我が、日本国が異世界に転移した原因には諸説あるが、有力なのが魔鉱石の大規模な天然臨界による空間湾曲説と言う物だ。
当時、現在の日本がある位置にこの星特有の魔鉱石を含むマグマが高圧力下で発泡し、奇跡的ともいえる低確率で変性した魔鉱石が
粒子崩壊を起こしつつ大量のエネルギーを放出、日本本土の2倍ほどの範囲を吹き飛ばすスーパーボルケーノを起こし、膨大な魔鉱石のエネルギーは
空間を突き破り、たまたまこの星と同軸・同座標にあった地球の島国を飲み込み、大部分のエネルギーと交換する形で、
日本は、この世界の一部に組み込まれた。
別次元に存在する、我らが故郷、地球が現在どの様な状態かは知る術はないが、あれほどの噴火エネルギーが日本の在った位置に突如
現れたら日本海に面した国々は悲惨なことになっているだろう。
今現在は、マグマ溜まりの大部分が地球へ転移しているので、火山活動は落ち着いているが、これほどの力を秘めつつ当たり前の様に
この星に存在する魔鉱石と言う物質は、無限の可能性と危険性を持つ新資源なのではないだろうか?
「まったく、この世界の物には驚かされるよ。」
「文字通り、次元が違うと物理法則まで変わるもんなのかねぇ・・・。」
「魔鉱石は我々の常識を覆す奇跡の物質だ。」
「発熱・冷却・発電・送風・・・・あぁ、あと生物の突然変異誘発か。」
「人魚と異世界人の遺伝子がほぼ一致した事にも関係しているのかもな、同じ鉱物器官を持ち、骨格も一部共通しているし」
「案外、白人と黒人ほどの差しかないのかも知れんな、もしくは、チワワとゴールデンレトリバーくらいか・・・」
「流石に犬に例えるのは失礼じゃないのか?」
「はははっ、あぁ、そうだな全くだ。」
「どうしました?ニシモトさん?」
「あぁ、大陸での我が国の拠点に、とある国の使節団が来てね。」
「何か問題でも?」
「ウミビトの生息地でウミビト狩りをさせてほしいと言ってきたのさ、ふざけた話だ。」
「やっぱり、リクビトは乱暴者ね、私が捕えられたのが異空の民の漁船で良かったわ、すごく痛かったけど。」
「それは済まない事をしたね、でも、プリシラさんは、何故日本と積極的に交流を持とうと思ったの?」
「ニホンは大陸のリクビト達と違って、理性的に話せて、温厚な気質をもっているから、交渉するに足ると思ったのよ。」
「はは、それはどうも」
「リクビトとウミビトは祖を共にする種族だけど、海の国の中にはトカゲみたいな人たちも居るでしょ?」
「あぁ、あのサハギ・・・いやウミウロコビトね」
「見た目からリクビトに嫌われるから、何とか交渉して受け入れて貰おうと思ったのだけども、二つ返事で受け入れ許可してくれたのには驚いたわ」
「確かにインパクトはあったけど、話してみたら割といい人達じゃないか、彼らを受け入れるのは、やぶさかではないよ。」
「癒しの秘宝と不死の霊薬を持つウミビトとは違い、利用価値のあるものは背鰭と魔石の眼球のみ、リクビトは彼らを遊び半分で殺すわ」
「・・・・・・。」
「何が彼らを駆り立てるのかしらね・・・大昔は仲良くできていたのに・・。」
「西本教授、海の国の戦士長がお見えになりました。」
「お父様だわ、迎えに来てくれたのね。」
「では、また会いましょうプリシラさん、翻訳作業はまだまだ沢山あるから、これからもお世話になりますよ。」
「えぇ、では・・・。(それにしても、陸地でも動けるこのクルマイスって便利ね。)」