元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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本題と邂逅

あれから8年の時が過ぎた。俺の名前は佐野七実から鏡野七実へと変わり特に嫌な仕打ちもされずに愛されて生きた。こんなことは前世含めこんな経験なんて無く泣き出したのは覚えている。それから髪を伸ばし前髪で目を隠すようになった、ついでに後ろ髪は肩まで伸ばしている。学校は転校することなく通うことができたがただ違うと言ったら車椅子での生活だけだった。脚は動く事無く動かせるのは右腕だけで最初は苦痛でしかなかったが簪と本音のおかげで何とか学校の生活も送ることができた。今俺は中学を卒業し春休みを絶賛満喫中だが簪と本音と一緒に行動していた。理由は簡単で織斑一夏とかいう奴がISを起動させたらしく世界中一斉に他の男性IS操縦者がいるのかの調査をしていた

 

「すまんな簪に本音」

 

「いいってことよ~もしななみんがISを起動させたら高校でも一緒に3人で通えるじゃん!」

 

「私も七実には動かしてほしい・・・あと一夏絶対に許すまじ」

 

簪は中学に入ってすぐにISの適性検査を受けると、操縦者ランクAを取り日本代表候補生となるが世間で騒がれてる一夏とやらに専用機の開発を取られ専用機は未完成となっている

 

「もし俺も入学することになったら手伝う」

 

「その身体じゃ難しいと思うけど・・・気持ちだけはありがと」

 

「私も手伝っちゃうよ~!」

 

そんな話をしているとISの検査会場に到着し中に入ると行列ができていた。既に検査を終わらせ学園入りできなくて絶望してる奴やこれから受ける検査で合格する奴、ハーレム目指して意気込んでる奴と様々な思いが混ざっている所に正直行きたくない

 

「もう帰りたいんだが」

 

「「ダメ!」」

 

2人して却下しやがって。まぁどうせ検査に行かなかった場合も強制的に受けさせられるのだから今になるか後になるかの2択なんだけどな。しばらく2人と会話をしてると俺の番がやってきたようで簪に車椅子を押されながら部屋の中に入ると嫌な顔をした女性が俺に悪態をつけながら早く触るように指示してくると俺はISを触った。触った瞬間に光出し俺はISを起動させたようだ

 

「・・・おめでとう?」

 

「うっせ、どうやって解除すんだ?」

 

「念じればOK」

 

俺は簪に言われたとおりに念じてみるとISが解除され地べたに落とされた。それを見た簪は俺に肩を貸してくれて車椅子に座ることができた。先ほどまで嫌な顔をしていた女はせわしなく動きだし連絡を取っていた。俺は簪と本音ごと別室に通され待たされることになった

 

「やったねななみん!IS学園に行けるよ~!」

 

「「おいやめろ」」

 

「なんで動かせたんだよ・・・もっと普通がよかったのに」

 

あんな生活を送ってからというものの普通の生活を望むようになった俺は正直IS学園に行きたくないのだ

 

「私も応援する・・・だから頑張って」

 

「はいはい」

 

しばらくすると黒いスーツを着た凛々しい女性が入ってくるなり簪と本音が驚いていた・・・てか初代ブリュンヒルデこと織斑千冬か。そして本当の俺の姉・・・てことは一夏って俺の弟か

 

「因果なもんだ」

 

「ん?何か言ったか?」

 

「空耳じゃないですか?」

 

暁斗さんに聞いた話だと俺が赤ん坊の時に誘拐されて離ればなれになった家が織斑家だそうで正直帰る気になれなかった。まぁある程度は知っていたが有名になった人が近くにいるってのにやすやすと本当はあなたの弟ですよーとかほざける人間がいたら教えてくれ

 

「お、織斑先生!?」

 

「更識妹か久しいな。テストの時以来か、それよりもなぜここにいるんだ?」

 

「七実の付き添いで・・・幼馴染なんです」

 

「そうだったのか。君も車椅子生活なんて大変だろう」

 

「この2人・・・正確に言うと4人のおかげで慣れました」

 

簪と本音もそうだが刀奈・・・今は楯無だったな、楯無と虚こんな俺の手助けをしてくれたから助かったのだ。もっとも楯無は俺で遊んでばっかだったが

 

「では感謝するといい。助けて貰ったことには必ず礼をするのだぞ」

 

「はい。話はこれくらいにして本題に入ってくれませんか?」

 

「おっとすまない。なんだか私の弟に雰囲気が似ていてな」

 

実際に弟だから何とも言えない。眩しすぎて何も言えない。この人が闇を照らす光だとしたら俺は消される闇だろう

 

「・・・そうですか」

 

