異空人/イクウビト   作:蟹アンテナ

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第137話  血の不文律

・・・・・・・異界の民に決して手を出してはならぬ、イクウビトを殺めればかの国は怒り狂い、火の雨を降らせ、光の矢が城壁を穿ち、屍山血河を築く事になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本が異世界大陸に進出してから、まだ地盤固めをしている段階の頃、トナーリア商業国とのコネで大陸の国々に日本の商品を売りに出し、日本の名を広める過程で少なくない日本人が現地人の襲撃に遭い命を落としていた。

 

魔力無しの蛮族、分不相応な技術、劣等種族に不似合いな品の数々・・・アルクス人の魔力でその人間の優劣を決める性質が、商談に訪れていた多くの日本人を凶刃に散らしていったのだ。

 

もちろん、日本側も黙ってはいなかった。

盗賊の場合、アジトを丸ごと焼き払い、爆破し、壊滅させる。

国が相手の時は、実行犯の引き渡しと公式の謝罪要求、被害の大きさや態度次第によっては特殊部隊の突撃もあった。

 

当初こそは未確認の島国の野蛮人が城塞都市ゴルグを占領し、分を弁えず大陸の作法を知らないまま言いがかりをつけてくると言う認識に過ぎなかったが、武力を行使して己の立場を知らしめてやろうと動いた勢力の殆どが返り討ちに遭い、亡国と化する光景を見せつけられては、とても魔力無しの野蛮人とは見なせなくなった。

 

魔力は間違いなく持っていない・・・それは確かなのだが、魔法としか説明のしようのない破壊力を持つ攻撃手段を持つ未知の種族であり、彼らの常識では測り切れない存在であるために大陸沿岸部の国々は不気味に映った。

 

それから、多くの国は日本に対して慎重に接するようになるのだが、大陸沿岸部の国々の対・日本対応方針が決まるまでに多くの血が流れたのは事実であった。

 

 

 

・・・・・これは、血の不文律が生まれるまでに夥しい量の血が流れた大地に染みた血の一滴・・・その一滴に過ぎない一つの出来事である。

 

 

戦禍に晒されて殆ど骨組みしか残っていない集落に、民間の支援団体が派遣され、村の生き残りに食料や医薬品などの物資を支援している時に悲劇は起きた。

 

大陸沿岸部の小国同士の戦争が終結し、焼け出された各集落の村人たちは、食料も寝床も失い途方に暮れているところ、未知の種族イクウビトが天幕や水と食料、そして医薬品までも持ち込んで、怪我人を治療してくれたのだ。

 

防衛が間に合わず、国境沿いの村々が蹂躙され困っていたとある小国は、最近国交を結んだニーポニアからの提案で戦災を受けた集落の支援をして貰う事を了承し、代わりに鉱山などの資源地帯の採掘許可をする交渉をしたのであった。

 

侵略を撥ね退け、逆侵攻して敵国の首都を抑えた小国は、得られた領土の検分と戦後処理を行うために一時的に動きが鈍るため、ニーポニア側の提案は正直有難かったのである。

 

しかし、戦争が終結した直後こそ隙があり、戦争で疲弊したところ、漁夫の利を得ようと第三国が襲撃してくる事も珍しくはないのだ。

 

たまたま、その襲撃が行われた場所は日本の民間支援団体が滞在する村跡である事も、その当時の彼らや大陸沿岸部の国々にとって大した違いは無かったのだ。

だが、後にそれは間違いであったと共通の認識を得ることになる。

 

 

『この穀物は、鍋一杯の水で煮込めば美味しくいただけますよ。』

 

『本当は何度か研ぐ必要がありますけど、これはそれが必要ない特別な穀物なんです。』

 

『ああ、何と感謝すれば・・・ニーポニアはとても情け深い国なのですね。』

 

『それが我々の仕事ですから!』

 

『しかし、大きな村だったんですね。もう少し大きかったら町と呼んでも良かったくらいに大きいです。』

 

魔物の生息地の近くを開拓して作られた場所なので、それほど高くないにせよ石を積み上げた防壁が村を囲っており、隠れながら弓を射るための遮蔽物も設けられている。

今でこそ瓦礫の山だが、ほんの少し前までは活気のある市場があったと言うのは本当の様だ。

 

