異空人/イクウビト   作:蟹アンテナ

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第119話  呪われし種族

大陸中央部に進出を開始した日本は、ケーマニス王国と国交を結び、この世界の常識では考えられない速度で、港町は拡張が進んでいる。

 

流石に大型船が入港できるほどの港を作るには大量の資材と時間がかかるので、小型船に荷物を乗せ、少しずつ資材や交易品などを運び荷揚げをしており、港町の使われていない空き地に、次々とプレハブ小屋が建てられていた。

 

「これは王都に運ぶ分、それとこっちの方はそこの作りかけの奴の部品だからそっちに運んで」

 

「わかりました。」

 

上司と思われる男性が、作業員に指示を出し、ダンボールが山積みにされたカートを集積所に運ばせる。

 

作業員の後姿を見届けた後、休憩所に設けられた喫煙室に入り、煙草を取り出すと同期の知り合いが入って来た。

 

「おう、お疲れ。」

 

「えぇお疲れ様です。本当は港町の開発に集中したい所ですが、王都側の要望で野獣対策の防壁の強化も同時並行に行わなきゃいけないのが辛い所ですね。」

 

苦笑いしながら二人とも同時に煙草に点火する。

 

「まぁ、向こうとしては四六時中隣の森からの鎧虫や魔獣の襲撃に警戒しなきゃいけないんだから、頑丈な防壁はどうしても欲しいんだろう。」

 

「主要な所は石造りの頑丈な防壁に覆われてはいるものの、それ以外は木の柵だったり、土を盛り上げただけの物だったり粗末な作りですからね・・・。」

 

「既に作業員が数名襲われているらしい、同行していた猟師が鎧虫を射殺しているから今のところ被害は出ていないが、決して油断はしてはならないな。」

 

眉にしわ寄せながら、煙を吐き出す。

 

「そう言えば、王都に住む商人の方から石造りの防壁を建設する時、相当な被害を出しながら500年ほど前に完成させたと言う言い伝えがあると聞いた事があります。」

 

「隣国からの干渉を避けるために、あの位置に首都を構えなければならない事情があったにせよ、随分と無茶をしたもんだな、武器と言ったって青銅器か下手すると磨製石器だろう?建国できたこと自体が奇跡みたいなもんだな。」

 

「今は大分衰えてしまったそうですが、当時はリクビトでも強力な魔法を使えたらしいですよ?何故か魔力が薄まってしまい、強い魔力を持つ子供が生まれるのは稀だそうです。」

 

興味深そうな顔をすると、吸っていた煙草を灰皿に押し付け、水の張った吸い殻入れに吸い殻を捨てる。

 

「成程、魔法ありきの文明か・・・この生存競争の過酷な星で、異星人類が何故絶滅しなかったのか疑問だが、もしかすると魔法と言う不思議な力が彼らを繁栄させ、文明を持たせたのかもしれんな。」

 

「我々地球人に似てはいるものの、根本的に別の生き物なんだなぁと実感する所ですね。」

 

「あぁ、しかし何故日に日に魔力が薄まっているんだろうな?」

 

「さぁ?そこは学者さん達が調べてくれるでしょう。」

 

「そうだな・・・さて、休憩も終わりだ、先に作業に戻るよ。」

 

 

 

ケーマニス王国は異世界から現れたと言う国、日本と国交を結んだことで、首都やその周辺地域は大いに発展し始めていた。

 

港町の拡張、鉱山の補強工事、大森林方面の防壁強化など、インフラ整備が急ピッチで進められているが、途中隣国にそそのかされたと思われる盗賊の襲撃や、人食い族と思われる者の乱入などトラブルはあったものの、日本向けの資源輸出の為の下準備は確実に進んでいた。

 

 

「ふーむ・・・見事に切断されているな・・・。」

 

人食い族らしき男に切断された74式戦車の主砲を調べるエンジニアは、興味深そうに切断面を眺めている。

 

「これだけ分厚い金属の筒を切断するとは、一体どうやったんだ?抵抗もなく切れたみたいに断面がすべすべしてやがる。」

 

「外部からの圧力で引き千切られた様な形跡もなし・・・まるで、最初からこういう形だったみたいな・・・。」

 

手で撫で、角度を変えて覗き、手の甲で軽く叩くが、難しそうな表情で首を傾げる。

 

「何にせよ、日本に持ち帰って精密検査しないと何とも言えないな。」

 

