元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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私についての説明をしよう。

 

ドイツから戻ってきた翌日、俺は新たにやるべきことを追加した。それは体力増加のためのランニングである。早朝であるがために、簪やシャルロットを起こすわけにはいかない。1人で静かにやるべきだ。簪とシャルロットを起こさないようにベッドから抜け出し、ジャージに着替えて集中しやすくするために音楽を聴きながら走るように外に出た。寮を抜け出し、外に出て軽くストレッチをしてから走り出す。IS学園を1周しよう。外周で1周がどれだけ辛いものかは知らないが、目測でだいたい10㎞ぐらいあるだろう。もしかしたらもっとあるかもしれないが

 

「んじゃ、行きますか」

 

ドイツでの訓練さながら軽快に駆け出す。早朝ということもあって、そこまで暑くなく風もあって結構快適である。海上にあるとはいえ、異様なほど金を掛けた学園で見晴らしはいい。真上か真下から来なければ対策はしやすい。まぁ、この場所だし全方向の対策はしているだろう。守に易く、攻めるに難い。内部反乱でも起きない限り十分だろう。ISの待機状態である懐中時計を開いて時間を確認すると6時半。朝食にはまだ早いが下準備ぐらいはしておこう

 

「少しスピードを上げますか」

 

イヤホンを付けているせいなのか、IS学園という場所に信頼していたのかはわからないが俺は油断していたのだろう。何か紐のような何かに絡めとられ、後方に引っ張られ狭い筒状のコンピューターが大量に設置された部屋に入れられた。扉を蹴っ飛ばし外に出ようかと思ったが、部屋自体が揺れて立っていることすらできなくなった。人生2度目の誘拐、なんだろう、昔のことを思い出し気持ち悪くなってきた。この部屋で揺られること約20分、ようやく停止し扉が開く

 

「んっふっふ~、お目当ての人物ご到着ー!」

 

声がした方を見てみると、そこには臨海学校で見た兎耳の1人不思議の国アリスこと篠ノ之束だ。一体何の用で連れてきたんだよ

 

「どうだった、どうだった?この束さん特製のニンジンロケットは!」

 

「今すぐトイレに案内してくれ。汚物ぶちまけそうだ」

 

「げぇ!?そんなことしたらただじゃおかないんだぞ!」

 

誰のせいでこういう状況になってるんだよ。とりあえず汚物はぶちまけずに済んだがまだ気持ち悪い

 

「気分は収まったかえ?」

 

「一応は。てか、なんで俺をここにこんなやり方で連れてきた」

 

「まぁまぁ、ここに呼んだ理由は2つあるのだ。1つは、はー君の持っているISを貸してほしいんだ」

 

「はぁ?」

 

どんな理由で連れてきたかと思えば<M.M.>を貸してほしい?天災様が何をおっしゃってるんでしょうかね?

 

「ISコアには疑似人格が埋め込まれているのは知っていると思うけど、そのISコアは異常を起こしてる可能性があるんだ」

 

「だったら織斑先生に護衛でも頼んで、そこでやればいいだろうに」

 

「特殊な手段を使うから、この吾輩は猫である(名前はまだ無い)に連れてきたんだよ!」

 

それならそれで事前に伝えておいてほしいものだ。急なことで心臓に悪すぎる

 

「要はISコアの点検か?」

 

「理解が速くてよろしい、束さんに着いてこーい!」

 

意味不明な場所に連れてこられてやることは点検。帰ろうにも帰る手段もこの場所の位置もわからん事尽くし。仕方なく俺は篠ノ之束の後をついていくことにした。歩くこと3,4分したところでとある部屋に入った。そこにはISを掛けるハンガーや置いたISに繋げるケーブルにコンピューターがいくつも設置されていた

 

「それじゃあ、ISを展開してここのハンガーにかけておいて」

 

「うす。それが終わったら何してればいいんですか?」

 

「適当にしてていいよ~。なんならクーちゃんと話しててもいいし」

 

