コンパチヒーローズ・ザ・グランドオーダー   作:鳴神 ソラ

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新たな特異点、それは始まりの特異点と似た特異点であった。


EX特異点2:永続特異点・封鎖楽園都市冬木
第0節:始まりの亜種特異点


 

イシュタル「はあ!?また特異点が出現した!?」

 

セイレムの異変が終わってからの翌日、イシュタルは告げられた事に驚く中でダ・ヴィンチは頷く。

 

ダ・ヴィンチ「その通り、場所は2004年の冬木だ」

 

アーチャー「!?…2004年の冬木だと!?」

 

守理「それって特異点Fじゃないの?」

 

ウェイバー「いや、特異点Fとはまた別の特異点だよ。違いがあるとすれば僕の方での第5次聖杯戦争のだろうね」

 

出て来た言葉にアーチャーが驚く隣で聞く守理にウェイバーがそう言う。

 

マシュ「ウェイバーさんもいたんですか?」

 

ウェイバー「急遽ね。だけど、今回ばかりは僕は同行しない。と言うかしたくない」

 

アーチャー「(そんなに会うのが嫌なのか…)」

 

イシュタル「ちょっと、何こっちを見てるのよ」

 

いや、何も…とウェイバーのを聞いてついイシュタルを見てしまったのでそう返すアーチャーにイシュタルはジト目で見る。

 

ウェイバー「ちなみに今回は同行して貰う面々はもう決まってる」

 

そんなメンバーを見渡してウェイバーはそう返すと扉が開く。

 

パールヴァティー「あの…呼ばれて来たんですけど…」

 

小次郎「ふむ、拙者達が呼ばれたのはどういう理由でござろうか?」

 

メディア「こっちが知りたいわよ」

 

メドゥーサ「呼ばれた人達を見ると…」

 

クー・フーリン「懐かしい面々だな」

 

呪椀のハサン「確かにそうですな」

 

青アルトリア「ダ・ヴィンチにウェイバー。言われた通り来ましたよ」

 

そこに上記の7人が来る。

 

アーチャー「ウェイバー…もしや」

 

ウェイバー「そっ、ヘラクレスを除いた君達第5次聖杯戦争参加者のサーヴァント皆にその時のマスター2人を依代にした2人と守理で行って貰うよ」

 

守理「成程…」

 

ウェイバーの集めた面々の理由に守理は納得した後に早速レイシフトする為に向かう。

 

 

 

 

一方…並行世界のカルデア

 

刹那「冬木に新しい特異点?」

 

イリヤ「しかも入れるサーヴァントが限定されている特異点なの?」

 

Sロマン「ああ。入れるのは数名のサーヴァントだけ。その中にはイリヤちゃんも含まれているんだ」

 

呼ばれて告げられた事に首を傾げる刹那の後のイリヤの問いにSロマンは頷く。

 

私も!?と驚くイリヤの後に刹那は確認する。

 

刹那「他には誰が一緒に来てくれるの?」

 

Sロマン「あとはヘラクレスと…アサシンエミヤとアイリさんが来てくれるよ」

 

イリヤ「ママとアサシンのエミヤさんも!?」

 

告げられたのに驚くイリヤの後ろでそうみたいとアイリが抱き着く。

 

隣ではアサシンエミヤが無言で立っている。

 

アサシンエミヤ「……やれやれ、またあの場所で特異点か。因縁があるのかねあの場所は」

 

刹那「あーそうかもしれないね」

 

呆れ交じりにそうぼやくアサシンエミヤにエミヤから大体事情を聞いていた刹那は同意する。

 

Sロマン「おっと、一人忘れてた。彼女も今回同行するみたいだよ」

 

イリヤ「彼女って…」

 

その後に思い出して言うSロマンのにイリヤは首を傾げた後に扉が開き…

 

セイバーオルタ「私だ」

 

刹那「セイバーオルタ!」

 

入って来たセイバーオルタにこれは頼もしいね!と刹那は笑う。

 

刹那「それじゃあ早速行こう!」

 

イリヤ「はい!」

 

気合の入ったイリヤのにアイリは笑い、アサシンエミヤは無言で見る中でレイシフトを開始する。

 

 

 

 

守理「………で、どうしてこうなった;」

 

アーチャー「私が聞きたいんだが;」

 

