ポケットモンスターXY 道中記   作:鐘ノ音

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それから一ヶ月ちょいで

チャリティ大会から一ヶ月と少し、その間にも色々あり……

 

「何かもうこれからあの48分間以上の短くも濃い時間は過ごさない気がする」

 

「向こうのカプセルコーポレーションでお祝いパーティをしてもらって、帰って来たら強制的にパレードに参加させられて連日連夜のパーティにも参加するのが終わったと思ったら一ヶ月留守にするとか言い出して驚いたわよ。しかも地球っていうか宇宙守って来たとか冗談言いながら17号さんと帰って来るんだもの」

 

ガチで守ったようなものだが当時は信用されておらず、ハイハイとスルーされていた。

 

 

「悟空さんが休みになるなら修行だって……カリン塔を登らされて飲んだ超神水は一昼夜悶えたなぁ。あれはいっそ殺してくれって思った」

 

「普通の人が飲んだら苦しさで狂うって聞いたわ」

 

「本当あれは気が狂うと思うくらい苦しかった。その後は神様の宮殿でご飯食べさせてもらって……精神と時の部屋で悟空さんと一年、ベジータさんと一年修行をしたよ。一日が一年とか凄いよね、みんなと二年弱ぶりに会ってるから懐しさとかが凄い」

 

修行の合間にしっかりとドクターやブリーダーの技術を磨くのも忘れておらず、様々な面で超強化された状態で帰って来ている。

 

「うわぁ……」

 

「その後は悟飯さんと悟空さんに連れられてお爺ちゃんの界王神様に会って、25時間変な儀式を受けさせられて……みんなが俺をどうしたいのか分からなくて困る」

 

何かあった時の為に強い奴は多い方がいいとあちらの面々は合意したらしく、全部やったらどうなるかも同時に試されていた。

 

「筋肉更について着られない服が増えたから沢山新調したわよね。着れない服はグラジオ君が兄さんの服なら欲しいって言って嬉々として持って帰ってたけど」

 

「弟分で可愛いけど、オカリンのせいでグラジオがあちら側に目覚めたのが本当もう……」

 

「闇の〜とか機関が〜とか可愛いわよね。何で怪我もしてないのに包帯右腕に巻いてるのかしら」

 

「それ絶対本人に言っちゃダメだからな」

 

黒歴史となってからツカサがグラジオをからかうのに使うらしく、最近はよく写真も撮って残していたりする。

 

「はいはい。それでその後はどうなったの? 勉強の追い込みで忙しくて聞き流しちゃったけど」

 

「参加させられた大会で複数人に囲まれて戦ってたらいきなり現れた女の子のサイヤ人に求婚されたり、キャベとライバルになったりしたよ。最後の最後に悟空さんとフリーザさんが多少でも回復するまでの時間稼ぎをしてボッコボコにされた」

 

「ツカサが強いのか弱いのか分からないけど、格上に抗う姿は素敵だと思う」

 

「ありがとう。でももうあの人とは二度と戦いたくないなぁ……一発入ったけど全然効いてなかったし、百倍くらいになって返ってきたし」

 

かなり強くなっているが上が強すぎて実感が湧かず、まだまだ強くならないといけないと日々鍛え続けている。

 

「うわぁ……そういえば後二ヶ月はカロスリーグ開催されないけど、その間はどうするの?」

 

「自由にしてていいって。だから少しだけ紫のとこに行ってくるよ」

 

「八雲さん? 私もいつかあんな素敵な大人の女性になりたいわ」

 

「セレナはそのままのがいいよ。だけど最近バストが大きくなったって言いながら見せようとしてくるのはやめてね」

 

………

……

 

すっかり使いこなせるようになった瞬間移動で紫に会いに行き、そのまま久々の幻想郷を見て回ろうとしていた。

 

「あ、そうだ。セレナが紫みたいな素敵な大人の女性になりたいとか血迷った事を言ってたから止めたよ」

 

「なんでよ!」

 

「いや、胡散臭いのよりも藍さんみたいなクールビューティのがいいと思って」

 

