「床を踏んだら宇宙的な何かが見える……凄いジムだな。仲間になってから頼りにしすぎてるしルカリオを休ませて、マンムーロードで自ら捕まりに来たユキカブリ連れてくるべきか」
入り口で悩みに悩み、やはりそうしようとジムから出てポケモンセンターに急いだ。
悩みすぎたからか野次馬もセレナも既に居らず、預けて戻ってくるのもスムーズに済んでいる。
「ユキカブリ、何で捕まりに来たのかは分からないけどよろしくね」
「ゆきゅ!」
「……そして安定の女の子なんだよなぁ。リザードンとルカリオ以外捕まえるの全員女の子とかどうなってるのこれ」
ポケモンの♀を虜にするフェロモンでも出ているのかもしれない。
迷路のようになったジムの中を歩きながら宇宙を眺め、ザ・スーラみたいだなぁと考えている。
ユキカブリとはトレーナーと戦いながら仲良くなっていき、がくしゅうそうちで先輩達の戦いを見てそれを我が物として成長していく。
「おおっ、進化か」
「ゆひょお!!」
「ユキノオー、これからよろしく」
「ゆきゅ!」
「ひんやりー」
ハグをされて冷たいが受け入れていた。
そのままジムリーダーの元にトレーナー達を倒しながら進んでいき、ようやく到着している。
「あ……よろしくお願いします」
「これは儀式。これまでを振り返りつつ、これからの道を決めるもの。そうポケモン勝負、ジムリーダーゴジカと。いざ始めるとしましょう」
そう言うとふわっと浮き上がり、ボールも謎の力で勝手にバトルフィールドに飛んでいく。
「ファイアロー、頼んだ!」
ゴジカのボールからはシンボラーが現れ、ファイアローは警戒しながら羽ばたき滞空している。
「……ファイアロー、ブレイブバード!」
「シンボラー」
名前を呼ばれたシンボラーはツカサの指示を読んでいたかのようにファイアローの攻撃を避けている。
「例えメガシンカが出来なくたって俺達は……ファイアロー!!」
「っ……シンボラー、避けなさい!」
「キュイィィィ!!」
ツカサの声を聞いたファイアローは力が漲り、シンボラーとゴジカが読んだ展開を覆す為に睨みつけ鳴き声を上げて自らを鼓舞していた。
そのまま翼を折り畳み高速戦闘へと移行し、シンボラーが避けようが関係なく縦横無尽に飛び回っている。
そして避けきれなくなりバランスを崩したシンボラーに全力で突っ込み、そのままスピードを緩めず共にフィールドに叩きつけられた。
「まだやれそうだけどお疲れ様。ラプラス、頼んだ!」
「ヤドキング、がんばりなさい」
シンボラーは強力な一撃で倒れてボールに戻され、ファイアローは立ち上がると羽ばたいて元気アピールをしていたがボールに戻している。
そして互いに次のポケモンを場に出し、指示を出すタイミングを窺っていた。
「ラプラス、10まんボルト!」
「ヤドキング、あくび」
ラプラスから放たれた10まんボルトがヤドキングに直撃するも平然としており、更に余裕の現れかあくびまでされてラプラスもそれを見て少し眠くなっている。
「ラプラス、もう一度だ!」
「ヤドキング!」
流石に二度目は耐えられず、ぷすぷす聞こえてきそうなくらい黒く焦げてダウンしていた。
そのままラプラスはうとうとし始め、ツカサは無理をさせずにボールに戻している。
「ラプラスもお疲れ様。行こうか、ゲッコウガ!」
「さぁ、ニャオニクス」
ゲッコウガは公式での久々の出番に気合いバッチリで現れ、ニャオニクスも自身が最後だからと気合いが入っていた。
つい先程セレナとのバトルで見た相手ではあるが、ゲッコウガはキリッとした目で油断なくニャオニクスを見ている。
「ゲッコウガ、ハイドロ……」
「ニャオニクス、ねこだまし」
毎度のお約束でツカサは指示を先に出され、指示を待っていたゲッコウガはニャオニクスのねこだましで怯んでいた。
「今度こそハイドロポンプ!」
「ニャオニクス、めいそうなさい……」
ゲッコウガが印を結ぶと激しい水流がニャオニクスに襲いかかり吹き飛ばすも、痛み等がないかのように平然とした状態でめいそうをしている。
「そのまま畳み掛けるんだ! みずしゅりけん!」
「ゲコ」
