ポケットモンスターXY 道中記   作:鐘ノ音

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カロスでの日常

帰って来てすぐに贈られてきたラッキー、ハピナス、タブンネと仲良くなる為にツカサは大人しくなっていた。

 

幽霊少女は結局カロスまで付いてきてしまいツカサを中心に活動範囲が広がり、ツカサの不思議な森を毎日見て回っている。

 

「複合施設の完成は来年春くらいだからなぁ……」

 

「私も勉強すればツカサの助手になれる?」

 

「がんばればセレナが18になるくらいにはなれるかな。どっちの助手になりたいのかで教える事が変わるけど」

 

「出来るならポケモンドクターとしてのツカサの助手になりたい」

 

「じゃあ、これから一緒にがんばろうか。筆記はジョーイさん一族にお願いするけど」

 

「ツカサは興味が湧くと嘘のように有能になるから安心ニャ」

 

二人の話を聞いていたニャースは洗濯物を畳みながらつぶやいていた。

 

「照れるわ」

 

「留守の間に八雲紫が来てセレナと仲良しになっていたニャ」

 

「息が止まるくらい綺麗な人で緊張しちゃった。スタイルも良くて、物腰も穏やかで……憧れちゃうな」

 

「セレナはそのままでいいのよ。それとあいつの腕力半端ないから気をつけてね。俺は頭が身体とさよならするかと思ったから」

 

ラッキースケベから紫が徐々に赤面、ノーモーションビンタで錐揉み回転して死線を彷徨ったりもしていたらしい。

 

「あんなスラッとした腕で?」

 

「うん。紫じゃないけど他にも日傘でボッコボコにされたりもしたよ。そのまま二、三日監禁されたけどドレディアのお陰で花の話題で盛り上がって仲良くなったり……いや、何であいつ大ピンチに助けに来なかったの? 」

 

上手く立ち回ったからどうにかなったが下手したら大変な事になる所だった。

 

怪我も癒えて解放された日にはグラシデアの花の種を分けたり、向日葵の種を戴いたりと花関連で友人と呼べる仲になっているようだが。

 

「あ、そうだ。パパとママが何かレシピを貰えないかって言ってたよ」

 

「看板メニューにしたいって言ってたんだっけ……ピカチュウも大好きな自家製ケチャップを使ったケチャップライスのオムライスとかはどうだろう」

 

「ピカ!?」

 

ケチャップライスという単語が聞こえたらしくピカチュウが部屋に飛び込んで来て、ツカサの周りをグルグル回り始めた。

 

「最近作ってあげてないから反応が半端ないな」

 

………

……

 

「映画の撮影終わって試写会も終わったけど、アンケートでラストの二人の雰囲気が良かったのにキスシーンがないのに違和感を覚える的なコメントばっかあって困る」

 

ツカサは自分のベッドで寝そべりながら何かを読んでいるセレナに話しかけていた。

 

「怪盗になって悪の組織と手を組んだと思わせておいて、実は正義の味方側からの依頼で潜入していただけって定番だけど最高」

 

「……セレナは語る時だけ別人みたいで怖い」

 

「再会したルカリオと現パートナーのゲッコウガと共に新主人公をサポートして、ボスと戦わせる為に悪の組織の四天王を一人で引き受けるシーンとかもう……ファンでよかったなぁ」

 

「あ、これ一般公開されたら毎週見に行くパターンだ。俺は行かないけど」

 

エピソード2では自身の出番は大幅に削る方針と聞いてホッとしていた。

 

尚、エピソード2は日常でほんの少ししかツカサは出ずファンからは黒歴史扱いされ大転け。

 

エピソード3でW主人公としてエピソード1以上の出番が与えられる事になる模様。

 

 

「一般公開されたら一緒に観に行こうね?」

 

「えっ」

 

「もう前売り券沢山買ったの」

 

ほら、と封筒を取り出すと10枚以上の前売り券を取り出してみせていた。

 

「やっぱ好きなんすね。てか買いすぎじゃない?」

 

「毎日行きたいくらいだから」

 

「Oh……それより早朝にカントーで貰った卵からヒトカゲ♀とケロマツ♂が生まれたんだけどさ」

 

「あ、孵ったの?」

 

「何か体色薄いなーって思いながら図鑑弄ってたら、色違いで図鑑に載ってたんだよ」

 

