やれやれ、またもや魔物の被害か、最近増えてきているんだよね。
おっ?討伐依頼を受けてくれるのかい?最近君たち大活躍みたいじゃないか。
しかし、斑模様の制服か、軍隊の服にしては何とも地味と言うか奇妙と言うか・・。
え?森に潜むために使うって?なるほど、確かにその色なら森の中では見つけづらいかもね、街中で着るには目立つけどさ。
聞いての通り、村の住民や家畜を襲う、人食いトカゲの群れが近くの山に営巣してしまってね、あまりに危険過ぎて傭兵団も依頼を受けようとしないのさ。
炎を吐く様な事はしてこないんだけど、やたらと鱗が固い上に爪と牙に猛毒が仕込まれていてね、迂闊に接近できないから罠とかを仕掛けて仕留める事が多いんだけど、群れとなると数が多すぎてそれも効果が薄いし、どうしたもんか困っていたんだよ。
一番厄介なのが群れの長だね、あそこまで成長した人食いトカゲは、ちょっとした魔法も、デカい斧も通用しない、それこそ軍隊が死ぬ気でぶつからないと倒せないくらいに強いんだ。
え?罠は使わないのかって?いや、使っても効果が薄いし、深く掘ってもよじ登ってくるし、気休め程度にしかならないのさ、一応引っかかるけど下っ端と違って足止め程度にしか効果がないなぁ。
うん?なんて言ったの?罠に引っかかる程度の相手なら何とかなるって?
いやいや、話聞いていたかな?落とし穴程度の罠なら足止め程度にしかならないと言ったばかりだよ?それとも何か秘策があるとでも?
成程、落とし穴に引っかけた後、ありったけの火炎魔法をお見舞いするという認識で良いのかな?
まぁ、君たちの使う魔導は一般的な魔法使いのそれと桁が違うからね、一撃で不死身の人食いトカゲを仕留めてしまっても驚かないよ。
群れを統制しているだけあって、頭がやられたら、群れは散り散りになってしまう筈だよ、そうなれば傭兵団でも駆除する事は可能だね。
もっとも、君たちの場合は他の連中に獲物を奪われる前にすべて仕留めてしまいそうだけど
もし、人食いトカゲの事をもっと詳しく調べたいのなら奥に資料室があるから見に行くと良いよ、狩のノウハウもしっかり蓄積されているから参考程度にはなるんじゃないかな?
案内なら、そこにいるススビトに聞けばよいよ、あぁ、いかつい顔しているけど良い奴だよ、私たちは異種族に偏見を持っていないから、この町では普通に働いているのさ、こんな風にね。
この地方の領主様からの依頼だから、報酬は期待してよいと思うよ、それだけ重要な依頼という事さ、それじゃぁ武運を祈っているよ。
ススビト
力が強く、煤に汚れたような体色をもつ種族。
いわゆるオーク、一般的なリクビトに比べて力が強く、攻撃的だが、義理に熱く協力関係を結んだ相手に尽くす。
口腔からはみ出る程に発達した剣歯がいかつく、鼻は潰れた様に短いので、その外見から差別の対象になる事もある。
また、意外と知能レベルは高い為、学士を志す者も少数だが存在する。(ただし、人気職は戦士
ヴェノス・クラウロ 通称.人食いトカゲ
和名.ダイダイオオドクトカゲ
火吹きトカゲの近縁種で、特別なブレスを吐かない代わりに、爪と牙に強力な出血毒を持つ。
成熟した雄の個体をリーダーに大規模なハーレムを築くのは共通しているが、こちらは、生まれた子供が成熟するまで雄が群れを守る。
縄張りを狙う他の雄と、盛大な縄張り争いを繰り広げ、これに敗北すると生まれた子供と、孵化する前の卵を捕食され、群れの雌は勝者となった新リーダーの子供を産むことになる。
警戒色の色鮮やかな鱗は、鍛え抜かれた鋼なみに固く、その鱗の下には隆々と発達した筋肉があり、生半可な攻撃では仕掛ける側が怪我をしかねない。
ただし、腹部の皮はさほどでもなく、下側からの攻撃に滅法弱い為、棘を仕込んだ落とし穴で狩れる事もある。
それでも、リーダーの個体は頑丈で、腹部の皮も分厚くなっているので、傷を負わせることが出来ても致命打にはならない。
ヴェノス・クラウロの生息域にすむ文明は、このトカゲの鱗から武具を作る事もあり、特に腹部の皮は可動部分の最高の素材になると言う。