ポケットモンスターXY 道中記   作:鐘ノ音

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お休みの間に

リーグの施設に不具合が多々あり、テレビのロケや収録もしばらくはないので一週間の休みを貰っていた。

 

「紫ん家に突撃して気を殺して添い寝した結果がこれだよ」

 

ツカサの頬に綺麗な紅葉が出来ており濡らしたタオルを当てて冷やしていた。

 

「私は紫様を起こすよう頼んだだけですので」

 

「ビックリしたの!!」

 

「あんな甘えた声で胸元に擦り寄って来たのに目を覚ましたらこれだよ。鍛えてなかったら首取れてたね」

 

散々甘い声を出して抱きついたり胸元に顔をすり寄せたりしていたが意識が覚醒して状況を認識、とりあえずツカサを立たせて自分も起き上がり深呼吸してからの全力でビンタをお見舞いしたらしい。

 

「私の胸をこう……た、楽しんだでしょ!」

 

「ハッ!」

 

「ツカサに鼻で嗤われてますよ紫様」

 

「むーかーつーくー!」

 

「セクシー系は似合わないからやめようね、永琳とか藍辺りがセクシー担当だし。紫は乙女可愛い担当でいいじゃない妖怪だもの。ツカサ」

 

永琳や輝夜の件で月のお姫様達と一悶着あったりもしたが今は何とか丸く治っている。

 

「そう言われると照れてしまうな」

 

「幽香は紫と同じ乙女可愛い系で」

 

「遊びに行って帰って来たら両頬に立派な紅葉が出来て腫れてたわね。何でも手と手が触れ合ったら何故か往復ビンタされたとか」

 

「乙女すぎるからね。幽香と恋仲になって最終的に子作りまで行くのに百年単位必要になると思うから相手が人間じゃ無理だろうね」

 

「こ、子作り……」

 

「分かりやすく言うなら愛のあるセッ」

 

「言わなくても分かるから!」

 

「ワイルドに言うなら交」

 

「わーっ!!」

 

「ほらツカサも紫様で遊んでないで箸とかを運んでくれ」

 

割烹着を付けた藍が遊ばれている紫に助け船を出し、ツカサの腕を掴むとそのまま連れ出して行った。

 

「……あの二人は本当怪しいのよね。藍が物凄く調子が良くてツヤツヤして機嫌が良い日はツカサが泊まった次の日だし」

 

朝食を待ちながら絶対怪しいとブツブツ呟いている。

 

………

……

 

朝食を食べしばらくダラダラ過ごし、最終日に戻るからと藍にだけ告げて人里にあるお気に入りの茶屋が開く時間に向かっていた。

 

「……」

 

山のように積まれた団子を食べながらのんびりしており、時折顔見知りが通ると片手を上げて挨拶をしている。

 

「……そういやロゼに変身して暴れてから天狗達が凄い敬語になってたな」

 

禍々しいオーラに丁寧な口調で傲慢な態度がブラックのようになり始めており、使う技も頭に浮かんでくる物を次々に使用して気の剣や大鎌まで扱うようになっている。

 

とある吹けば消えそうな残留思念のような物に取り憑かれているが乗っ取りは出来ず、ロゼの時だけ強く脳内に現れるお助けキャラだと思われていた。

 

「当たり前ですよ、なんなんですかあの禍禍しい神の力」

 

「ロゼ」

 

「それは知ってますよ!」

 

降りて来た文に一言だけで応えて団子をパクついている。

 

「しかし文は本当なんで俺が来たの分かるの? 気を探ったとか?」

 

「ツカサさんを見かけた天狗が騒いでいたんですよ」

 

「あぁ、里に来る途中ですれ違ったっけ」

 

「それを聞いて急いで来たんですよ。私がご機嫌伺い担当にされてますし」

 

「ほーん……」

 

全然減らない団子を話しながらも食べ続けており、正直話がほとんど頭に入っていなかった。

 

「今回は厄神の彼女と腕を組んで歩いていた件についてなんですけど」

 

「雛さんはブルーになった時の神気で厄が浄化されて俺には影響がないから好きに触れ合える、俺はブルーの持続時間を延ばす修行にもなるし綺麗なお姉さんに膝枕や果物をあーんってしてもらえる。これがWIN-WINの関係だね」

 

