「撃て撃て!奴らを近づかせるな!!」
「嘘だろ?たかが虫如きにこんな・・・・。」
「カールグスタフを使え!上手く当てろよ。」
大陸での活動拠点を得た自衛隊・・・しかし、現地にて危険な大型生物の群れと遭遇、鎧虫と呼ばれる大型の甲虫は城塞都市での戦いで出た
戦死者達の腐臭を嗅ぎ付け、自衛隊の駐屯地まで迫っていた。
「小銃じゃ、歯が立たない!」
「流石に榴弾砲には耐えられない様だが、数が多すぎる・・どうにかならんのか?」
「現地住民にも被害が広がっております、パニックが発生して避難誘導が遅れております。」
「畜生!奴らどこから湧いて出てきやがった!」
奇声を発しながら突進してくる不気味な巨大甲虫・・・小さなもので成人男性ほど、大きなものに至っては軽自動車ほどの大きさがある、サソリとハサミムシを割った様な姿の生物、
その外殻は分厚く、小銃程度では効果が薄い様で、自衛隊も対処に手を焼いていた。
しかし、彼らの弱点は意外な事で判明したのであった。
キュオオオオオオオオオオオオオオォォオ!!?
「な・・・なんだ?テントを荒らしている奴らが急に苦しみだしたぞ?」
「見ろ!体を丸めて痙攣している!他の奴らもあそこには近付いていないみたいだ!」
放棄した天幕の中に侵入した鎧虫は、缶詰や乾パンなどの保存食を物色している最中に、偶然殺虫スプレーの缶を噛み砕き、爆散させ大量の殺虫成分が周囲にばらまかれる、
そして、付近の仲間を巻き込み集団で中毒死したのであった。
暫くして、農薬散布用のヘリコプターによる殺虫剤の広範囲散布により、城塞都市を襲撃していた鎧虫は殆ど死滅し、鎧虫騒動は幕を下ろすのであった。
「・・・・で、これは一体どういう事なんだ?」
「鎧虫の外殻を剥がしたり、肉をはぎ取ったり・・・お祭り騒ぎじゃないか」
「現地の方によると、鎧虫の外殻は武具にも雑貨にも利用できて、肉は食用になるんだとか。」
「殺虫剤かかっているのに大丈夫なのかねぇ・・・。」
「あ、毒で死んだ奴は肉は捨てて外殻だけ剥がしているみたいですよ?連中も毒殺したと言う認識は持っているみたいなので。」
「そうか、所で貴様、何食っているんだ?」
「いや、その、鎧虫の鋏のボイル・・・・。」
「おい馬鹿早まるな」
鎧虫、アーマードインセクト。
異世界に生息する大型の昆虫型生物の総称。
ムカデ型、サソリ型、アリ型など様々な種類の大型昆虫がおり、基本的に魔鉱石から放出されるエネルギーに暴露し続ける事によって発生する突然変異のものが多い。
水生型の鎧虫も生息しているので、最近日本近海に出没し、襲われたり網が切断されたりする事故が発生している。
しかし、水生の鎧虫は、エビやカニなどの味に似ているので新たな水産資源として期待されている面もある。
実は、昔からウミビトの武具に利用され、海の民に重宝されていたりする。