「かなり凄いんだろうけど、伝説とか幻のポケモン達を見てると素直に驚けないのだけれど」

 

伝説幻のバーゲンセールのような森のせいでセレナの目は肥え、色違いくらいでは驚かなくなっていた。

 

おやつの時間にはディアンシーが入り浸り、フーパがドーナツを食べ、マギアナが飲み物を運んで来てくれたりもしている。

 

一生で一体だけでも生で見られたら幸運だと言われている面々を毎日好きなだけ見られ、話しかければ応えてくれるとんでもない環境だった。

 

「色違いのレックウザは?」

 

「レックウザなだけでも驚いたのに更に色違いだったから驚いたわよ。色違いの伝説のポケモンなんて誰も見た事ないんじゃないかしら?」

 

「だよなぁ。とりあえずヒトカゲとケロマツはリザードンとゲッコウガに任せたから、すぐに進化するんじゃないかな」

 

「何故かツカサと一緒に育てると強く育つし、すぐ進化するのよね……」

 

歩くしあわせタマゴ状態であり、ポケルスも過ごしやすいツカサ宅に棲みついていて入るだけでどのポケモンにも感染するようになっている。

 

ツカサの料理にも成長促進の作用があるようでブリーダーとしてもトップクラスの仲間入りは確定的に明らかだった。

 

「そう? ニャースは進化したくないって言うから、かわらずのいしを加工してポケモン用ブレスレットの一部にして渡したんだよなー」

 

「だって私のゼニガメ、たった二日でカメックスになったのよ? しかもツカサにばかり懐いて

るし……湖に行ったら嬉しそうに私に近づいてきたのに、別方向からツカサが来たら方向転換してたのは笑っちゃったけど」

 

「勢いよく来たから俺は全身ずぶ濡れだったんだけど?」

 

「ツカサに行ってくれてよかった。透けちゃったら恥ずかしいし……」

 

「……え?」

 

恥ずかしそうに身体を隠すセレナを見たツカサは訳が分からなくなっていた。

 

「だって下着が透けちゃうし……」

 

「何だろう、毎晩下着姿で勝手にベッドに入り込んで見せつけて来るのにこの反応……モジモジしてるのは可愛いけど納得いかない」

 

「外はダメなの」

 

「あぁ、それなら仕方ないね……いや、家でもダメだよ。危うく納得しかけたわ」

 

「最近は見つかるとニャースがお尻叩いて怒るから大変なの」

 

ニャースはツカサとセレナの保護者のようになっていた。

 

お風呂上がりに下着姿で彷徨くセレナを叱ったり、トレーニング終わりで上半身裸でシャワーに向かうツカサを叱ったりと毎日大変な思いをしている。

 

「俺もトレーニング終わりに上半身裸で風呂場に向かうと怒られるよ。何度も死にかけて蘇ってを繰り返してから身体がやけに軽くてトレーニングが楽しいんだよね。それで汗だくになるから上半身裸になるのは仕方ないのに」

 

ニンフィア、ピカ子、セレナに幽霊少女はトレーニング中のツカサを見守り、上半身裸になるのを毎日今か今かと待っているようだった。

 

お師匠様方も心停止からの蘇生でやたら動きがよくなるツカサの特性に気がつき、物理的に叩いて伸ばすを実践して今に至る。

 

「寧ろ最初から上半身裸のがいいと思うの。シャツが汗で濡れちゃうのを防げて、私達も嬉しいし」

 

「それか亀の爺ちゃんから貰った胴着かなぁ。山吹色だからちょっと派手だけど……兄弟子の一人が凄く似合ってるから俺も似合うようになりたいわ」

 

兄弟子はマサラタウン近くの山で家族と暮らして野菜を作っている模様。

 

その兄弟子の息子の一人はオーキド研究所で働いており、いつか一学者として独立する為に日々がんばっているらしい。

 

ツカサはそれを知らずに既に仲良くしており、まだ明らかになっていない一部のポケモンの習性を熱く語り合ったりと年の離れた友人のような関係を築いている。

 

 

「試しに明日着てトレーニングしてみたら?」

 

「そうしようかな」

 

「あの人差し指だけで尖った岩の上に倒立するのは見ててハラハラするのよね……」

 

「色々コントロールをするのにちょうどいいから仕方ない。集中力途切れると顔面にガン!ってなる恐怖とも戦えるから一石二鳥……あ、今日は伝説幻ポケモン大集合の日じゃないか」

