研究所を飛び出したツインビーは場所を聞いてもいないのに走ろうとする。
アステリオス『ま、待ってツインビー…場所をまだ…!』
ツインビー「ビ?」
するといきなりツインビーは急停止し、アステリオスはむぎゅーとなる。
一体何が…と鼻を抑えながらアステリオスは前を見ると…目を点にする。
何やらツインビーに向かって来る二足歩行の大根だったのだ。
数々の特異点などで色んな生物と戦ってきたがまさか大根とは驚きを隠せなかった。
その間に二足歩行の大根はツインビーに体当たりする。
ツインビー「あいたっ!?やってくれたビね!ピコハン!!」
仰け反ったがすぐさま体勢を立て直したツインビーはピコハンで叩いて吹き飛ばす。
二足歩行の大根は再び体当たりして来るが今度はかわされる。
ツインビー「そんなの、油断してなきゃあ当たんないビ!トドメだビ!」
その言葉と共にツインビーは渾身のピコハンを炸裂させ、二足歩行の大根は倒れた後にパンと言う音と共に消滅する。
ツインビー「やったビー!…ってあれ?」
勝利のガッツポーズをした後にツインビーは周りをきょろきょろと見る。
ツインビー「オイラ…今までどーしてたんだビ…?」
アステリオス『えっと…正気に戻ったのなら…外に出してくれない…かな…?』
首を傾げたツインビーだったがアステリオスの言葉にああ、ごめんだビーと返しながら顔のキャノピーを開き、アステリオスは外に出る。
ツインビー「改めて君は誰だビ?名前を教えて欲しいビ。あ、おいらツインビーだビ。よろしく!」
アステリオス「僕…アステリオス…宜しく…ツインビー」
お互いに自己紹介した後、先程の二足歩行の大根が複数現れる。
ツインビー「ビ!アステリオス。早くオイラのコックピット…に…」
それにツインビーは避難させようとしてアステリオスを見て絶句する。
先程のを見て敵と判断したアステリオスは自分の武器である2振りの斧を召喚して構えたのだ。
アステリオス「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
咆哮と共にアステリオスは駆けだし、体当たりして来た二息歩行の大根のを避けて両断する。
ツインビー「………はっ!?ぼぉとしてる場合じゃないビ!オイラもやるビ!」
それに呆然としていたツインビーは我に返った後にすぐさま戦闘に加わり、二足歩行の大根をピコハンで倒して行く。
しばらくして二息歩行の大根の軍団は倒され、ツインビーはふうと息を吐いてからアステリオスへと顔を向ける。
ツインビー「いやぁ…アステリオスって超能力者なのかビ…いきなり何もない所から武器を出すって凄すぎだビ」
アステリオス「ううん…僕…英霊…」
感嘆するツインビーにアステリオスはそう返す。
ツインビー「英霊…?なんだか分からないけど、確かにちょっと分析すると人じゃないのが分かるビ」
アステリオス「とにかく…普通の人とは違う…って事で…」
成程…とツインビーは納得した後にアステリオスに申し訳なさそうに頬を掻く。
ツインビー「そうだアステリオス…その、申し訳ないけど、今からウインビーってオイラの仲間と、パイロットのパステルって子を助けに行くんだビが…さっきの戦いの腕を見込んで、ぜひ一緒に来て欲しいビ。お願いするビ」
アステリオス「うん…僕…ツインビーと一緒に戦う為に来た…」
そう頼み込むツインビーのお願いにアステリオスは渡りに船と了承する。
ツインビー「助かるビ!ホントならオイラに乗って欲しいけど、アステリオスが戦えるならオイラに乗らない方が良いビ…本音を言うならオイラはパイロットがいればさらに力を出せるんだビが…肝心のパイロットのライトの行方が分からないビ…」
アステリオス「…ごめん…僕…そう言うのは…した事ないから…力になれないかも…」
そう言って困った様に後頭部を掻くツインビーにアステリオスは謝罪する。