そのクーちゃんって誰ですかね?メイ〇なの?槍ニキでもいるの?それはそれでむっちゃ会いたいけど。ISを展開してハンガーにかけてから離脱する

 

「これでいいんすか?」

 

「OKOK、点検ついでに整備もしとくから少し時間がかかるかもしれないから」

 

「はぁ・・・んじゃ、適当にぶらついてます。外に行くとこなんてできないでしょうし」

 

「行けることは行けるけど死んじゃうよ?」

 

死ぬんかい。ならそれは行けないと同義だっての。とりあえず俺はこの建物内の構造がわからんから適当にぶらついていけばクーちゃんとやらにも出会えるだろうさ。でも簪に電話でもして織斑先生に伝えてもらうとしよう

 

 

 

束サイド

 

「これでようやくご対面だね」

 

外部からハッキングできないこのISコアには正当な方法で対面するしかなかった。今まではこんな方法を取る必要は取る必要が無かったためこんなのは初めてである。そう、電脳ダイブだ。操縦者個人の意識をISの同調機能とナノマシンの信号伝達によって、ISの操縦者保護神経バイパスを通して電脳世界へと仮想可視化して侵入させる。これによって<M.M.>のISコア内部に侵入する

 

「何を知っているのかを聞きに行かなきゃね。この束さんが興味を持つ理由がこれからも続くか否かはそれ次第」

 

目を閉じて電脳ダイブを行う。身体に電流が流れてくるのがわかる。次に目を開けた時には視界は真っ暗。周囲を見渡しても真っ暗闇である

 

「おい、出て来いよ。誰だか知らないけどお前がいるのは束さんはお見通しなんだぞ!」

 

言ってみるだけ言ってみたが返答がない。このままここで待っていようとした時に異変が現れた。暗闇の中から木製のドアが現れたのだ。他に手立てもなく恐る恐るドアに近づき、ドアノブを回し開くとそこには和室が広がっていた。テーブルにはかき氷を作るための手動のやつ、床にはご丁寧にクーラーボックスも完備してやがる。それはともかく呑気にかき氷を食べているボロキレを着た鏡野七実がいたのだ。

 

「やっほー篠ノ之束ちゃん。引きこもりの私に何の用かな?」

 

「いやいやいや、ここまで自由奔放にやってるなんて思うわけないでしょうが!?」

 

この束さんをちゃん付けで呼ぶなんてふざけてるのも大概にしてほしいものだよ!

 

「たまーに白ちゃんだとか紅ちゃんとか来てるけどね。とりあえず夏っぽさを満喫してるところさ。あ、かき氷食べるなら自分で作ってね」

 

そこははっきりしてるんだ。それに白ちゃんだとか紅ちゃんって誰よ、架空の友人?いや、そうじゃない今日は聞きに来たんだ

 

「お前に聞きたいことがある。お前、いったい何者?」

 

「この世ならざる者、とでも返答しておけば満足してくれるかい?篠ノ之束ちゃん、君はそんな回答じゃ納得しない」

 

「あぁ、しないよ」

 

「だろうね。だからかき氷でも食べて落ち着いて話をしようと遠回しに言ってたんだけどな」

 

そんなことは知っている。早く話せと言ってるのがわからないのだろうか?

 

「急がば回れってやつだよ、篠ノ之束ちゃん。君が今思っていることも感じているし、知っている。全てを知りたいんだろう?ならここは乗せられてくれないかな?こっちの話も聞けない奴に話すことなんて無いんだし」

 

そんなことを言われてしまったらどうしようもない。目的が果たせなくなるのでここは乗せられておこう

 

「んで、何が聞きたいんだい?」

 

かき氷を食べながらそういう彼には呆れるしかない。そういや自分の分は自分で作るんだったけ

 

「まずは何者かを知りたい」

 

「はいはい、さっきも言ったけど私は()()()()()()()()()()。もっと言えば()()()()()()()()()()()()

 

「この世の人間じゃなかった?そんなSFだとかファンタジーの世界みたいな話じゃないんだからさ、現実味のある話をしろよ」

 