「本当好き放題やってますよね。この前聞いた別の世界のツカサさんもかなりの変人みたいですし」

 

「もし迷い込んで来ても嫁さんと一緒にさせて隔離しとけば安全だから。あの俺はブロリーみたいな変身するんだよなぁ……もっと守る力が欲しいって言うから嫁さんが殺されるのをイメージしてみろって変身させたら薄緑色の髪に白眼ですげぇ筋肉膨張、直後にフルパワーで暴走し始めてマジで殺されるかと思った」

 

悟空やベジータ、ブロリーが急激に膨らんだ気に気づいて駆けつけなければ嬲り殺しにされていた模様。

 

超化のトリガーを玉藻にしたのが悪い方に転がってしまったらしい。

 

「それは周知させます」

 

「とりあえずお似合いの夫婦ですねーとか言っとけば何とかなるから」

 

「あぁ、そういう感じの」

 

「自分達に有益な存在と嫁さん以外は石ころみたいなもんって考えてるから本当ヤバいからね。同一存在の俺すら益がないと石ころだと思ってそうだし」

 

「えぇ……」

 

「……」

 

とりあえずこの話題はここまででいいかなと再び団子を食べ始め、文はメモしながらウンウン唸っていた。

 

団子を食べるよう手で勧めてお茶を飲み、お茶のおかわりついでに文の分も頼んでいる。

 

「あぁ、こっちは平和でいいなぁ……」

 

「外の世界より命の危機が多々あるはずなんですけど」

 

「まぁ、最近の永遠亭は少し怖いけど」

 

「あー……確か輝夜さんがツカサさんのお味噌汁に血を少しずつ混ぜていたり、野菜炒めに自身の肉を入れたりしていた事件の件ですね」

 

「どっちも気づいた永琳にすげぇ腹パンくらって吐いてるからね。後者に関しては食べてたら目の前で頬杖ついてニコニコしてた輝夜の口の端からツーって血が流れ出て更に服の腹の辺りが血に染まり出してね……俺に自分の一部が食べられる事に興奮を覚えるって言われた時は本当逃げ出したかった」

 

「聞かされた私もちょっと怖かったですよ。人を食べて興奮するのは分かりますけど、食べられて興奮するのはちょっと……」

 

「うちにいるメイド仕様座敷童子に愚痴ってみたらおやつ食べながらドン引きしてたよ」

 

「今物凄く気になる言葉が出て来たんですけど」

 

「三十路間近の他地方の某チャンピオンが制服着て起こしに来る方のが凄いと思う」

 

「うわぁ……」

 

「そのまま一緒に出掛けたせいで俺は制服好きのレッテルを貼られてる。てかメイド服と制服好きと太もも好きとおっぱい好きとロリコンのレッテルを貼られてる」

 

「大体事実ですよね。よく私の太ももとか見てますし」

 

「膝枕してもらえそうな相手を見極めてるだけだから」

 

「この前は湖の畔で妖精に膝枕してもらってましたよね。母性に目覚めたのか膝枕で眠るツカサさんの頭を撫でている妖精の絵面が本当酷かったですけど」

 

「あれから大ちゃんと遭遇する度にニコニコしながら無言で座って膝をぽんぽんしてくるの」

 

遠慮しようとすると悲しそうな顔をするので断れず、いつも膝枕をしてもらっている。

 

「その後あの門番にも膝枕されてましたよね」

 

「まぁ、スカーレット姉妹以外とはそういう関係でもあるから……」

 

「あー……」

 

「まぁ、この話はここまでに……」

 

団子を咥えて話すのをやめ、鳥の鳴き声を聞きながら何か言いたげな文をスルーしていた。

 

「……あ、もこたんだ」

 

「そんな呼び方すると燃やされますよ」

 

「俺からもこたんって呼ばれてるって輝夜をめちゃくちゃ煽ってたから大丈夫。あの二人互いにマウント取り合ってから殺し合い始めるんだよねー」

 

もう慣れたらしく輝夜の生首やら妹紅の腕やら飛び散ったりしたのを回収したり、燃え広がりそうなのは消火したりと淡々と処理していた。

 

「長く生きていると変化を求めたくなりますからね。私も新聞の書き方を変えてみたりしていますし」

 