『えぇ、えぇ、そうですね。隣国が攻めてきた時、すべての建物を破壊しなかったのもこの場所を拠点にするつもりだったのかもしれません。』

 

『この大陸はどこの国も常にほとんど戦い続けている様に思えます。誰も争わなくて済む平和な時代が来れば良いですね。』

 

『それが一番理想的なのでしょうけど、お国の意志によって戦わなければならないのですよ。ニーポニアは島国と聞いておりますが、争いとは無縁な平和なところだったんでしょうね?』

 

『そうでもありません、数十年前も大きな戦争があって、かなりの人口が戦災で失われております。』

 

『・・・そうなのですか、争いがいつまでも終わらないというのは悲しい事です。』

 

『まぁ、我々もそうならない様に努力しておりますし、いつかその努力も報われるものだと信じておりますよ。』

 

『さて・・・向こうの瓦礫を片付けに行きましょうかね。』

 

次の瞬間、村を囲っている防壁の一部が爆破され、武装した集団が現れ次々と矢が放たれる。

 

『あ゛・・・うん・・ぃぃ・・ぃ?』

 

『あぁあああっ!?』

 

『痛っ・・・ああっ!?は・・ぎぃ・・うぅっ・・・。』

 

先ほどまで会話していた村人の男性は頭部に矢が当たったらしく、悲鳴を上げる間もなく、何が起こったのか分からない表情のまま不自然な体勢で倒れていた。

 

『い・・一体何が・・はぁ・・はぁ・・。』

 

装飾が施された鎧を身にまとった男が近に倒れる村人を踏みつけながら叫ぶ

 

『聞くがよい蛮族共よ!たった今からこの村は我らが支配する!今すぐ投降せよ!』

 

『見てください、あの奇妙な出で立ちニッパ族です。』

 

兵士の一人が身分の高そうな鎧の男に耳打ちすると、男は嗜虐的な笑みを浮かべ、矢で射抜かれてしゃがみ込む支援団体の男性に近寄ってくる。

 

『貴様らが海の向こうから現れた蛮族共か、魔力無しの劣等種族と聞いていたが、本当に魔力を持たない様だな?』

 

『奇妙ですな、こんな焼け落ちた村にニッパ族がいるなんて』

 

『ぐっ・・・戦争に巻き込まれて家を失った人たちを助けるためだ・・・っ!』

 

突如剣の柄で殴り倒された後、金属の靴で頭を踏みつけられる。鎧の男は蔑んだ表情で口を開く

 

『誰が勝手に発言を許可した?ふん、使える物があれば拾っておこうと思っていたが、思わぬ収穫だな?』

 

『これは・・・見事な短刀です。他にも見たことが無い物が沢山箱に詰め込まれてます。』

 

『何だこの筒は?出っ張りをずらすと先っぽから光が出るぞ?何という光量だ。』

 

村人の中では抵抗する者も居るが、多勢に無勢、矢で射抜かれて槍で貫かれ、次々と無力化されて行く。

 

『これらは魔道具か?ふん、魔力無しの劣等種族が分不相応な物を・・・他にもあるのだろう?我らに献上するのだ。』

 

『何を勝手な・・・ぐああぁっ!?・・・くっ、これは村の復興のための物資だ!誰がお前らなんかに!!』

 

『反抗的な態度だな?魔力無しは魔力無しらしく、高等民族である我が国に従えば良いのだ。』

 

『言葉選びは慎重にするべきだったな?野蛮人め!』

 

兵士が棍棒を振り上げ、衝撃を感じたところで意識はそこで途絶えた。

だが、意識を失う直前に土煙が遠のく光景を目にし安堵した。仲間が逃げてくれたのだと・・・。

 

『う・・・ここは・・・?』

 

支援団体の男性は、身ぐるみをはがされて全裸で磔にされている事に気づく

 

『ぐぉ・・・痛っ・・指が・・・指が無い・・・。』

 

『ほう?まだ生きていたか?』

 

あの鎧の男が、侮蔑した表情で磔にされた支援団体の男性を見上げていた。

 