「なら、信憑性のある話でもするとしよう。神様転生という言葉は知っているだろうか?」

 

なーにを唐突に話題を逸らそうとしてるんだか

 

「聞いたことだけはあるよ。でも、そんなのは架空でしかない」

 

「普通ならね。でも私たちはその経験者だ」

 

「頭でもイっちゃった?」

 

「おいおい、こっちは割と真剣な話をしてるんだ。こんなところで嘘はつかないさ、んで話を戻すけど神様転生には大抵、特典が付き物だ。その特典に選んだのはこの世界における()知識さ」

 

なんか話がしっちゃかめっちゃかになってきた気がするが一旦考察してみよう。ここまでの話が全て噓ではないとするのであれば、織斑春十こと鏡野七実は転生者である。とんでもない話であるが仮にそうであるなら特典とやらがどれほどの物か

 

「ん、特典は全知識って言ったの?」

 

「そうだよ。おっと・・・急にどうしたのかな?汗なんか掻いちゃって。そんなにこの部屋が暑いのかな?」

 

そんなわけがないと思い、額を手で拭い確認してみるがびっしょりと濡れていた。脳内の片隅で警報が鳴り響いている。目の前の奴は危険だと

 

「ヤだな~篠ノ之束ちゃん。そんなに目つきを鋭くしなくてもいいじゃないか。ほら、深呼吸深呼吸。君は話し合いに来たんでしょ?」

 

髪のせいで目は見えないが口角が上がり、笑っているように見える。私にはそれがとても不気味に見えた

 

「その気持ちは分からなくないよん。でもさ、特典の内容わかっちゃったんでしょ?()()()()()()()()()()()()()()()()()、と」

 

「たぶんだけど、全知識ってI()S()()()()()()()()もって事?」

 

「大正解、そう()はISコアの製造方法を知っている。それだけじゃない、ここまでに出会う人間のことは大抵知っていた。君も一夏君も箒ちゃんも全員知っていた。知識として知っていたし、いつ、どこで出会うのかも知っていた」

 

そこまで来ると既に知識じゃない。未来予測だ、なのにどうして彼はその知識を使うことをしなかったのだろうか。そんな知識があるだけでも十分に楽できただろうに

 

「あのさぁ・・・大天災はやっぱり馬鹿なのかねぇ?」

 

「なーにを言ってくれとんじゃい!?」

 

「たかが一般人がISコアの製造方法を知ってたらどうすんのさ。それこそ誘拐、殺害されるでしょうが。だから私がきっちり漏れないように預かってるだけ。単純な思考すらできなくなっちゃったのかい?」

 

「お前、おちょくるのもいい加減にしろよ」

 

「悪かったよ。でも、私が言っていることは至極当然だろう?」

 

確かにこいつの言う通りだ。私しか知らないものを知っている。それ知ることは通常ではありえないことだ。だが、転生特典のせいで知ってしまった以上放置できない

 

「一応保身のために言っておくけど、ISコアの製造方法は俺に求められても外に漏らすつもりはないからね?」

 

「あっそ。ならいいんだけど本当に漏らすつもりはないんだね?」

 

「無いに決まってんじゃん。俺には絶対に渡すわけにいかないしね。これで何者かについては話したよ」

 

「いやまだ話してない。いま、束さんの目の前にいる奴と表に出ている方の説明がまだだ」

 

予想外の話になってしまったが重要なことには変わりはない。なぜ表に出ているのと同じ顔やら体格なのか

 

「そういえばそうだ。んじゃ説明するけど、私はあくまでも俺の一部分でしかない。もしくは歯車だ」

 

「歯車・・・なるほどね。君がいなければ本体(織斑春十)が機能しないと」

 

「御明察。私がいないことで何が機能しなくなるのかはご想像に任せるよ」

 

何が起こるかは分からないが、これで知りたいことは全て知れた。まだ利用価値はある。未来予知ができるのであれば十分だ。私は立ち上がりこの部屋を出て現実へ戻ろうとした時、こいつから声を掛けられた

 

「なんだよ?」

 

