リーグクリアまでは原作沿い、クリア後から色々オリジナル予定。
始まりはニート脱却と共に
俺はマサラタウンのツカサ、今年で18歳になる男だ。
皆は大体10から12くらいでポケモンと共に旅に出たりするみたいだが、俺は現在旅には出ていない。
一応11の時にホウエンに居る母方の従姉で一つ上のハルカの旅に同行してアクア団やマグマ団と戦い、どうにかリーグに辿り着き挑戦する前に呼び戻されてマサラタウンに帰郷。
そしてそのまま何の説明もなくオーキド博士に連れられてシンオウ地方に行き、父方の従妹で一つ下のヒカリちゃんの旅に同行した。
その旅の道中でギンガ団と戦い、ディアルガ・パルキア・ギラティナとの遭遇、ヒカリちゃんのリーグ優勝を見届けて俺の旅は一度終わりを迎えたんだ。
それからオーキド博士の手伝いでカントーやジョウトを旅しながらバッジも集め、一時的に助手の助手みたいな立場で働かせてもらっていた。
そして二年前に一時期騒ぎになったイッシュ地方にオーキド博士のお使いで行き、母さんの後輩の娘さんで二つ下のメイちゃんの旅に同行。
復活して暗躍していたプラズマ団との戦い、ブラックキュレムとの激闘、リーグ前に互いに全力を出して戦ったお別れバトル。
この最後の旅ですっかり燃え尽き、金だけはやたらあるのでマサラタウンで色々やりながらも二年間ダラダラと過ごしていた。
だがいい加減旅もせず毎日出掛けては帰ってきてダラダラする俺に母親はブチギレたらしく……
「お母さん、現役時代に稼いでいたお金の残りでカロスのアサメタウンに家を買いました。ツカサ、そこを貴方名義の家にして飛行機のチケットも用意したからいい加減家から出ていきなさい」
いきなり部屋の扉を開けてチケットと権利書を見せながら言い、更に真新しいスーツケースも持ってきていた。
「はい」
有無を言わさぬ迫力にそう言うしかなく、見ていたエガちゃんピンのDVDを即止めている。
「ハルカちゃん達もあんたに会いたがってるってのに、気ままなニート生活してますなんて私も言えないわよ。容姿は私とお父さんに似ていいのにどうして……」
ハァ、と溜め息を吐きながら部屋を見回していた。
壁には各地方のバッジが飾られており、額に入れられた40ものバッジはエリートトレーナーと言ってもおかしくないものだった。
ただ当の本人はコレクター気質からカントーとジョウトのバッジは集めただけで、カントーのリーグには全く興味を抱いていない。
カントーとジョウトのバッジを集め始めた時はリーグに行くんじゃないかと一時期期待されていたようだが。
「でしょうね。それで飛行機いつなの?」
「一週間後よ」
「マジかよ、グリーンさんとレッドさんに挨拶しに行かないと。グリーンさんは妙に絡んでくるし、レッドさんはアレだし」
「……着替えだけ詰めて他の私物は後から送りましょ」
………
……
…
そんなごたごたから一週間が経ち、カロスで暮らす許可はとっくに出ているようで後は向かうだけだった。
カロスの空港に着くのに時間がかかり、そこからツカサ宅のあるアサメタウンに着くのにも時間がかかりそうだった。
そして……
「まさか到着が夜になるなんて思わなかった。ご近所さんへの挨拶は明日だな」
自分の家にようやく着いた頃にはすっかり日も暮れ、今から挨拶をするのは迷惑だろうと考えて明日にしようと鍵を開けて中に入っている。
中に入ると殺風景で家具は何もなく、二階にベッドがあるだけで家具は買い直す必要があった。
餞別だと渡されたお金は家具の購入に使われるのが確定していた。
水やガス等の公共料金は口座からの引き落としにしたと母親に言われており、その手の事を心配せずに済んでいる。
翌日にご近所への挨拶を済ませ、それからあっという間に一週間が経った。
注文した家具や実家から送られてきた様々な私物を部屋に運び込み、ようやく生活環境が整っている。
「小さい頃から一人になる事が多かったから料理は得意なのであった」
そう独り言を呟きながら作った朝食を食べ、今日は何をしようか考えていた。
「今後旅をするにしてもトレーナーカードの再発行頼まないとなぁ……オーキド博士は図鑑くれなかったしやる気になれん」
呟きながらコーヒーメーカーで作ったコーヒーをカップに注いでいる。
そして食後のコーヒーを飲みながら従姉妹達+妹分が載っている雑誌を見て、カロスを旅するのも悪くはないかと考え始めていた。
二年前のメイとの旅が終わった時に燃え尽きたのを感じてトレーナーカードを返してしまい、これから旅に出て様々な施設を利用するにはそれを再発行してもらうしかない。
返してしまった事でバッジがあっても再取得しないと各リーグに挑めないが、カロスではまだ一つも得ていないので関係なかった。
ちなみに今までの手持ちは旅の終わりにハルカ、ヒカリ、メイの三人に譲渡したりオーキド博士の研究所に預けているのでいない。
「インタビューで俺の名前を出すとか個人情報とかはどうなっているのか。……まぁ、トレーナー、ブリーダー、ドクターに関してはあってないようなもんか」
自身の事を隠す必要がないとも言える。
雑誌の中では三人共別々にインタビューされているはずなのにツカサの名を出しており、いずれも久々に会いたい的な事を話している。
「だが残念、ツカサさんはカロスに永住させられているのであった。みんな16越えてるし冗談半分で嫁に来ないかって三人にメールしてみようか……チャンピオンだから無理って返されて涙目になる未来しか見えないからやめよう。旅の最中は仲良かったのに、冷たく返されたら枕がビッチャビチャになるわ」
普通にメールをするのもレッドやグリーン、各地方で出会った博士やマサキ等の男ばかりである。
「とりあえず再発行を頼んで……と。昼には届くとか神対応すぎるだろ」
スマホで簡単に再発行までの操作をして決定を押してみたら、まさかの即日配達だったようで驚いていた。
「とりあえず動くのは明日からでいいか……」