「ぐぬぬ……」

 

「じゃあいってきまーす」

 

「ああ、いってらっしゃい。紫様もいつまでも唸らないで」

 

 

 

二人に見送られながら幻想郷の空に飛び立ち……

 

「早苗ったら挨拶に来たツカサを見ていきなり脱ぎ出すんだもの」

 

「ツカサが機転を利かせて、そういう行為をするなら服を着てる方が脱がせる楽しみがあっていいって言ったらすぐ着たけどね」

 

「勧誘があるから帰るまで待っていてほしいって言って出て行ってしまいましたけど」

 

「ゆっくりしていってね!」

 

「まぁ、早苗との約束がありますからゆっくりしていきます」

 

そう答えて諏訪子に出されたお茶を警戒しながら飲んでいる。

 

「早苗じゃないんだから何も混ぜてないよ」

 

「いえ、ちょっと一ヶ月くらい前に飲んだ超神水を思い出しまして……」

 

「へー」

 

「それより諏訪子、早苗が何か入れてる前提で話すのはどうなの?」

 

「まぁ、汚いものとか食べられないものじゃなければいいですけど」

 

 

そんなやり取りをしてお茶を飲みながら二柱の神とこれまでの事を話していた。

 

「……って訳です」

 

「人の身でありながら神へ……」

 

「まぁ、宇宙人がご先祖様なのは今時珍しくないからへーって感じだけど」

 

「潜在能力を引き出されても変身する方が格好良くて好きなんですよね」

 

やっぱり変身は浪漫があるしとニョロモとアーボを撫でながら呟いていた。

 

「なら早苗が帰ってきたら見せてもらおうか。特に神の力を引き出す方」

 

「だねー。どれくらいなのかは見ておかなきゃね」

 

「早苗が引いて迫って来なくなるかもしれないからやります」

 

尚様々な変身を見て今までバッチリがんばれだったのがガンガンいこうぜに変わり、それまで以上に過激なアプローチに変わる模様。

 

「そうなったら私が孕むから安心して」

 

「ないです」

 

………

……

 

「一応これが青の力なんですけど」

 

「へー、こっちも髪が逆立つんだ。収まりきらない神気がダダ漏れしてて凄いね」

 

「あ、近づくとちょっと心地いいよ」

 

「やっぱり時代は赤より青ですね!」

 

「はい、こっちに目線お願いします! 『人か神か! 謎の外来人の秘密に迫る!』で決まりですね!」

 

ブルーになったツカサをベタベタ触りまくる二柱の神と早苗、写真を撮る文と割とカオスだった。

 

「何でいんの?」

 

「見張りも兼ねてますから。様々な姿になったのを見て我々がご機嫌を伺う立場になったのを理解しましたが」

 

「天狗も大変だな。一方的に喧嘩売られたりしなければ基本何もしないから」

 

「助かります」

 

「気にしな……おい馬鹿やめろ! 神奈子様もこのちょっと頭のネジ飛んだ一人と一柱を何とかしてくださいよ!」

 

「下、下の毛も青いのか確認するだけだから!」

 

「暴れないで、暴れないでください……」

 

文と割と真面目な話をしている最中に早苗と諏訪子がベルトを弄り始めたので必死にガードしていた。

 

「いや、あの、私はそういう経験がないから……」

 

「両手で顔を隠して指の隙間から見るお約束とかしないで!」

 

「赤と金でも確認しなきゃ」

 

「諏訪子様、ちょっと切って私専用の御守りにしたいです」

 

「ちょっ、本当に……やめてくださいよ!」

 

………

……

 

あれからすぐにこれ以上何かされたら敵わないと早々に守矢神社から離れていた。

 

「で、私の所に来たのね」

 

「交友関係的に永遠亭か紅魔館しか行くとこないし……で、輝夜のとこが近かったから」

 

「その割には私の部屋まで来るのに時間かかってたじゃない」

 