レイシフトが完了してからメンバーを確認した守理の言葉にアーチャーが()()()()()で返す。

 

クー・フーリン「だーはっはっはっはっはっ!まさか()()()姿()になるとはな!いや、この場合は戻ったの方が合ってるのかw」

 

小次郎「これはこれは…全く不思議な事よ」

 

イシュタル「それ言ったら私とパールヴァティーも制服よこれ」

 

パールヴァティー「ですね;」

 

そう、なんとアーチャーは生前の衛宮士郎の姿になっていて、イシュタルとパールヴァティーは服が冬木の制服になっていたのだ。

 

メドゥーサ「また桜の姿が見れました」

 

青アルトリア「これは…どういう事でしょうか?」

 

守理「こっちが聞きたいよ;」

 

???「あ、守理ちゃん!」

 

幸福な顔でパールヴァティーを見るメドゥーサの隣で青アルトリアと首をかしげてると呼ばれて顔を向けると刹那が見えた。

 

守理「あ、刹那、久しぶり!」

 

刹那「守理ちゃん達も来ていたんだ」

 

イリヤ「お、お兄ちゃん!?」

 

お互いにハイタッチする中でイリヤがアーチャーの姿を見て言う。

 

と言うかイリヤの服装がアーチャー達の知るイリヤスフィール・アインツベルンのであった。

 

アーチャー「あー…イリヤ、言っとくが私…………(コホン)俺はアーチャーだ。なぜか分からないが衛宮士郎の姿になっているけどな;」

 

ヘラクレス「おや、それは大変ですなアーチャー殿」

 

守理達「!?」

 

それに対してアーチャーは訂正しようとして違和感感じてか一人称を俺に直してそう言うと()()()()()が声をかける。

 

そう、()()()()()が声をかけたのだ。

 

しかも普段の様子から想像できない純白のタクシードを纏ってだ。

 

クー・フーリン「ぶっは!なんだよヘラクレスwおま、なんでタクシード着てんだよwwww」

 

メディア「す、凄くミスマッチね…」

 

刹那「でも紳士なところではピッタリなんだよね」

 

アイリ「ふふふ、そうね」

 

アサシンエミヤ「…それで、なぜ僕は着物なんだ?似合わないと思うんだが…」

 

それにクー・フーリンは爆笑し、メディアは顔をヒクヒクさせる中で刹那がそう言い、アイリも同意する中で黙っていたアサシンエミヤが聞く。

 

彼も同じで生前の衛宮切嗣に戻っており、アーチャーには見覚えのある着物姿であった。

 

アーチャー「いや、似合ってるぞじいさん」

 

アイリ「似合ってるわよ切嗣」

 

アサシンエミヤ「複雑な気分がするよ。特に彼の呼びかたとかね」

 

頬をポリポリ掻いて言うアサシンエミヤのにあ、すまんとアーチャーは謝る。

 

イシュタル「しっかし、これどうなってんのかしら?違和感ないのが不気味ね」

 

パールヴァティー「私としては凄くしっくり来てよいですけどね」

 

守理「あ、そっか…2人ともウェイバーが言った様に参加していたマスターを依代にしてるもんね」

 

刹那「それにしてもなんで変わったんだろうね?」

 

イリヤ「私も見覚えが…あ、あった。そう言えばヒロさんのカードから出て来た私が着てたのだ」

 

2人の感想に守理はそう述べる中で刹那は首を傾げていると服を摘まんでいたイリヤは明久達と初めて出会った時のを思い出して言う。

 

ルビー「うーむ、これは一体……」

 

Sロマン『みんな……聞こえ……返事を……!』

 

ルビーが唸るとそこにSロマンが通信をしてくるが映像は乱れており、音声もノイズが走っている。

 

刹那「聞こえるよドクター!どうしたの!?」

 

Sロマン『き………て…………そ………』

 

返事をする刹那だが映像はすぐさま消えてしまう。

 

守理「消えちゃった…」

 

イリヤ「えっ……嘘っ、なんで!?」

 

するとイリヤが驚きの声をあげる。

 

誰もがイリヤの方を見るとイリヤがサーヴァントカードを見ていて、アーチャーが横から覗き込んで驚く。

 

なんと第5次聖杯戦争に出たサーヴァント以外のサーヴァントカードが真っ白になっているのだ。

 