『丁度良い、幾つか用途不明の魔道具が見つかった。これは一体なんだ?』

 

その手には、薄い液晶画面の板が握られていた。

現代日本で広く流通されている携帯端末であるが、それには強い見覚えがあった。

 

『そ・・それは、妻の!・・妻をどうした!』

 

『ほぅ?あれはお前の女だったのか?ならば良いものを見せてやろう・・・。』

 

廃墟の扉が開かれ、扉の奥には沢山の人の遺体や女性が押し込まれており、兵士が一人の女性を連れてきた。

 

『あぁ・・・あな・・た・・・。』

 

首に縄が巻き付けられており、両腕は縛られ、服は剥ぎ取られ全裸の状態で、体中に傷や痣が出来ており、汚物にまみれていた。

 

『ユキ!!き・・貴様ら、許さない!妻に何をした!』

 

『劣等種族なりに中々良い体だったぞ?良い機会だ、お前たち、その女を好きにして良いぞ?この男に見せつけてやれ!』

 

『それは素晴らしい、有難き幸せ!』

 

『さぁ、可愛がってやろう、見ろ蛮族め!魔力を持つ高等民族の特権だ!』

 

『いやあああぁぁぁ!助け・・・あなたぁぁ!』

 

『やめろおおぉぉ!妻は・・ユキのお腹には子供が居るんだぞぉぉ!!』

 

支援団体の夫婦は、体の自由を奪われた上で弄ばれた。暴行され犯され、先ほどまで交流していた村人の遺体を廃材の山に放り投げられ火を付け燃やされるのを見せつけられ、その中には同僚の姿もあった。

 

『が・・はぁ・・・。』

 

磔にされていた支援団体の男性は、鎧の男に首を槍で貫かれた。そして、そのまま鋸のように槍を動かして首を切り落す。

 

『ふん、非協力的な態度を取っていたから悪いのだ。奴隷として生きる道もあったものを・・・。』

 

『いやぁ・・あなた・・・あな・・・あ・・・あぁぁぁっ・・。』

 

『ははははっ、こりゃいい!締りが良くなったぜ、じゃぁこっちも締め付けてやろうか!』

 

兵士が支援団体の女性を犯しながら首を絞めつけ、のけぞった直後、首の骨が折れる音がして動かなくなった。

 

『おい、魔道具の使い方を聞き出すのではなかったのか?』

 

『すみません、つい楽しくて調子に乗ってしまいました。』

 

支援団体の夫婦の遺体は、村人が焼かれている廃材の山に放り込まれてより強い生臭い煙が立ち上がる。

 

『何だ、ゴルグガニアを滅ぼしたと聞いていたが、大したことではないではないか?』

 

『戦争で弱ったこの国を攻めるついでにゴルグガニアも奪還してしまいましょう!幸い血縁関係のある貴族も我が国に居ますので・・・。』

 

『ふむ、かの国も油断があったからこそ蛮族に付け込まれたのだろう、我が国ともそれなりに交流があったのだ、分を弁えぬ蛮族に鉄槌を下すのも悪くはない・・・か?』

 

『さて、もう夜も更けてまいりましたし、兵士にも休憩を取らした方が良いでしょう。』

 

『ふふふ、今回の獲物は中々の上物だったからなぁ?体も疲れるだろう。』

 

『では、私も失礼させていただき・・ま゛!?』

 

突如兵士の側頭部が弾け、次々と周りの兵士たちも悲鳴を上げながら血を噴き出して倒れて行く。

 

『な・・・何が起きた!報告せ・・・げぁぁっ・・・』

 

身分の高そうな鎧の男は、胴体に灼熱感を感じるとともに自分の鎧が穴だらけになっていることに気づき、次第に意識が薄れていった。

 

村の襲撃から逃れ、電波の通じるところまで到達した支援団体の車両は、直ぐに村で起きた惨劇を伝え、自衛隊が出動したのだ。

 

「屑野郎どもめ・・・・。」

 

「国境付近の村々への同時襲撃・・・やってくれたな。」

 

「こんな・・・こんな事が許されるというのか?ゴルグの犠牲となった使節団の件と言い、この大陸の連中は!」

 

「憤りは分かる、だが、今は遺体の確認だ。所持品を調べろ。」

 