砲塔が破損した74式戦車は、トラックに乗せられてケーマニス王国の港町へと運ばれていった。

 

 

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ケーマニス王国首都外周部、新設防壁建築現場

 

 

 

「オーライ!オーライ!はい!ストップーー!!」

 

鉄筋コンクリート造りの防壁は、少しずつ形作られ、これが完成すれば日本ゴルグ自治区を覆うものと同等の12メートルほどの巨大防壁となる予定である。

 

「はー・・・大分熱くなって来たなぁ・・。」

 

首に巻き付けた濡れタオルで、額をぬぐう作業員

 

「まぁ、日本よりは涼しい気候だからマシな方だろう?」

 

「あぁ、本国の連中は大変だよなぁ?湿気のせいで木陰でも蒸し暑ったらありゃしないだろうし・・。」

 

「しかし、野獣対策にどんだけデカく作るんだか、確かに鎧虫とかいう化け物昆虫はおっかないが、精々猪や熊くらいの脅威だろ?」

 

「いや、何でも滅多に現れないらしいけど怪獣映画に出て来そうな巨大生物が現れる事があるらしいよ?」

 

「は?ま・・マジかよ?俺達大丈夫だよな?」

 

太陽光線を浴びて火照っていた顔が、見る見るうちに青ざめて行く。

 

「現地の人達が言うには100年周期くらいじゃないかと言われているみたいだから、そうそうゴジラに出くわすことも無いでしょ?」

 

「な・・ならいいんだけどよぉ?」

 

ほっと一息を突いた瞬間、遠雷の様に木が倒れる様な音が響いてきた。

 

「な・・・なんだ!?」

 

「凄い土煙・・・大森林の方だ、結構遠い・・・。」

 

「まさか、その怪獣映画に出て来そうな奴じゃないだろうな?」

 

「と・・兎に角、念のために避難準備をしよう、自衛隊にも通報しなきゃ・・・。」

 

 

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それより少し前・・・。

 

 

『先日相まみえた鎧虫よりも更に大物だな・・・。』

 

大森林と大陸中央部玄関口との境目に、巨大な影が木々を薙ぎ倒しながら、ゆっくりと移動している。

 

『甲獣か・・・外殻が青白く光り輝いている、まさかあれは全て魔石だと言うのか?』

 

雨風に晒された様な、古びたフードを被った浅黒い肌の男が、丘の上から甲獣と思われる巨大生物を眺めている。

 

『進行方向が不味いな、あのままでは村の方に行ってしまう、やろうと思えばやれる・・・のか?』

 

丘の上から飛び降り、木の枝を伝いながら猿の様に飛び移り甲獣との距離を一気に詰める。

 

『何という巨大な甲獣・・・文献にも載っていない、いや、海を越えてやってきたあの鎧虫にも手傷を負わせることが出来たのだ・・・一撃で仕留める!!』

 

巾着袋から魔石の欠片を取り出すと、手のひらに乗せ包帯で固定する。

そして、腕に複雑な光り輝く模様が浮かび上がり、手刀で切り裂くような動作をしながら甲獣の首の上に振り下ろした。

 

ヴンッと言う風切り音とも電子音ともつかぬ独特の音を響かせて、青白い閃光が甲獣の首を一閃する。

 

・・・しかし

 

ジジジ・・・バチバチッ!!

 

『な・・・何!?』

 

フードを被った男の姿を視界に入れた時点で、甲獣は外殻を逆立たせ、甲殻の先端や甲殻の隙間から青白い光を放つと、膨大な魔力が渦巻き、光の刃を打ち消したのであった。

 

『く・・ふっ、何だこの魔力は・・・あの魔法が打ち消されるなど・・・。』

 

フードの男が放った光の刃を打ち消した甲獣は、攻撃されたと判断し、地面を打ち鳴らしながら外殻を更に青白く輝かせる。

 

(な・・・何故だ?息が詰まる・・・これは一体・・・。)

 

甲獣から放たれる魔力の奔流は、その周辺の生物の体内魔石に反応し、強制的に活性化状態にさせる。

 

体内魔石の制御が出来ず、魔力を乱されたフードの男は、激しい動悸と共に片膝をつき体中に油汗を浮かべていた。

 

くわあああぁぁぁぁぁっ!!!