ツカサをチラッと見てコクリと頷くとフィールドを走り出し、作り出したみずしゅりけんを投げ始めた。
ニャオニクスは目を閉じながら一発、二発と避けていたがハイドロポンプで撒き散らされた水に足を捕られ転倒、その隙を逃さずゲッコウガが作り出した三つのみずしゅりけんが間髪入れずにニャオニクスに襲いかかった。
「勝った……か?」
「あなた達なら星すら動かし、進むべき道を作り出せそう」
目を閉じたままダウンしたニャオニクスをボールに戻しながらそう告げている。
「ありがとうございます。……ゲッコウガ、格好良かったぞ。みずしゅりけん、ルカリオと練習してたもんな」
「ゲコ……」
褒められて恥ずかしそうに舌で顔を隠していた。
「これは証。あなた達がこれまでに歩んだ道程を形にした物。そう、サイキックバッジ」
「これで七個目……」
受け取ったバッジを見て呟き、カロスリーグまで後少しだとドキドキしている。
「これは一つの力。そう、技マシンめいそう。……命を与える力の目覚め、響く哀しみの声……あなたが関わる未来」
「俺が関わる未来……? それってどういう」
「それは運命。……そしてこれは道標。あなた、入口に戻りますか?」
「えっと……はい」
「では……」
そう言うとゴジカはツカサに手をかざし……
「え? 嘘、マジか。いつのまにか出口の前にいる……」
光に包まれたと思ったらジムの出口に居り、驚きながらもジムを後にした。
中で結構迷っていたらしく外に出ると既に昼も過ぎており、飯を食べようと考えていたら誰かに声をかけられた。
「ツカサ、アナタならサイキックバッジを手に入れたんでしょ」
「おぉ、セレナ。そんなめっちゃ走ってきて……ちょい残念だけども」
揺れないあれに少し残念がっていた。
「……旅が終わったら毎日アナタに勝負を挑もうかな」
「毎日って。友達に噂されたら恥ずかしいし……」
「だってお隣さんだもの。別にアタシは噂されても構わないんだけど?」
「やだ男らしい……。俺が傷ついて終わるパターンだから嫌なんだよなぁ……六歳くらいまで仲良かった子、他の子にからかわれたら全力で否定しててトラウマがががが」
そんな事があって即疎遠になりレッドやグリーンにべったり、仲良し三人組の絆が強くなっていた。
「とにかく強くなるには強いトレーナーと戦うのが一番……なにかしら?」
周囲のホロキャスターを持つ者達全員にホロメールが届いている。
………
……
…
『ホロキャスターを持つポケモントレーナー達よ、心して聞いてほしい。これよりフレア団は最終兵器を復活させ、我々以外を消し去り美しい世界を取り戻す。何も生み出さない輩が明日を食い潰していく……このままでは世界は醜い争いで覆われてしまうでしょう。繰り返します! フレア団は最終兵器を使い世界を一新します! フレア団以外のみなさん、残念ですがさようなら』
「フラダリ……やっぱりあいつは……」
ホロメールを見て今までの嫌な予感が的中した事を悟り、今回も叩き潰しに動く事を決めていた。
「……フラダリさん……何を言ってるの? 世界を浄化するって……フレア団以外を消すって……ツカサ! フレア団のアジトを探しましょ! フラダリさんが居そうなのって……やっぱり出会った場所、ミアレシティなのかしら……?」
セレナは一人でぶつぶつ言い始め、本人に真意を聞く為にアジトを探そうと提案していた。
「わかった! ……ユキノオーすまん、またルカリオと変わってもらう。今回の件が終わったら、今度こそ一緒に冒険しような」
ユキノオーが入っているボールを撫でながら呟いている。
ポケモンセンターでルカリオとユキノオーを入れ換え、他の皆もジム戦の疲れを僅かでも癒してもらおうとジョーイさんにお願いして普段は使わない機械による回復をお願いしていた。
そして一時間程でポケモンセンターを出て、ミアレに向かおうとファイアローをボールから出している。
「肩をしっかり掴んでね、落ちたら怖いから」
ファイアローにしっかりと肩を掴んでもらい、そらをとぶでミアレまで飛び始めた。