「一番怖いのが相討ちで半分になった二人がこっちに這ってくる事なんだよなぁ。乙女の中身(ガチ)をこんなに見てるのは俺だけだと思う。臓物が溢れて血やら匂いやら光景やらが凄い酷いし……まともに見えて狂ってるって感じがする」

 

「そんな事を淡々と話しながら団子を食べる姿にドン引きですけど」

 

「だって俺が他に話せる事って言ったらこれくらいだし……」

 

そう呟きツカサが手を宙に向けて差し出すとパッとどこからか剣のような鍵が現れ、文が口を開けてポカンとしている間にそれを消して見せていた。

 

「……は?」

 

「迷い込んだ世界で知り合った人から継承のなんたらをしようって言われて、よくわからないまま付き合ったら使えるようになっちゃったんだよね」

 

「いやいやいやいや! 何ですか今の! さっきまでのクッソ生々しくて怖い話よりそっちのがいいですよ!」

 

「お前切実な俺の悩みを……腹掻っ捌いて自分の子宮とか中身を全部見てもらいたいとか言い出して実行した猟奇系女子になっちゃった輝夜に対する話をだな」

 

「もうそれはいいですから!」

 

「毎回おっぱいかパンツ見せてもらう方が嬉しいからって言わされる身にもなって。掻っ捌いた後の処理が大変だからって永琳達に言わされるの」

 

「もしかしなくてもさっきのアレを誤魔化そうとしてますよね?」

 

「だって最初から話すの面倒臭いし……光と闇の話とか聞きたいの? 心とかの話にもなっていったりするけど」

 

一応旅をしたりグミシップにハマったりと色々楽しんでもいたが。

 

 

「うーん、それなら今度私の家に来てもらった時の寝物語でいいわ」

 

「いきなりプライベートモードに変わるのね」

 

「もういいかなーって」

 

「文はあれだもんね、俺と仲良いからって下っ端天狗達が俺を襲った事への謝罪やら何やらで人身御供にされたんだよね」

 

「死を覚悟して訪ねたのよねー……まぁ、今じゃマウントってやつをはたてとかに取れるからいいんだけど」

 

「お腹摩りながら慈愛の笑みを浮かべて自宅に帰ったらしいけど、天狗大喪女軍団が発狂してたって紫が教えてくれたっけ」

 

「次は私が行きますーってのが多いけど、最初に私だけを人身御供にするって決めちゃったから出来ないのよねー」

 

「そういや何か男の天狗達から俺が神って崇められるようになったのはなんで?」

 

「兎に角男なら片っ端から手を出そうとする私より遥かに上の者を乙女にしたからじゃない?」

 

「あの胸元バーン、太ももドーンでおへそ出してたセクシー系ビッチな天狗の女性かぁ……見た目若いから俺は全然平気だけどみんな目を背けてたってことはアレなんでしょ、人間でいうお婆ちゃんがそういう格好をしてる的な」

 

「今はツカサ以外には肌を見せない宣言をしてキッチリと服を着ているし、男達にも余程の事がなければ近寄らなくなってるわね。大体その日から男達はツカサを女の趣味は悪いけど凄い神だと崇めるようになっていったみたい」

 

「ただ話を聞いてカウンセリングの真似事をしただけなのに重くない? 軽く手を握ったりはしたけど他には何もなかったよ?」

 

「まぁ、乙女だから……」

 

「てか別に俺にも肌を見せなくてもいいと思う」

 

………

……

 

文と別れ土産の団子を包んでもらい、そのままのんびり里をフラフラしながらここ数週間を振り返り始めた。

 

「時の界王神様の呼び出しがいきなりあったりして辛い……時の流れが違うのが唯一の救い」

 

外部協力者でゼノバ2主人公的な立ち位置らしく、違う世界のフリーザが大悪党な事にショックを受けたりしている。

 

何を間違えたのか時の界王神に口説き落とされ、事あるごとに呼び出されては料理をお見舞いされてそれを食べ切り倒れては看病されていた。

 

「マミちゃん達の執念めっちゃ怖かったなぁ……異世界への歪みを塞ごうとしたらリボンが飛び出て来て腕に巻きついて引き込もうとしてくるとか近寄れない。精神安定の為に色々やって最後は若干寝取った感あったさやかとほむらちゃんの魔力も感じたんだよなぁ」