「身長体重を測ってから血圧、採血、視力に聴力、検尿、診察、カウンセリングと永琳に捕まって全部やらされたんだよ……」

 

「大変ねー。ほら、こっち来て隣に座りなさいよ」

 

「ええ、それはもう本当に土下座しないといけないんじゃないかって大変な結果も出ましたよ」

 

輝夜が自身の隣をぽんぽんしていると少々顔色が悪くなった永琳が襖を開けて入って来た。

 

「永琳? 大変な結果って何よ」

 

「ツカサと姫様の相性が凄まじく良かったみたいです。あの時の姫様と妹紅の殺し合いで摂取してしまった肉片と血がツカサの体内でスーパーベストマッチ、吐き出したようですが手遅れだったみたいです」

 

「これはもう実質夫婦なんじゃない?」

 

「ないです。てかスーパーベストマッチって何それ怖い」

 

「簡単に言えばこれから数年で完全に適合してツカサは老いる事がなくなるわ」

 

「やったわ! これは不気味に思われる前に永遠亭へ永久就職確定ね!」

 

「へー……ん? 待って、それって殺されるか病気にならない限り死なないって事では?」

 

最初は若いままならいいかなと思っていたが嫌な予感に恐る恐る尋ねていた。

 

「そうなるわね。後ちょっとした怪我くらいならすぐ治るかもしれないわ」

 

「そんなおまけみたいに言われても……」

 

「半世紀くらい待てばツカサが永遠亭に来るなんて凄く素敵ー、素敵だわー」

 

「……あれ? そうなると俺はビルス様を満足させる為に強くなり続けないといけないルートに入った? え、嘘、マジで?」

 

何かしらの原因で死ぬまで楽しませてご機嫌を伺う胃が痛くなるルートが確定していた。

 

「でもそうなったら守矢神社と永遠亭で対立が起きそうね。ツカサ次第ではあるけれど、貴方は何処がいい?」

 

「ウィスさんが『ツカサさんとは長いお付き合いになりそうですねぇ』って楽しそうに言ってたのはまさか……え? でもそうなると紫のとこが一番争いにならないんじゃないの?」

 

「あんな胡散臭い妖怪のとこがいいの?」

 

「まぁ、胡散臭い笑顔はしてるけど。普段はすげぇ乙女だよ」

 

尚幻想郷の者達が次はいつツカサが来るか楽しみに待っている間、紫は赴いてデートを重ねていたりとバレたら大変な事になりそうな事を平然と行なっている。

 

「永琳、ツカサの頭がおかしいわ」

 

「風呂上がりに乾かしてあげながら髪を梳くとモジモジするの本当可愛いと思ってる」

 

「それ私にはやってくれなかったやつじゃないの!」

 

「仮にもお姫様の髪に触れるのはダメかなって」

 

「別にいいわよ! ほら……さらっさらよ! 今晩とかいいんじゃないかしら!?」

 

「アッハイ。……何で俺が出会う見目麗しい女性は基本的に残念なのか。早苗とか無駄に能力使ってまた下着をポケットに入れて来てたし」

 

最早慣れてしまいすぐには返さず、ある程度貯まったら返すくらいの余裕が生まれていた。

 

「心中お察しするわ」

 

「じゃけん明日は紅魔館に行って癒しを求めましょうね〜」

 

………

……

 

翌朝色々騒いだ永遠亭を後にして紅魔館へと向かっていた。

 

そして……

 

「フランちゃんの暴走を止めたら懐かれたでござる」

 

「ちょっと会わない間にツカサが頭おかしいレベルで強くなってて引くわ」

 

「強くならなきゃ死ぬし、満足させなきゃ地球がやベーんだよ……」

 

「……えぇぇ」

 

何言ってんだこいつと思いながらツカサの辿りそうな数多の運命の先を見てドン引きしていた。

 

「変人ばっか集まってくる運命なんとなりませんかね」

 

「無理」

 

「すげぇ食い気味に……」

 

「だけど改めて見るとツカサの運命は笑っちゃうわ。マッピングしてるんじゃないかってくらい全部網羅していくんだもの」

 