一緒に飛べるのがかなり嬉しかったらしく、出来るだけ速くと頼んだら空気抵抗等を考えずにミアレまで全力で飛ばれてしまい……
「し、死ぬ……呼吸出来なくて死ぬかと思った……」
「きゅいぃ……」
ポケモンセンター前の路上で仰向けに倒れ、息を吸って吐いてを繰り返して生きている事を実感していた。
心配して声を掛けてくれる人に大丈夫と手だけで答え、深呼吸をしながら何とか立ち上がっている。
「ふぅ……フレア団、絶対に許さねぇ!」
怒りは全てフレア団にぶつける事にしたらしく、絶対に許さない宣言をしていた。
絶対にここに居るはずだと、ツカサは怒りを抑えずにフラダリカフェに乗り込んでいる。
「今日はお帰りください、さもないと……」
「本日はお引き取りください、さもないと……」
だが男女の店員が立ちはだかり中に入れないようにしていた。
「おう、さっさとかかってこいや。俺はカエンジシの♂みたいなおっさんを探してんだよ」
数十秒後
「そこの家具にひらけゴマって言えばいいんだな」
「ゆ、許してください……」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
最初からクライマックスでメガルカリオに蹂躙され、圧倒的な差に二人とも震えて隅に蹲っている。
家具の前で合言葉を唱えると家具がスライドして入り口が現れ、そのまま中に入っていく。
「ようこそ」
「フラダリ、あんた」
すると入ってすぐにフラダリが待ち構えていた。
「世界はやがて行き詰る……全ての命は救えない。選ばれた人のみが明日への切符を手に入れる。……君は私と共に来る選ばれるべき人間だ。優秀な君なら、私が言いたい事を理解しているのだろう?」
「お断りなんだよなぁ……俺はまだ若いから、あんた程世界や人に絶望とかしてないし」
「ならばバトルで君が負けたのなら無理矢理にでも連れていく。君のような存在は世界が滅んだ後に必要だ」
「その方が分かりやすくて好きだわ」
そう言うと互いにバッと距離を取りながらモンスターボールを投げていた。
「コジョフー」
「ルカリオ、メガシンカ! そしてはどうだん!」
ボールから出るのと同時にキーストーンに触れ、着地する頃にはメガルカリオになっていた。
そしてフラダリが指示を出す前に放たれたはどうだんがコジョフーを吹き飛ばし、その一撃だけでダウンさせている。
「……カエンジシ、油断しないよう」
「くっ……は、はどうだん!」
まさかの♂のカエンジシに笑いを堪えながらメガルカリオに指示を出していた。
「クォン!」
「……グッ!」
かえんほうしゃを放とうとした顔面にはどうだんが直撃、そのまま倒れて動かなくなっている。
「……ギャラドス、いかくして攻撃力を下げ戦いやすく立ち回るように」
「だろうな。だからラプラスに交代だ」
フラダリのギャラドスにいかくされる前にメガルカリオをボールに戻し、出番だとラプラスを出していた。
「ギャラドス、げき……」
「ラプラス、10まんボルト!」
現役トレーナーのツカサの指示は早く、ギャラドスが暴れようと身構えた所にラプラスが放った電撃が直撃していた。
二重の弱点の技を受けて黒焦げになり、生きてはいるが地面に落ちて白目を剥いてピクリともしなくなっている。
「聞いていた以上に強い……ヤミカラス」
「ガタガタいってるからニンフィア!」
ボールがガタガタ動き、出せと騒がしいからニンフィアを出していた。
「ニンフィア、マジカルシャイン!」
「速い、そして正確……!」
ニンフィアから強力な閃光が放たれ、そのままヤミカラスを呑み込み壁まで吹き飛ばして叩きつけている。
「……君達の心の奥底で燃える信念の炎! いいぞ」
「俺の勝ちだな」
互いにボールにポケモンを戻し、ツカサは勝利宣言をしていた。
「君は私を止めようとしている。私はラボの利益で人を……世界を救おうとした。しかし、無力だった……。世界は大きく、そこにいるのは私の努力だけでは救えない愚かな人々……だから奪う方にまわったのだ!」
「あんた、やる事が極端すぎるだろ……」