 

 

慌てて鞄を肩にかけてボイスレコーダーを手に取り、急いで森へと向かって行った。

 

 

アローラに妙な気配を感じるから自分の代わりをと言って色違いのジガルデを残して旅立った

初代ジガルデ。

 

性格が女の子っぽい二代目ジガルデにツカサは頭に浮かんだきよひーというニックネームを付け、その頭によく乗せてもらって森を徘徊していたりする。

 

旅立ったジガルデの予備のような扱いで今迄日の目を見られずに居たからか構いまくってくるツカサに懐き、会いに来ない日は10%の姿でおはようからおやすみまでを見守ってくれていた。

 

今も家から飛び出して来たツカサを見て偶然を装って併走し、一緒に集合場所の広場へと向かっている。

 

 

「晩御飯はツカサが好きって言ってくれたハンバーグだからねー! ……何かこれ夫婦っぽい気がする」

 

「セレナは家事をもっと出来るようになるのニャ」

 

仕方ないなと見送りに付いてきたセレナは大きな声で叫び、洗濯物を干していたニャースは鋭い指摘をしていた。

 

………

……

 

ドーナツや買い食いを報酬にフーパの力を借りて何度かカントーを訪れ、安定してから未来ガジェット研究所にも普通に行って驚かれたりしていた。

 

 

久々にAZと森に木の実畑を増やしながら色々と語っている。

 

「婆ちゃんに見てもらったら、幽霊少女がいつの間にか守護霊になって元々の守護霊と交代してるって衝撃的な事を言われたんだよ。パンツ見えてヒンヤリするくらいしか役に立ってないから困る」

 

「幽霊とは子作り出来ないだろう。早く子を作りそれを私達に見守らせてほしいのだがな」

 

「相手が居ないんだから仕方ないね」

 

「お前が一ヶ月近く離れていた時に訪ねて来たフウロとカミツレという女性のどちらかはどうなんだ? 特に前者は居ないとセレナに伝えられてガッカリしていたから脈はあると思うが」

 

「えっ、嘘、マジで?」

 

「ああ」

 

「メールはするけどそんな気配微塵もなかったけどなぁ」

 

「チャンピオンになったから、とかではないのは確かだ。セレナは何かを感じたのか連絡先を交換していたが」

 

「えぇ……」

 

毎日セレナからツカサ情報が皆に届くようになっており、こっそり作った専用のサイトにはトレーニング中の写真やイーブイズに群がられている写真等をアップしている。

 

 

「今度来た時に口説いてみたらどうだ? どんな女の子がタイプなんだろうって呟いていたから間違いなく行けると思うが」

 

「どんな子がタイプかって? 目の前におるじゃん」

 

付いてきていたドレディアが目の前におり、話を逸らす為に好みのタイプにしていた。

 

「ポケモンじゃなくてだな」

 

「シスタモン・ノワール」

 

「最近ツカサの中で再ブームが来たデジモンでもなくてだな」

 

「好きな女の子のタイプとか分からんわ。好きになった人がタイプでよくない?」

 

「正論だがお前が言うと腹が立つな」

 

「おっぱいが大きい子が好きとか言うよりはマシだろうよ。……あ、ポケモンが好きな女の子がタイプってのは?」

 

「それは全員に当てはまる」

 

「ならもう全員嫁でいいよね」

 

面倒になったらしく投げやりに言い放って休憩を終え、ドレディアと共に木の実を植え始めた。

 

「複数人を娶るのには後ろ盾に素晴らしい功績と強い立場が必要……いや、お前は全て持っているな」

 

「そう言えば最近グランデュークになったよ。それと形式的なものでいいから学園やらに所属しておいてほしいって」

 

父親譲りの頭の出来で幼い頃からマンツーマンのレッスンで大学卒業レベルの知識は有しており、今はそれを全てポケモンに使って幸せに暮らしていた。

 

「カロスに縛り付けたいのだろうな。無条件で大学にも入れるぞ」

 

「お断りするけどね。学園生活でちょっと青春してみたかったけど」

 

「ふっ」

 

「鼻で笑うなよ。綺麗な先輩、仲良しな同級生、可愛い後輩……はゲームだけか。何よりポケモンに囲まれた今の方が幸せだし」

 

 

 

シラヌイが当たり前のように木の実を植えるのを手伝い、遊びに来ていたわたぼうがよく育つように祝福をし、ツカサに慣れたセレビィがふよふよ浮かびながら興味深そうに見ていた。

