ありがとうございます。
史実の艦艇類別等級表では「高雄、愛宕、鳥海、摩耶」の順で並んでおり、書類上では鳥海は3番艦であった可能性がある(近年ウィキペディアの高雄型の項目でもそれを根拠として編集を受けている)。
ただし建造前の仮称名では「第7or第11大型巡洋艦」と摩耶より前で、起工も摩耶よりは早かったが進水は遅かったため(竣工は同日)、鳥海を4番艦と解釈する文献もある。
海軍の書類上だと鳥海が姉、艦これだと摩耶が姉。
ここでは鳥海がお姉さんという事でお願いします。
摩耶を連れて私は今、靖国神社にいます。
妹はあまり墓参りなどには熱心でないので私が連れ出せねばと...お節介がすぎますでしょうか?
となりで妹が「姉貴!ちゃっちゃとやって早く帰ろうぜ!」とせっついていますが、顔を見ればいろいろ考えてるのは分かります。やっぱり連れてきて良かったかな?心中でいろいろ相談なさい、摩耶。
境内の桜は散り、葉桜になりました。9月も中頃かという時分に咲いていたら狂い咲きもいいところ。
狂い咲いてみたいと思う心もありますが、この葉桜のように心を治めなければ...
度重なっていく出撃、たまに司令部に出仕して分かるのは海軍の高官の汚なさ。
いっそ靖国の桜になんて思いますが、この桜の面倒を見るためにはそのようなことは我慢いたしましょう。
「姉貴、聞いてるのかよ!姉貴!」
物憂げな私にかかる声、無視しちゃいけませんね。
「なんですか?」
「不満を聞いてくれるのは嬉しいけどよぉ...ぼうっとしすぎじゃねぇか?」
あなたは急ぎすぎなのよ。
記憶に沈むのもまた一興、縁起が悪いかな?沈むなんてね。
「いつ来れると分からないんだから摩耶もゆっくりしなさい」
「ハイハイ」
少し思い出してみるとしますか。
ソロモンなんて面白かったなぁ...
—鳥海 艦橋
サボ島沖北にて作戦会議が行われようとしている。
長野が追撃してくれたおかげで視界はクリアになったんだ、このまま帰投してはならぬ。
ドアが開く音がした、見れば参謀長が部屋に入ってくるなり顔を白くする。
「げぇっ!長野!」
私の思考を邪魔しながら艦内に轟く声。おい参謀長、海軍大学校でさんざん論破された心境は察してやるがそれはないだろう。
敵重巡部隊を破って上がった士気に水を差すんじゃないというんだ、まったく。
「参謀長、私の艦で声を荒げないで頂きたい。乗組員が何事かと見ていますよ、海大の時といい…」
「艦長、その辺りにせよ。話が始まらん」
長官に止められては仕方がない。
頭の中の整理でもするか...
艦隊の二分するは二つ。
一つ、反転し再突入すれば、米機動部隊に捕捉され航空支援の無い当水上部隊はタコ殴りにされるであろうという意見。
だが俺からすれば勝ち逃げしたいだけに見える。
二つ、反転し敵輸送船団に打撃を与える。今後の飛行場防衛に希望が出てくる選択肢だ。
作戦目標はあくまで輸送船団にあるのだ、俺だけでもやってやる。
「ミッドウェーで空母を二隻失っているのだ、航空戦力は侮れん。ここは帰投...」
気づけば会議は帰投の方向にまとまろうとしている。ならんぞ、そうはさせるか。
「でしたら当艦だけで突入いたします。艦隊司令部はなんなりと移乗されるが良いでしょう。」
「貴様、何を言っているか分かっているのか!」
いくらでも吠えろ参謀長、俺はやるぞ。
艦内に静けさが戻る、長官が言葉を発しないあたりに単純ならざる境地が見えようという物だ。
「ならこちらだけでも行う。沈んでも惜しくない旧式艦なら問題ないでしょう」
「はっ?」
思わず声に出てしまう、何も言わないと思っていたらここで口を挟むか...長野。
今の奴の上官は、井上中将だったか?たしかその御仁がガダルカナル島の飛行場設営を具申したはず。
まぁ深く考えても仕方あるまい。
奴の御墨付き...ここで引けば武官の恥よ!
「にしても海軍の偉い連中ほんと腐ってんな!」
いろいろと思い出しますが、横で摩耶が口を尖らせていますね。
ですが摩耶、海軍にも勇気のある方はいるんですよ。
ねっ!艦長♪
「お見合いにでろって言って、面子があれかよ。話になんねーだろ」
「摩耶、私が不満を聞いてあげる。でも自分の提督を見つけなさい、私も探しに行こうと思うの」
「ちぇっ」
機をみてせざるは勇無き事なり
断じて行けば鬼も避ける
私、鳥海法師の今生の銘ですよ。
口数の少ない貴方様には思い浮かばない良い文句でしょ長野提督。
天龍姉妹の第18戦隊司令は
第一次ソロモン海海戦に連れて行ってもらえるまでここで座り込んでやる!
っていうお方でした。
天龍ちゃん、お兄さんは君の芯の強さに期待してるよ?
by名無しさん