ツインビー「ああ、いや、こっちこそ申し訳ないビ。とにかくウインビーやパステルの所に行くビーっ!」
アステリオス「……えっと、その2人?…の場所は…?」
気を取り直してそう言ったツインビーはアステリオスの言葉にあっとなる。
ツインビー「そう言えば聞いてないビ…博士に聞きに行くビ」
アステリオス「そうだね…」
そう言って2人は研究所に戻る。
☆
シナモン「おお、ツインビー、話を聞かずに行くから大丈夫かと不安じゃったが…その様子じゃあ正気に戻った様じゃな」
ツインビー「ビビ、ごめんだビ…それで博士…ウインビーの反応はどこだったビか?」
安堵した様子で言ったシナモンはツインビーの言葉にうむと頷く。
シナモン「ウインビーの反応が確認されたのはリース城スタジオじゃ。今は上空にバリアがあるからカニ電で向かいなさい。あ、アステリオスさんはお金はあるかね?」
アステリオス「えっと……実は……」
確認するシナモンにアステリオスは少し事情を誤魔化しつつ説明する。
シナモン「そうでしたか…なら、こいつを使ってください。カニ電を無料で扱えるパスです。これを見せればどこでも好きな場所に行けます。ツインビーと一緒に乗れるのでそこは心配せずとも良いです」
アステリオス「え……良いんですか…?」
そう言って手渡されたのにアステリオスは戸惑いながら聞く。
シナモン「ええ、共に戦って貰うからには少しばかりの援助もしてもバチは当たりませんよ」
アステリオス「…ありがとう…ございます…」
ツインビー「それじゃあ早速行くビ!降りる駅はタンポポタウン駅だビ」
頭を下げてお礼を言うアステリオスにツインビーは言う。
早速2人はシナモンにお礼を述べた後に途中襲い掛かるモンスターを倒しながら駅へと向かい、カニ電に乗り込む。
アステリオス「ツインビー…小さく…なれるんだね…」
ツインビー「通常サイズだと入れない所に行ける様になってるんだビよ」
移動の途中で興味深く自分のふくらはぎまで位の大きさに縮んだツインビーを見るアステリオスにツインビーはそう返す。
アステリオス「この場合…科学の力ってすげー…って言うんだね…」
ツインビー「だビね」
そう他愛もない会話をしながら時間を潰していると…
???「ねえ」
アステリオス&ツインビー「ん?」
声をかけられて2人は見ると、アステリオスが出会ったモルテとフィーレンがいた。
フィーレン「……」
アステリオス「あ…君達…モルテとフィーレン…?」
ツインビー「ビ?もしかしてアステリオスが困った時に切符をくれた姉妹だビ?」
近づいて来る2人にアステリオスは呟いてからツインビーのにうんと頷く。
フィーレン「…今から…助ける…パステル………マドカと会って…」
ツインビー「ビ!?どうしてパステルを助けに行くって言うのは分かったビ!?いやそれよりもそうだビ!マドカは大丈夫かビ…」
近づいて言われた事にツインビーは驚いた後に何か思い出した様に慌ててアステリオスに顔を向ける。
ツインビー「ごめんアステリオス。タンポポタウン駅で降りたら、マドカの店に寄ってみないかビ?」
アステリオス「マドカって…ツインビーの友達…?」
聞くツインビーにアステリオスも聞き返す。
ツインビー「そうだビ、マドカはオイラ達の友達なんだビーいつもライトやパステルが世話になってるビ。ひょっとしたら、さっきの霧で倒れちゃってるかもしれないビ…」
アステリオス「確かにそれは…心配…分かった…行こう…」
ありがとうだビ!とお礼を言った後に到着したのかカニ電は止まる。
早速下車して移動をし、分かれ道が目に入る。
ツインビー「マドカのお店には右の道から行けばいいビ、オイラ達の目的地のリース城スタジオは逆の道だビ」
アステリオス「なるほど…」
フィーレン「…アステリオス…また…」
モルテ「……悪いけど、私達はタンポポタウンの…リース城スタジオの方に行くから…」
説明に納得するアステリオスにフィーレンとモルテはそう言って左の道に歩いて行く。