ウルトラ戦士やプラスター達のカードも例外ではなく真っ白であった。

 

メディア「これは!?」

 

守理「どういう事!?」

 

アイリ「……どうやらこの世界では第五次以外の力が使えないみたいね」

 

驚く面々にアイリは厳しい顔で言う。

 

アーチャー「俺達の姿の変化、一部のサーヴァントカードの使用不可…この特異点、他のとはまた違う感じのようだな」

 

ヘラクレス「ふむ、そのようですな」

 

刹那「ところで拠点とかどうしよう…」

 

顎に手を当てて言うアーチャーのにヘラクレスも同意する中で刹那がそう言う。

 

誰もがあっ…となる。

 

主に集まる拠点はナビゲートして教えて貰っていたが、セイレムや英霊剣豪の時の様な今の状況ではそれが出来ない状態なのでどうしようかと唸る。

 

???「あ、士郎っー!」

 

アーチャー「!」

 

するとアーチャーは後ろからの懐かしき声と共に抱き着かれる。

 

慌てて振り返ると見覚えのある顔…藤村大河が目に入る。

 

アーチャー「藤ねぇ…」

 

大河「皆、こんなところでなにやってんのー?」

 

イシュタル「ん?それって私達…もがっ!?」

 

青アルトリア「い、いえ、少し話をしていたんですよ」

 

メドゥーサ「そうなんですよ」

 

戸惑うアーチャーの後にメンバーを見渡す大河へとイシュタルの口を塞ぎながら青アルトリアがそう言う。

 

大河「あれ?この子達は?同じ顔だけどもしかして双子?」

 

刹那「あ、ああそうなんですよ!私は刹那」

 

守理「あたしは守理です!」

 

その後に刹那と守理に顔を向けて2人は慌てて名乗る。

 

うんうん!元気があって良いわねと笑った後にセイバーオルタを見て…

 

青アルトリア「はい、こちらも姉妹です!」

 

セイバーオルタ「私が姉だ」

 

その言葉に青アルトリアはいえ、私が姉です!と言いぎゃあぎゃあと喧嘩する。

 

何やってんだよ…とアーチャーは思わずぼやく。

 

刹那「実はちょっと調査で此処に訪れたんです」

 

大河「調査って……ああ、虎聖杯の事ね!」

 

守理&刹那&イリヤ「虎聖杯?」

 

出て来た単語に守理と刹那とイリヤは首を傾げるが…

 

う、頭が…と頭を抱えるアーチャーとイシュタルとアサシンエミヤとクー・フーリン

 

メガネ…と落ち込むメドゥーサと彼女を励ますメディア

 

はははははと笑うヘラクレスとルビーと小次郎

 

どう反応すれば良いか分からない青アルトリアとパールヴァティー

 

どうでも良いなセイバーオルタ

 

あらあら~とニコニコするアイリ

 

そんな各々の反応を見て3人は悟った。

 

守理「(あ、これはあれか…)」

 

刹那「(カオスな奴か…)」

 

イリヤ「(なんだろう……変な記憶が…藤村先生を師匠と呼んでいるブルマを履いた私が見えた様な…)」

 

パールヴァティー「え、えっと先生、虎聖杯とは?;」

 

それぞれが思う中でパールヴァティーが恐る恐る聞く。

 

大河「あれ?忘れちゃったの桜ちゃん?虎聖杯は皆の願いを叶えてくれる願望機だよ?それをめぐって皆でタイガーころしあむしたじゃん」

 

刹那「た、タイガーころしあむ?」

 

説明された事に刹那達は目を点にする。

 

アーチャー「えっと…藤ねぇ、それで虎聖杯はあの後はどうなったんだ?ちょっとド忘れしちゃってさ…」

 

大河「壊れたけど…なんか復活したみたいよ」

 

クーフーリン「復活しただぁ!?」

 

確認的な意味で聞くアーチャーのに大河から出て来た言葉にクー・フーリンは驚く。

 

守理「復活した虎聖杯の場所は行方不明って感じですか?」

 

大河「うん。私が持っていたいたんだけどまた同じ願い言ったら消えちゃった」

 

刹那「……は?」

 

出て来た言葉に誰もが呆気に取られる。

 

