やる事もなく相変わらず待機室でダラダラと過ごしていた。
歳の離れた友達になっている専属職員は動画の編集をしており、どこをカットするか悩みながら黙々と作業をしている。
「最近は色々落ち着いて来てよかった」
「生放送が話題になって世界中から注目されて、カントー以外からも出演オファー殺到してるんだけどね」
「調整してくれてありがとナス!」
「第三回はホラー要素にグロ要素あり要注意って事前に知らせておいてよかったね」
「旅行には二度と行かない」
「だろうね。全部終わってあの三人と別れるまでに『金髪ロリと仲良くなれても絶対これはやりたくない』『安定の全員信頼度好感度最大値は草』『当たり前だよなぁ』『お別れの時にハグしたクレア姉貴とレオン兄貴の野獣の眼光よ』『シェリーちゃんまた会えるよねとか本当可愛い』『あ、ちゃんと銃を返してる偉い』『代わりにってレオンが拾ってた邪剣・夜を渡されてて草』って」
「本当怖かったからね。レオンに付いて行きたかったのにクレアの方に分断されちゃったし」
頼りになる警官の男の方に付いて行きたかったらしいが飛び出した方が悪かったようで、クレアと行動を共にしていたらしい。
「ナイフと体術でタイラントからクレアを庇ったり、感染したシェリーが不安にならないように手を握って牧場での話をしていたよね」
「実はあれから何度かあの三人は牧場に遊びに来てるんだよね。イベントクリアのご褒美なのか牧場の生産物の質も上がってるし。持ち帰って来たグリーン、レッド、ブルーハーブの栽培もしてるし」
様々なイベントをクリアする事でツカサ牧場は最高評価を得て資金繰りもかなり楽になる。
ちゃんと区切ってハーブ栽培をしているらしく、繁殖力は凄まじいが制御可能で回復アイテムにもなるとやたら生身イベントの多いツカサは大喜びだった。
「念願のちゃんとしたガンダムも手に入ったしいいことだらけじゃないか」
「ダブルオーかぁ……マジで同調させて起動させるのにトランザムを使う事になるとは思わなかったよ。同調して起動はしたけど不安定だし」
割と高性能な量産機にも劣る出力しか出ておらず、ワンオフ機ではあるがオーライザーの開発も取得も不明な為ハズレ機体扱いをされている。
「迫真の『目覚めてくれダブルオー。ここには0ガンダムと、エクシアと、俺がいる!』で再現キター!コメントで溢れてたよ」
「なのに下手な量産機並なの」
「『廃課金の格上相手に技術だけで勝つとか変態すぎる』『調子に乗った視聴者の末路』『ビームサーベルでビームライフルを弾くとかアムロみたいな事を咄嗟にやってて引くわ』」
「何で引かれてるの? 折角がんばったのに……」
「あ、そういえば前に話してくれたもう一人のツカサ君はまだ度々奥さんと遊びに来てるの?」
「来てるよ。イチャつき具合が来る度に上がるしちょいウザいけど」
幼い頃には母として、大きくなれば姉として、年頃になれば恋人のように振る舞い、現在は妻として玉藻は不動の地位を築いていた。
「へー」
「向こうの俺は何か株やら何やらで死ぬまで遊んで暮らせるくらい稼いで隠遁してるって。露出強な奥さんさえいれば後は何もいらないって極まってるし、それ聞いて感動した奥さんとイチャつき始めるしで……」
分岐点はレッドやグリーンが旅立ち、一人きりになってから寂れた神社に遊びに行ったかどうか。
遊びに行ってしまった故にポケモンや留美穂と仲良くなる機会がなくなり、玉藻に依存レベルで懐いてそうなっている。
「最近は他にも色々あったんでしょう?」
「家の前に大量のポケモンの卵が放置されてたよ。慌てて回収して伝を頼りに調べたんだけど、どうやら資格ない自称ブリーダーが考えなしに卵を増やしてたみたい」
亞里亞の家の力をお借りして探り、自称ブリーダーを探し出して二度と出来ないようにポケモン関係の仕事にもトレーナーにもなれないようにしていた。
安易に生態系を乱す行為をした時点で重罪であり、そのまま警察にも突き出され完全に詰んでいる。
「毎年何人か出るけど、この世界で死ぬ程生き難くなる処置をされるのによくやるよ」
「色違いのポケモンを産まれさせたかったーって喚いてたよ。野生じゃ色違いは迫害されたり大変なのに」
「本当にね」
「それで卵を孵化させたらガラルのウールーが沢山産まれたよ。最後の子は他の子と違って顔が白くて毛が黒い子だったけど、俺がみんな平等に可愛がってるから仲良し」
