわなくてはいけない。
アクエリオンEVOLの子たちになるか。
「ミコノちゃん、だろ」
「やっぱそうなるか」
ミコノ・スズシロはアクエリオンEVOLのヒロイン。俺的にはゼシカ派なんだが、彼女のエレメント能力である“繋ぐ力”は初合体を目指す俺たちには必要なのだ。
「え? ええ!?」
「えー、カライと合体すんの? いいなあ」
驚きで硬直してしまったミコノちゃん、そして不満そうなゼシカ。俺だってゼシカと合体したい。
睨んでいるのは沙和に似ているMIX。髪や眼鏡っ子であることとか外見はよく似ている。性格は違うけど。
彼女は男性嫌い。好感度が高い空井は別のようだが、俺とは目を合わせてくれていない。ルックスで融合ってのはないのかね?
ちなみに能力は空間補填。穴埋めだ。巨大な巣穴ともいえるハイヴ攻略では活躍してくれそう。
「あとで好きなだけ合体すればいいだろ。アクエリオンなしでも」
「だからすぐそっちに持ってくなっての! それに、俺が動かせるのか?」
「カライならば大丈夫でしょう」
「俺から操縦関係のスキルも持ってったろ。おかげでレベルちょっと下がってる。エレメント能力はあれだ、死者復活がそうなんじゃないのか? もしくは独占」
空井の特典でエレメント能力っぽいのはあと〈無効及びカウンターを無効〉ってのもあるらしい。〈独占〉以外はスパロボで有用だ。バリア無効でカウンター無効なんて便利すぎる。アクエリオンで発動しても強力なエレメント能力であるのは間違いない。
「ですが、ここは木星の影。ベクターマシンで行くには地球は遠すぎます。この工場衛星をフォールドさせるのはカライが望みません」
「他にフォールドとかワープ持ってる母艦ってないのか?」
「ないわ。アクエリオンのテレポートチェンジのシステムすら未実装。ポイントを貯めて購入してからね」
むう。ポータルで運ぶこともできるけど、さすがにこの距離だとMPの消費が大きいから俺じゃないと無理。空井に覚えさせたとしてもMPは足りないだろう。
ふむ。俺が偽12番球として地球で活動するためにも母艦はほしい。
高速艦ということなら
それにネオディーバ相当の装置も必要みたいだ。ならば、それこそアクエリオンで
ええと、手持ちのなにがいいかな?
「ヤマト……こっちじゃ大和がまだ現役なんだっけ。ならばいっそのことアンドロメダがいいか? 凄乃皇・弐型もあれっぽいし」
スタッシュにプラモがあるのを確認する。両さんといっしょに作り上げたアンドロメダ改級の。
アンドロメダいいよね。デザインがかなり好き。そのせいかバトル・エロースの艦橋もちょっと似ていて、あの横幅のあるパーツが左右についていて、強攻型時の頭部は鋼鉄ジーグっぽかったりする。
アクエリオンが使えて
その完成済みのプラモを空井に渡して。
「あとでそれを本物にするから、必要なシステムの想いを込めてくれ」
「想いを込めるって言われても」
「念じるなりブンドドするなりしてくれればいい。設定と違っても結構変更できる。例えば、アクエリオンに必要なシステムを組み込むとか、少人数でも動かせるようにとか」
「これが本物になるって、そんな無茶苦茶なことできんの、コーイチ?」
ティスちゃん他ほとんどの子が疑わしそうな目で見ている。そりゃ信じにくいかな。
実演した時にどんな反応するか楽しみだ。
「じゃ、俺たち戻るからあとよろしく。今度きた時アクエリオン貸してね」
「え?」
「連絡はテレパシーなりビニフォンなりで。ティスは俺とくる? そう」
ティスとアルの手を取って地球へと帰還。あてがわれていた部屋に無事到着。
結界符を貼っておいたせいか、俺たちが留守にしていたのも気づかれていないようだ。
「ボクがここへきてるのは教官たちにバレてるだろうから、えっちしてたと思われてるよねー」
「俺も本当はそうしたかった」
「今からする?」
しなだれかかってくる唯ちゃんについ流されそうになるのも当然だろう。ここんとこご無沙汰なんだから。
だが、それを邪魔する者もいて。
「妾たちを忘れるな! それともまさか全員でするつもりか?」
「あたいも!?」
「うん。じゃなくて、嫁以外とはしないから! それに2人にはまだ早いでしょ」
浮気ダメ、絶対。
なんか不満そうな少女2人に睨まれている。子供扱いしたせい?
そりゃ嫁になってくれるんなら手を出しちゃいそうなくらい可愛いけどさ。
「お兄ちゃん、説得力ないよ」
「あ、やっぱり」
嫁の数もあるし、見た目ちっこい子ともしちゃってるもんなあ。ねねちゃんとか南蛮勢とか。
みんな元気だろうか。
「……おい。さっきの話、本当なのか?」
「お兄ちゃんとえっちしたいの? ティスちゃん」
「コーイチがあのオモチャを本物にってやつだ」
唯ちゃんのからかいをスルーして真剣な目で俺を見るティス。
当然か。ティスは俺の
「そう。俺は君のお母さんの願いを叶えられるかも知れない。望まれた姿にだってできる可能性がある。制限はあるけどね」
「もし本当なら……あたいにえっちなことしていいから、力を貸せ!」
「いやそれじゃ俺が悪役だよね!?」
悪役はティスだろうに。
というか、性格違うよね。力づくで言うこと聞かせるタイプじゃなかった?
唯ちゃんを人質にして、とかの方がやりそうなんだけど。
デュミナスのいない世界で不安なんだろうか?
「お兄ちゃん、さっき自分で言ってたのにハニートラップに引っかかっちゃダメだよ」
「あ!」
「チッ」
そうか! 俺にイタズラされたって脅すつもりだったのか!
さすが悪役だ。
「お兄ちゃんとえっちしたかったら、奥さんにならなきゃ。そうしたら願いは聞いてくれるよ。身内には甘いもんねえ」
「奥さん? あたいが?」
「いや、お母さんのために犠牲になるって感じで嫁さんになられても困る。愛のない結婚は不可だからね! 俺のことを好きでいてくれないと」
「ボクみたいにね!」
ありがとう唯ちゃん。俺はいい嫁さんもらったなあ。
唯ちゃんを抱き上げてくるくる回っていたら、ティスとアルがジト目で見ていたよ。