最初に再起動した守理が恐る恐る聞く。

 

守理「同じ願いと言うと…?」

 

大河「皆の願いを叶えるようにって願い。だから今、カレンちゃんとか神父さんとかいろんな人が虎聖杯を探しているわよ」

 

クーフーリン「ゲッ!?あの二人も居るのかよ!?」

 

答えた中で出て来たクー・フーリンは苦い顔をして呻く。

 

守理「誰?」

 

アーチャー「クー・フーリンもといランサーが苦手としている人物で後者の名前は言峰綺礼(きれい)だよ」

 

刹那「ほら礼装にも出ている人だよ」

 

礼装と言われて守理は誰の事…と唸る。

 

青アルトリア「上半身裸で修行している様な人ですよ」

 

守理「ああ、あれか~使わないからピンとこなかった」

 

アーチャー「わりぃ。ウチの方は主に宝具関連のに適したのを使ってるからあんまり他のは使わないんだ;」

 

刹那「へー、そうなんだ」

 

そんな守理に青アルトリアがそう言い、守理も合点が行ったと納得し、どうして守理が知らないかをアーチャーが理由を説明して、刹那はやっぱ世界違うと使うのも違うんだなと改めて納得する。

 

大河「ってことで第二次タイガーころしあむ始まってるから皆も良かったら参加してね!」

 

と言う訳で探しに行くから!とバビュンと走って行く。

 

アーチャー「…………やれやれ」

 

青アルトリア「大河は変わりませんね」

 

メドゥーサ「ですね」

 

刹那「もしかして大河さんってジャガーマンの依代?」

 

イリヤ「だと思います;」

 

そんな大河を見送ってからアーチャーはため息を吐き、青アルトリアとメドゥーサも苦笑する中で刹那の問いにイリヤは頷く。

 

別の世界だけど、大河が担任なのもあってイリヤ的にジャガーマンを見てると複雑な気分になったりする。

 

アーチャー「さて…では()()()()()に行きますか」

 

青アルトリア「そうですね。この時代のシロウには悪いですが借りましょうか」

 

メドゥーサ「それが良いでしょうね」

 

守理「あれ!?もうあるの!?」

 

刹那「あ、そっか。この世界の衛宮家か」

 

ヘラクレス「成程、もしもを考えると拠点にするなら衛宮君の家かアインツベルンの城が良いでしょうな」

 

そう言うアーチャーに青アルトリアとメドゥーサが同意する中で驚く守理へと刹那が先ほどの大河の言葉からすぐさま察し、ヘラクレスも納得する。

 

イリヤ「アインツベルンの城はちょっと…」

 

アーチャー「あー…わりぃイリヤ、お前には行って貰うの確定だ」

 

なんとも言えない顔をするイリヤにアーチャーが申し訳ない顔で言う。

 

イリヤ「え、なんで!?」

 

ヘラクレス「なるほど、リーゼリットさんたちの事ですね」

 

驚くイリヤの隣でヘラクレスはアーチャーの意図を察して言う。

 

アーチャー「その通り。もしも俺達がこの時代の衛宮士郎()達の立ち位置になってるならきっとイリヤもそうなってる可能性があるからいないと気づいてセラが突撃してくる可能性があると思う。だからイリヤにはきついだろうけどヘラクレスと刹那と一緒にアインツベルンの方に行ってくれないか?本当のメイドだから少し違和感あるかもしれないけど…な?」

 

イリヤ「う、うん…それならしょうがないね」

 

刹那「なら多少口調も変えたほうが良いんじゃない?」

 

目線を合わせてからのアーチャーの説明とお願いにイリヤは少し顔を赤くしながら頷き、刹那がそう言う。

 

クー・フーリン「あー確かに俺達の知るのだと敬語を使わない小生意気なお嬢様だったもんな…今の嬢ちゃんの口調じゃああのメイドさんに気づかれる可能性があるな」

 

ヘラクレス「ふむ、確かに。イリヤお嬢様、少し練習してみたらどうでしょうか?」

 

イリヤ「わ、分かった…こ、こんな感じで良いかしら?」

 

メディア「まぁ、固いけどそんな感じね…そうなると私達もそれぞれ拠点にしていた場所に移動した方が良いわね」

 

小次郎「ふむ、そうなると私とメディアは寺になるな」

 