 

あまりよろしくない世界に続く歪みを鍵穴に見立てて閉めていく最中に起きたアクシデントだったらしく、危うく引き摺り込まれそうになったがギリギリで鍵を閉めてリボンを切っていた。

 

何故かそのまま残ってしまったリボンは回収し捨てるのも怖いからかしまってあるが、それは位置を特定する為の物の可能性が高い。

 

「とりあえずこれから輝夜のとこに行って……」

 

人差し指と中指を合わせて額に当て、一番安全な鈴仙の気を探り始めていた。

 

悟空に憧れて真似をしていたら普段の目を瞑るだけよりも探りやすいのに気付いて癖になっている。

 

 

 

「何で着替え中に来ないの!」

 

「着替え終わった最高のタイミングで来れたと思ったらプンスカし始めて困惑するんですけど?」

 

ちょうど髪をファサァっとやって鏡に微笑みを浮かべた瞬間に背後に出たらしく、久しぶりーと声を掛けたらこれである。

 

「立ち位置的に私はそういう役目でしょ!」

 

「お願いだから出会った頃の甘酸っぱい感じのやり取りが出来る鈴仙に戻って……」

 

「みんな成長していくものなの」

 

「確かに俺も毎日成長してるけどさぁ……兆しのまま持続時間が伸びてモヤモヤしてるけど」

 

「その素敵な筋肉のツカサに好き勝手されたいの!」

 

「来たばかりで即夜這いに来て朝までハッスルした鈴谷の台詞みたい。金剛が正妻の貫禄で新人に夜這いの許可を出した日の晩に来たもんなぁ……こんな所で思い出すと思わなかった」

 

あわよくば正妻の立場を奪おうと金剛がいない時はずっと側にいる大和や加賀等の素敵な仲間達がいっぱいいる世界のお話。

 

「師匠みたいに穏やかな午後、風で竹の揺れる音を聞きながら縁側で二人肩寄せあってお茶を飲むだけは嫌なの!」

 

「何かあの世界で再会して妙にはっちゃけてた胡蝶姉も思い出すなぁ……俺と関わると美人はがっかりになるのか、はたまた最初からがっかりな美人に出会しているだけなのか」

 

本来隠れていたがっかりな部分を引き出しているからどちらも正解。

 

「うー、このまま色々したいけど師匠に材料採取を頼まれてるから……」

 

「俺もそろそろ……」

 

「やっぱり居たわね。さぁ、まずは問診からよ」

 

鈴仙が渋っているとスパーン!と襖が開き永琳が現れ、そのままツカサの腕を掴むと引き寄せてグイグイと診察室へと連行して行った。

 

「……早く帰って来なきゃ!」

 

見送ってから籠を手にダッ!と走って行った。

 

………

……

 

検査を終えて縁側に腰掛けてお茶を飲み、寄って来たピィを膝に乗せてまったりしていた。

 

「……」

 

「よいしょっと」

 

スススっと忍び寄って来た輝夜がピィを持ち上げそのまま自分がツカサの膝に座り、ピィを自分の膝に乗せている。

 

「普通にしてればなぁ……」

 

「ふふん」

 

「もう腹を掻っ捌くのはやめてね」

 

「ツカサがどうしても私と同じになりたいって言ってきたらやるわよ」

 

「それはない。それより今日は泊まって行くつもりだけどいい?」

 

「ツカサはファミリーみたいなものだし私から許可貰わなくてもいいの。妹紅はツカサとお友達だけど私はツカサとファミリーだから」

 

またくだらない事で殺し合いが行われたらしく、最終的にマウントの取り合いで輝夜に軍配が上がったらしい。

 

「てかそこそこ仲良くなってるよね、妹紅が俺の生放送の内容知ってたりするし」

 

「10分の1でハズレ枠の騎士GEAR凰牙の電池なし取得して崩れ落ちたのは笑わせてもらったわ。永琳は抱きしめて慰めてあげたいってキュンキュン来てたみたいだけど」

 

「もうガチャは信じない。ハズレなし!とか絶対嘘」

 

「とりあえず紫を介して手に入れた新しいグッズにサインしてね」

 

「いいよ。でもあの誰が許可したか分からない俺の写真がプリントされた男女両方の謎パンツがめっちゃ売れて売り切れてるのが本当怖い……」

 

