コンパチヒーローズ・ザ・グランドオーダー   作:鳴神 ソラ

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姫の体を借りた英雄はどんぶり島の戦士と出会う。


第1節:ツインビー

前回、謎の襲撃を受けたアステリオス、それにより借りた体は髪を除いてメローラのままになってしまった。

 

アステリオス「うう…これって、さっきのせいかな…」

 

メローラの着ていたであろうドレスを摘まみながらアステリオスは困り果てる。

 

アステリオス「…………女の人の姿と視線のに違和感が…」

 

今までティガや元々の姿でのとは違う目線と胸の慣れない重みに違和感を感じながら状態を確認する。

 

まずは武器を出せるか念じ、使い慣れた斧2つが出る事を確認してから他に何かと漁ってスパークレンスがある事を確認する。

 

アステリオス「……………メローラ、ごめん」

 

少し考えてから身体を貸してくれたメローラにそう謝罪すると着ていたドレスを脱いで下着姿になる。

 

ちなみに下はスパッツが付いてた。

 

その後に極力、大きい胸を見ない様にしながらドレスグローブを外し、斧でドレスの袖部分を切り取ったり、腰から下を切った後にリボンなどの装飾を外してから再び着て、分離させたスカートを適当に切り取ってから太ももが見える短いパレオスカートの様に腰にきつく巻き付ける。

 

その後にヒールも踵を外して普通の靴と変わらない感じにする。

 

アステリオス「…うん。これなら…動きやすい…かな…?」

 

ジャンプしたり、腕を回したりしながら確認した後にどこから出ようかと考え、光っている魔法陣に気づき、斧を消し、スパークレンスを所持したアステリオスは警戒しながらそれの中心に入る。

 

すると一瞬視界が真っ白になった後には遺跡の入り口部分と思われて外が見える場所にいた。

 

外に出た後にメローラの言うツインビーに会いに行こうと思ったがどう会えば良いかや外見を聞くのを忘れていたのに気づく。

 

どうしようかと思いながらアステリオスは途方に暮れていると…

 

???「おぅっ??…お、おめぇさん、今この中から出て来なかったかい?」

 

突然声をかけられて前を見ると2人の男性がいた。

 

服装から見るからにどうやらアステリオスのいる遺跡を調査してる調査員だろうとアステリオスは考える。

 

アステリオス「あ、僕は…さっきまで、ちょっとこの遺跡で寝ていたんです」

 

調査隊員1「寝ていた?確かに、今、ここから出て来たなぁ…ここはよ、最近見つかったばっかりの遺跡で、何の遺跡カモ、出入口だってまだ…」

 

調査隊員2「ん?なーんでこんな所に俺ら以外の部外者が入って来てんだ?危ねえぞ」

 

慌ててちょっと嘘を付いて言うアステリオスに調査隊員の1人は首を傾げるが気づいたもう1人がそう注意する。

 

アステリオス「すいません…それで少し…質問…良いですか?」

 

調査隊員2「ん?どんな質問だ?」

 

丁度良いと考えてアステリオスは調査隊員2人にツインビーに用がある事を伝える。

 

調査隊員1「ツインビー達に用があんのか?したらシナモン博士の研究所に行くとええ。この向こうに『カニ電』の駅があるからよ、それに乗ってけばええわ」

 

アステリオス「この先…ありがとう…ございます」

 

親切に教えて貰い礼を述べた後にアステリオスは早速向かおうと歩き出すとおおーいと先ほどの調査隊員の1人が声をかける。

 

調査隊員1「シナモン博士に会ったらよー、博士の力で遺跡の発掘がぱぱーっと終わる様な機械を作ってくれってお願いしといてくれやー」

 

調査隊員2「そりゃええわ」

 

アステリオス「あー…博士に余裕があったら…」

 

軽く頼んでから笑い合う2人の笑い声を聞きながらアステリオスは苦笑して、改めて向かおうとし…辺りに黒い霧が立ち込める。

 

アステリオス「な、何…これ……」

 

いきなり立ち込めた黒い霧にアステリオスは驚いていると突如先ほど笑っていた調査隊員2人が倒れる。

 

アステリオス「!しっかりして…」

 

慌てて駆け寄って安否を確認しようと2人を揺するがピクリとも反応しない。

 

流石にこのままでは危ないとアステリオスは遺跡の入り口まで運ぶ。

 

先程の黒い霧のせいかなと考えた後にアステリオスは先に進んだ方が良いと考えて調査隊員達にすいませんと謝罪してから足を速める。

 

道なりに進んで行くと先ほどの調査隊員が言っていた奴だろうカニ駅が見えたがアステリオスは気づく。

 

アステリオス「そう言えば…僕…ここのお金…持ってない…」

 

