ポケットモンスターXY 道中記   作:鐘ノ音

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捕まえたいポケモン的にこっちのが都合がいいので、今回と次くらいまでこの世界でのお話。




隔てた世界へ遥々と

メジェド様を背に乗せたシラヌイとツカサの肩に乗ったピカチュウが何度目かの森の調査へ向かっていた。

 

「絶対に負けないメンツすぎる。ピカチュウとシラヌイしか連れて来なくて後悔したけど、いつの間にか加わってたメジェド様のお陰でかなり安心」

 

「ピカ?」

 

「わふ」

 

「うおっ!? め、メジェド様が増えてる……分かりました、お昼はうどんと親子丼にします」

 

いつの間にか二柱に増えジーッとツカサを見ていて、ツカサも一瞬ビビったが二柱の希望を汲み取っていた。

 

 

「あの金髪の超美人さん、八雲紫さんとはあれから何度か会ってるけど毎回顔赤いんだよな。そして何故か魔王扱いされてるけど」

 

最近他国の配合技術を参考にしてタイジュの国でグランエスタークを生み出し、アスラゾーマやジェノシドーをも従え始めているので魔王扱いは間違っていない。

 

 

「ピカ? ピカピカチュウ?」

 

「狐耳に尻尾、露出強の桃色髪の和服?の女性はあれから見てないよ。変な鎖でセルフ縛りプレイしてジタバタしてる本とかもあったし、俺の森がだんだんやばくなってる」

 

伝説幻UBが共存してなんやかんやで魔境化しており、時折調査に出てポケモン達が巻き込まれないようにしている。

 

一定の区間だけがそうなっている事が分かり、柵を作り分かりやすくする作業も行なっていた。

 

 

「ピカ」

 

「あぁ、あれは怖かったよなぁ……その一部分だけ入ると性別が反転するとか。危険すぎてすぐに囲って入れないようにしたけど」

 

「ピカ! ピカピーカ、ピカピカチュウ!」

 

「うん、メジェド様が蹴り入れてくれなかったら危険に気づけなかったし感謝感謝」

 

「ピカ……ピカピカチュ?」

 

「この前のあれな、家に戻ったらカントーにいるはずのエリカさんがご飯作ってた恐怖な。夢かと思ったらマジで居たんだよなぁ。お? おぉ……ちょっ、助け……!」

 

「ピカ!?」

 

妙な浮遊感を感じ下を見ると空間が裂けていて中に無数の目が見え、肩からピカチュウが転がり落ちるとそのまま綺麗にツカサだけを呑み込み閉じてしまった。

 

………

……

 

気がつくと神社の境内に立っており、キョロキョロ見回しているがシラヌイもピカチュウもメジェド様も居ない。

 

「何処だここ……唯一のピカチュウもいないとか詰んでる感が半端ない」

 

店で買える消耗品やボールは各種大量に鞄に入っており、捕獲するのに余裕はあるが運任せにボールを投げるかトークして捕まえるしかなかった。

 

「不味いわ、いったい何処に……い、居た!」

 

「あ、八雲紫さん。相変わらずお綺麗で……」

 

「そ、そう? ……じゃなくて!」

 

「あ、ロコン!」

 

紫が何か話そうとしたが愛くるしい姿のロコンを見つけ、その時点でポケモンしか目に入らなくなっている。

 

「ほらおいで……よしよし、ちょっと臆病だけどいい子だね。俺のポケモンにならない?」

 

「……コン!」

 

「やっぱり手際が良すぎるわ」

 

警戒心をあっという間に失わせてモンスターボールに自ら入らせたのを見て呟いていた。

 

すぐにロコンをボールから出すとツカサの匂いを嗅ぎ始め、他のポケモンの匂いを感じ取ると身体を押し付けて自身の匂いで上書きを始めていた。

 

「このまま抱き締めてゴロゴロしたいなぁ」

 

「ポケモン、幻想郷の個体は大体が凶暴なはずなのに凄いわね」

 

「一度捕まえたら死ぬまで家族ですから」

 

 

そわそわチラチラ見てくる紫を見て何となく察していた。

 

前々から誘われていた事と助けてもらえないかとやんわりと遠回りに言われていた事を思い出し、ちょくちょく帰れるならいいかと覚悟を決めていた。

 

「八雲さん、ちょくちょく帰してもらえるなら貴女の助けになりますよ」

 

「えっ、嘘、本当?」

 

「はい。妖怪とか神様とかも一度見てみたいですし、何より流れ着いたトレーナーが迷惑をかけているのなら叩き潰しますから」

 