「なかなかいい付け心地だしツカサに守られてる感があっていいのよ」

 

「マジかよ……ウォズは何か三桁単位で買い込んだってドヤってたけど」

 

「あのツカサマニアの祝う人?」

 

「そうだよ、多分俺検定とかやったら殿堂入りするレベル。超サイヤ人の俺フィギュアをフルスクラッチビルドしたとか割とドン引きしてる」

 

「アリスみたいじゃない」

 

「何個か作ってあるからって貰ったやつをアリスが訪ねて来た時に見せたら興奮してたっけ。SDな俺人形を作るってしばらく来てないけど」

 

「これ見よがしに人里の人形劇で使ってるみたいよ」

 

「ボロボロになった胴着とインナー持ってったからミニサイズの胴着とインナー作ったんだろうね。洗濯してないから新品渡そうとしたのに頑なに勿体無いからこれでいいって言ってたし」

 

「そういえば一回ボロボロの死にかけで宴会中にスキマから落ちて来たわよね」

 

「ビルス様が実際に見てみたいとか言いだしてフュージョンしたゴジータさんの相手をしてたからね! ブルーで潜在能力フル解放とかいう、どうやったのか今でも分からない状態でもギリ死なない威力のかめはめ波を放ってくるから本当もう……」

 

死に物狂いで身勝手の極意ではない奇妙な形態になったが勝てる訳も防げる訳もなく、これは消し飛ぶかなぁと諦めが入った瞬間にスキマに飲まれたらしい。

 

「全治にどれくらいかかるか分からないって永琳が言って皆どよめいてたわ。そのまま瞬間移動ですぐ帰って行っちゃって、翌日完治した状態で二日目の宴会に来た時は流石に驚いたけど」

 

「メディカルポッドじゃダメで仙豆食べて治ったから。いやぁ、マジでトラウマになるわ合体戦士」

 

尚ツカサは悟飯とフュージョンするとグレートサイヤマンネオ、ポタラを使うとネオグレートサイヤマンと名乗ってしまう模様。

 

「仙豆、永琳がサンプルに欲しいって言ってたわね」

 

「もう少し増えたらね。いざって時の為に貯蓄しておきたいから……てかこの前パラレルな俺に何個か渡しちゃったからなぁ」

 

「自分に会うってどんな感じなの?」

 

「ありえた可能性の自分なんだなぁって感じ。ただ初対面で嫁さんから聞かされた惚気兼依存計画はちょっと怖かった。幼い頃は母として、成長したら姉として、年頃になれば彼女として、自立してからは妻として隣に立ってるって」

 

「割とヤバい人じゃないのそれ」

 

「神様に近い狐の女性だから仕方ないね」

 

「何というか……濃いわね」

 

「幻想郷の面々も負けないくらい濃いけどね。俺が霞むレベル」

 

「濃い……よくよく考えたら私は月から来た宇宙人」

 

「そうだね」

 

「ツカサはご先祖様が宇宙人」

 

「うん」

 

「という事は……ツカサと私は夫婦」

 

「それが成り立つなら俺と永琳と鈴仙とも夫婦になると思うんですけど」

 

「ツカサならいけるいける。あのナデシコ編でやらかしてルリルリルート一直線だったツカサさんなら!」

 

「おいやめろ」

 

「対等だけど妹のように接していたら向こうからはクソ重感情を向けられてて、最速攻略で序盤から詰んでる状態になっててコメント草まみれだったわ。エヴァ編の参号機バルディエル乗っ取られからのエヴァ三体によるタコ殴り、エントリープラグ引き抜きTAも凄かったけど」

 

「嫌がらせなのかシンクロ率クッソ高くてあかん死ぬぅ!ってなったんだよなぁ……」

 

「シリアスなシーンのはずなのにコメントで遊び始めたせいで完全にギャグだったわ。三人に勝てるわけないだろ!から始まって」

 

「俺が苦しんでる時にホモ遊びされてたんだなって」

 

ちなみに既にイベントだと思ってウォズやゲイツ、ツクヨミ役の人達と散々楽しんだジオウの撮影は終わっている。

 

追加イベントだと勘違いしている映画版のゼロワンが今年の新ライダーだと思っており楽しみに待っているが、初回放映で自分が散々やらかしたジオウが始まってパニックになる模様。

