MUV-LUVALTERNATIVE外伝   作:kaenn

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最新話にして原作キャラ出しておりますのでイメージ壊したくない方は回れ右でお願いします。
微妙な描写が有りますが®️15の許容範囲かと思いますのでこのまま投稿しました。


MUV-LUVALTERNATIVE外伝 黒鉄大和という男

横浜基地の某所

 

ーブンッ…ブンッ…ー

 

朝露も乾かぬ早朝に1人の青年が木刀を振るう音のみが響く

 

「………ふぅ、そろそろ時間か…シャワーを浴びて行くとするか。」

 

1時間程素振りをして居た青年は、一息吐くと額に浮かぶ汗を拭い自らに課せられた任務に赴く為、基地施設の方へ戻って行った。

 

自室に戻ると部屋の前にピアティフ中尉が立っており、俺が部屋に居ないので困っている様だった。

 

「どうしました?ピアティフ中尉、こんな朝早くに俺に何か用件でも?」

 

「はっ!……あぁ、黒鉄大尉良かった香月副司令がお呼びですので副司令室までお越し下さい。」

 

俺が声を掛けるとピアティフ中尉はかなり驚いた様で少し飛び上がりキョトンとした目をみせて、相手が俺だとわかると驚きが覚めない様子のまま返事をした

 

「驚いた…大尉、若しかして何時もこの時間には起きていらっしゃるのですか?」

 

「ん?あぁ、何時もこれくらいの時間には素振りを終えてPXに仕込みに向かう時間かな?驚いたかい?」

 

「えぇ、私はこの時間から起きているのは任務がある時だけですね、香月副司令から「この時間には起きてるはずだから起こして連れて来なさい」と言われた時は部屋に居るのだろうと思いましたがまさか鍛錬をされて居たとは…正に”サムライ”ですね!聞けば黒鉄大尉は武家の出だとか?多くの人を救いたいから国連軍に入隊したと香月副司令から伺っています、尊敬致します!」

 

夕子から聞いたと言う俺のカバーストーリーを目を輝かせて語る金髪美女、外国の人にはまだ侍が人気なのが伺える…なにせ普段は知的な美人で通っているピアティフ中尉が興奮気味に俺に詰め寄って来ているのだから……

 

ーヤバイな、コレ夕子やまりも、アリアに見られたら制裁食らうんじゃないか?ー

 

俺が内心少し焦りながら表面上は冷静にピアティフ中尉を遇らうと、”はっ”となり俺から離れていく

少し惜しい事をしたなぁと思いながらふと考える、何故今日に限ってこんなに早く?

 

「………ん?そうか…今日は”アイツ”が来る予定の日か!」

 

「アイツ?今日はどなたか人がいらっしゃるのですか?確か副司令の面会者は本日居ない筈ですが?」

 

俺が何故呼ばれたか考えると”アイツ”の存在に行き着いた

俺の発言にピアティフ中尉は夕子の予定表を確認しながら疑問符を浮かべて俺に質問を投げかけて来る。

 

「いや、”前”にもこんな事が有ってな?本当に来るかは分からないが凄腕の衛士何だよ、其れこそ”昔の俺に匹敵する”位のね。」

 

「シュミレーターでA01の2個小隊をたった1人で殲滅できる大尉と匹敵する?それはなんの冗談ですか?」

 

ピアティフ中尉は先程より驚いたのか機密事項に該当する事をサラッと言う

今が早朝の人が居ない時間で良かった、もしバレたら速瀬中尉辺りから毎日の様に訓練の催促を受けていただろうと思われる。

鳴海中尉が困り顔でそれを宥めながら涼宮中尉と共に歩いて行く光景が脳裏に鮮明に浮かぶ

 

「おっと、中尉その事は…」

 

「……!?失礼しました………ふぅ、誰も居ない様ですね、良かった…」

 

俺の指摘で失言に気付いたのか、謝ると同時に周りをキョロキョロと不審に見渡すピアティフ中尉

人が居ないのを確認すると落ち着きを取り戻す様に咳払いをする。

 

「それでは大尉、副司令室まで御足労願います。」

 

「了解です、その前にPXに連絡を入れても良いでしょうか?京塚曹長に呼び出しで行けない旨を伝えないと行けませんので。」

 

まだ顔は赤いが、落ち着きを取り戻したピアティフ中尉が早く行く様に促すと朝食の支度が出来なくなった事を京塚のおばちゃんに伝える為内線を掛けようとすると、

 

「先程PXには連絡を入れました、後本日は人手不足という事だったので訓練兵を2人程行かせて居ます。」

 

「それなら大丈夫か、では行きましょうか?」

 

連絡済みだと言われたのでピアティフ中尉を伴い、心持ち早足で地下の夕子の部屋に向かった。

 

ーカシューー

地下にある夕子の部屋の自動ドアが開くと、そこには部屋の主である香月夕子を筆頭に右に懐刀の神宮寺まりも、少し離れて右の壁側に元米軍海兵のアリア・S・ストラトス、左手に超能力系幼女「少女です……」もとい、超能力系少女の社霞が立って居た。