 

山の様に巨大な甲獣は、熊の様に二足で立ち上がり、前脚を振り上げるとそのまま、フードの男めがけて爪を振り下ろした。

 

 

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現地住民や防壁の建造をしている作業員からの通報を受けて、ケーマニス王国に駐屯していた自衛隊が駆けつけ、今なお轟音が響く大森林の方面を観測した。

 

小型ドローンから送られてくる映像を見ると、古代重甲獣に匹敵する体格を持った巨大な甲獣が、何者かと交戦している姿が映し出されていた。

 

「何だあのどデカい甲獣は・・・。」

 

「既存のデータには載っていない・・・つまり、完全新種か?」

 

「誰かが襲われているぞ!?・・・いや、まて・・・こいつは・・。」

 

映像を拡大すると、浅黒い肌の男が魔法と思われるものを放ちながら、甲獣と戦っている様子が良く分かる。

しかも、一瞬姿が消えたと思えば、甲獣との距離をつめ、同じ速度で離脱すると言う明らかに人間離れした動きをしていた。

 

だがしかし・・・・。

 

「あっ!弾き飛ばされた!!」

 

時折、動きが鈍り隙を晒して甲獣の反撃を食らっている様だ。

 

「おい、もしかしてこの男は74式戦車を破損させた奴じゃないか?」

 

自衛官たちの視線が、モニターに集まる。

 

「間違いない、奴はあの時・・・の・・・?」

 

甲獣の攻撃をギリギリの所で回避を続けるが、かすっただけでも体ごと弾き飛ばされてしまうので男の服はボロボロに破れていた。

フードが引き裂かれ、男の素顔が露わになると、映像を見ていた自衛官たちは思わず息をのんだ。

 

「笹の様な形の耳・・・・黒い・・・トワビト!?」

 

「いや、まて・・・コイツ角生えていないか?」

 

「トワビトに近い種族なのかもしれない・・・いや、彼らとの関係は不明だが、救助せねば!!」

 

「しかし、こちらは彼から攻撃を受けたんですよ!?」

 

「どの道、あのままではケーマニス王国の街道に出てしまう!被害が出てからでは遅いんだぞ!!」

 

 

ケーマニス王国の一角に設けられた駐屯地から96式装輪装甲車が発車する。

防壁の建設現場からは離れたが、甲獣は街道方面へと向かっている。

 

自衛隊は被害が出る前に、未確認種の甲獣を駆除するべく街道を全力疾走する。

 

 

 

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日本側からの通報で、ケーマニス王国の首都やその周辺地域の村は、混乱状態に陥っていた。

遠目からでも確認できるほどの土煙と、地の底から響いてくる様な甲獣の咆哮によって住民たちは恐怖に陥っていた。

 

『大森林の主が現れたらしいぞ!?』

 

『騎士団は一体何をやっているんだ!?』

 

『ニーポニスの連中は逃げちまったのか?くそっ、そりゃ鎧虫じゃ甲獣には勝てないだろうよ!!』

 

『折角ここまで開拓した村をまた捨てなきゃいけないのか・・・そんな、あんまりだ・・・。』

 

 

ドーン!!パラパラ・・・・。

 

 

冗談のように高く打ち上げられた木片が、街道付近の集落の屋根に降りかかる。

 

くわあああぁぁぁぁぁっ!!!

 

 

甲獣の咆哮が、もう既に間近に迫っていた。

 

『も・・・もうお終いだあぁぁ!!』

 

 

甲獣が村を押しつぶそうとするその瞬間・・・・。

 

ぐぎゃおおおおおぉぉぉぉぉぉん!!?

 

 

青白い光を放っていた外殻が激しい金属音を響かせながら削れ、大量の血液をまき散らし苦しみ始めた。

 

M2重機関銃を乱射しながら96式装輪装甲車が村との間に割り込み、甲獣を牽制する。

 

激昂した甲獣は、目が眩まんばかりに外殻を発光させると、光が頭部に集まり、口腔から青白い奔流が放たれる。

 

この星の一部の生物が放つことが確認されている、衝撃波ブレスである。

しかし、飛竜の放つそれとは桁外れの魔力量の衝撃波ブレスは、魔光特有の青白い光を放ち地面が抉れるほどの威力を持っていた。

 

「うわっぷ!?な・・何じゃありゃぁ?」

 

「あんなの食らったら一瞬でお陀仏だぞ!?」

 

「主力戦車の正面装甲ならあるいは・・・いや、試すには危険過ぎるか・・・。」

 