 

「最終的な相関図で老若男女問わず依存、愛してる、大好き、監禁したいの矢印だらけになってて無言になってそっと牧場に帰ったのも面白かったわ」

 

「輝夜もやらない? 機器なら有り余ってる金使ってプレゼントするし、やたら高性能でどうやってんのか知らないけど機器だけでオンライン出来るし」

 

「いいの? 本当? 好き! 抱いて!」

 

「輝夜と永琳は月のお姫様達的にクッソ面倒な事になるから抱くのはちょっと……」

 

「なんでYO!」

 

「クッソ陰湿な粘着してきそうなんだもんあの二人」

 

「まぁ、力じゃ勝てないから仕方ないわね」

 

「神を降ろすの凄いけど何か見てると頭に反逆しろって叫びが木霊するというか」

 

前世的なアレが主観で見ていた夢の屋根裏のゴミ的なサムシングなのかもしれない。

 

尚夢だし別にいいだろうと流されるままに全員と恋仲になりバレンタインでえらい目に遭った模様。

 

「あの時は何か急に頭抑えてたものね」

 

「多分その内嫌でも覚醒しそう。世界を渡ったり主観で夢を見たりする度に何か色々蓄積されていくんだよなぁ……死ぬほど怖かったのはライドウに誤解から狙われた事とダンテに誤解から狙われた事。何とか誤解と分かってもらえたと思ったら済し崩しで協力する事になるしで」

 

「一回大冒険を本にしてみない? 絶対面白いと思うんだけど」

 

「面倒臭い。てかみんな言うけどそんな面白くないと思うんだよなぁ……FIMBAとImaの世界は育成ゲームにしたら面白いかもしれないけど」

 

どちらの大陸でもあらゆる種族を蘇らせ全種族で四大大会制覇の名誉名人になっている。

 

現在は助手としての資格も当然手に入れてホリィとコルトをメインブリーダーにしながら自分は助手として働いている。

 

「何か育てたりするの本当好きよねツカサって」

 

「何かそのせいで大変な事になったけどね。育てた魔王達にすげぇ崇拝されて、頼んでもいないのに侵略しに行った異世界で後一歩まで行ったけどみんな倒されて帰って来たり」

 

またやらかしたら困ると魔王達を止める時の為にグランエスターク、ダークドレアムを配合で産み出して抑止に使っている。

 

「ツカサが完全に黒幕じゃないの。『ツカサ様、お許しを……グフッ』とか言って倒されてるわよ絶対」

 

「やだこわい…やめてください…アイアンマン……。胡蝶姉の世界で守護霊一時的にバトンタッチ、目的を達したらそのまま俺の守護霊になるっていう霊的なアレもあったなぁ。守護霊少女とシェアする形で守護霊になってて日頃は自由にしてもらってるけど」

 

「日記帳プレゼントするから毎日何かあったか書いてどうぞ」

 

「日記ならいいかな。ちなみにとある世界でこっそり見て学んだ憑依で目的達成したんだよね。縁壱に提案してみたら二つ返事だったし、何よりめっちゃ相性良かったから全盛期以上の力を出せたっぽいし」

 

ヤベー奴にヤベー霊がスーパーベストマッチ、知らぬ間にとんでもない最終兵器が爆誕していた。

 

「嫌な予感しかしないからこっちじゃそれやらないでね」

 

「縁壱は連れて来てないから大丈夫。最近こっちの食にも興味を抱き始めて、羽入のシュークリーム愛に感化され始めてるんだよなぁ……俺の大好きな桜餅も好きになってくれたから一緒にカントーとジョウトで色んな和菓子屋巡りしてるけど」

 

皆の分とは別に二個ずつ購入し自分が食べてから縁壱に身体を貸して食べてもらうという、側から見たら気が狂ったようにしか見えない事をリビングで行っている。

 

「なんていうか似た者同士?」

 

「仲良しではあるけど似てはいないと思う。今度妖夢と曾祖母……さくらさんと手合わせする時には縁壱も連れて行くけど」

 

覇気を使い呼吸を駆使し気を操り超化して襲い掛かってくる悪夢のような存在になっていた。

 

「何かツカサが自分の力が封じられた時用に外付けの最強装備を手に入れた感じがするわね……」

 