「意味が分からんのだけど」

 

「普通はAからZまで枝別れてしていてどれか一つに進んで他は体験しないのよ。ツカサの場合はAからZのどれを進んでも最終的にはその全部を通過するから目が痛くなるの」

 

「俺は何でそんな過酷な運命を辿ってんの……」

 

「前向きに考えなさい。これからどんなポケモンとも必ず出会う事が出来るんだって」

 

「あ、そっかぁ……」

 

尚何年経っても来ないツカサに会いにグラードン、カイオーガ、ディアルガ、パルキアといった面々が近々押しかけてくる模様。

 

「それより何か面白い事とかあったのかしら?」

 

「三段階の変身と二段階の変身と一段階の変身が出来るようになったよ」

 

「変身……これからツカサの一発芸はそれに決まりね!」

 

「俺にはやらないという選択はないの?」

 

「ないわね」

 

「十六夜さんも見るの?」

 

「ええ。恥ずかしがって一度もツカサの前に姿を見せない咲夜も流石に今回は私が命令して待機させるわ」

 

「楽しみだわ。そういや外の世界にいる同姓同名の十六夜さんは亞里亞の家の分家だかの潰れた一族に仕えてたメイドさんの娘さんらしいんだよねー。銀色の髪で色々察したジェームズさんが手回しして雇って説明したらしいけど、メイドが天職だからこれからも雇ってほしいって言われたみたい」

 

「逆にちょっとそっちの咲夜にも会ってみたい気もするわね」

 

「幻想郷の十六夜さんが奥ゆかしい草食系なら、こちら側の十六夜さんは何か俺限定で超肉食系だから……」

 

「ますます会ってみたいのだけれど」

 

「セクハラしたら大人しくなるかと思って『おっぱいってどんな感触なの?』って聞いたら、ニコニコしながら凄い力で俺の手を掴んで自分の胸に押し当てようとしてきたり凄いアグレッシブで」

 

「何やってんのよ」

 

「ちなみに世界チャンピオンになってから週替わりで最低一人は常駐するようになったんだよ。みんな超肉食系なの本当笑っちゃうぜ」

 

亞里亞が成長するまで相手をする意味も兼ねており、手を出されてもいいし将来的にツカサ達に仕えたい優秀な者だけが送られている。

 

「ツカサはさながらシマウマかしら。それより世界チャンピオン?」

 

「ポケモントレーナーとして世界の頂点になったから」

 

「へー」

 

「うわぁ、興味なさそう。後はパラレルな世界から嫁さん連れて迷い込んで来て、ひたすらイチャついてた俺と森で遭遇したりくらいだな」

 

「それよく似た偽物じゃないの? ツカサって割とドライだし」

 

「俺だったんだよなぁ……桃色の髪で狐耳、露出強な嫁さんでドン引きしたわ。ハネムーン代わりに人ん家に三泊くらいしてからどうやってか知らないけど普通に帰って行ったけど」

 

「八雲紫に頼んだらツカサの家に遊びに行ったり出来ないかしら。何か日常的に非日常的な事が起きていて楽しそう」

 

「そこまで色々起きてないよ。たまに知り合いの婦警さんがカロス観光に来て家に泊まって呑んで酔ってたりとかするくらいだし……クリリンさんが女の子紹介するって連れて来たのが片桐さんなんだもんなぁ」

 

尚ドストレートに女の子じゃないと文句を言ってシメられた模様。

 

「普通に楽しそうじゃない」

 

「無理矢理客室に連れて行かれてガッチリロックしたまま寝られて、翌朝悲鳴と共に起こされて正座させられてすげぇ説教される理不尽さを知ってほしい」

 

「手は出したの?」

 

「出すわけないじゃん。向こうがロックして来た時以外は一切触れなかったし」

 

「それ女としてのプライドかなり傷つけたわね。嫌だけどちょっと触るくらいはしてほしかったでしょうね」

 

「モジモジしながら何処か触ったか聞いてきたのはそういう……」

 