「私のことを聞いたんだ。こちらも頼みごとを3つほど頼まれてはくれないだろうか。篠ノ之束ちゃんの技術力なら全て簡単なものさ」

 

「まぁ・・・いいけど何さ?」

 

「それはね・・・」

 

そのあと、特に問題もなく頼まれ事を了承した。1つはISコアに改造を施してGPS機能を付けてほしいということ。2つ目は表の方に電話番号を教えろとのこと。この2つがどんな意味を為すのかわからないが、きっと意味のある事なんだろう

 

 

 

七実サイド

 

あれから2時間が経過した。研究所内を適当にぶらついていたら銀髪の少女に出くわした。どことなくラウラと同じ雰囲気を醸し出していた

 

「どうなされましたか春十様?」

 

「ん、暇だなと思って。それよりもお前さんはそっちの名前で呼ぶんだな。篠ノ之束から教えて貰ったのか?」

 

「ええ、それとお前さんではなくクロエ・クロニクルと申します」

 

このクロエという少女は目を開くことなく洗濯物を干していた。何もすることがない俺はそこらへんにあった椅子に座って暇をつぶしていた

 

「そういや、簪に連絡しとかないと心配させるな」

 

スマホを取り出し電話を掛けようと操作した時、腕を掴まれた。どうやらここではスマホを操作するなということだろう

 

「これじゃダメってことでいいんだよな?」

 

「洗濯物を干し終わりましたら、専用の通信機の場所に連れていきますので少々お待ちを」

 

量的にもう少しかかりそうだ。他人の物を手伝うのは気が引けるし何よりも面倒だ。そして干し終わったようでようやく連れて行ってもらえる。クロエの後をついていく。いくつかの部屋を通り過ぎると通路に黒電話があった。まさかとは思うがこれじゃないだろうな?

 

「こちらとなります」

 

「この黒電話がか?」

 

「はい、束様が1から制作なされました。こちらは特殊な電波と共に発信されるため妨害及び盗聴が不可となっております」

 

だからってこんな旧時代的な装置にしなくても、もっと機能が付けれただろうに。それはともかく簪の携帯番号へと電話をかけると1コール後に繋がった

 

『誰?』

 

「俺だ、鏡野七実だ」

 

『七実!?いったいどこにいったの!探したの!』

 

まぁ、そうなるわな。朝起きたらどこにもいなくて、探しても探してもどこにもいない。声を荒げるのは仕方ないことだろう

 

「えっとだな、朝6時半に起きてランニングしようとして外を走ってたが、篠ノ之束博士に誘拐された。理由はISコアの点検だそうだ。終わったらすぐにそっちに戻れると思う」

 

『それ信じていいの?』

 

「ああ、信じてくれ。それと心配をかけて悪かった」

 

『帰ったら覚えておいて・・・私とシャルロットだけじゃないからね』

 

帰ったら・・・大変な目に遭うんだろうなー

 

『早く帰ってきて・・・その、早く一緒いたい』

 

そう言って簪は通話を切った。本当に心配してくれているんだろうがドギツイのはやめてほしいな

 

「おーい、クーちゃーん!はーくーん!ここにいたんだ」

 

大手を振ってこちらに向かってくる篠ノ之束。片手にはISの待機状態である懐中時計を握りしめていた

 

「いやー。結構手間取っちゃったぜ。ほれ、これどーぞ」

 

持っていた懐中時計を放り投げて渡してくる。慌ててキャッチするが落としてしまったらどうするつもりなんだよ

 

「束様、他人の物を投げてはいけないでしょう」

 

「はーい。それとクーちゃん、束さんのことをお母さんと呼んでいいんだよ?」

 

「お断りします。あと、勝手に人を連れてきてはいけません。事前にアポを取るように」

 

なんだろう。身長とか考えても篠ノ之束の方が姉とか思えるんだが、クロエの方が姉っぽく感じる

 

「えー、面倒なんだもん。あ、そうだそうだ。はいこれ」

 

「なんだこの紙切れは?」

 

