「絶対おかしいのに慣れて普通になってるんだよなぁ」
「んん……ふぁ」
早朝、当たり前のように一緒に寝ているセレナを見ながら呟いていた。
ペアセットでしか販売されていなかったピカチュウ柄のパジャマを着ており、腕枕で寄り添って寝ている。
ポケモン達も一緒に寝るからとベッドもキングサイズのものに買い替えていたらしく、それからセレナも一緒に寝るようになっていた。
「マサラタウンにいた頃の俺に現在の事を話したら間違いなく『は? 金髪美少女と同衾? 妄想乙。本当なら死ねば?』ってなるだろうなぁ……」
「ピカ……チュ!」
あくびと共に目を擦りながら起きたピカチュウが伸びをしてからイーブイズを優しく起こして回り、なかなか起きないニンフィアにゲシゲシと蹴りを入れて起こすと皆を連れて顔を洗いに向かって行った。
「セレナは夜遅くまで勉強してたから起きれないか……この子はもう完全に俺の家で暮らしてるんだよな。まぁ、おかえりなさいって言ってくれる相手がいるのは嬉しいからいいけど」
「んん……」
『あったかーい』
「ぼたんさんが迎えに来たのに守護霊になっちゃってるから無理だって言われたのが背中でスリスリしてる」
守護霊少女はツカサ限定の守護霊で死後は共に閻魔の裁きを受けに向かう手筈になっている。
枕にどうにかセレナの頭を乗せてから胴着に着替え、森の方に向かうと身体をほぐしてから走り始めていた。
そのままトレーニングを終えてシャワーを浴び、私服に着替えてから朝食を作っている。
「ツカサはいつも朝早いのニャ」
「ニャースも早いでしょ」
「ニャーは早寝早起きだから平気ニャ!」
「助かるよ。……あ、そうだった。明日から少しの間だけ紫のとこに行ってくるから、その間はセレナの面倒を見てあげてね」
どうしても捕まえたいポケモンが居たのを思い出し、数日前に遊びに来た紫にお願いをして互いの利害が一致したのもあり再び幻想郷へと向かう事になっていた。
ツカサは幻想郷のポケモンを捕まえたい、紫は少々禁断症状が出始めた一部の者を落ち着かせたいとすぐに決まっている。
「わかったニャ。ツカサは妖怪にやられないように気をつけるのニャ?」
「大丈夫、寧ろ師匠方と兄弟子のが強いから避けるくらいなら余裕だろうし。中でも兄弟子が一番やばい」
「あのいっぱい食べる人ニャ?」
「うん。でも俺も身体を限界まで動かした後だったらあれくらい食べるし、母さんもイベントとかだと凄い食べるから懐かしさを覚えたけど」
兄弟子はちょくちょく来るようになり、今は気の扱い方を学び数センチだけちょっとの間だけ浮けるようにはなっている。
「あんな食べるお母さんニャ!?」
「食費がかかるから普段はあまり食べないようにしてるけどね。オーキド博士の開くBBQとか亀の爺ちゃんの食事会とか、幻海の婆ちゃんに招かれた時とかは遠慮なく食べてる」
「あんな食べるのがもしも三人揃ったら大変そうニャ……」
「まぁ、俺はセーブ出来るから。正月とかにだけ会うハルカ達じゃない従姉妹達は、沢山食べてくれるからって泊まりに来てる間は色々作ってくれて感想を求めてくるけど」
「ツカサの親戚は女性ばっかりニャ」
「何ででしょうね~、不思議ですね~。姉妹で姉はお菓子作りが得意で、妹はピアノが上手かったけど。あ、歌が上手い従姉妹もいるよ」
父方の従姉妹達は何処かしら突出して総じて美人、可愛がってもらったり懐かれたりしていたが当時のツカサは誇れるものがなくちょっとしたコンプレックスを持っていた。
「ニャーが聞いても分かるくらいに濃すぎるのニャ」
「だよなー」
「今はツカサがダントツで濃いけどニャ」
「ハルカとヒカリ含めたみんなに言われたよ。俺がコンプレックス持ってたのを何故かみんなが知ってたのが恥ずかしかった」