これがポケモンの心は理解出来ても女心は全く理解出来ない世界一位の男である。

 

「まぁ、少しずつ理解していきなさい」

 

「前回の帰り際に小悪魔さんが耳元で私は愛人でいいですからって言ってきたんだけど、これはどうしたらいいの?」

 

「刺されないようにがんばれば?」

 

「投げやりすぎんよー」

 

対等な友人として仲良くなっている二人はそんな雑談をしながら楽しいティータイムを過ごしていた。

 

 

疲れて寝ていたフランも午後には目覚め、ツカサの後ろを付いて回るようになっていた。

 

「お兄様ー」

 

「どちらかといえばフランちゃんが俺のお姉さんになるのでは?」

 

「いいの! アイツよりお兄様のがお兄様って感じだし」

 

「割と姉妹仲悪いのね」

 

「お姉様よりお兄様のが好きー」

 

「凄い懐いてくる年上の妹が出来ました」

 

好きーと言いながら腕に抱きつき、後ろを振り返り隠れて付いて来ていたレミリアにべーっと舌を出して挑発していた。

 

「ほら行こ! 美鈴も待ってるよ!」

 

「さっきフランちゃんからの攻撃から守った時にボーっとこっち見てたからちょっと心配してたんだよね」

 

ツカサが当たり前のようにしたヒーロームーブでトゥンクしてしまったらしい。

 

 

それから数日が経ち……

 

「さっき進化したレミリアのクロバットが俺に秒で懐いたからかうーうー唸っててちょい鬱陶しい」

 

「最近私の扱いが雑!」

 

「お姉様さっきからうるさい。出てって」

 

「ここ私の部屋よ!」

 

フランはツカサと出掛けて捕まえたガーディをモフりながらシッシッとレミリアを雑に扱っていた。

 

「ツカサ様、おかわりはいかがですか?」

 

「お願いします」

 

「咲夜もツカサに言って! 私を大事に扱いなさいって!」

 

「レミリア愛してるよー」

 

「棒読みィ!」

 

「お嬢様、くたばった方がよいのでは?」

 

好意を寄せている相手の愛してる発言をもらったレミリアにくたばれと言う瀟洒な従者である。

 

「何かツカサと会わせてから咲夜が辛辣なんだけど」

 

「俺には凄い優しいけどね」

 

「納得いかないわ」

 

「まぁ、夜中にホットミルクを飲んで話したりしてるからね」

 

「私みんなで夜更かししながらお話したり、お兄様の冒険のお話を聞くの好きー」

 

咲夜とツカサが話していると皆が自然と集まって来るらしく、ちょっとした深夜のお茶会になっていた。

 

「なにそれきいてない」

 

「十六夜さん以外は勝手に集まって来るだけだから」

 

「お兄様は異世界でもポケモンじゃないモンスターを沢山育ててるんだって」

 

フランは教わったブラッシングをガーディにしながら呟いており、ツカサは仕方ないとばかりに話し始めた。

 

「二つの大陸に俺のファームがあるんだ。どっちかにしてくれって言われてそれなら引退したいって言ったんだけど、四年交代で行き来して所属を変えればOKとか言い出してね」

 

未知のモンスターを復活させ育成する存在が別の大陸に行かれては困ると秘密裏に二つの大陸が手を組んでそうなっていた。

 

「ツカサは育てるの本当好きよね」

 

「正直カロスに行く前に迷い込んでいたら向こうに永住してたよ。プライドの高いドラゴンとか育て甲斐があったし」

 

ブリーダーであろうとその背に乗せるのは心から認めた者のみであり、一時期ハマって育て続け毎度ドラゴンの背に乗って大会会場に現れていたからかドラゴンライダーの二つ名が付けられている。

 

「幻想の生物を平然と育ててるのが本当怖いわ」

 

「ディノとかロードランナーの背中に乗って遠くに出掛けるのも楽しいんだよ。ワームが脚伸ばして歩いてる姿見てすげぇ!って笑ってたら、背中に乗せてくれたりもしたなぁ。そのままファームを高速でワシャワシャ徘徊してて、その光景があまりにもアレだったのかホリィが卒倒したり」