「外付け最強……あ、鈴仙の気が近づいてきてる」

 

………

……

 

初日はそのまま永遠亭で過ごし……

 

「いーやー!」

 

「離せって!」

 

翌朝紅魔館に向かおうとするツカサに輝夜が背後から抱きつき手足を絡ませ行かせまいと駄々を捏ねていた。

 

「残りもうちで過ごせばいいじゃない! 私がいるじゃない! イナバの胸でも尻でも好きに触っていいから!」

 

「何で雷みたいな事言い出してんだよ! 鈴仙が凄いバッチコイみたいな顔してにじり寄って来てるから離せ!」

 

「いーやー!!」

 

 

午後になりてゐの力を借りてようやく脱出し、人里で手土産に団子を購入してから紅魔館へと向かった。

 

門番をしていた美鈴にいつものように差し入れをし、そのまま中には入らず会話をして過ごしている。

 

「それで今日は泊まっていくんですか?」

 

「出来るなら何泊かしたいけど……多分明日の昼くらいにはお空ちゃんに拐われて地底だと思うから」

 

「毎回のお約束ですね」

 

「途中鬼の宴会の真ん中に落とされるのもね。みんな分かってるから空けてるし、そのまま引き止めるのに綺麗所集めて囲ってくるしで。成人したらいくらでも付き合うからって酒は勘弁してもらってるけど」

 

「普通の人間でしたら垂れ流して気絶するくらい恐ろしい状態だと思いますけど」

 

「もう俺は普通じゃないんだなって。あっ……俺もファンタジー的なキーチェーンが欲しかったなぁ」

 

博麗大結界という文字のキーチェーンをいつの間にか手にしながら呟いていた。

 

キーブレードのキーチェーンも悪鬼滅殺、魔戒騎士、魔砲少女、戦姫絶唱、艦隊提督、円環の理等の今まで迷い込んだ世界に関する文字系であり、道中で知り合った少年は全く別路線のキーチェーンで羨ましく思っていたりする。

 

「ツカサ自体が既にファンタジーみたいな存在だからいいんじゃないですか?」

 

「俺にファンタジー要素は一個もないと思う」

 

「世界を彷徨う者とかファンタジーじゃない」

 

日光を遮る日傘を持ち優雅に現れたレミリアだが慌てて出て来たのか口元に涎の跡が残っている。

 

「俺だからいいだろうって判断だろうなぁ……」

 

「何?」

 

「お嬢様、口元に涎の跡が……」

 

「ふっ、その手の引っ掛けは咲夜の常套手段だから引っかからないわ!」

 

「はいはい」

 

ドヤっているレミリアに近づくとポケモンにも使えるウェットティッシュを取り出し、優しく涎の跡を拭い始めていた。

 

「む……」

 

「フランちゃんはよく口の周りを血だらけにするし、こっち来る時は多めに持ってるからレミリアは気にしなくていいよ」

 

「……え、待って。私はもう何ヶ月も吸ってないんだけど?」

 

「直に吸うのらレディに相応しくないとか言ってたし、それからはちゃんと咲夜に血を入れた小瓶渡してるけど」

 

「たまーに出してもらえるやつかしら……」

 

「ほら行くぞー。美鈴はまた後で」

 

拭いたウェットティッシュを適当にポケットに突っ込み、レミリアに日傘をしっかり持たせてから抱き上げてそのまま館の中に入っていった。

 

………

……

 

「……って感じの休みを満喫してたよ。俺VS幽香VSダークライ的な感じになって、俺達のぶつかり合いから逃げ惑ってた臆病なダークライを流れで捕まえたり」

 

新たに撮影もしやすいキッチンが臨時で増設されたチャンピオンルームで駄菓子を広げながら仲良し三人組は休みの間の話をしていた。

 

「サラッと幻のポケモン捕まえてても驚かなくなったよ。さっき画像見せてもらったけど黒髪の輝夜さんは本当美人だね、懸想されてるの全く羨ましくないけど」

 

「我が魔王、夏の長期休暇は三人でアローラに行こう。私はマラサダという物を腹一杯食べてみたいんだ」

 

「それなら僕は島を色々見て回ったりしたいかな」

 