「いつも自信に満ち溢れてるツカサしか知らないニャーには信じられないニャ」
「優秀な両親に従姉妹達と遠回しに比べられてたからなぁ……まぁ、今は得意分野がハッキリしたから自信持ってるしコンプレックスも払拭出来たけど」
そんな話をした翌日、最近進化したオシャマリとレックウザにイワンコだけをボールに入れて迎えに来た紫と共に再び彼の地へ舞い戻っていた。
「……何処だここ」
色んなポケモンがいるからと紫に言われるがまま鬱蒼とした竹林を見て回っていたが、何処をどう通ったのか分からず目印もなく完全に迷っていた。
「見渡しても同じような光景。色違いのヤンヤンマを近くで見たいからって追いかけなければこんなミスしなかったのに……あ、色違いのナゾノクサだ」
今まで悩んでいたはずが視界に色違いのナゾノクサが入った途端切り替えたらしく、歩いていく後ろをニコニコしながら付いていき始めた。
そして日も暮れて暗くなり始めた頃、ナゾノクサがようやくツカサが付いて来ているのに気づいて驚き慌てて逃げて行った。
「あぁ、行っちゃった。さて……目の前に大きな建物があるけど、道を教えてもらえないかな。ごめんくださーい!」
ツカサの前には和風の大きなお屋敷があり、とりあえず竹林から出る方法だけでも聞けないかと門を叩いて声をかけていた。
………
……
…
もう日も暮れて危ないからとウサ耳ブレザーの少女に招かれ、屋敷の中へ案内され応接する為の部屋へ案内されていた。
明るい部屋でツカサの顔を間近で見た少女は息を呑み、真っ赤な顔と呂律の回らない口で待つように言い何かを叫びながら家主達を呼びに走って行ってしまった。
「変態じゃないけどすれ違う時に凄くいい匂いがした、変態じゃないけど」
残り香にソワソワしながら座布団に正座をして待っている。
しばらくするとバタバタと近づいてくる足音が聞こえ、背筋を伸ばして待ち構えた。
「……失礼しますね」
「うわ、美人さん……じゃなくて、夜分に申し訳ありません」
銀色の髪を三つ編みにした赤と青の特徴的な服を着た女性が襖を開けて入って来て、綺麗だったり可愛かったりする女性を見慣れているはずのツカサも思わず口に出していた。
「……」
「あの?」
こちらの世界のツカサの大ファン一号であり、頰を朱に染めモジモジしながら手で三つ編みを弄ってチラチラ見ている。
「あ、み、道に迷われたんですよね?」
「はい、ですので人里方面への道を教えていただけたらと。すぐに行かないと晩御飯や色々間に合わないので」
「夜の竹林は危険ですよ! 明日の朝に私が案内しますので今日は泊まっていってください」
「ご迷惑をかける訳にもいきませんので……」
「真っ暗な中を行かせる訳にもいきません」
結局隣に座って懇々と説得をされて押し負け、一晩だけお世話になる事になっている。
夕飯の準備をさせていると言われて空腹なのを思い出し、それまで話し相手になってほしいと言われて様々な話をしていた。
医療に携わり頭の出来が良すぎる二人はあっという間に意気投合し、実はファンだの色々とあり互いに敬語は使わないで呼び捨てにしあおうと決めている。
「私達もツカサのファンなのだけれど、姫が私達以上のファンなのよ」
「永琳もファンなんだ。俺がよく分かってないだけであれ面白いのかな……」
「展開も王道だし、ヒロインが屑な事以外は最高だと思うわ」
「ヒロインがボロクソに言われてて草生える。まぁ、あれは仕方ないけども」
「それと明日は一日健康診断をさせてもらうから」
様々な話の中でポケモンの技を生身で受けたり三途の川に二桁以上行っていると聞いて一日拘束してでも健康診断をする事を決めていた。
「げ、元気だから……」
「ダメよ。医者の不養生って言葉があるでしょう?」
「ポケモンのお医者さんなんですけど」
