MUV-LUVALTERNATIVE外伝   作:kaenn

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SAOも完結していないのに書き始めました。

だって書きたくなってしまったから……

プロットはこっちの方が進んでたから……

戦術機まだ出ませんがそれでも読むって方はどうぞ。


第1話 始まりと決意

 

 

…………おっ?明るくなってきた。

転生上手くいったのかな?……って落ちるぅぅ!!

 

「おぎゃぁっおぎゃっおぎゃぁ…」

 

って喋れねーよ!赤ちゃんからスタートかよ!!

全然見えねーよ!!誰よあんたら!

 

思いが通じたのか俺(赤ん坊)を抱っこしている白衣の恐らく看護師が母親らしき人に渡すと顔はよく見えないが凄く透き通った声が聞こえる。

 

 

「ほら貴方?私達の赤ちゃんですよ?抱いてあげてくださいな?」

 

母親らしき女性が奥から来た男性に俺を抱く様に促されると、

 

「月詠の家で真那ちゃん抱いて来たんだが自分の子となるとなお可愛いな!…おっと、暴れるな我が子よ。」

 

体格の良さそうな厳つい男性が私を抱くと嬉しそうな声で言う。

 

「統治おめでとう、元気な”女の子”だな!」

 

父親の横に居た赤い服を着ているだろう男性が父親を祝福する…………ん?今、なんて言った?

 

「いやいや!まっ事めでたい!!どうじゃ?今日は酒盛りといくか?ケチな事は言わん可愛い弟子の子じゃ!全部ワシが出してやる!そうだ!貴様らも来い!!………と言いたいところじゃがワシの背後から恐ろしい程の殺気を感じるでな?統治よ!奥方と娘御が落ち着いたら連絡せい!改めて祝い酒を振る舞うからのう!!」

 

ではな!、と言って豪快な人は殆どの人を引き連れて帰っていった。

……っていうか悪趣味な部屋だと思ったらあの青と赤と黄色と白は全部人だったのかい!!壁の一部かと思ったよ。

 

父親も白っぽいから医者だと思ったらどうやら違うらしい……祖父母っぽい人達と話している会話を聞く限りだと武家やらなんとか流の跡取りを、とか話しているのが聴き取れた。

 

っていうか重要な事言ってた気がするんだけど!

もう一度誰か言ってくれませんか!

 

「あら?この子ったら私達に挨拶してくれてるのかしら?私と貴方の顔を交互に見ている気がするのだけど?」

 

母親が産後の疲れを微塵も感じさせないで父親に話し掛けると父親は、

 

「うむ、さすが我が子よ!今から将来が楽しみだな………っと、そうだそうだ!もう名前を決めてあるのだがここで発表しても良いだろうか?」

 

父親が名前を発表しても良いか?と母親に確認すると母親は「えぇ、お願いします。」と父親を促す。

 

「うむ、祇園家は長男長女には名前のどこかに氵を付ける習わしが有ってな?この子が俺に似て居たら統河、白奈に似て居たら白瀬と名付けるつもりだったのだが…この子は白奈にそっくりだし女の子だし白瀬で決定だ!!祇園白瀬、良い名前だろう!」

 

女の子?お父さん?貴方、私の性別間違えてませんか?私は………アレ?無い?自分の体だから分かる…アレが無い……おい謎の存在いぃ!!TSなんて聞いてないぞ!!しかも…しかもだよ?戦闘ありそうな世界みたいなのに俺もらったの料理と運って……開始早々に結婚してお嫁さんフラグ建ちまくりなんですけど?

 

「それにしても大人しいわね?統治の時は泣き疲れるまでずーーっと泣いていたのに。」

 

祖母らしき人が頭を撫でてくると急に眠気が襲ってくる。

 

「む?寝てしまったのか?儂はまだ抱っこしとらんというのに……」

 

祖父が残念そうに呟くと控えていた医師達が、奥方様と御子様を休ませてあげましょうと言われ渋々皆下がっていった。

 

 

 

 

 

 

 

ー5年後 祇園家 中庭ー

 

「お嬢様〜〜、お嬢様〜、どちらにおられますか〜〜。」

 

家の住み込み弟子兼女中さんの三ノ宮さんが私を探しているのかのんびりとした声が聴こえる。

 