呪椀のハサン「では、私は間桐家になるのでしょうか…」

 

聞くイリヤにメディアはそう返した後にそう言い、小次郎と呪椀のハサンも同意する中で噛み付いたのがいた…クー・フーリンである。

 

クー・フーリン「ちょっと待て!?そうなると俺は教会に行くしかねえじゃないか!嫌だぞ俺!また行くの!」

 

アーチャー「まぁ、気持ちは分かる」

 

守理「なんで?」

 

ヘラクレス「あそこには英雄王と神父とカレン様がいらっしゃるので御座います」

 

必死にNO!と言うクー・フーリンにアーチャーはなんとも言えない顔をする中で首を傾げる守理にヘラクレスが教える。

 

守理「そんなになの?」

 

クー・フーリン「そうだよ!普通に嫌だぞ!特にマーボーとかマーボーとか釣り上げとか!!バゼットいるならそっち行くぞ俺は!」

 

イリヤ「でもそうなるとバゼットさんの所にカレンさんが来て…」

 

イシュタル「修羅場になるんじゃないの?」

 

そう叫ぶクー・フーリンにイリヤとイシュタルがそう言う。

 

クー・フーリン「くっそ!知るメンツはともかく知らない筈のメンツに指摘されるとすっげぇ敗北感が来ちまう!!だけどアーチャーのを食べてるからマジでマーボーばかりは嫌だぞ!」

 

メディア「ホント苦労してたわねあなた…」

 

小次郎「私達の中で一番だろうな」

 

ヘラクレス「確かにそうかもしれません………あ」

 

心から叫ぶクー・フーリンにメディアのに小次郎は同意し、ヘラクレスも頷こうとしてクー・フーリンの後ろを見て声を漏らす。

 

クー・フーリン「おい、なんだよその反応。止めろよ。ビシバシと突き刺さる嫌な予感が来ちまうじゃねえか。止めろよ!マジでなんか止めろよ!!」

 

???「五月蠅いですよ駄犬」

 

次の瞬間、クー・フーリンは赤い布で体を縛られた後に転がる。

 

凄く絶望した顔のクー・フーリンをふんと鼻を鳴らして見るのは…件の人物、カレン・オルテンシアであった。

 

青アルトリア「あ、出ました」

 

カレン「どうも皆さん。うちの駄犬が御迷惑をかけました」

 

刹那「(この人がカレンさん!?)」

 

守理「(な、なんと言うかナイチンゲールを感じさせる!)」

 

そう言って一礼するカレンに2人は少し引く。

 

イリヤはイリヤで自分の所だと保健の先生だったのにええ!?となる。

 

クー・フーリン「ヤメローシニタクナーイシニタクナーイ!」

 

カレン「こんなところで油を売ってないで教会の草むしりをさっさとしてください。じゃないと一週間、3食麻婆ドッグ食わせますよ」

 

ジタバタしていたクー・フーリンはその言葉と共にピタっと止まる。

 

ドッグってドッグフードなの…と聞いた守理と刹那、イリヤの3人はうわぁ…と想像以上の扱われ方に冷や汗を掻いて引く。

 

その中でアーチャーが何とも言えない顔で話しかける。

 

アーチャー「あー、カレン…ちょいと悪いけどクー・フーリンを夜の間だけで良いから借りても良いか?;」

 

カレン「別に良いですよ。そのお礼は士郎さんの手料理でお願いしますね」

 

条件にそれ位ならお安い御用と返すとでは…とクー・フーリンを引き摺りながらカレンは教会へと帰って行く。

 

守理「クー・フーリン…マジガンバ;」

 

セイバーオルタ「おい、腹へったぞマスター」

 

刹那「あーうん、途中でバーガーセット買うから我慢してね」

 

メディア「それじゃあ夜に集合って事で行くわね。待っててください宗一郎様♪」

 

小次郎「やれやれ、ではマスター、夜に」

 

そう言ってバビュンと駆け出すメディアに呆れながら小次郎も追いかける。

 

アーチャー「それじゃあ俺達も行くか。それから2人とも、今回ばかりは俺の事は衛宮士郎で呼んでくれ」

 

パールヴァティー「分かりました先輩!」

 

イシュタル「たく、分かったわよ士郎」

 