数日は皆ボールの中で過ごし、今は元気にAZのログハウス周辺に集まって過ごすようになっている。
「本当色々起きてて毎日退屈しなさそうだね」
「普通に色々ありすぎて疲れるよ……」
小悪魔とイチャつくのを覗き見して限界を超えた咲夜が入れたアイスティーに一服盛られ、二人は幸せなキスをして終了な流れになったりと毎日何かしらやらかされたりやらかしたりしている。
「僕は普通で本当によかったよ」
「遊びにくれば体験出来るよ!」
「散々聞かされて素直に行くと思う?」
「いいよ! 来いよ! 家に駆けて家に!」
「絶対嫌だ。どう聞いても魔境じゃないか」
「めっちゃ煽ってくる奴もいるけど楽しいよ!」
キュウべぇは相変わらずネット三昧で日々煽っては吊るされている。
「ますます行きたくないよ」
「最近他所の宇宙から遊びに来る人達もいるからさ」
あれからそこそこ連絡を取っているキャベやカリフラ、ケールが急に訪ねて来て驚いたり。
力の大会以降何度か参加宇宙の代表と破壊神と天使達による会合が頻繁に行われており、丁度いいとツカサは毎回強制的に参加させられている。
闘いながら恐ろしい速度で成長していくのを皆が感じていたらしく、皆に絡まれたりしながらも和やかに会合は終わっていた。
偶々作っていて持って来ていたプリンのおかわり争奪戦が破壊神間で起きたり、二回目にまさかの全王様も参加で皆がド緊張したりと毎回何かしら起きる事に頭を抱えている。
「ちょっと興味は惹かれるけど嫌だ」
「だよなぁ……この前はパンケーキ作って食べようとしたら全王様が座って待っていて一瞬意識が飛んだし」
成長具合や敵の敵を味方にする闘い方が面白かったらしく気に入られ、偶々悟空に会うついでに会いに来たらしい。
ツカサのパンケーキを大変気に入り、以後悟空に会う前に食べに来るのが定番になる事をツカサは知らない。
「全王様……?」
「まぁ、とりあえず一時的に全宇宙一やべー家になったくらいだから」
「本当普段何やってるの?」
「レポート書いて、ドクターの技術を磨いて、ポケモン達のケアと世話をして、トレーニングしてる」
異世界に迷い込むのはボーナスタイムだと割り切り、最近ではとある世界で海軍の下っ端として雑用に励みながら技術を我が物としていた。
事務の手伝いで処理能力の高さで現場から引き抜かれ、普段より早く終わると覇気やら六式やらの話を聞かされ期待の新人下っ端をいっちょ揉んでやると手解きも受けて順風満帆だった。
「レポート……あ、今度は博士にでもなるの?」
「ならないしそう簡単になれるもんじゃないよ。レポートの中身を盗むのにハニートラップも多いってオーキド博士が溜め息吐きながら言ってたし」
「おっぱい見えそうなくらい露出過多な女性より道端でひっくり返ってるヤドンに夢中だったよね? ハニートラップ効かないんじゃない?」
「ヤドンのお腹は柔らかくて最高なんだよなぁ……ちなみにその女性割としつこくて週一で出会うよ」
「引っ込みつかなくなってるからだろうね。今までならコロッといってたのにツカサ君は対応普通だし、たまにおっぱいジーッと見てるけどそれだけだし」
「露骨に腕組んで強調して見ろよ見ろよされたら見るでしょ」
「まぁ、確かに……」
「それに俺は堂々とおっぱい大好きって公言してるから」
「完璧な人間扱いは嫌だって愚痴りながらおっぱい大好きって生放送でぶちまけたもんね。おっぱいとポケモンはどっちが好きかって質問に、即ポケモンって答えて知ってたってコメントで埋め尽くされたけど」
「ヤドンのお腹はきっとおっぱいより触り心地いいと思う」
「まぁ、ツカサ君のヤドンは全身モチモチしてて最高だけどさ」
「でしょ。でも何か事あるごとに尻尾を差し出そうとしてくるのはやめてもらいたいんだよなぁ」
ヤドン的には尻尾は再生出来るし、大好きなツカサに自分の尻尾を美味しく食べてもらいたいと思っている。
「本当ポケモンの常識とか色々覆すよね。ブラッシング終わったエンテイとじゃれあってお腹わしゃわしゃしてたり、いきなりラティアスに連れ去られたり」
「連れ去られてる途中でラティオスが来て、ビックリしたラティアスが止まったせいでそのまま異世界行きよ。しばらく歩いてたらヒンヤリし始めて、死にかけてる女の人と何かなんとかの鬼?とかいう変な男の人がいたし……何でいきなり命を狙われたのかも分からんし」