「また稽古のお誘いか?私みたいな幼子に剣術を叩き込むとかこの家は鬼しか居ないのかね……全く……。」

 

木の上でやり過ごそうと溜息を吐きながら悪態を吐くと背後から恐ろしい程に優しい声が聴こえる。

 

「あら?では私は文字通り鬼婆に成るとしましょうかね?全く…ちゃんと稽古を受けなさい、今日はおばあちゃんがみっちりと稽古をつけてあげますからね?」

 

恐る恐る振り返ると其処には笑顔の般若…もとい祖母が木の枝の上に立って居た…お祖母様?いつから其処に?

 

「都さん此方です、不肖の孫は此処ですよ。」

 

祖母が三ノ宮さんを呼ぶと目にも留まらぬ速さで駆けてきて私を捕縛する。

 

「さぁお嬢様御覚悟を!」

 

完全に捕縛された、5歳児では成人女性からは逃げられないのだ。

 

「ふぅ……全く、筋は良いどころか天賦の才としか言いようがないのだけど……家族に対してはあんなに感情豊かに見えるのに何故人前だとあんな態度になるのでしょうか?…全く、おじいさんと統治がいけないのですね、来月からおこずかい減らしましょう!」

 

 

ー祇園家道場ー

 

「「ハァーー!!はぁ!はぁ!はぁ!ハァーーーー!!!」」

 

周りの門弟が私達の稽古を見学している。

何故だろうと考えたが私が考察するに私と三ノ宮さんが”弱過ぎる”から皆で観て後で駄目出しをしようという事だろう。

だって三ノ宮さん普段あんなにのんびりしてるのに剣を持つと性格豹変するんだもの、最初は驚いて負けて、お祖母様から初の直接指導を頂いたのは記憶に新しい………

 

「其処まで!!………礼!」

 

お祖母様の合図でやっと終了した。

30分くらいだけど全力の掛かり稽古は5歳児にはキツイのよお祖母様………

 

「では、都はこのまま皆と稽古を続けなさい…白瀬は私と一緒に朝食の支度をしますよ。」

 

私の返事を聞く前にお祖母様は私を抱き上げると道場を後にした。

 

 

 

ーもう一度道場ー

 

「………カハッ………ハァ…ハァ、ハァ……」

 

「都さん大丈夫?」

 

「いやぁ……凄えなぁ相変わらず……とても真似できんよなぁ?」

 

白瀬達が退場した後、ポーカーフェイスをしていた 三ノ宮 都”斯衛軍中尉”は崩れ落ち息も絶え絶えに苦しそうに蹲っていた。

原因は勿論白瀬、白瀬が考えていた事とは全く逆で白瀬と都の実力は当主と前当主、それにその奥方達の4人位しか勝てない程強く、他の門弟では相手にならない為見取り稽古をさせていたのだった。

 

「お嬢相変わらず表情がピクリとも動かんよな?でも考えてる事は分かるんだよなあ〜〜。」

 

「そうだな…今日はさしずめ…「なんでこの人達稽古しないの?…はっ!もしや私虐められてる?」ってところかね?」

 

生まれた時から知っている人には白瀬の無表情など有って無いようなもので雰囲気で感じられる為当たらずとも遠からずといったところであった。

 

「奥様に似て凄く綺麗なんですけどね?」

 

未だ若い門弟がそう呟くと

 

ーチャキッ…ー

 

「おい……俺の娘に手を出すつもりか?……死にたいのか?」

 

いつの間にかその門弟の首元に真剣を構えた現当主が現れた。

 

「いっ!?き、綺麗と言っただけです!手を出す気など毛頭ございません!!」

 

驚きながらも必死に否定をすると当主である白瀬の父、祇園統治は刀を鞘にしまいながら挨拶をし、稽古に参加した。

 

………ただ終了後、門弟の1人はボロボロになっていたという……。

 

 

 

 

 

「あら?白瀬、嗅いだことのない香りがするけどそれは何を作っているのかしら?」

 

祖母と母親と3人で道場全員分の朝食を作っていると母親が私の作っているものに興味を惹かれたのか質問してくる。

 