 

最近増えた黄色く大きな鳥のような生き物はウロウロしており、終わったらツカサを背に乗せて走り回るのを楽しみにしている。

 

「ポケモンじゃないし、タイジュのモンスターでもない不思議な鳥のような馬のような……脚めっちゃ速くて可愛いからいっか」

 

「荷台を付ければ引いてくれるのはありがたい。誰も食べなかった木の実は定期的に回収しないといけないからな」

 

「その木の実を俺がパイにしたりジャムにしたりするからねー。兄弟子二人に送ったら喜ばれたし、そのうち一人はその日の晩に直接礼を言いに来たし。いきなり部屋に現れたから驚いたなぁ」

 

「とりあえずさっさと木の実の回収をして飯にしよう」

 

「今朝一斉にピチューがピカチュウに進化したし、回収しなくてもいいんじゃない? 食べる量増えるし」

 

「ピュイ!」

 

「こいつも色んな木の実を摘み食いしてるしな」

 

コスモッグは食べ物が豊富な森をふわふわ浮かんで行ったり来たりして、木の実を摘み食いをして日々を過ごしている。

 

「あぁ、だから今も増やしているのか。ところであのツカサの好きな桜餅のような生き物はなんだ?」

 

「いや、ちょっと向こうのファームから迷い込んで来てね」

 

………

……

 

裏庭の木にハンモックを吊るしてツカサはスマホを片手にスヤスヤ寝ており、ニンフィアが腹の上で丸くなって一緒に寝ている。

 

隅に出来た地下へ続く通路はミミッキュ達が出入りし、ミツハニーが花壇で花の蜜を集めていた。

 

イーブイズも遊び疲れたのか芝生の上で転がって寝ている。

 

「……カタギリさん、アドレスやら交換したら休みの日にめっちゃ連絡してくるな」

 

振動で起きたらしくスマホを確認しながら呟いていた。

 

 

他にもマオやククイ、グリーン等からメッセージが届いており寝ぼけ眼で返している。

 

全員に返し終えるとポケットにしまってまた眠りにつき、しばらくするとエプロンを付けたカイリキーがタオルケットを掛けにきていた。

 

サーナイトが脚立に乗ったニャースと談笑しながら洗濯物を干し、森の方ではアローラで捕獲したカラカラ三体が進化したガラガラ(アローラの姿)がダンスをする姿が異様な儀式のように見える。

 

そんな光景を二階からセレナが撮影しており、それをアリアが作ったグループにアップしていた。

 

「私だけだと逃げちゃうミツハニーとかミミッキュもツカサが居るだけで逃げないのよね……野生のビークインは蜜のお裾分けにくるし、最近見つけてきたミルタンクも毎朝ミルクを搾ってもらいにくるし」

 

他にも元ピチュー軍団が遊びに来てイーブイズとはしゃぎ回ったり、ディアンシーが凄い速さで地下に続く穴から出て来ておやつを食べに来たりとポケモン好きにはたまらない裏庭になっている。

 

引退して付いてきた先代のアローラの守護神達も頻繁に現れ、ツカサとのポケモンバトルを楽しんでいた。

 

「さてと、この写真はサイトのトップにして……」

 

 

 

それから二週間程が経過し……

 

「ラプラスが背中に乗せてた異世界から来た女の子も無事に返せたし……話に聞いたイナヅマちゃんの世界が怖すぎる」

 

「ツカサなら上手いこと言い包めて仲間にしちゃいそうよね」

 

異世界では魔王や大魔王すら従え、また別の異世界ではモンスターを育てて二つの大陸で一番のブリーダーになったりと、人ならざるモノに好かれやすいツカサならありえない話ではなかった。

 

「話に聞いたようなリアルな女性の姿をしてるのはちょっと……」

 

「だよね」

 

「さて、今日はとりあえずログハウスに匿ってるグラジオとタイプ:ヌルの件を……」

 

 

 

 




色んな人が来ては還す為に奮闘する日々。

また未解禁な色ジガルデをせめてこの作品の中だけでも。


USMは終盤以外ほぼSMの焼き直しなのは正直酷い。
手抜きマイチェンで二本発売は擁護出来ねーわ。

デジモンは前作プレイ済みで限定予約したし、シスタモン育成出来るようになるから楽しみ。

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