 

こういうの、と咲夜がいつのまにか用意してくれた紙にやたら上手く絵を描いて見せていた。

 

「これが高速でワシャワシャ動いて近づいて来たら私でも卒倒するわよ。よくこれを育てようと思ったわね」

 

「育てて見ると可愛いんだよ」

 

「ツカサの可愛いの範囲が広すぎるわ。何が可愛くないとか具体的なのはないのかしら」

 

「もし俺が女性に生まれていたらって姿は可愛くなかったな。男に生まれて正解だった」

 

ツカサの不思議な森にある柵で囲われた性別反転エリアでセレナやAZと色々試してみたらしい。

 

女性として生まれていた場合の姿はガンソのファサリナそっくりだったらしく、思っていた留美穂のような可愛らしい姿とは違う自分にショックを受けて即座に封鎖に踏み切っていた。

 

「何それ異世界怪物牧場よりも興味あるわ。やっぱりツカサの家に行ってみたいわね」

 

「侵入出来ないようにしてあるから来ても入れないよ。他にもまだまだ危険なエリアがありそうだから確認中だし。それに伝説のポケモンやら幻のポケモンやらが自由に徘徊してて笑っちゃうんすよね」

 

他にもポケモンではないモンスター等が生息しており、ツカサがボスだと理解し上手く共存して過ごしている。

 

 

 

そのまま昼食を取り午後からは少し幻想郷散策をして来ると告げて紅魔館を出て行った。

 

「やべぇ、何あれ人里ってこんな殺伐としてんの?」

 

興味本位で立ち寄った人里で騒ぎが起きており、何だ何だと見に行くと子供を左腕で拘束して包丁を持ち騒ぐ男が居てツカサはドン引きしていた。

 

子供に危害を加えられたらと迂闊に近づけず、皆が遠巻きに説得しようとしている。

 

「まぁ、この距離なら」

 

そう呟きながら軽く準備運動をして……

 

 

「早くあの女を……」

 

「よいしょ」

 

瞬間移動で男の目の前にいきなり現れると包丁を左手で握り右腕で子供を引き離し、男の腹に鋭い蹴りを叩き込んで吹き飛ばしていた。

 

「ほらお母さんの所に。……いてて」

 

ポカンとしている子供の背をそっと押して母親の元に帰らせ、痛みが走り左手を見ると包丁を握った時に力を入れすぎて手が少し切れたらしく掌から血が流れていた。

 

周りにいた者達が男を拘束しているのを見て気を消してその場を離れ、ペットボトルの水で傷口を綺麗にしてから塗り薬を塗りガーゼを当てて器用に包帯を巻いていた。

 

 

「外貨でもいいって言われてよかった」

 

歩き回っていて茶屋を見つけたものの此方の通貨がないとスルーしようとしたが、外貨でもいいと言われお茶と団子を頼み支払いを済ませてのんびりしている。

 

外に用意されている席に座りボーっと遮る物のない青空とその先を眺めていた。

 

「ダネダネ」

 

「チョゲプリィィィ!!」

 

「ゼニィ!」

 

ゼニガメとフシギダネとトゲピーがツカサの足元に座っており、フシギダネへ蔓でトゲピーを持ち上げたり下ろしたりして遊ばせていた。

 

ゼニガメはみずてっぽうを口から出して虹を作って遊んでおり、ちょっとした見世物のようになっている。

 

「こいつら何処からか未使用のモンスターボールをそれぞれ転がしながら寄って来たんだよな。勢いよく俺の方に転がしてきたからそれを拾って渡そうとしたら、そのままボールに入ってカチってなったし」

 

「ダネダネダネフシ」

 

「俺からニャースの匂いがした?」

 

「ゼニィガメガメガメガ」

 

「人間と仲良くなって一緒に暮らすんだって出て行ったきり見かけなくなって心配してたと」

 

「チョゲチョゲプリィィ!」

 