「言っている場合か!早く村と街道から引き離すんだ!」

 

M2重機関銃を浴びせながら、時折放たれるブレスを回避し、舗装が進んでいない悪路を走り少しずつ距離を離して行く。

 

「あのブレスは長距離まで届かないみたいだな、良し十分離したぞ!!」

 

十分に距離を取り停車した96式装輪装甲車の後部ハッチが開かれると、パンツァーファウスト3を持った自衛官たちが次々と降りて来て、突進を続ける甲獣に照準を向けた。

 

「あれだけの巨体だ、1発じゃ倒せないかもしれない。」

 

「カールグスタフを弾いた奴もいるんだろう?これで倒せるのか?」

 

「やるしかないさ、タイミングをずらして頭部を狙え!」

 

「後方の安全良し!」

 

「てぇっ!!」

 

 

信管を引き延ばされた対戦車榴弾が発射され、安定尾翼が開き、ロケットモーターに点火され加速しながら甲獣に向かって直進する。

 

横風に煽られた初弾は、甲獣の前脚片方を破壊し、次に放たれたものは胸部の外殻を深くえぐり、最後の一発は頭部に着弾し下顎だけを残し甲獣の頭部は吹き飛ばされた。

 

 

明らかに致命傷、あばら骨をむき出しにし、頭部を失った甲獣は土煙と共にその巨体を横たえたのであった。

 

 

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「・・・・それで、結局あの甲獣は一体何だったんだ?」

 

「骨格的に、過去に遭遇した古代重甲獣と共通する部分が確認されたそうです。恐らく近縁種かと・・・。」

 

「はぁ、少なくともあの化け物の近縁種が確認されたと言う事は、他にも似たような奴が存在する可能性があると言う訳だ・・・嫌になっちまうね。」

 

「そう言えば、奴と戦っていた男はどうなったんだ?」

 

「街道付近に出るまで姿を確認できていましたが、甲獣が爪を振り下ろしたときに姿が消えてしまいましたね・・・。」

 

「・・・となると彼は既に・・・・。」

 

未確認種の甲獣の死骸を調査していると、街道付近の村の様子がおかしい事に気付く。

 

「一体何の騒ぎだ?」

 

 

街道付近の村の住人たちが、敵意に満ちた目線で傷つき倒れている銀髪の浅黒い肌を持つ男を見つめていた。

 

『人食い族だ!人食い族が居るぞ!』

 

『忌々しい化け物め!きっとコイツが甲獣を嗾けたんだ!』

 

『殺せ殺せ!目を覚ますと何をするかわからないぞ!』

 

誰かが石を男に投げつけると、それをきっかけに次々と石や木片、陶器などが投げつけられる。

意識を失った男は無防備に、それを受け額に尖った石が当たると皮膚が裂け大量の血が流れ始める。

 

『これで止めだ!!』

 

興奮した村人が青銅製の鍬を振り上げると、96式装輪装甲車のクラクションが鳴り、村人は驚いて手を止めて振り返った。

 

『そこまでにして頂きたい。』

 

『彼は重要参考人だ、我々に引き渡して欲しい。』

 

村人たちは、あの甲獣を馬鹿げた威力の魔法で打ち倒した異国の兵士の姿に息をのみ、すぐそこに倒れている人食い族の男と自衛官を交互に見る。

 

『に・・・ニーポニスの騎士様・・・こ・・こいつは人食い族ですぞ?』

 

『コイツは我が国にあの甲獣を嗾けたんでさぁ!!』

 

自衛官の一人が、倒れている男に駆け寄り、呼吸と脈があるか調べ始める。

 

『いいえ、我々は空から観測した限りでは彼もあの甲獣に襲われていました。恐らく甲獣は既に獲物を探して大森林の外に出ようとしていたのでしょう。』

 

村人たちの顔が青ざめる。

 

『し・・しかし、コイツはどの道人食い族には代わりねぇ!殺さないと俺達が殺されてしまうでさぁ!』

 

倒れている男が呼吸をしている事を確認した自衛官は、目線を向け頷き、ハンドサインを送る。

 

『確かに我々も彼に攻撃を受けている。しかし、だからこそ彼の身柄が必要なのです。』

 

『我々は彼ら人食い族の事を何も知らない、だからこそ彼から直接話を聞き、人食い族に関する情報を引き出さなければならないのです。』

 