どうしようとアステリオスは頭を抱えると少し良いかしらと声をかけられて頭を上げる。

 

目に入ったのは黄緑髪の少女とその少女より背が小さい小麦色の髪を縦ロールにした少女がいた。

 

黄緑髪の少女「フィーレン、本当にこの人なの?」

 

小麦髪の少女「…良く…分かんない…でも、この人は、他の人みたいに倒れていないし…」

 

アステリオス「????」

 

確認する様に聞く黄緑髪の少女とフィーレンと呼ばれた小麦髪の少女の会話にアステリオスは首を傾げる。

 

黄緑髪の少女「そうだ…って感じるのね…?」

 

小麦髪の少女「うん。モルテお姉ちゃん」

 

アステリオス「えっと…君達は誰?」

 

チンプンカンプンなのでアステリオスは恐る恐る聞く。

 

黄緑髪の少女→モルテ「あ、ごめんなさい。私はモルテ…この子は妹のフィーレンよ」

 

アステリオス「僕…アステリオス…よろしく」

 

フィーレン「よ、宜しく」

 

名乗ってないのに気づいて謝罪してから名乗る2人にアステリオスも名乗る。

 

アステリオス「あの、カニ電以外で…シナモン研究所に向かう方法…2人は知らない…?」

 

モルテ「カニ電以外だと一部を除いてないわ…でも、『シナモン研究所』だったら、この切符で行けるわ…あげる」

 

質問するアステリオスにモルテはそう言ってアステリオスの手に切符を渡す。

 

アステリオス「あ、ありがとう…でもどうして初対面の僕にここまで…?」

 

フィーレン「モルテお姉ちゃん…早く行こう…あっちの…」

 

モルテ「そうだったわねフィーレン。行きましょ…」

 

戸惑いながら聞こうとしたアステリオスだったが、モルテは急かすフィーレンへ答えた後にそう言って2人は歩いて行ってしまう。

 

途中でフィーレンが振り返ったが、再び前を向いて去って行く。

 

アステリオス「(…あの2人、なんだったんだろう…?)」

 

疑問を感じながらアステリオスは折角貰ったし…と、早速モルテから貰った切符を使い、カニ電に乗ってシナモン研究所へと向かう。

 

アステリオス「面白い…電車だったな…マスター…もいたらよかったな…」

 

そう呟いてから駅を出て…首を傾げる。

 

向かう道の先に何かがあるのだ。

 

近づいてみるとそれは青い丸い球体に手足が生えた何かだった。

 

顔で目に当たる部分が開いていて、中が機械で出来ててコックピットの様な感じなのを見てロボットなのかなとアステリオスは首を傾げる。

 

すると…

 

???「んん…」

 

アステリオス「うわわ…」

 

声がした後に突如ロボットが揺れ、その拍子にアステリオスはコックピットに入ってしまい、キャノピーが閉じてしまう。

 

???「ビ?オイラはいったい…?」

 

その後にロボットは起き上がり、不思議そうに周りを見てから手をポンと叩く。

 

???「そうだビそうだビ…えーと…シナモン研究所に戻るトコだったんだビか…?」

 

アステリオス「シナモン研究所…?もしかして…君はツインビーの事を知ってるの?」

 

どうやらロボットが喋ってるのに気づいてアステリオスは質問する。

 

ロボット→ツインビー「な~に言ってるビ…ツインビーはオイラだビ」

 

アステリオス「君がツインビー!?」

 

告げられた事にアステリオスは驚く。

 

戦士とだけしか聞いていなかったのでまさかロボットとは思いもしなかったのだ。

 

いやまぁ、仲間に似た人?はいたけど…

 

そんなアステリオスが戸惑っている間にツインビーはオイラは誰に話してるんだビ?と体を傾けていた。

 

どうやらアステリオスに気づいてない様だ。

 

ツインビー「あー…なんかクラクラ―…っと来るビ…なんかまだ100%じゃないって感じだビー…えっと…オイラなんで急いでたんだビか…」

 

んーーーと唸った後にああ!?と声をあげる。

 

ツインビー「思い出したビ!ラ…ライトが黒い霧で、たた大変なんだビ!はかせェー!大変だビー!!」

 

慌てた様子で走り出した事にアステリオスはうわと驚く。

 

そんな事を気にせず、ツインビーは一目散にアステリオスの目指していた研究所へと走る。

 

 

 

 

一方、ツインビーが目指してる研究所で1人の老人が困った様に右往左往していた。

 

ビービービー!