「そのポケモンを診る時に自分が病気になったらどうするの?」
「それは……分かったよ」
ちょっとの間でツカサをコントロールするのにはポケモンを使えばいい事を理解したらしく、上手く誘導して健康診断を受ける事を了承させている。
「ふぁ……ねー、えーりんご飯まだー?」
そのまま健康診断の話を進めようとした時に襖がスッと開き、長く美しい黒髪の上下赤いジャージ姿の美少女が欠伸をしてお腹をぽりぽり掻きながら入って来た。
「あの、えっと……お邪魔してます」
「くっ……ふふっ……!」
「……え? やっ、違う、私、違うからぁ!」
ツカサの顔を見てだんだん顔が赤くなり、自身の今の格好を思い出し言い訳をしながらスパーン!と襖を全力で開くと凄い速さで走って行ってしまった。
「何が違うんだろう」
「笑いを堪えすぎてお腹痛いー……はー、ふー」
「ジャージ姿を見られたのが恥ずかしかったのかな?」
それからしばらくして……
「あら、姫ったら着替えて来たの?」
「え? 何を言ってるの? 最初からこの服だけど……」
「なかった事にしようとしてる……」
「……」
「あ、私はシラカワツカサと申します。竹林で迷っていた所にこのお屋敷を見つけまして、人里までの道を尋ねようと……」
ジーッと見て来るから不審に思われないよう自己紹介と来た経緯を説明し始めていた。
「式はいつにする?」
「日も暮れて危ないからと招かれまして……は?」
「もうこれって運命的なデスティニーだから結婚してマリッジするしかないわ!」
「なにこれデジャヴ」
山の上に住んでいる緑の髪の自称妻の少女の素敵な笑顔がツカサの頭を過っていた。
「姫がごめんなさいね」
「幻想郷にはこの手の方々が多いのかな?」
ちなみに前回滞在中に偶々地上に出て来ていた地底の地獄鴉にストーキングされ、邪な笑みを浮かべ壁を抜けて来る仙人に目をつけられていたり、三人組の妖精にポフレをこっそり食べられていたりと人以外を惹き寄せてしまっていた。
「割と多いかもしれないわ」
なんとか落ち着かせて蓬莱山輝夜という名を教えてもらい、今日と健康診断をする明日の二日だけ泊まる事を伝えていた。
「それならサインもらってー、あーんってしあってー」
「昔話で聞いた事のあるかぐや姫……ん? あれ? 結婚するには難題がどうとかって話じゃなかった?」
「当然お風呂も……それは求婚された時に出した条件だから。私からは無効だから」
「話が通じてるのに通じてない感じがやばい。バーサーカーかな?」
永琳は夕食を作る手伝いに出て行ってしまい、ジリジリと距離を詰めて来る相手に焦っていた。
それから夕食前にブレザーの少女と自己紹介をし、目と目が合うもピリッとしただけで何かをレジストしたなー程度で用意された席についていた。
セレナとルミホ以外の女性の手料理に舌鼓を打ち、食後は和やかな会話を楽しみ……
「おっ、色違いのニドラン♂?」
食休みに縁側に腰掛けてお茶を楽しんでいると脚に何かが纏わり付き、何だろうと手を出して持ち上げて見ると青い体表のニドラン♂だった。
「迷い込んで来たのか、それとも飼いポケモンかのどちらかだな。聞いて回るべきじゃん」
聞いて回った結果迷い込んで来た野生のポケモンだったようで、ニドラン♂に確認をとってから自分のポケモンにしていた。
「鈴仙さんに後ろから話しかけたらビックリさせて転ばせてしまったのは失態だったなぁ……パンツ丸見えになってるのに気づいて真っ赤になって恥じらう姿が可愛らしかったのと素敵な太ももだった」
「パンツを見られて恥じらう姿と太ももが好き、と」
「また誤解を招きそうな事を……お姫様がずーっと腕を組んで付いてくる恐怖」