刹那「それじゃあ行こうか。士郎先輩」

 

良し!と思った後にアーチャーは刹那の方を見る。

 

アーチャー「いや、パールヴァティーは良いんだ。なんでそっちも先輩呼び?」

 

刹那「え?だって年上でしょ?だから先輩って呼ぶのがいいかなと思って」

 

守理「あ、確かに今のアーチャーを見てもあたし達より年上だもんね。あたしも先輩呼びにする!」

 

賛同する守理を見てはぁ…勝手にしてくれとアーチャーは肩を竦める。

 

メドゥーサ「では寄り道しつつ行きましょうか」

 

アイリ「ふふ、そうね」

 

くすくす笑いながらメドゥーサは言い、アイリも笑って歩きだす。

 

衛宮邸に行く前にまずはアインツベルン城に寄ってからと言う事になった。

 

それで説明組としてアーチャーと刹那がイリヤとヘラクレスに同行する。

 

刹那「それにしてもこの世界のイリヤちゃん、城に住んでいたなんてビックリだよね」

 

イリヤ「私もビックリよ。別の世界の私ってお金持ちだったんだ…」

 

アーチャー「言い忘れていた事があった。ここからはサーヴァントの皆をクラス名で呼んで欲しい」

 

見あげて言う刹那にイリヤも頷く中でアーチャーがそう言う。

 

イリヤ「クラス名で…?」

 

刹那「あ、そっか。普通の聖杯戦争ではそれが普通なんだっけ」

 

アーチャー「ああ…だから俺がカレンにランサーの真名をうっかり言ったから察せられてるかもしんない…あのシスターは普通に親譲りで察するのが上手いからな;」

 

首を傾げるイリヤの隣で思い出して言う刹那にアーチャーは頷いた後に困った顔をする。

 

イシュタル「ああ、言っちゃってたわね」

 

守理「んじゃあ合流した時にカレンさんも来てる可能性があるかもしれないんだ」

 

刹那「気をつけないとね」

 

思い出して言うイシュタルの後に守理は呟いて刹那も気を引き締めてからセラとリズの説得に入る。

 

やはりと言うかセラが反対していたがイリヤの言葉で仕方がない顔で了承した。

 

終ったのを見て衛宮邸へと足を運ぶ。

 

イシュタル「あーーーー…なんか落ち着くわね」

 

パールヴァティー「そうですね」

 

早速居間に入るとイシュタルは座るとそう漏らし、パールヴァティーも頷く。

 

アーチャー「2人とも、此処にいる間は歩いてる最中に言った様に2人は凛と桜の姉妹で通してくれよ」

 

イシュタル「はいはい、分かってるわよ士郎」

 

パールヴァティー「はい」

 

色々と確認しながら念押しするアーチャーにイシュタルとパールヴァティーは返事する。

 

守理「なんと言うか、今の先輩は普通にしっくり来るね」

 

刹那「そうだね。イリヤちゃんはどう?」

 

イリヤ「すっごく落ち着くわ。やっぱり私はここが落ち着くわ」

 

ルビー「確かにここはいいですねー!」

 

はひーと寝転がるイリヤにルビーも飛び回る。

 

アイリ「ふふ、イリヤったらもう…」

 

アサシンエミヤ「…………」

 

それにアイリは笑う中でアサシンエミヤは座布団に胡坐をかいて座る。

 

無言だが雰囲気的に満喫してるのにアーチャーはやはりじいさんだなと思いながらさて…と時間を確認してから冷蔵庫の中身を見る。

 

材料もあるのを確認して腕まくりする。

 

アーチャー「それじゃあ時間的にも夕飯を作っておくか…しばらくするとカレンさんも来るだろうし」

 

セイバーオルタ「もぐもぐ…」

 

冷蔵庫の中身を確認しながら呟くアーチャーを見ながら途中で買ったバーガーセットを食べてるセイバーオルタにもうと刹那は苦笑した後に縁側へと顔を向けて目を点にする。

 

刹那「あー、ところで先輩。あれ、何?」

 

あれ?と言われて誰もが刹那が見ている縁側へと顔を向ける。

 

何かがひょこっとこちらを見ている。

 

するとアーチャーがあー…となんとも言えない顔をしてから…

 