主にその手のトレーナーを懲らしめたり、一部勢力がポケモンを取り入れて調子に乗っている横っ面を引っ叩く役割を期待されている。

 

そして何よりも道具のようにポケモンを使う者達にツカサの在り方を見せ、心を入れ替えさせたいという思いが紫にはあった。

 

愛し愛されツカサの為に全力を出し戦うポケモンの姿を見て紫は感動し、これを皆にも見せてあげたいと幾度幾度となくツカサと交流して心象をよくしていたらしい。

 

「ありがとう……」

 

「まぁ、チャンピオンという立場に縛られる前に冒険するのもいいかなって思惑もありますから気にしないでくださいな」

 

「あ、拠点は私の家にしましょうね。歩いての旅は一年以上かかっちゃうから、私や藍が連れて行くわ」

 

「こういう時に鶴の爺ちゃんが教えてくれた空を飛ぶ術が使えたらよかったのにって思うなぁ」

 

「……え?」

 

「さてと、こっちではどんなポケモン捕まえようかなー」

 

「コン!」

 

「えっ、ちょっと、えっ?」

 

 

 

それから数日が経過し、お世話になりながら仲間を集めていた。

 

「話を聞いて仲間になってくれたのがヨーギラスだけかぁ……」

 

「紫様が言っていた通り、君は無茶をするんだな……」

 

「いや、藍さん。俺はあそこまで凶暴だと思わなかったんですよ」

 

仲良く並び食器を洗いながら話をしており、ここ数日近場で仲間探しをするツカサに付き添っていた藍は正直な感想を述べていた。

 

「紫様と捕まえてきた警戒心剥き出しのヨーギラスが、たったの二時間で擦り寄り甘えるのを見た時は目を疑ったよ。紫様のドヤ顔にはイラっとしたが」

 

「後は育てるだけなんですよねー。懐いて心を許してくれるとグングン成長しますし、指示にも従ってくれますし」

 

既にヨーギラスが進化の予兆を見せ始めており、ロコンも進化したいと願えばほのおのいしを惜しげもなく使うつもりらしい。

 

現在ヨーギラスとロコンはツカサの為に仲間になってくれそうな者達に声をかけに向かっていた。

 

紫はツカサに二体が出て行った事を告げるも平気平気とスルーされ、不安に思い部屋でスキマを開いて動向を覗いている。

 

 

昼までのんびり縁側でお茶を飲んでいると、ヨーギラスとロコンが仲間になってくれるポケモンを連れ帰って来た。

 

にょろにょろと長い体を器用に動かしながら二体の後ろから付いてくるミニリュウを見て、ツカサは予想外のポケモンの登場にお茶を吹き出し噎せっていた。

 

「げほっ、ごほっ……マジか。ドラゴンタイプはありがたいけど」

 

「りゅー」

 

「ありがとう。後は追々増やすとして……」

 

………

……

 

たったの五日でツカサはミニリュウをカイリューに進化させていて、八雲一家は信じられないものを見る目で見ていた。

 

ヨーギラスもサナギラスに進化し、既に更なる進化の予兆が見えている。

 

「何か育てやすい」

 

ラッキーが無精卵だからと渡して来たしあわせタマゴを食べたからなのか、今までの倍くらいポケモン達の成長が早くなっていた。

 

 

そしてある雨の日……

 

紫と共に傘を差して散歩を楽しんでいると急に雨があがり、何処からか視線を感じたと思ったら目の前に黒く大きな存在が降りて来て二人の前に立ち塞がっていた。

 

「……ツカサ、逃げましょう」

 

「キュリリリリ!!」

 

「マジか……いや、認めさせて退かせるしか無理。こっちに来て初のガチバトルが伝説、しかも色違いってハードすぎないかこれ?」

 

腰のボールに手を伸ばしながら軽口を叩き、黒いレックウザから目を逸らさないようにしながらカイリューの入ったボールを掴んだ。

 

 

そこからの攻防はとても激しく、紫と藍が結界を張って被害が広まらないように必死になる程だった。

 

黒いレックウザの誤算はツカサのカイリューがマルチスケイルだった事、そしてツカサが持たせたドラゴンZにより一撃必殺レベルの火力を手にしていた事、自身がまともなドラゴン技を覚えていない事だった。

 

「やるぞカイリュー!」

 

「!」

 

そう告げると腕を顔の前で交差させてから重ねた両手を顔の横に持って行き、その両手を目の前に突き出し竜が口を開くかのように大きく上下に広げている。

 

するとツカサから溢れ出したエネルギーがカイリューに集まりだし、その集まったエネルギーを口を開いて放出していた。

 