「オッケー、今からめっちゃ楽しみなんですけど。どうする一ヶ月くらい行く? 金なら死ぬ程あるから別荘的なの買えば長期滞在も余裕だと思うし」

 

「一ヶ月バカンスを楽しめるのは良さそうだ。ツカサのお陰でリーグの資金は潤沢、騙し騙し整備してた部分含めて夏に二ヶ月くらいかけて大改修工事する事が決まったからね」

 

「俺も手伝ってたけど割と酷かったもんなぁ……良く言えば歴史ある建造物、悪く言えばボロ建物だし。フーパと二人で崩れた壁を修復した日なんて俺チャンピオンだよね?ってなったし」

 

高い場所を飛んで直したり、掃除をしたりとかなり便利に使われている。

 

「ツカサの圧倒的な強さとポケモン愛に寄付金が一気に増えたから全面改修して、残せる場所も中身を最新にしたりする予定だよ」

 

「我が魔王と私達が撮影する部屋も増やす予定になっていると聞いたが」

 

「あの部屋でダラダラやりたいのに」

 

「ちなみに我が魔王がボックスから引いてしまったリクエスト企画の女装回が大好評で、第二弾をやってほしいと様々な方面から要望が出ているよ」

 

「メイドさんの服は好きだけど着たいわけじゃねーんだよ……」

 

「僕は寧ろあのメイドさん達に攫われて化粧や着替えを施される姿が面白すぎて笑いが止まらなかった」

 

「我が魔王と私達の声だけが聞こえてくるシュールな映像だが面白かったのか切り抜かれたり字幕を入れたりした動画が多々上がっていたね」

 

ひん剥かれた時の悲鳴やムダ毛の高速処理の為の雑なガムテープ剥がし、何故か流れで行われたすねギロチンのリアルな音等が想像を掻き立てたらしく再生数は多い。

 

「地味に痛いサイズの文鎮持って来た奴を絶対許さないよ。打撃は慣れてるけどあの絶妙なサイズが脛に当たる痛さはなんとも言えないんだから」

 

「遠目に見てて本当笑いが止まらなかったよ」

 

「笑い袋みたいにずっと笑ってたもんね。こっちは痛いし女装させられるしで酷い目に遭ってたのに」

 

「女装したままレトロゲームで遊び始めた姿は写真に収めてあるから商品化出来そうだよ。そうだ我が魔王。明日からのスケジュールはカントーの特番のゲストとして心霊スポットにアイドルと自称霊能力者と共に行く事になる」

 

完全に心霊系にはツカサみたいな扱いになり始めており、自称霊能力者がワチャワチャ言っている間にツカサの目線の先を映すと何かしら映ると引っ張りだこである。

 

「俺が居るだけで心霊現象多発するから引っ張りだこすぎて困っちゃう。三途の川に大勢連れて行くの割と大変だし」

 

「やたら帰りのロケバスが重いって話が有名だけどそれって……」

 

「その考えてる通りだよ。……あ、そうだ。今日帰りにどこか寄ってかない?」

 

「僕は構わないよ」

 

「私は最近出来た店の鯛焼きがいい」

 

「ウォズと買い食いした冷凍たい焼きは硬かったなぁ」

 

物珍しさに頼んだらカッチカチだったらしく、ガリガリ音を立てながら食べて二度と頼まないと決めていた。

 

「硬いので少し溶かしてから……と店主が言う前にガリガリ食べ始めて私は撮影、店主はドン引きしていた」

 

「ツカサ君は食に関しては我慢出来ないもんなぁ……駄菓子とか出してあればずっと食べてるから生放送で最初から最後まで何食べたかカウントされてたし」

 

「色んなメーカーから売り上げが伸びましたって感謝のお手紙来てたからセーフ」

 

「あのチョコのお菓子で金のピカチュウを引き当ててそっとしまったのにソワソワして挙動不審になった所は切り抜かれてたよ」

 

応募してピカチュウ缶を手に入れご満悦だったが、最近プレゼントでファンから沢山届き始めて困惑もしていたりする。

 

「早く応募したかったんです……」

 

生放送も上の空で集中力が完全になくなり、見ていたみんなに応募したいんだなと見抜かれた結果のピカチュウ缶ラッシュである。

 




チマチマ書いては消し書いては消しで一年が経ってました。
今年は何とか幾度か投稿したいと思っています。

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