アーチャー「大丈夫だぞ。この人達は俺の知り合いだから出て来いよ…〝()()()()()()()()”」

 

???「がおっ」

 

呼びかけるとその何かは完全に顔を出す。

 

それはライオンの着ぐるみを着たアルトリアなのだが…イリヤと変わらない子供サイズでその手に骨付き肉を持っていた。

 

守理「何あれ!?」

 

青アルトリア「あー…あの子はセイバーライオンと言いまして…虎聖杯で誕生した存在です;」

 

セイバーライオン「がお♪」

 

刹那「セイバーライオン……虎聖杯そんなこともできるんだ」

 

イリヤ「可愛い~凄く可愛い」

 

驚く守理や刹那達に青アルトリアが説明し、挨拶するセイバーライオンに刹那は唸る中でイリヤは目を輝かせる。

 

セイバーライオン「がおがお!」

 

アーチャー「あー、はいはい。大丈夫だ。ちゃんとお前の分も作るから」

 

刹那「これはまたヒロインXが騒ぎそうだね」

 

守理「あー、そう言えばそうだね…と言うかクラスは何になるのかな?;」

 

裾を引いて見上げるセイバーライオンにアーチャーが宥めるのを見ながら刹那はそう言い、守理も同意してから呟く。

 

青アルトリア「セイバーと言われると難しいですからね…鳴き声しか出ないからバーサーカーになるんでしょうか?」

 

セイバーオルタ「セイバーライオンは獲物を狩る獣だからな。狂戦士がピッタリだろう」

 

イリヤ「バーサーカーか…そうなるとこの場にはセイバー2人とアーチャー2人、ランサー2人、ライダー1人、私含めてキャスター3人、アサシン3人、バーサーカー2人になるわね」

 

イシュタル「バランスが良いといえば良いのかしら…」

 

ヘラクレス「ライダークラスが一人と言うのがいささか不安でございますね」

 

まぁ、そこよね…とヘラクレスの言葉にイシュタルはぼやく。

 

守理「んー…けど今呼べるかどうか分からないからね…」

 

刹那「…あ、イシュタルがライダークラスにもなれるじゃん」

 

イシュタル「え?なれと?」

 

唸る守理の隣でそう言う刹那にイシュタルは目をパチクリさせる。

 

守理「と言う訳で先輩、シンクロ召喚よろしくお願いします!」

 

アーチャー「やっぱそうなるよな;」

 

刹那「先輩もできるんだ」

 

イリヤ「アクセル?ダブルチューニング?」

 

話に聞いていたのでワクワクする刹那と召喚シークエンスがどうなるかでワクワクするイリヤの目にアーチャーは苦笑しながら懐からカードを1枚取り出す。

 

アーチャー「と言ってもこの場合はレベルを下げるから魔法カードのだな…金星の女神 イシュタルに魔法カード、シンクロダウンを発動!」

 

そう言ってカードを翳す。

 

…………………シー------ン………

 

ただ、何も起こらない。

 

それに知ってる面々は?マークを浮かべ、刹那達は首を傾げる。

 

アーチャー「……………ごめん遠坂。自分の武器を出してみてくれないか?」

 

イシュタル「はぁ?まぁ別に良いけど…」

 

いきなり言われた事に面を食らったがイシュタルは言われた通りに武器を出そうとする…

 

…………シー------ン…………

 

イシュタル「…………あんれれれれれれ?なんか武器が出せないわね…;」

 

パールヴァティー「そんなバカな~私は出せ………ません;」

 

冷や汗を掻きまくるイシュタルのにパールヴァティーは自身の槍を出そうとして出ないのに同じ様に冷や汗を流す。

 

イリヤ「えっとまさか私は…あれ?変身できた」

 

刹那「イリヤちゃんだけ普通だね」

 

それにイリヤは確認の為に変身して無事に変身出来たのに刹那は疑問を感じる。

 

アイリはええいと軽く浮遊する魔力弾を放つのが見えるがアサシンエミヤは顔を顰めてる所を見るに出せない様だ。

 

刹那「んー、力を使える人と使えない人に分かれてるみたいだね」

 

アサシンエミヤ「そのようだな。これはかなりの戦力ダウンになってしまうな」

 

ヘラクレス「確かにこれは痛手ですね。そうなるとカレンさんやバゼットさんに協力を仰ぐのも考えないといけませんな…お嬢様?」

 