 

「えっ、何あれ……」

 

「紫様! サボってないで手伝ってくださいよ!」

 

エネルギーで作られた翼竜が凄まじい軌道を描きながら黒いレックウザに襲い掛かり、逃げようとした所に突っ込みそのまま大地に叩きつけ一撃で瀕死にまで追い込んでいた。

 

 

カイリューの頭を撫でながらかいふくのくすりを使ってボールに戻し、気絶している黒いレックウザの元に向かって行く。

 

「マジでZクリスタルを送ってもらっておいてよかった……よし」

 

げんきのかけらを使い少し回復させてからかいふくのくすりを使い、軽く触診をして異常がない事を確認してから離れていた。

 

「キュリリ……」

 

「いや、こっちもやりすぎたから……えっ、マジで!?」

 

 

「紫様、ツカサが何か話してますよ。話を聞いていなかったら頭がおかしくなったのかと思える光景ですが」

 

「私達はツカサがポケモンの言葉が分かるのを知っているからいいけど、知らない者から見たらぶっちゃけ狂人よね」

 

 

そんな会話がされているとはつゆ知らず、こうべを垂れたレックウザをモンスターボールに入れていた。

 

「まさかの切り札ゲットは嬉しいなぁ」

 

「ツカサー、今日は帰りましょ。そろそろ下準備も出来たでしょうし、明日から動くのがいいわね」

 

「確かあの日留守だった神社の博麗の巫女に挨拶をするんですよね」

 

「ええ。話を通さないで私達と回ると間違いなく異変扱いをしてあの子が襲ってくるわ」

 

「お土産とか用意して印象良くしておかなきゃ。それと出来るなら格闘の手合わせが出来る相手が欲しいです」

 

「それなら紅魔館か命蓮寺、鬼達もいいかもしれないわ」

 

フォルカを筆頭に鍛えていなかった事がバレると厳しいトレーニングを課せられるので必死に鍛え直すつもりらしい。

 

特に一番恐れているのが霊光云々の後継者にしようとしている老婦人であり、顔面がジャガイモみたいになるくらいボコボコにされた経験からガチでビビっている相手の一人だった。

 

「何処もヤバイ気がする……いや、でも幻海婆ちゃん達よりはマシかなぁ。気絶しないギリギリを攻める天才集団だったし」

 

「なにそれこわい」

 

 

 

そんなこんなで数日が経ち、日中は大体博麗神社でダラダラしていた。

 

「お賽銭に切りよく十万入れたら博麗さんから超VIP対応されたっけ」

 

お高い料理を食べてお土産にかおるキノコを貰い、それを売って食べるだけで何故か所持金が増える不思議。

 

「霊夢ったらツカサが木の実を分けて栽培するの勧めたら泣いて喜んでたわね」

 

「食べるのに困らないって素敵なんだよ」

 

 

「凄い! もう実がなったわ!」

 

そんな霊夢はニャースと共に様々な実を採って興奮している。

 

 

「それから出掛けた紅魔館の紅美鈴さんとの手合わせは最高だったなぁ……お陰でやっと安定した覇気が扱えるから、機神拳が本領発揮する」

 

気を使う彼女に指導をお願いして見てもらい、覇気は知識としては知っていたが実際に使える存在を見たのはツカサが初めてだったらしい。

 

「何で空が飛べないんですか!って詰め寄られて焦ってたわね」

 

「何で飛べるのが普通だと思うのか。普通の気を使う方法を教えてもらえるらしいから、鶴の爺ちゃんの空を飛ぶ技とか亀の爺ちゃんの必殺技が遂に出来るかもしれないと思うと胸熱」

 

「ツカサの手合わせをワイワイと見ていたツカサのポケモン達……凄い光景だったわ」

 

キュウコンは美しい鳴き声で声援をおくり、バンギラスとカイリューは手に汗握りながら応援、レックウザは興奮してグルグル上空を回っていたらしい。

 

「自衛手段も出来たし、これでポケモン達に集中出来るよ。何故か湖にいたアシマリも仲間になったし、メインメンバー後一体誰を仲間にしようか悩むなー」

 

一目惚れされる枠がアシマリだったらしく、湖近くで休憩中に水辺から寄って来てスリスリされ撫で撫でしている内に可愛くて仕方がなくなり、仲間になって欲しいとお願いして捕まえていた。

 

所持制限はないと自分ルールで決めたからか他にも多々捕まえている。

 

ユキワラシ♀は暑さにダウンしていたが、友達のアシマリに案内されたツカサに助けられて心地良いモンスターボールの中で快適に過ごしていた。

 