目の前を通り過ぎては戻るを繰り返していた輝夜に最初に声を掛けたらしく、それからずっと腕を組んで付いて来ていたようだった。
「嬉しいでしょ」
「断言されるとは思わなかった。まぁ、姉さんの次くらいには嬉しい……のかな」
泊まるならば敬語をやめて呼び捨てにしろと言われ仕方なくそうしている。
「むっ」
「密着しすぎておっぱい当たってますけども」
「当ててるの」
「おっぱいよりも膝枕をしてくれた方が……」
「脚が好きなの?」
「いや、まぁ……うん。あ、おっぱいも好きだよ?」
「それツカサ以外に言われてたら間違いなく引っ叩いてたわね」
「うん、自分でも何言ってるんだろって思った。……こいつがニドリーノになったら何処かでつきのいしを探さないとなぁ」
話しながら何度か輝夜を離そうとしているがかなり強い力で腕を組んでおり、どうやっても離す事が出来ずにいる。
「それなら庭に転がってるはずだから持って行っていいわよ」
「転がってるの?」
「ええ。今から見に行く?」
「明日の朝の方が明るいから探しやすいよ。だから今日はもう解散しよう」
「じゃあ、部屋に帰ったら布団とか持ってすぐに行くから」
「遊びに来る気なんすね」
………
……
…
一晩遊びに付き合わされ朝方に就寝したがそれからすぐに起こされていた。
「眠い……」
「姫が迷惑をかけてごめんなさいね」
「明け方にポッキーゲームをしたんだけど、凄い力で俺の頭ロックして凄い勢いで食べ進めて来た時は目が覚めたよ……何であんな振り切ってるの? あれはノーカンだと思うけど舌ってあんな風に動くんだね。チョコ味だったけど」
「後で唇と口内をちゃんと消毒しましょうね」
「いや、そこまでしなくても……」
そんな会話をしながら様々な検査の準備が進められていた。
ツカサが検査の間はボールから出して貰ったイワンコがニドラン♂に兄貴風を吹かせて庭で遊び回り、何処からか現れたピィやピッピ達と楽しく過ごしていた。
「俺もあれに加わりたいなぁ」
「終わったら混ざって来なさいな。身体測定も兼ねてウドンゲと戦わせてみたけど、本当に人間なの? あんなハッキリとした残像とか初めて見たわ」
「あれ兄弟子から教わったんだよね」
「しかも同じように指から霊力の弾丸撃ち出して」
「あれは婆ちゃんから」
「でも空は飛べないと」
「うん。兄弟子が時間のある時に集中してやろうっていうからまだ飛べないよ」
「何と言うか……幻想郷で空から狙われたら勝てないんじゃないかしら」
「でしょうね。まぁ、勝てないけど負けないからセーフ」
前回までなら致命傷になったであろう妖怪達の攻撃も普通に痛い程度で済むようになっているから安心だった。
寧ろ死に追いやれば追いやる程に強くなり、切っ掛けを与えてしまえば大変な事になる地雷のような男である。
「確かに張られた弾幕を物ともせずに真っ直ぐ行って抱きついたのにほぼ無傷だったものね。殴れないから抱きつくって発想はどうなの?」
「抱きつく前に謝ったし、抱きついた後も謝ったからセーフ」
「この件はまだまだ追求したいし後にしましょうか。次は不妊検査を」
「それはいらないでしょ」
それから全ての検査が終わり、結果が分かるまでの間ずっとイワンコ達と遊んでいた。
「イワン!」
「よしよし……ほら、とってこい!」
いつものように愛用のボールを投げると追いかけて行く。
ピィやピッピにミミロルやミミロップ、普通の兎や妖怪兎も混ざったりと混沌としているがツカサは幸せそうに過ごしていた。
縁側に腰掛けていると頭を手の下に入れて来て撫でてほしそうにする者が多く、片手で撫でながら他の者達の相手をしている。
「あーとけるー」
「ひえっ」
順番待ちをしていたらしく輝夜のサラサラな黒髪を撫でており、妙に手触りがいいなと考えていた所に声を出された事に驚いていた。
「私はポケモンだから」