「分かっている、畜生!この落とし前、どうつけてやっ・・・!?」

 

「そうだ、落とし前を付けるために証拠品が必要なんだ。」

 

若い自衛官は怒りの感情をむき出しに、襲撃者を睨みつけ叫んでいたが、彼をたしなめた中年の自衛官は表情が抜け落ちていた。それはまるで能面のように、しかしその内側に煮えたぎる怒りが秘められている事を目を見れば理解できる。

それ故に、若い自衛官は思わず息をのんだ。この場にいる自衛隊員は皆烈火のごとく怒りを燃やしているのであった。

 

「魔石を使って村の防壁を爆破したのか・・・これは、リクビトの魔石を使ったのか?」

 

「この魔石を宿していた者も奴らの犠牲者か・・・やるせないな・・・。」

 

現場を調査していると、顔の穴と言う穴から血を噴き出している鎧の男の首に光るものが下げられているのを見つける。

 

「これは・・・護符か?ふん、律儀に紋章まで描かれているぜ?」

 

「これで黒だな、これは例の国の貴族の家紋か・・・。」

 

「まったく・・・大陸に派遣される自衛官が全然足りていないとは言え、襲撃を許してしまうとは・・・」

 

「戦争で弱ったところに第三国が襲撃・・・考えてみれば起こりえる事だったな。」

 

「しかし、大義名分がないだろう?チャンスであるのは間違いないが、どういった名目で此処や他の国境付近の村を襲撃したんだ?」

 

「連中に聞きだしてみないと分からんだろう?兎に角、状況を確認次第、本国に連絡しよう。」

 

その後、日本が支援団体を派遣していた小国と日本は、襲撃者の所持物から国境付近の集落を襲った国を特定して弾劾した。

 

 

 

それから暫くして、ある国に自衛隊の装甲車が複数派遣され、国境を任される領主の邸宅に向かっていた。

 

「石で積まれただけの薄い壁だ!こいつで吹っ飛ばしてやる!」

 

「よしっ!ってぇぇぇ!!」

 

停車していた96式装輪装甲車の上部からカールグスタフが放たれ、轟音と共に土煙を上げながら防壁の扉は粉々に砕け散り、アクセル全開で吹き飛ばされた門の残骸を乗り越え領主の邸宅へと突き進む。

 

『な・・・何だあの化け物は!』

 

『鎧虫だぁぁ!矢を放て!魔術師は魔法で応せ・・。』

 

 

ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!

 

上部に備え付けられたブローニングM2重機関銃が火を噴き、異常を感じて集まってきた衛兵たちを肉片に変える。

 

『ぎゃあああああああああああ!!!』

 

領主の邸宅へ96式装輪装甲車が突っ込み、機銃掃射を生き残った衛兵を引き飛ばしながら邸宅の中庭へ滑り込み、後方油圧式ランプドアが開き自衛隊員が降車し、96式装輪装甲車を盾にして陣を構える。

 

兵舎から次から次へと兵士が吐き出されて来るが、96式装輪装甲車上部からブローニングM2重機関銃が、降車した自衛隊員からはMINIMIや89式5.56mm小銃が火を噴き、その十字砲火によって屍の山と化す。それは、戦闘と言うよりもただ淡々と作業をこなすように処理されていった。

 

邸宅の門へドアブリーチャーが取り付けられ、指向性の爆発が門を砕き、ハンドサインで指示し、自衛隊が突入する。

 

『ひ・・・ひいいいいいぃぃ!!!』

 

『お・・お助けおおおぉぉ!!!』

 

下男などの非戦闘員は、悲鳴を上げて逃げ惑い、自衛隊は銃を油断なく構えながら、各フロアをクリアリングする。

 

『蛮族どもめ!良くも我らの主の館に土足で踏み込んでくれたな!!』

 

『万死に値する!死ぬがよい!!』

 

領主の護衛の私兵団が突如ドアから飛び出し、自衛官に切りかかるが、89式の銃身で青銅の剣をいなし、銃剣を喉に滑り込ませて切り殺す。

喉を抑えて死にゆく私兵を蹴り飛ばし、控えていた残りの私兵をバースト射撃で射殺し、部屋の奥で逃走を図っていた領主を、銃床で殴り倒し拘束する。

 