「あんなに威嚇したり問答無用で襲い掛かってきて凶暴だった子達がツカサの前だと大人しくなるのよね……」

 

「寧ろ紫さんが嘘吐いてるのかと思った。まぁ、紫さんにはめっちゃ唸って威嚇して襲い掛かろうとしてたけど」

 

 

「ニャース、まだ食べないのよ。更にこれを埋めて増やして増やして……それからだからね!」

 

「ニャー!」

 

 

「やるやる。だんだん管理が面倒になって食べ尽くしそうになって焦るまでがセット」

 

霊夢とニャースのやり取りを見て自分にもそんな時期があったと思い出していた。

 

「明日は守矢の神々に会いに行きましょうね」

 

「はーい。……すっげぇ嫌な予感するけど」

 

………

……

 

翌日、目立たないように眼鏡を付けて何故か男性がひしめき合う守矢神社に到着。

 

紫に連れられて行こうとしたが、面白い事を思いついた顔の紫に最後尾に並ぶように言われ大人しく従っていた。

 

落胆して帰る人達を見送りながらポケモンブリーダー用の最新版テキストを読み始めていた。

 

気がつくと目の前の人がおみくじを引く箱に手を入れており、無料で出来るから並んでたのかと納得しつつ鞄にテキストをしまっていた。

 

「お待たせしました! 貴方で最後ですね!」

 

「はい」

 

緑の髪に霊夢のように腋を出した青い袴の巫女服の少女が箱を差し出し、ツカサはその中に手を入れて掴もうとしたが………

 

 

「八雲紫、挨拶に来たはずなのにあの子は何で混ざってるんだい?」

 

「だって婿を決める為の催しを何も知らないまま色々やらせたら面白そうじゃない。今回も一人しか残ってないみたいだし」

 

「残ってるのも最低ライン下回ってるから失格だけどね。前回から増えた外来人に期待してたんだけど」

 

紫は二柱の神と共に引こうとするツカサを眺め、あーだこーだ言っていた。

 

 

「掴んでないのに手が抜けない不具合が起きてます」

 

「えっ」

 

「ぶっちゃけ気持ち悪いくらい手に張り付いてきてドラちゃんハンドみたいになってて抜けない。あ、取れ……これは呪いのおみくじボックスでござったか。それが拙者で発動するとは」

 

無理矢理引き抜くもまだ手にビッシリ紙が張り付き、箱の中に残された紙までもが飛び出して来て張り付いてドラちゃんハンドになっていた。

 

 

「「頂戴!」」

 

「絶対ダメ」

 

「何あれ何あの子!」

 

「頂戴よー!」

 

「私が協力してもらってる子なの。週に一度は外に戻さないといけないし、何より異性に興味はあってもポケモンがいるとそっちに付きっきりになるくらいのポケモン好きよ」

 

コンテスト番組の収録の件で週に一度は外に戻すと決めているらしく、その時にデートをして藍へのお土産を買ったりと満喫していた。

 

その時にツカサのレックウザは森にあった隕石を食べ、更にガリョウテンセイという技を思い出したらしくこちら側での最強の戦力になっている。

 

ツカサの切り札であるメガシンカも可能になり、伝説のポケモンでパートナーポジションに収まるという快挙を成し遂げといた。

 

「そんなのデメリットにもならないよ」

 

「だからはよ」

 

「本人がよくても立場がそれを許さないのよ。今は冒険に出てるって体だからいいけど、近い内にこちら側に来るのが難しくなるわ」

 

「へぇ、有名なお坊ちゃんか何か? それなら話を通して婿にするくらい軽い軽い」

 

「……カロスチャンピオンよ」

 

「「……は?」」

 

「カロスチャンピオン」

 

「……そんなオーラないよ!」

 

右手をブンブン振って紙を剥がそうとしているツカサを見てそう感じたらしい。

 

「ポケモン関係ないとあんなものよ。……そこがいいんだけど」

 

「人は見かけによらないとは言うけど……」

 

「霊力を隠すのが物凄く上手いから退魔師だと思ったのに……」

 

幻海にボッコボコにされながら必死にコントロールを覚え、一定以上の霊力と様々な者に鍛えられて下地が出来たのを確認すると修の行 呪霊錠を施されて地獄を見ていた。

 

次に会って鈍っていたら再び施されるのは確定的に明らかであり、ガチビビリしながら日々鍛え直している。

 