夢の中だと思っている世界の悟飯に習ったバリアで凌いで撃退してから女性に仙豆を与え、軽く雑談をしてからまだ帰れるなとそのままカロスに帰還するフットワークの軽さ。
「僕以外が話を聞いていたら情報量が多すぎて目眩を起こすよ」
「最近ようやくわたぼう達から余った仙豆三粒だけ分けて貰えたのに早速一個使っちゃってさぁ」
シラヌイ、わたぼう、メジェド様達による栽培が行われており、今は甕に貯めている最中で貯まり次第ツカサに渡すつもりらしい。
まずはお試しにと三つだけ渡されており、早速人助けに一個使ってしまっていた。
「世界は不思議でいっぱい」
「本当だよね」
「一番不思議な存在が何か言ってる」
………
……
…
「眼鏡に亞里亞パパから戴いたオーダーメイドのスーツ……」
普段の気さくな近所の兄ちゃんスタイルやジャージスタイルから一転、授業参観に参加する為のスーツ姿で割と似合っていて違和感はなかった。
「やだキュンとしちゃう……」
「やだボクもキュンキュンして女の子になっちゃう」
「ピカァ……」
セレナ、キュウべぇ、ピカ子が着替えた姿を見ており、普段とのギャップもありそこそこ破壊力があったらしい。
「調べたらめっちゃ高いのこれ。しかも何着か予備作ってあるからって気楽に言われて血の気引いたわ。やっぱ庶民とお金持ちの意識の差って凄いんだな」
「お嬢様が集まる学校みたいだしそれくらいがいいのよ」
「ツカサ、本当にですわとかですのとか言うか調べてきてよ。金髪縦ロールで高飛車なお嬢様とかも」
「いないでしょそんなの。てか初等部で居たら引くわ」
「フラグかな?」
「もしいたらキュウべぇが欲しがってた人をダメにするクッション買ってあげるよ」
「マジで!?」
「マジだけど……最近お前キャラブレてない?」
「ボクはあいつらとは違う一個体だからね! キャラとか関係ないよ!」
「いつかお前を元の世界に連れて行ってあげたい。で、ほむらちゃんの前に置き去りにしたい」
「死んじゃうでしょ!」
そのまま時間まで騒いでいると迎えが来て、必要な物だけを持って車で送ってもらっている。
学園に到着して車から降りると周りにはいかにもセレブな夫婦が多く居り、若干怯んだがまずは手続きを済ませないといけないので警備の人に声をかけていた。
「名前言ったらいきなり学園長室に案内されるとか。しかもケーキに紅茶まで出されちゃって……緊張してたのか手がブルブル震えてたな」
本当に来るとは思っていない超有名人の来訪に本気で慌てており、職員を集めて授業前に緊急職員会議が開かれていてツカサはのんびりしている。
「……金髪縦ロールでおほほな高笑い系の子がマジで居たのは笑うしかないわ」
案内されている時に高笑いが聞こえチラッと見て目があったがそのままスルー。
マジでいるのかよあんな典型的な高飛車お嬢様と思いながら今に到る。
「お待たせいたしました。白河様、すぐに教室までご案内いたします」
「ありがとうございます」
流石に男を一人では行かせないわなと思いながら立ち上がり、ド緊張して何故か案内してくれている学園長に話を振ったりしていた。
「まだお若いのに学園長なんて凄いですね」
「ありがとうございます。ですが白河様の方が凄いと思います」
「いえ、何というか……個性的な生徒さんが多いでしょうし」
「祖母や祖母の祖母の代からずっと我が学園は……個性的で社交界に出すには早く、出したら出したで大変な事になる御令嬢が多く集まるので」
「急激に帰りたくなってきた」
「あのチャンピオン達に好かれたツカサ様なら気に入られますよ」
「要するにあれですよね? 将来的にあのチャンピオンズレベルになりそうな御令嬢が沢山いるんですよね?」
「……こちらですよ」
「何でスルーなんです? 実はレイナちゃんみたいな子だけですとか……」
不安になりながら案内されていった。
とりあえず三ヶ月経ってないからセーフ。
パラレル夫妻は頻繁に来るからか部屋も用意されている模様。
定期的な全王様来訪とかいう胃に超ダメージを与える罰ゲーム的なアレ。
色違いの為に卵を量産するのは間違いなく生態系崩壊するから絶対重罪。
この前のセールでスプラトゥーン2を衝動買いしたけど積みゲー多すぎて遊べない。
全機種で計30以上積んでるし、買って満足しちゃうの本当なんとかしないとなぁ。
六月は九龍買うから間違いなくそればっか遊ぶだろうけど、何でリチャージじゃないんだ。