「私の想いを分かってもらおうとは思わない。ただ最終兵器を止めるなら私達のラボを巡りなさい。……私の後ろにあるエレベーターのキーは君がこれまでに出会った、フレア団の科学者の誰かが持っている」
「あいつらか……あのバイザー的なの剥いで素顔も見てやろうかな」
「……大それた理想が世界を苦しめるのだ、いつか君にも分かる時が来る」
そう言うとエレベーターに乗って立ち去ってしまった。
「あ、フラダリから奪えばよかったんじゃ……まぁ、今更言っても仕方ないか。何か厨二病を拗らせたみたいな事を言ってたな」
フラダリラボの中を回りながら呟いていた。
回転床にワープパネルを使って探し回っていると発電所で出会って科学者と遭遇している。
「アハハッ、発電所にいた面白いトレーナーじゃない!」
「鍵おいてけ。なあ、科学者だ! 科学者だろお前!? なあ科学者だろうお前」
ようやく見つけた科学者に目をギラギラさせながら詰め寄っていく。
「ひっ!? ぐ、グラエナ!」
数分後
「ほ、ほんと面白いトレーナーね。下っ端よりも役に立ちそう」
「鍵も持ってないみたいだし、さっさと通してくれよ」
「ふふ……ワープパネルについては教えないけど」
「総当たりに決まってるだろ。今までもそうだったし」
今まで戦ってきた悪の組織は大体これで壊滅するくらいの被害を受けていた。
何を思ったのかヒーローっぽくルカリオキッドの仮面と貰った衣装に着替えて歩き始め、それからすぐに後悔して元の服に着替えようと考えて光の漏れている部屋に入っていった。
しかしそこには発電所で出会った謎の仮面戦士二人がおり、気配に気がつき振り返った二人と目があっている。
「謎の仮面戦士達?」
「り、リオルキッドが成長して……ルカリオキッドですわ!」
「本物のヒーローだ……」
「違うな。私は真実と理想の使者、ルカリオマスク! 君達は……ここはカロスの戦士達に任せよう。私は奥へと向かう、さらばだ!」
ボロが出ないうちに颯爽と去っていき、目立たない通路で着替えようと部屋を出てダッシュで離れた。
「お、お待ちになってくださいまし!」
「さ、サインを!」
………
……
…
「カロスでの人気具合はおかしいだろ……もうキッドじゃないから、呼ばれるならルカリオ仮面とかのがいいなぁ。とっさにルカリオマスクって名乗ったのは失敗だった。あの在庫処分的にやたら送られてきた限定やら特別やら抽選限定やらのDVDとBD、今度母さんにまとめて送ってもらおう」
恥ずかしいからと一度も観ておらず、どんな作品になっているか知らないままだった。
通路で着替え終えて科学者を探して歩いていると、また光が漏れている部屋が見えて中に入っていった。
「あーあ、マジでモテたいわ。ホウエン時代は興味なかった、シンオウ時代は少し興味あった。イッシュ時代はフウロさんを口説いていい感じになってたのに、メイちゃんが俺の足をグリグリしながら腕に抱きついてきて台無しになった……まぁ、フウロさんとはメールしてるからいいけど」
独り言を呟きながら入ると奥に科学者が二人いるのが確認でき、向こうはまだツカサに気がついていなかった。
「あら?」
「アラ?」
「どこかで見た顔」
「誰だったっけ?」
「わかんないけど」
「フレア団じゃないしやっつけようよ」
「うん、そうしよ」
「バイザーがゴツくてあまり可愛くないし、こいつら腹立つわぁ……」
そのまま二人を相手にバトルをしたが、手も足も出させず容赦なく倒していた。
「つよーい! ポケモンと心をあわせ戦うポケモントレーナー……仕方ありませんね、説明いたしましょう」
「発電所から得た電気を使い最終兵器を起動する準備を終えています。ですがそれだけでは使い物になりません。お分かりでしょうか? 最終兵器の為にポケモンから吸収したエネルギーが必要なのです。そう! 十番道路の列石はポケモンのエネルギーを奪い最終兵器へ送り込むモノです」
「十番道路に並んだ石は言わばポケモンのお墓。三千年前戦争を終わらせたという最終兵器は、多くのポケモンの命を奪う代物です。ですが私達フレア団の願いを成就させる為、尊い犠牲もやむをえません」
「マジでお前達って馬鹿なの? とりあえずこれはもう本気出すしかない」