担架を担いだ二人組の自衛官が奥から現れ、褐色の肌を持つ銀髪の青年を固定し、装甲車両へと運んでいく。

 

『人食い族・・・彼を収容する事に関する責任は我々が持ちます。どうかご理解いただきたい。』

 

唖然とした表情をする村人たちを尻目に、自衛隊は村を後にした。

 

 

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・・・・・・・・・・・・・・・。

 

・・・・・・・・・。

 

 

『・・・・ここは?』

 

見慣れぬ天井、布らしき物で出来た壁と上から吊るされている光る球体。

奇妙な音を立て続ける魔道具と見た事も無い機材が並ぶ部屋に寝かされており、ぼんやりとした思考で、周囲を探っていると、自分の腕に蔦の様なものが伸びており、その先端部が金属製の針と繋がっており、透明な液体が体に流し込まれている事に気付く。

 

『な・・・何だこれは・・うぐっ!っっ!!』

 

『おや、目を覚ましたのかい・・・って!駄目だよそんな事しちゃ!』

 

点滴を無理やり離そうと、管を引っ張っていた男を取り押さえ、宥める。

 

『落ち着いたかな?意識はちゃんとしている?』

 

『・・・・俺に何をした?』

 

体力がまだ回復していないからか、どこか気だるそうに医師を睨みつける。

 

『貴方は巨大な甲獣に襲われて、怪我をしていた。余りにも大量に血を失っていたからそれを補うために栄養を直接血管に流し込んでいたのですよ。』

 

何処か胡散臭そうな顔を向けて口を開く。

 

『フン、治療したと言うのか?俺はリクビト達・・・いや、それ以外の亜人達からも人食い族と呼ばれている種族だぞ?』

 

『それがどうしたと言うのです?』

 

医師が答えたそこで初めて人食い族の男は目を見開いた。

 

『だから、お前達も食っちまうかもしれないんだぞ?』

 

『生憎我々は、人食い族と言う種族を伝え聞く事でしか知らない。それ故に、我々は貴方達人食い族に興味がある。』

 

『・・・・?』

 

『我々は貴方達の事を詳しく知りたいのです。あぁ、我々の乗り物を壊した事に関してもきっちりと説明をして貰いますよ?』

 

『そ・・・それは・・・。』

 

先日、異形の鎧虫・・・74式戦車の砲塔を破損させた事を思い出し、ばつの悪そうな顔する。

 

『貴方の名前は・・・?』

 

『ダリウス・・・。』

 

ぽつりと、褐色肌の銀髪の青年・・・ダリウスが言葉を漏らす。

 

『人食い族・・・・あぁ、そうだ、人食いの鬼人と英雄たちの末裔、トガビトのダリウスだ・・・。』

 

衝撃の事実を話すダリウスの言葉に、目を見開く医師。

 

『人食い族と英雄たちの末裔?』

 

『あぁ、先ずは我らトガビトの成り立ちを話すところから始めようか・・・。』

 

 

何処か憂いを帯びた顔でトガビトの青年は、語りだす・・・・1000年前の大戦の語られなかった歴史を・・・。

 

 

 

 

 

 

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マギザードグリプス    通称:魔光重甲獣

 

 

和名:マオウヨロヒオニムシクイ

 

現地の文献にも載っていない未確認の甲獣。

外殻に高濃度の魔素が確認され、今まで確認された中で最も密度の濃い天然魔石が形成されている。

これ程の濃度の魔石層を形成・維持するには大量の魔石を含む生物を捕食する必要があり、胃の内容物からは、鎧虫や他の甲獣種の組織片が発見されており、大森林屈指の捕食者として君臨しているものと思われる。

また、骨格が古代重甲獣と酷似している部分があり、共通の祖先からごく最近分化した近縁種と思われる。

自衛隊と交戦する際、発達した魔石の外殻から衝撃波パルスと、口腔から放たれる衝撃波ブレスで攻撃してきたことが確認されており、その生物としての常識を覆す攻撃法から、惑星アルクスの生物をさらに詳しく調べる必要がある。

 

 

 




原文を削除して一から書き直しました・・・うーん、大分マシ・・・と言うかまともな出来になったと思います。
修正前は、殆ど擬音で地の文章らしきものが殆ど無かったです。何故そうなったのか、自分でも良く分かっておりません。(深夜のテンションって恐ろしい

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