ツインビー「それじゃあオイラ達も行くかビ」
アステリオス「うん…」
見送った後に歩く中でアステリオスは内心を疑問を感じる。
アステリオス「(なんで…2人はリース城スタジオに行くんだろう…?)」
そこも聞いとけば良かったかな…と思いながらツインビーと歩く。
途中、大人が倒れており、子供は無事と言うのに2人は疑問を感じながら進む。
ツインビー「ここだビ。マドカのお店、ファンタジアンは」
しばらくして目的の店に辿り着き、2人は中に入る。
辺りを見渡すとカウンターで1人の少女がコップを磨いていた。
ツインビー「ふー…マドカは無事だビ―」
アステリオス「あの子が…」
安堵の息を吐くツインビーの後にアステリオスが呟くと件の少女、マドカはコップを置いて顎に手を当てる。
マドカ「はー……………今日はどうしてお客さん来ないんだろ…今日って何かイベントのある日だったかなぁ?見逃せないテレビ番組があるとか…?それともそれとも、すっごい面白ゲームの発売日だとかー?」
アステリオス「……もしかして……外の騒動気づいてない…?」
ツインビー「ビー…マドカだからあり得そうだビ;」
1人で盛り上がっているマドカにアステリオスは小声で聞いて、ツインビーは困った感じに冷や汗を流す。
マドカ「あたしってばもしかしてどんぶり島の一大事に1人で取り残されてるんじゃ…んん~気になるぅ~~お店休んで外の様子を見に行っちゃおっかなー…あら?」
ハイテンションで悶えていたマドカはやっとツインビーとアステリオスに気づき、ツインビーは呆れた感じに肩を竦める。
ツインビー「今頃気づいたビか…」
アステリオス「お、面白い子だね…」
気づかれたのもあって2人はカウンターまで移動し、マドカと向かい合う。
マドカ「ちょっとちょっと、ツインビー…この方、どなたなの?」
ツインビー「この子はアステリオスだビー」
アステリオス「初めまして…アステリオスです…マドカさん…で良いんだよね?」
マドカ「はい、マドカです。初めまして…そう言えばライトくんは?」
お互いに自己紹介してからマドカが気になったのかツインビーに問う。
ツインビー「そ、それが実は…」
困った感じでツインビーはマドカに今までの事情を説明する。
マドカ「たっ…大変じゃないの!私も一緒に行くわ!力になりたいもん!」
アステリオス「ホント…なら…ツインビーに乗ってくれる?」
そう言ってどこかに向かおうとしたマドカにアステリオスは呼び止めてお願いする。
マドカ「ええ!?あ、あたしがツインビーに!?」
ツインビー「いや、確かに乗って貰えればオイラも本来の力を出せるビが…ライトが乗ってる時位のを出せるかどうか…」
アステリオス「けど…僕は上手く扱えないし…なら、友達でツインビーを知ってるマドカさんなら…大丈夫かな…と思うんだけど…」
驚くマドカの後にツインビーも戸惑って言うがアステリオスの言葉にううむとなる。
ツインビー「アステリオスがこう言ってるけど、マドカは良いだビか?いやオイラにしたら1人で行かれるよりかはまだマシだビが…」
マドカ「………やるわ!ライトくん位より未熟だけど、頑張ってやって見る!」
アステリオス「…うん。宜しくねマドカさん…」
確認するツインビーにマドカはそう言い、アステリオスは微笑む。
マドカ「マドカで良いわアステリオスさん。けど、着ようと思ったパワードスーツどうしようかしら…?」
ツインビー「置いとくビ、流石に不安があるビ;」
笑ってからうーんと顎を指で撫でるマドカにツインビーはそう言う。
マドカ「ようし!ついでにまたたびとくさや、とんぶりとくつひもになめこを見つけて新しいのを作るわよ!」
ツインビー「どんなのを作るつもりだビ!?」
アステリオス「…くつひもは何に使う気なの…?;」
元気よく言うマドカにツインビーとアステリオスはツッコミを入れながらリース城スタジオへと向かうのであった。