「コレは鳥の出汁と胡麻油をベースにした中華風のスープです。図書館の本に書いてあったので作ってみました……味見します?」

 

まさか「前世で美味しかったから再現しました!」とは言えないので何時ものように図書館の本で見た、と母親に答え顔を見ると”味見したい”と顔に書いてあったので小皿にスープを少し入れて渡す。

 

「どれどれ……あらホント、鳥の旨味が良く出ていて美味しいわね、白瀬は将来こういう道も視野に入れては如何でしょう…将軍家の料理番とか……」

 

母親に渡す筈が横から現れた祖母に小皿を盗られて感想を言われた。

何か不穏な事を考えている祖母を無視して改めて人差し指を口に咥えている母親にスープの小皿を渡すと私と同じく表情はあまり変わらないが嬉しそうに受け取り飲み干す。

 

「美味しいわ。……この酸味は何かしら?」

 

味見をした白奈が考え込む様に顎に手をあてて小首を傾げる動作をする。

 

「多分昨日お祖父様が城代省の方から頂いたカボスでしょう、少しだけ入れてみました。」

 

と、言って料理に戻る。

 

今日も平和である。………………アレさえ居なければ……あの化け物さえ……………。

 

ー……次のニュースです、大陸では依然BETAとの戦闘が相次ぎ喀什のBETA群が南進を開始し、………

 

そう!BETA!あのグロさと気持ち悪さを足して2でかけた様なナマモノが存在するMUV-LUVの世界なのですよ……どうせ死ぬなら生きてるうちは好きな事だけやっていよう……。

ニュースを聞いて絶望の未来を思い出してしまった私はそう考えていた…あまり表情には出ないが……。

 

「…ほら、白奈さん、白瀬がまた何か考え事してますよ?アレは何か次の献立でも考えてるのでしょうね、あの子の料理は発想といい味といい一流の料亭に居てもおかしくない域に達していますからね。」

 

「えぇ義母様、アレは前回の様に統治さんと義父様が涙を流して喜ぶ様な料理のレシピを考案しているのでしょう。我が娘ながら頭が下がる想いです。」

 

と、ただぼーっとしていただけだったが母親と祖母が盛大に勘違いして勝手に評価が上がった。

 

「……そう言えば義母様…この間病院の結果なんですが……3ヶ月ですって!」

 

「まぁまあ良かったわね白瀬、お姉ちゃんになるそうよ?」

 

……へっ?お姉ちゃん?弟か妹が出来たの?やった!…………ってこの世界このままだったらどんどん生活環境悪くなるじゃない!………駄目だ、このままじゃ主人公が来るまでにまだ見ぬ弟か妹が死んでしまう……よし!私が頑張る!取り敢えず……

 

「……御祖母様、母様、お願いが在るのですが宜しいですか?」

 

意を決した私が目の前の実力者達に願うのは唯一つ、可愛らしいエプロンを着けたまま貝じゃくしを一度置いて2人に向き直る。

 

「ん?白瀬がお願い事なんて珍しいわね?良いですよ、言ってごらんなさい。」

 

「料理をしたいって言った時以来だね?如何したの白瀬ちゃん?」

 

御祖母様と母様が珍しいものを見た様な顔で問いかけてくると、私は真剣な顔をして…表情はあまり変わらないが…

 

「明日からで良いのですが、本気で剣の稽古に励みます、ご指導宜しくお願い致します。」

 

それを聞いた2人は固まった、今まで本気じゃなかったのか?と、

そして、台所の外でそれを聴いていた祖父は小躍りするほど喜んでいたそうだ……女性の門弟の1人が見てしまい”恐怖を覚えた”と言っていたという。

 

「大先生が見た事ない顔で見た事ない動きをしていた……あれはもしかしたら奥義の類だったのかも……もしかして私は口封じされるんじゃないか?」

 

と。

 

翌日から道場での相手が三ノ宮さんから母様に変わりボロボロになるまで扱かれたのは言うまでもない……。




本人無自覚だけど身体能力は既に斯衛中堅クラス

実力的には

紅蓮大将>>>越えられない壁>>>祇園翁=祇園婆>>>祇園統治=黒鉄大和>>>祇園白奈>>>三ノ宮都=祇園白瀬=月詠姉妹って感じに設定してあります。

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