やばい事を聞いてフラストレーションが溜まり、それをどうにかする覚悟が決まったツカサは最後の科学者を探し出していた。
そしてようやくエレベーターの鍵を手に入れられると近づいていく。
「おい、鍵を寄越せ」
「あら、フロストケイブの……今回は一人?」
「一人じゃない」
「あー、そっかー! ポケモンがいるもんね。ホロキャスターでトレーナーの情報を集めているから、貴方達の事も知っているけど。メガリングと最終兵器、どちらもポケモンのパワーを引き出すもの。あたし達似た事をしてるのよ」
「ポケモンとの絆も何もないお前達みたいな奴等とは違う、一緒にされるなんてヘドが出るわ」
本気を出したツカサの指示は更に戦いやすく、科学者のポケモン達は一度も動く事なく瞬く間に倒されていた。
「やはり強すぎる、貴方って完全にイレギュラーね……じゃじゃーん! 勇者はみごとエレベーターのキーを見つけた」
「こんな時じゃなかったらそれに付き合ってた」
キーを手渡されてそう呟いている。
「伝説のポケモンのパワー、命を与えるパワー。科学では解明できない不思議な能力。それを取り込み最終兵器で撃ち出せば世界はどうなるのか?」
「間違いなく最悪な展開になるだろうな。モヒカンが溢れる世界はごめんだよ」
急いでエレベーターの前に戻りキーを使って地下に降り、エレベーターから降りると更に階段を下っていく。
すると牢のような所の前で、フラダリがあの時に見た三メートル近い背の男と何か話している姿が見えた。
「聞け、フラダリに刃向かう者」
「ッ」
彼が語ったのはオトコの愛したポケモンと最終兵器が作られた経緯、かなり重く悲しい話でツカサは気分が沈み込んでいた。
「カギを取り返せ。あれは起動させてはならぬ、また全てが消える。私のようにいつ終わるとも分からぬ苦しみを味わいたいのか……!」
「彼はAZ。三千年前の王様と同じ名前だそうだ。何故だか最終兵器のカギを首からぶらさげていてね。さぁ、ツカサ。私の部屋に来なさい」
「……」
今は仕方ないと後を追い、エレベーターで更に下へと降りていった。
フラダリの部屋にはフラダリと男の科学者が何かを話しており、ツカサが来た事に気がつき振り向いた。
「スイッチ一つでここから最終兵器を起動できる。私にとって選ばれし者とは未来を変える可能性を持つ者! 最終兵器を起動させてしまうのか……それとも封じ込めておくのか。君の可能性を試すよ」
そう言い残してフラダリはツカサの横を抜けて立ち去っていく。
「おい、待て! 止め方を……」
「おおー、噂のオマエか待っていたゾ! オマエを調べる、ほら始めるゾ!」
「ちっ、さっさと片付けてフラダリを追わせてもらう!」
宣言通りにゲッコウガとメガルカリオで一蹴したが既に立ち去られてしまい、目の前の科学者を睨み付けている。
「なんだと! オマエすごいゾ! ワタシはオマエを認める。イコールいい事を教えてやる。最終兵器は三千年前カロスであった戦争を一瞬で終わらせた。その凄まじい力を使えばカロスのゴミ……愚かな人間達を消せるゾ! ワタシの背後にある青と赤のスイッチ、どちらかが最終兵器を起動させる為のスイッチだ」
「どっちものパターンだろこれ……青だ」
さっさと終わらせようと仕方なく青のスイッチを押している。
「せいかーい! だが最終兵器は動かすゾ! 正解なら停めてもいいと言っていたがワタシが許さないのだ。スイッチオン!」
「テメェ……!」
拳を握り締め全力で殴ろうと近づいていく。
「ほらオマエ、見ろ! モニタだ!」
映し出された映像はセキタイタウンの中央から現れた最終兵器が光を放ち、家々を薙ぎ払いながら花が咲くかのように展開していく姿だった。
「ほら見たか! 最終兵器咲いたゾ! フレア団以外を消し去るゾ!セキタイタウンに咲いたゾ! ボスの夢が叶い、美しい世界が生まれる!」
「……ふんっ!」
「ぐぎゃっ!!」
額に青筋を浮かべたツカサは科学者の男の顔面に容赦なく拳を叩き込み、その太った身体の持ち主が壁まで吹き飛び気絶するのを観てからセキタイへと向かっていった。