「強いトゲキッスになりたいからこれからオナシャス!とか欲望に素直すぎる」

 

トゲピーだけは目的が違かったらしくハイテンションでツカサにペッコリしていた。

 

 

それからすぐに運ばれて来た団子を食べてお茶を飲み、誰かを探しているのか人通りが激しく騒がしい人里でトゲピーを膝に乗せてのんびり過ごしている。

 

「ブルーさんが持っていったゼニガメは今頃どうしてるんだろうなぁ……」

 

この世界ではレッドがヒトカゲ、グリーンがフシギダネ、ブルーがゼニガメと各自相性ではなく自分の好みのポケモンを選んだらしい。

 

「ゼニ?」

 

「何か俺がホウエンに行った辺りから音信不通なんだよね。まぁ、あの頃とは違って色んな変態と出会ってるからもう怖くはないけど」

 

「なるほどなるほど」

 

「パンツ丸見えだったから次からは気をつけた方がいいよ射命丸さん」

 

当たり前のように空から降りて来て自然に隣に座り、変態多数と遭遇済みとメモしている文に対して注意していた。

 

「かなり速度出して降りてますし、ちょっとしたアレで普通は見えるはずないんですけど」

 

「暇なの?」

 

「暇ではないです」

 

「あ、そうだ。この辺にぃ、美味い団子を出す茶店があるらしいっすよ」

 

「え?」

 

「じゃけん追加注文しましょうね〜。お姉さん、お団子とお茶二人分追加してくださいな」

 

一人で駄弁るのも飽きて来たと追加注文と代金を渡し、フシギダネ達用の水とポケモンフードを器に入れて用意していた。

 

「流れるように奢られてちょっと不安なんですが……私は軽い女じゃないですからね!」

 

「寧ろその方が安心するからずっと重いままでいて」

 

「それはそれで腹立たしいというか……」

 

「どっちだよ」

 

「乙女心ってものがあるんです」

 

「へー、そうなんだ」

 

「そうですよ。下心に警戒はしますけど興味ないって方が腹立たしいんです」

 

「俺が生まれる前から知っていて愛してますとか言う超重い愛系の女性がいるから本当可愛いとか美人だとかどうでもいいんだもの」

 

この数日で押せ押せな小悪魔に根負けし、そういった関係に発展して素敵な事になっている。

 

「ちょっと引いてます」

 

「俺も初めて言われた時は引いたもん。モテ期かなと思ってたら愛人のポジションがいいですとか言われて更に引いたし」

 

「どんな人生送ってんですか」

 

「人生に悪魔やら妖怪やらが関わる時点で普通じゃないだろうね」

 

「それはまぁ……あ、そうでした。今晩博麗神社である宴会には参加されますよね?」

 

「ないです」

 

何だかんだで過ごしやすい紅魔館に居たいらしく即否定していた。

 

「えっ、な、何でですか?」

 

「どうして行く必要なんかあるんですか」

 

「ほら、霊夢さんに挨拶するとかあるじゃないですか。他にも可愛かったり美人の妖怪も来ますし」

 

「招待されてないからね、しょうがないね。さっきも言ったけど可愛いとか美人とかに釣られないから」

 

能力不明の変なのに絡まれたくないのが本音であり、バトルマニアが居ても嫌だなと考えて行かない理由を最もらしく語っていた。

 

「最近夜の博麗神社に珍しいポケモンとか居るらしいですよ」

 

「マジかよ行かなきゃ」

 

「うわ、凄い食いついて来ましたね」

 

美人や可愛いには釣られないがポケモンには即釣られるトレーナーの鑑。

 

「タツベイとか居ないかな」

 

………

……

 

その夜の博麗神社に紅魔館組として向かい、久々に挨拶を済ませ……

 

「風見幽香さんがやたら絡んできます」

 

「私のヒマナッツとキマワリが懐いたから絡まれても仕方ないわね」

 

「でも落ち着く」

 