「貴女達の大事な子はツカサの左手を握って身体を寄せて、何か一方的に話し続けてるわよ。ツカサが引き攣った笑みを浮かべながらもう一人に助けを求める視線を向けてるけど、その子も謝りながらダッシュで階段降りて逃げて行ったわ」

 

「うわぁ……」

 

………

……

 

「東風谷早苗さんの目が怖い。可憐で清楚な容姿から放たれる野獣の眼光……」

 

「自分好みのドストライクな異性、しかも合格どころか即婿入り確定な霊力持ち。野獣の眼光にもなるわよ」

 

あの後すぐに助けられようやく落ち着き、嫌々ながら母屋に案内されていた。

 

 

「神奈子様、諏訪子様離してください! あの方が私の運命の人なんです!」

 

「早苗落ち着きな!」

 

「ちょっ、力強っ!」

 

遠くの部屋からそんな声とバタバタ暴れる音が聞こえ、ツカサは何故かウロウロしていたニョロモとアーボを撫で撫でして癒されていた。

 

 

「やだあんなストレートに運命の人とか言われたら好きになっちゃう」

 

「それ絶対言っちゃダメだからね」

 

 

「ほらツカサさんも私を好きだって言ってます!」

 

「かなり離れた部屋の声が聞こえてるのかい!?」

 

「いいから神奈子早く縛って!」

 

 

「なにあの子こわい」

 

「私も怖いわよ。完全にロックオンされてるじゃないの」

 

 

そしてツカサの人生で幾度目かの……

 

「ヒッ!?」

 

「追い詰めましたよー」

 

興奮して目が血走った早苗が二柱を振り切り部屋に突入、ツカサは慌てて逃げようとしたが逃げ道を塞がれ部屋の角へ追い詰められていた。

 

紫はあまりの形相に真っ先にスキマに飛び込んで逃げたらしく大ピンチだった。

 

「お、落ち着いて……ヒッ!」

 

「これで逃げられませんね」

 

俗に言う蝉ドンで完全に逃げ道を塞ぎ、ギラギラした血走った目を見開いて見下ろしている。

 

「怖い怖い怖い! 何この……何!?」

 

「好きな食べ物はなんですか? 好きなポケモンは? 好きな女の子の髪型は? 胸は大きい方がいいですよね?」

 

「神奈子早く! やばいよ早苗が今まで見た事がないくらいのアグレッシブ具合だよ!」

 

「そんなおかしな真似しないで普通にアプローチしなさい!」

 

 

それから二柱の神が何とか拘束して転がし、ツカサは額に青筋を浮かべながら戻って来た紫の頬を引っ張っていた。

 

「あっさり見捨てやがって。もう敬語も敬称も付けないからな」

 

「ごめんなひゃい」

 

「血走った目を見開いて笑う女の子はトラウマになるわ。普通にアプローチしてくれてたらなぁ……」

 

「本当に申し訳ない。……婿に関して諦めて受け入れてくれた所に、早苗好みで非の打ち所がない婿候補が来たからおかしくなって」

 

「縛られて猿轡されながらニョロモとアーボに見張られてるとかカオス」

 

 

どうにかみんな落ち着きテーブルを挟んで改めて自己紹介を終えたが、解放されても早苗は野獣の眼光でツカサを見ていた。

 

そしてニョロモとアーボが早苗からツカサを守ろうと両サイドに控えている。

 

神奈子と諏訪子は自分達のポケモンが自分達よりツカサに懐いている事にショックを受け、紫は扇子で口元を隠しながらニヤニヤしていた。

 

「長く一緒にいる私達よりもツカサのがいいなんて……」

 

「ニョロモぉ!」

 

「私もあっち側がいいです」

 

 

「セクハラしたら嫌いになったり……」

 

「ほらまた余計な事を言うから目を輝かせてるわよ」

 

「俺マジ帰って半年に一回来るか来ないかにするから」

 

「はいはい」

 

尚、紫が週一で連れて来る模様。

 




通常色レックウザはハルカが捕獲しているので、黒いレックウザと次回予定のもう一体のポケモンの為にこの世界を使わせてもらいました。

仕方ないと諦めた所に好みで色々合格な相手がいたら普通に形振り構わなくなるよね。


迷い込んだ世界の一つで全く歳を取らないままFIMBAで一流ブリーダーになって助手に後は任せて帰還。

次に迷い込んだ時には別大陸のIMaでブリーダーになって、とある大会で前助手現ブリーダーと再会し現助手と修羅場になったりもしてる。


ディスガイアのアサシンの為にガチャ回すか悩む。

去年どうしても欲しかったのに手に入らなかった水着マルタが復刻するまでガチャ力を貯めるべきか。

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