「違うでしょ、お姫様でしょ。あー、でもビックリした。サラサラな毛並みと思ったら喋り出すし、しゃがんで見上げてるしで」
「あれよ、私はホーライサンって幻のポケモンがテルヨってポケモンに進化した姿なの」
「はいはい。セクハラだなんだ言わないなら撫でるくらいは幾らでもやるから」
「やったー」
「でも朝にされたちゅーでこっちは気まずいのに普通に接されて困る。永琳が消毒だってアルコールで凄い唇拭いてきて、口内洗浄も強要されたけど」
「またしましょうね」
「いや、普通にお付き合いもしてないのにダメ。それより輝夜も隣に座ったら? 一緒にみんなとのんびりしようよ」
イワンコがパタパタ尻尾を振りながらボールをくわえて戻って来る姿が見え、隣をぽんぽん叩いて輝夜に早く座るよう言っている。
隙あらば既成事実を狙って来た早苗を基準で考えており、輝夜はまだまともだと思っていた。
「今夜はまた泊まるでしょ? 寧ろ外に帰るまで泊まるわよね」
「迷惑になりそうだからそれはちょっと。明日はハスボーとタネボーを捕まえに妖怪の山の方に行きたいし、徒歩だから帰って来る時間もなさそう」
ツカサはハルカと共に旅をしたホウエンで見たルンパッパとダーテングを仲間にしたかったようで、今回の目的はその進化前の二体を捕まえる事だった。
「なら永琳に頼んでイナバを付けさせればいいわね。ツカサくらいなら抱えて飛べるでしょうし」
「抱えられるとか恥ずかしいんだけど?」
日も暮れ始めた頃に検査結果が出たと永琳が呼びに来て、何故か保護者のように輝夜まで一緒になって結果を聞きに診察室に来ていた。
「複雑な説明をしても仕方ないから簡単に言うけど、ビックリするくらい何も悪い所はなかったわ」
「やったぜ」
気に入った永遠亭飼いのピィをムニムニしながら聞いており、心地良いマッサージにピィがヘブン状態になっているが気にせず続けている。
「そりゃそうでしょ。聞いてみたら健康的すぎる生活だし、寧ろ最近はトレーニングでの消費カロリーが高すぎて沢山食べないと食べても食べても痩せるって嘆いてたもの」
「帰る前に挨拶しに紅魔館行くつもりだし、何かご馳走になろうかなって」
「昨日は普通くらいしか食べてなかったわよね?」
「兄弟子のようにいきなりガッツリ食べるわけにもいかないし。嫌だけど、本当に怖くて嫌だけど明日はついでに山の神様達にもご挨拶してこなきゃ」
「健康を祈ってお賽銭と御守り買って来たらどうかしら?」
「前に早苗……に貰った御守りには陰毛が入ってるって恥じらいながら言ってたよ。お役に立ててくださいって上着のポケットに下着をねじ込んで来て、神様二柱が申し訳なさそうに縛り上げて下着も早苗も回収してくれたり」
アプローチを普通にしていれば秒殺出来るくらいチョロいのに手段を間違えツカサの警戒心を最大まで上げてしまったのが敗因。
「変態じゃないの」
「御守りはそういうのがあるって聞いた事があったからいいけどさ。てか下着を役立てるって何なの? 変態仮面的な事?」
「永琳がさっきから何が面白いのかツボに入ったみたいで肩を震わせて背中を向けてるわね」
「隠れてるけど膝枕してもらいたい太ももをしてそう」
そして超健康判定を貰い夕飯はやたら食べるならどれだけ食べるのか試そうと今ある食材を全て使って料理をするよう輝夜が指示を出し、ツカサはこれが原因でみんなに飢えられたらたまらんと許可を貰って庭に沢山の木の実を一定の間隔で植えまくっていた。
成長促進の肥料を土に与えて翌日から数週間ほぼ毎日何かしらの実が取れるようにしている。
「鈴仙さん、手伝ってくれてありがとう」
「いいんです……じゃなかった、一緒に土を弄るの楽しかったからいいの」
「ディグダディグダ」
「ダグダグダグ」