「束さんお手製の通信機の番号だよ。ISのことで困ったらここに連絡するよーに!それじゃあ元来た道を帰るよ。ほーれさっさと行く!」

 

手を引かれ元来た道を引き返す。妙に手に込められている力が強いせいで痛いがさっさと帰るためには仕方ない。そして最初の場所に戻ってくると、そこには巨大なニンジンがそびえたっていた。凄く・・・大きいです

 

「これでお別れだね。これに乗って早く帰るんだ」

 

「誰のせいでここに連れてこられたと思ってんだよ。とりあえず織斑先生に報告するからな」

 

「げぇ!?それだけはご勘弁を!」

 

「やなこった。でも、点検はありがと」

 

言うことは言ってニンジンの中へ搭乗する。すると、扉は閉じ発進する。このニンジンロケットって通常じゃありえない形状で飛行してるような気がする。もーね、飛行中はね、暇で暇で仕方ないの。下手に動けば舌とか嚙みそうで怖いしなジッとしてよう。そのままでいることこれまた20分ようやく停止して、扉が開く。着地の衝撃で立っていられず背中を打ってしまった

 

「束、どういうご身分だ・・・って鏡野がなぜこれに」

 

扉の先には織斑先生が仁王立ちしていた。おー、スーツ姿とはいえスタイルいいからいろいろとはっきりてんな。どことは言わんが凄い

 

「そういえば鏡野、デュノアに更識と布仏()()が心配してたぞ」

 

おんやー、これはヤバげですわ。一応報告だけでもしておきましょうか

 

「俺は悪くないんですけど・・・篠ノ之束に誘拐されまして・・・その、ISコアの点検だとかで」

 

「ん、ISコアの点検だと?」

 

「疑似人格が異常を起こしているだとかなんとか。よくわかんないですが、そういう理由らしいです」

 

何やら織斑先生にとっては考えることがあったようで考え込んでしまっていた。その間に立ち上がり外に出ると夏特有の暑さがやってくる。やべぇよ・・・やべぇよ・・・

 

「とにかく鏡野は早く戻るといい。あいつらが心配しているだろうしな」

 

「了解です」

 

背を向けて走り出した時に織斑先生は「あの時の話だろうか」と言っていたが何のことだかさっぱりだ。寮に戻り部屋の扉をこっそり開けるとそこには5人がきっちり揃っていた。その光景見た瞬間、扉をそっと閉じた。どないせっちゅーねん。朝一で心配かけて何事もなく帰ってきましたーってか?い、いや簪に何があったのかは説明しているから何事もないはずだ

 

「覚悟を決めて、いざ行かん」

 

再び開けて中を確認すると扉の前で5人が仁王立ちしてたので、またしてもそっ閉じしました。ごめん、あんな状況で飛び込めというのが無茶すぐる

 

『ねぇ七実ー、いい加減入ってきたらどうかなー?』

 

『そこにいるのは分かってるのよ?』

 

『絶対に逃がさない・・・今度は離さない』

 

声からしてシャルロットに楯無、簪なんだろうけどその言い方結構怖いからな!?急に目の前の扉が開くとそこには本音がいた。当然のごとくその後ろでは4人が待ち構えているわけで、そんな中で本音は抱きついてきた

 

「朝から大変だったね~ななみん。とりあえず部屋の中に入ろ~?」

 

「お、おう」

 

もう反抗する気も無くなったが、部屋の中に入るのは怖いがしょうがないと割り切ろう。部屋の中に入るなり、特に責められるわけでもなく今日1日はずっと一緒に過ごした。ただ、心配させた罰として1日は執事服を着て家事全般をするようにとのこと。それくらいは仕方ないと思ったが、本音も別方向に乗り気でメイド服を着て一緒に家事をしましたとさ。念のために言っておくが、この執事服を持ってきたのは楯無や本音じゃない虚だ。なんなら手作りだそうだ。その労力を別のところに回せよ、と言いかけたのは俺だけじゃないと思う

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

次回は8/6以降に投稿します

それと次回はOHANASHI回となります

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