花の香りがしているからか完全に気を抜いており、ツカサをよく知らない者達は心配そうに眺めながら呑んでいる。

 

「図太いわね。でも貴方とはいい関係が築けそう」

 

「花の育て方とか本当に参考になったなー。きっとうちのドレディアもキレイハナも喜ぶよ」

 

急に隣に座って来て花の話題を振られ、答えている内に意気投合して今に至る。

 

「草タイプのケアの仕方を教えてもらったからキマワリ達も喜ぶわ」

 

「あ、なんなら草タイプ用のお手入れセットいる? 今は新品フルセットでないから使い古しで悪いんだけど」

 

 

そんな話をしていると……

 

「なぁ、霊夢。あっちに紫やら永琳やらが凄い圧を出しながら集まってるけど、あの中心の奴は何で平然としていられるんだぜ?」

 

「何かツカサさんが誘蛾灯みたいになってるわね。物珍しさから寄って行ったのもいるみたいよ」

 

「なんだ霊夢の知り合いなのか?」

 

「お賽銭に十万円ポンとくれて、色んな木の実も分けてくれて増やし方を教えてくれた素敵な人よ」

 

「よくわからないんだぜ」

 

「まぁ、いい人よ」

 

「あ、閻魔にぺこぺこしてる」

 

ツカサはいつも世話になっている映姫にぺこぺこしていた。

 

そのまま説教が始まり巻き込まれたら叶わないと皆サッと居なくなっている。

 

 

「彼の所有している土地にある広大な森の話とか面白いから魔理沙も聞いてみたら? お説教終わったらだけど」

 

「それならついでに挨拶もしておくよ」

 

「……ふぅ」

 

「アリスも一緒に行かないか? 挨拶するなら一回で……」

 

「残念だけど私は初対面じゃないもの。週に一度は家に来てお茶をしたり、人形やぬいぐるみについて話し合ったりしているわ」

 

森の特定のルートを通ると何故かアリスの家の近くに出るらしく、紫以上に交流していて仲良し具合は一番だったりもする。

 

「早苗と違って常識は投げ捨ててないからとか言ってた男が一番常識外れね」

 

 

それから一時間程で説教から解放され当初の目的のポケモンを探し回っていたが、霊夢のニャースを見つけて健康診断を始めていた。

 

「うん、健康でよろしい。本当最近の旅しないトレーナーは人間用に調味された食べ物をポケモンにバカバカあげるから、ここまで健康なポケモンは久しぶりだよ」

 

「ニャース!」

 

「最近オンにし続けてたら成長したみたいでポケモン以外の動物の声まで分かるようになってんだよなぁ……」

 

今はオフにしているらしくニャースの声はニュアンスで理解している。

 

「ニャ、ニャース!」

 

「大丈夫、何かオフでも言いたい事は何となく分かるから」

 

「ニャー」

 

「はい、お大事に」

 

ペコリと頭を下げたニャースにそう声をかけ、再びポケモンを探そうと立ち上がり振り向くとほぼ全員が見ていてビクッ!としていた。

 

各々が連れて来ていたポケモンに何か話すと頷き、そのままツカサの元に向かって歩いたり飛んだりして来て行儀よく整列している。

 

「……まぁ、いいけどさ」

 

「あ、助手は私がするね」

 

「ああ、お願い……鈴仙?」

 

「近くでお説教終わるの待ってたの。姫様がずっと独占してて私は全然お話出来なかったから」

 

「輝夜なぁ……それよりも明るい室内借りて診たいから霊夢に言って許可貰ってきて。それとカルテも作るからそれぞれのトレーナーも一緒に来るようにって」

 

「分かったわ、すぐ行ってくる!」

 

「お前達も一度戻ってご主人を連れて来て。後は痛いとか違和感ある場所をちゃんと言う事。俺はお前達の言葉なら分かるから」

 

そう話をして皆を一度帰し、鈴仙が戻って来るのを待っていた。

 

 

 

 

 

 




グラジオはもうオカリン効果で手遅れ状態。


色々忙しかったりモチベがなくなったりしてました。

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