 

「ピアティフ〜〜ちょっ〜と内緒話するから上で私の代わりに朝礼行って来て〜」

 

気だるそうに堂々と内緒話するから何処かに行ってろと言う夕子にピアティフ中尉は

 

「了解しました。上で書類整理をして居ますので、またご用があればお呼び下さい。」

 

と、言って出て行った。

 

「夕子?幾ら何でも言い方ってもんがあるんじゃないか?親しき仲にも礼儀ありって言うだろ?」

 

「ん?じゃあアンタは一昨日の夜、私の部屋のベッドで私がやめてって言った時如何した?そのまま私が失神するまで続けたでしょう?アレは礼儀なのかしら?……あぁそうよね礼儀よね、私だけじゃなく、まりもやアリアにまで手を出すベッドヤクザの礼儀なのよね?」

 

俺がピアティフ中尉への物言いを言及すると少し間を置いてからそんな爆弾発言をして来た。

部屋の人間の反応は様々で、

まりもは顔を、これでもか!と言うぐらい真っ赤にして俯いており、

アリアは一瞬恍惚そうな顔を浮かべたが我にかえると恨みがましい様な羨ましい様な複雑な顔を夕子に向けて、

霞に至ってはリーディングしてしまったのか、赤い顔のまま此方を蔑む様な眼差しを俺に向けている

 

「アレは夕子が、XM3を改良するって言って睡眠時間を削ってたからだろう!現にあの時疲れ果てて昼過ぎまで起きなかったじゃあないか!」

 

俺が慌てて弁明すると

 

「したのは認めるんだ…普通睡眠薬とか使わない?疲れ果ててる人間に気絶するまで行為を続けるって相当よ?」

 

まだ真っ赤な顔を少しだけ上げて絞り出す様に声をあげるまりも、それに続き

 

「ズルいよ大和!あの日は私の番だったのに!」

 

間違った方向に怒りを向けるアリア

 

「…………最低です。」

 

トドメに霞

 

居た堪れなくなり、取り敢えず俺は土下座をした。

 

 

「まぁ、冗談は置いといて本題に入るわよ?アンタの最初の話からすると今日”………”が”この世界”にやって来るのよね?」

 

夕子がチシャ猫の様な笑顔を見せながら満足したのか、真面目な顔になり俺に問い掛ける。

 

「ああ、…確か今日の昼前ぐらいかな?横浜の自宅を出ると急に目の前が真っ暗になってさ、気がつくと目の前に不知火の残骸が有って訳も分からないまま彷徨ってたんだ…」

 

事情を説明済みのまりもや霞は大人しく聞いているが、

1人何の説明か分からないアリアは???と不思議そうな顔をして居た。

 

「ちょっと待ってよ、ユウコやマリモは知ってて私だけが知らない事があるの?同じ妻として断固説明を求めるよ!」

 

周りを見て、自分以外は何のことか知っているようだったので若干憤慨しながら説明を要求するアリア

 

「それを説明するからアンタココに居られるんじゃない、説明する気が無ければわざわざこの部屋に入れないわよ。」

 

夕子は、言外に”今から言うから黙ってろ”といった威圧的な態度でアリアを嗜める。

 

ー事情説明終了ー

 

「じゃあ何?大和は………なの?何で過去に存在してるの?居なくなっちゃうの?嫌だよ?私、大和居なくなったら死んじゃうよ?何でユウコやマリモは知ってて平気なの?」

 

アリアは説明を黙って聞いて居たが、最期の部分を話し終わった時、

光を全く映さない暗い眼で、大和に縋り付きながら大声を上げる

 

「辛くない訳ないでしょ!愛した人がこの世から居なくなるかも知れないのよ!私だって夕子だって、彼がいつ居なくなるか分からないから怖いのよ?………最初に結ばれた日に夕子と2人で起きた時、彼が居なくなってて2人で早朝の基地内を探し回ったのよ?結局、彼はいつもの所で日課の鍛錬をして居ただけだったけどその時の恐怖が分かる?」

 

まりもが当時の事を語っていると、居た堪れなくなる

初夜以降は夜を共にしたら相手が起きるまで外出禁止令を出されたのは懐かしい記憶だ

あの時の夕子とまりもの顔は忘れる事ができない、

なんせ”あの香月夕子が”過去オルタネイティブ4に失敗した時より絶望して青ざめた顔で走って来て泣きながら頬をビンタされた、身体より心に痛いあの一撃はまだ記憶に強く残っている

 

「とにかく!彼はまだここに居る、だからまだ大丈夫って事ね?」

 

アリアはまりもに説得されたのか先程とは打って変わって綺麗な金のロングストレートの髪をかきあげる仕草をしながらまだ赤い眼を此方に向ける。

 

ーピリリリリ……ピリリリリ……ピリッガチャー

 

不意に鳴った電話を夕子が取ると2、3言話すと電話を切った

此方を向いて

 

「来たわ、”白銀武”よ。」

 

夕子の声に部屋の全員が反応した。

 

 




搭乗戦術機は
不知火零型甲
黒くて肩のデッカイ不知火です。

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