「それでは本題に入るぞ。来年度からはIS学園に入ってもらうことになるが君のその状態を見るとなるべく早くIS学園に入ってもらうことになる。幸いなことに君の幼馴染もIS学園に入ることが決まっているから同室となるやもしれん。それでいいか?」

 

「なら親父と母さんはどうなるんですか?」

 

「両親については重要人保護プログラムにより離ればなれになってしまう。それだけはご了承願いたい」

 

離ればなれになっちまうのか・・・まだ恩返しもできてねぇのにか

 

「辛いかとは思うが受け入れてくれ。そうじゃないと親御さん含めもっと辛い目に遭うかもしれないんだ」

 

「・・・わかりました」

 

「そういってもらえると助かる。では明日私は行けないが別の教員が迎えに行くことになるので準備をしていてくれ。話は以上だが何か質問はあるか?」

 

質問なら特にないので首を横に振ることにした。すると帰され俺の気が重いまま簪に車椅子を押されながら帰ることにした。家に帰るなりそのことを親父と母さんに言うと頑張れの一言を貰った、今まで俺が生きてきた中で嬉しい一言だと思う

 

 

 

真耶サイド

 

私は昨日新しく発見された男性IS操縦者の家に行くと既にマスコミが押し寄せていて通るのは難しいと思い警察にも協力してもらうことになった。マスコミが退散すると私は七実君の家のインターホンを押して私が来たことを伝えるとすぐに出てきてくれました。織斑先生の言う通り彼は車椅子での生活を余儀なくされておりよくよく聞いてみると利き腕である左手も動かないそうです。いったいどんな生活をしたらこうなるのでしょう?

 

「それでは行きましょう七実君。ご両親に挨拶をしてください」

 

「分かってる・・・じゃあな親父に母さん、恩返しできなくてすまん」

 

「いいのよ七実。山田先生どうか七実をよろしくお願いします」

 

「私からもよろしく頼みます。そいつは色々と大変な思いをしてその体になってしまったんです。だから先生だけでも見捨ててやんないでください!」

 

「はい!任せてください!」

 

過去に七実君が何があったのか分かりませんが大変だったということは分かりました。でもこれからは私たちに任せてください!別れを告げると七実君の車椅子を押し荷物を車の中に積み、彼を車椅子から持ち上げるととても男の子とは思えないくらいに軽かったのは驚いたけど今は彼をちゃんとIS学園に届けなきゃね!車椅子も積み車を発進させる

 

「よろしくね七実君。これからIS学園に行きますが途中でどこかに寄らずに行きますので」

 

「・・・よろしく先生」

 

彼はそう一言いうとそのまま黙ってしまいました・・・うぅ、気まずいです。気まずい空気の中運転していくこと1時間でIS学園行きのモノレール駅に到着し車を止めると七実君を車椅子に乗せ荷物を膝の上に乗せモノレール駅の中に入りIS学園と向かうけどその道中も気まずいままモノレールの中に入る。IS学園に到着すると生徒会長の更識楯無さんと布仏虚さんが出迎えてくれた

 

「ようこそIS学園へ、歓迎するわよ七実君!」

 

「お久しぶりですね七実さん。また身長が伸びましたか?」

 

「椅子に座ってばっかだがな」

 

「私はスルーなの!?」

 

「・・・うるさい」

 

どうやらこのお2人は七実君を知っているみたいでさっきとは打って変わって少し楽しそうです

 

「さて寮に行くわよ!既に簪ちゃんと本音ちゃんが寮の部屋で待っているわ!」

 

「はぁ・・・なら引いてくれ。先生に迷惑を掛けてられん」

 

「え?ああ、大丈夫ですよ?」

 

「いや以前に姉妹喧嘩で迷惑を掛けられたんでこのシスコンに任せるんです」

 

「シスコン言うな!」

 

「勝手に言ってろシスコン」

 

「ムキャー!」

 

いつもは生徒から尊敬を向けられる楯無さんですが今はただの一人の生徒さんのようでした。七実君は楯無さんにとって気が許せる人ということでしょうか?

 

「山田先生お疲れ様です。後は私が連れていきますので大丈夫ですよ」

 

「あー、いいんですか?」

 

「大丈夫ですよ山田先生。彼の送迎でお疲れでしょうし後は私たちにお任せください」

 

「分かりました。もし困ったことがあったらいつでも言ってくださいね。私は職員室にいますので」

 

私は車椅子を虚さんに渡し職員室に向かうことにしました。それにしてもどこか雰囲気は織斑先生と同じというか似てるというか一体何なんでしょう?

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

少し早めのななみん入学です?

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