 

するとサイレンが鳴り響き、その音に老人は顔を喜ばせる。

 

老人「おおっ、ツインビー達が戻って来たようだ」

 

その後にモニターへと近づいて操作をすると外の様子が映し出され、走って来るツインビーの姿が映る。

 

老人「ふむ。この辺りの霧は晴れた様じゃな…研究所のバリアを解除、と…」

 

外の様子を見て呟いてから機類を操作すると研究所を包んでいたのが消えて行く。

 

その後に慌てた様子のツインビーが中に入る。

 

しばらくして老人のいる場所へと辿り着いて老人の前にツインビーは立つ。

 

人1人が入れる大きさのツインビーでも余裕があるのだからその大きさにアステリオスは感嘆する。

 

老人「おおツインビー、連絡が取れんかったから心配したぞ…いったい何があったんだね…?」

 

ツインビー「ビー、そ、それが大変なんだビ―…」

 

質問する老人にツインビーは困った様に語り出す。

 

いつも通り、いつも悪さするワルモン博士と戦ってる最中、アステリオスも見た黒い霧がツインビー達の方でも起こった。

 

その霧はツインビー達の計器類を狂わせる程の物だったそうだ。

 

ツインビーの仲間であるグインビーのパイロットであるミントの島の皆が心配と言うのを聞いてツインビーのパイロットであるライトは手分けして見に戻ろうと提案し、ワルモン博士との戦いを止めて島へと戻り、ウインビーとパイロットのパステル、グインビーとミントと途中で別れた。

 

別れた後、霧が深くなって行き、ツインビーとライトはシナモン研究所に戻ろうとしたが泣いてる子供の声を聞いたライトは助けに行ってしまい、ツインビーに単身で戻る様と言い残し、深くなった黒い霧で彼の行方は分からなくなってしまった。

 

ツインビーもライトの指示に従い、空中へと退避した後に島に緊急用のバリアが張られてしまったとの事

 

その際、前述の通り、計器類が狂ってしまっていた為、ライトがいた場所がどこだったかも分からなくなってしまった。

 

仕方なく研究所に戻ろうとしたのだが、バリアで戻れず、しかも通信も出来なかったので無理やりバリアを突破しようとした結果、バリアを突き破ったものの、ツインビーはカニ駅の近くまで吹っ飛ばされてしまい、そのまま意識を失った。

 

それがアステリオスが見つけるまでのツインビーの経緯であった。

 

話を聞いた老人こそシナモンは驚いていた。

 

ツインビー「…と言う訳だビー」

 

老人→シナモン「なんと…じゃあ今ライトは、一緒じゃないのかね?」

 

アステリオス「(あ…)」

 

締め括ったツインビーはシナモンの問いかけにほらぁ…とキャノピーを開ける。

 

アステリオス「えっと…こんにちわ…」

 

ツインビー「ビ?」

 

シナモン「ツ…ツインビー、この女の子は誰だね?」

 

恐る恐る挨拶するアステリオスにツインビーもやっと気づき、シナモンは恐る恐る聞く。

 

ツインビー「ビビッ!?いつの間に?な、なんで知らない人がオイラに乗ってるんだビー?」

 

シナモン「しかしお前が乗せて来たんじゃぞ?」

 

アステリオス「乗せて来たと言うか…偶然入っちゃって…;」

 

混乱するツインビーにシナモンがそう言って、アステリオスが弁明する。

 

ツインビー「ビー……………???…いや、覚えてないビー…;」

 

シナモン「ふむ、いつものツインビーらしくないのう…」

 

アステリオス「えっと…さっき言ってた…バリア…に無理やり…突っ込んで…その影響…じゃないかな…?」

 

困り果てるツインビーに同じ様に困ったシナモンへとアステリオスが聞いてた話で原因であろう所を指摘する。

 

シナモン「うむ、お嬢さんの言う通り、バリアを破って来た時にどこかぶつけたのかもしれんな…あ、初めまして。えー、わたくしシナモン、と申します。この研究所の…」

 

ピピっ!

 

頷いた後に自己紹介してないのに気づいて慌てて名乗って続けて言おうとした所、何かの音が鳴りだす。

 

シナモン「おやっ!?何かレーダーに反応か?」

 

そう言ってシナモンは機類を弄り声をあげる。

 

シナモン「今、一瞬だったが、ウインビー反応が出たぞ!ツインビー、すぐにパステルの所に…」

 

ツインビー「分かっているビー!行くぞライト!」

 

アステリオス「いや…僕はライトと言う人じゃ…なくて…」

 

すぐさま言おうとしてアステリオスの事を思い出し、ちょっと待てとシナモンが止める前にツインビーはキャノピーを閉めて慌てて走り出す。

 

シナモン「おぉい、ツインビー!その子はライトじゃ…行ってしまったか…あの子は何者じゃろうか…だが…どっかで見た様な顔付きじゃったな…」

 

それを見送り…シナモンは不思議そうに首を傾げる。

 

なんとかツインビーと出会ったアステリオス。

 

彼との旅はこうして始まった。

 

 


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