『ぐあっ!・・・き・・貴様ら、こんな事をしてただで済むと思っているのか!?』

 

『難民キャンプと支援団体職員の襲撃を指示したのは貴様だな!言え!!』

 

鬼のような形相で領主の襟首を掴む自衛官

 

『支援団体?あぁ、最近ニッパ族がここ周辺をうろついていると聞いていたが、あの村にも居たのか?魔力無しを駆除して何が悪い?』

 

『・・・何だと?』

 

『魔力無しの劣等種族は、我らに従い奴隷となるのが天命なのだ。小動物すら持っている魔力を持たない貴様らなぞ・・・・がはぁぁ!!?』

 

彼は悪びれる事なく聞くに堪えない罵声を浴びせ、抵抗姿勢を見せたため、自衛官の拳が領主のこめかみにめり込む。

鉄拳制裁を食らった領主は横に1回転し倒れ伏し、意識を刈り取られ、日本ゴルグ自治区まで移送される事になる。

 

74式戦車1両と96式装輪装甲車数両の編隊で、某国に向かった自衛隊と使節団は、襲撃者の所持していた家紋が描かれた護符と、領主の所持品を持ち、王城へと詰めかけた。

 

 

『これは、あの領主が勝手にやった事だ。我は貴国と争う事を望んでいない!』

 

国王が顔を真っ青にし、唾をまき散らしながら叫ぶ。

 

『しかし、我が国の民が犠牲になっておるのです。その責任は取って頂きますよ。』

 

平坦な声で外務省の使節は現場写真と、押収された証拠品を突き付ける。

 

 

『だが、犠牲者と言っても貴族ではないのだろう?こういった事は、どの国でも起こりうる事なのだ。悲劇は悲劇であるが一人二人程度でここまで騒ぐ必要があるのか疑問である。』

 

まるで何が問題なのか?と言う困惑した表情で、使節に言葉を返すが、それが外務省の使節の逆鱗に触れる。

 

『っっ!!我が国には貴族は存在しない!農村で働く農民だろうが、都市で働く知識労働者だろうが、日本国民の一人一人はかけがえのない守るべき民であるのだ!それを、そんな身勝手な理由で・・無責任で失ってたまるものか!!』

 

『な・・・何故そこまで憤る?貴族が存在しないならば、どのようにして国を纏める者同士に話を付けるというのだ?まさか、愚かな民衆に任せるとは言えまい?』

 

聞こえない程度に、息を吐き出すと、国王を睨みつけ言葉を返す。

 

『我が国は民主主義ですので・・・いや、それよりも、貴国にはきっちり責任を取らせて頂きます。難民キャンプの村人と支援団体職員を殺めた賠償、そして破壊した施設や物資への補償などは払って頂きます。』

 

『・・・領主の私財を取り上げ補償に回す。領地は流石にやれないが・・・。』

 

『領地は結構です。それに、彼らの命は戻ってこないのですから・・・。』

 

領主の私財は金品・宝飾品など全て賠償や補償で日本に渡り、邸宅は解体され、領民は自衛隊の戦いを目撃した恐怖から、別の領へ逃げ出す者が増え、領地は人が殆どいないもぬけの殻の様な状態になっていった。

 

盛大に日本に顰蹙を買った某国の国王は最後まで事の深刻さを理解できていなかった。

暫くすると、国交を結んでいた国々から輸入品が届かなくなり、不自然な落盤などで鉱山地帯が塞がれ、次第に国がやせ衰えていった。

 

『何故だ、何故こんな事になってしまったのだ・・・。』

 

しかし、国の不満を外部に向けようとしても、周辺諸国は何処からか手に入れたのか、高性能な武具を身に着けており、太刀打ちできなくなっていた。

 

魔物の生息地に隣接するかの国は、どこの国に襲撃されるまでもなく、魔物の群れに飲み込まれ大陸から消え去るのであった・・・。




もうちょっと長くしたかったけど、力尽きましたOTL
でも、大小さまざまこの手の事件は起きております。

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2019/10/16

ちょっと中途半端な出来だったのでシーンを追加しました。

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