「敬語もやめてくれてありがとう。後半混ざってきたダグトリオとディグダのお陰でサクサクだったね。……いや、何か他にも増えてない?」
「え? ……本当だ。しかも普段見かけるような敵意剥き出しのポケモンじゃない」
ツカサが見かけた色違いのナゾノクサやマダツボミが成長を見守るのにウロウロしており、マリルやルリリが植えた木の実に水を与えて回っていた。
「うちの裏庭みたいになってて居心地が最高だわ」
「そうなの?」
みずてっぽう(弱)で水を与えるマリル達をニコニコしながら見ているツカサの隣に鈴仙はさり気なく立ち、普段の生活について根掘り葉掘り嫌がられないレベルで聞き出していた。
「それでピチューの群れが一斉にピカチュウに進化してさ」
「えー、それは見てみたいなぁ」
「それで大好きーってみんな抱きついて来たのはよかったんだ。直後のでんきショックがなければだったけど」
最近は慣れて来たらしくちょっとやそっとのでんきショックでは痺れなくなり、ちょっとしたスキンシップとマッサージ感覚ででんきショックを受けている。
ピカチュウ軍団もツカサにだけするスキンシップらしく、セレナやAZには全くしないので安心だった。
「えっ……そ、その、心臓止まる……よね?」
「もう止まらなくなったよ」
「そっか、もう……もう!?」
「だから気をつけてね。サボり魔な死神さん達に会いに来るペースが早いって怒られたり、おしゃぶりしてる閻魔様に現世の案内を頼まれたり、大きな赤い閻魔様にまだ早いが帰すのに時間がかかるって界王様の所に送られたりするから」
様々な閻魔様や死神に会っており、また来たの?となるくらいに馴染んでいる。
「うん、気をつける」
「ダネダネ!」
「うわ、マジか! フシギダネだ! いいな、連れて帰りたいな」
くさポケモン達に混ざるフシギダネを見つけテンションが上がり、手を握ってみようか迷っていた鈴仙に気づかず走り寄っていった。
残念そうにしながらもフシギダネを抱え上げて話しかけているツカサの元へ向かった。
………
……
…
三日目の朝、早くに起きたツカサは昨晩の残りに手を加えて皆の朝食を作っていた。
ついでに昼に食べる予定のお弁当も一緒に作り、鞄から取り出した未使用の重箱に詰め込んでいく。
「いやー、昨晩はかなり食べたなぁ。お陰で力満タンだ」
「ツカサー許してー」
「朝一で波長を狂わせて体調不良を起こさせようとした鈴仙さんは目隠しさせて縛って転がしてあるし」
緊張やらも解けてフレンドリーになった鈴仙は逃げられないようにされており、霊力を込められた縄からは力づくで抜けられずにもがいていた。
「もうやらないからー」
「さっきそれで目隠し外したらガン見してたじゃんか。永琳が来るまではそのままジッとしてなさい」
「やだやだやだやだー! 料理してる所が見たいのー!」
「いや、それちょっと可愛いけどそんなキャラじゃないよね? あの二人が居ないから?」
小さなお賽銭箱を持ち歩いている兎少女がドン引きしながら静かに見ており、そして黙ったままツカサの手をぎゅーっと握るとドヤ顔で賽銭箱を差し出してきた。
「ちょっと待って……はい」
外貨でもOKと書かれた紙を見せられたので貝塚レートで35万を入れている。
「ツカサ? 他に誰か居るの?」
「居ないよ」
手で×を作る少女の願いに応えて知らないフリをし、ぺこりと頭を下げて去って行くのを見届けた。
中途半端だけど今回はここまで。
今回は永遠亭メインのあれだけど、3回目くらいで地底に連れ去られるかもしれない。
ツカサは適応する程度の能力を持ってそう。
BotWはコログ探したり、試練の祠探したりしててまだ神獣一体も解放してないや。
まだボンバーマンやってるけど。
DLCは買うべきなのか分からなくて未購入。