唸る刹那のにアサシンエミヤも腕を組み、ヘラクレスがそう言った後に変身した後に無言で立っているイリヤを見る。

 

守理「い、イリヤちゃん?」

 

イリヤ「…………ふ、ふふふ」

 

恐る恐る守理が話しかけるとイリヤは突如笑い出し…

 

イリヤ「魔法少女プリズマ☆イリヤ、ここに、参上☆」

 

アーチャー「なんでさ!?」

 

くるりと一回転した後に決めポーズを取るイリヤにアーチャーは思わず叫ぶ。

 

青アルトリア「ちょ、どうしたんですかイリヤスフィール!?」

 

イシュタル「う、なんか頭が…」

 

ルビー「あらー、これは;」

 

パールヴァティー「理由が分かるんですかルビーさん」

 

変貌に驚く青アルトリアの隣で頭を抑えるイシュタルをスルーしてパールヴァティーは問う。

 

ルビー「おそらくこの世界の私の特性が発動しちゃったんでしょうね」

 

刹那「特性が?」

 

守理「どういう特性なの?;」

 

イリヤに握られたままのルビーの言葉に2人は聞く。

 

ルビー「黒歴史になる暴走するって特性です♪」

 

刹那「それ、色々とヤバイ!?」

 

守理「主にイリヤちゃんのメンタル!!」

 

アーチャー「全く、止めに入ろう!セイバーライオンも手伝ってくれ!」

 

セイバーライオン「ガオ!」

 

ヘラクレス「イリヤお嬢様、お止めになってください!」

 

イリヤ「うふふ、マジカルショーの開幕よ♪」

 

そう言って庭に飛び出すイリヤを3人は追いかける。

 

アーチャー「とにかく、投影開始…」

 

武器としてハリセンを投影した後に顔を顰める。

 

アーチャー「(おいおい、俺もこの姿の腕前レベルに落ちてるのか…)セイバーライオン、バーサーカー、とにかく頭を軽く殴るかルビーを手放す様にするぞ」

 

セイバーライオン「がお」

 

ヘラクレス「了解しました。士郎様」

 

指示に2人は頷いてイリヤへと接近しようと駆け出す。

 

イリヤ「邪魔はさせないわ!」

 

そんな3人へと向けてイリヤは魔力弾を放つ。

 

それを避けた後にセイバーライオンが骨付き肉で殴りかかる。

 

セイバーライオン「ガオ!」

 

イリヤ「その程度!」

 

振りかぶられた骨付き肉をルビーで受け止めた後に弾き飛ばしてから魔力弾を放つ。

 

当たろうとしたのをアーチャーがハリセンで防ぐ。

 

ヘラクレス「イリヤお嬢様!」

 

ガシッ!

 

その間に後ろに回り込んだヘラクレスがイリヤを抑え付ける。

 

イリヤ「あ、ちょっ…」

 

アーチャー「痛みは一瞬だ!」

 

刹那「正気に戻って!イリヤちゃん!」

 

バシーン!!

 

アーチャーの大きく振りかぶった巨烈な一撃がイリヤの頭に炸裂するとルビーを手放してイリヤは倒れる。

 

イリヤ「きゅー…」

 

守理「えっと…元に戻ったぜ良いのかな;」

 

ルビー「おそらく戻ってると思いますよ」

 

刹那「ん~これはイリヤちゃんも戦力外だね」

 

目を回すイリヤを見て刹那はうーむと唸りながらそう言う。

 

変身してあのテンションだったら何かあった時を考えると下手に出させられないのだ。

 

青アルトリア「とにかく、バーサーカーは今夜はイリヤスフィールと共に行動した方が良いですね」

 

ヘラクレス「そうですな。イリヤお嬢様は私にお任せを」

 

青アルトリアのにヘラクレスは了承してからイリヤを抱き上げる。

 

アーチャー「さて、やろうとしてた料理を作らないとな…」

 

パールヴァティー「あ、手伝います」

 

刹那「私も手伝う!」

 

そう言って台所に向かうアーチャーにパールヴァティーと刹那も付き合う。

 

不思議な特異点に来てしまった守理達。

 

彼女達に待ち受けているのは…

 

虎聖杯は一体どこに…

 

 

 


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