元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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再び日常へ

 

7/28 月曜日 天候:晴れ

 

IS学園から離れてドイツ軍に招待を受けこの地に降り立った。今回の招待を受けた理由は深くは話せはしないが自身の身を守るために、やらなければいけない目標ができたからだ。その目標を最短で効率よく行える機会を頂いたという幸運。それを生かす為に、ドイツへ向かう1週間前にIS学園の教員から格闘について手解きを受けてから来ていた。何をするでもなく、初日で移動だけでもほぼ半日を有したということもあり内容の再確認を受け、施設の軽い説明を受けて終了となった。知っている誰かがいるだけでも安心できるのは大きいと思う

 

 

 

7/29 火曜日 天候:晴れ

 

2日目、早朝のランニングでは自身の弱点である体力の無さが顕著に表れた。世間では酷評されているのは知っているが、自身の過去を語ると面倒なので割愛するが身体が動かせなかった7年間があるため体力が無いのは自覚している。今までは最低限のことだけで十分だったため体力を必要としなかったのがツケとなった。ここからIS学園に戻っても自主的にランニングを継続していくつもりだ。そして、この日の格闘訓練はシュヴァルツェ・ハーゼ隊の副隊長のクラリッサ・ハルフォーフ副隊長との組手では付け焼刃程度のものではあったが通用するものはちゃんとあったのが確認できた。その後、事務作業の手伝いをすることになったが1つの疑問が浮上した。どうしてあの机があったのかだ。それを俺が知る由ではないだろう

 

 

 

7/30 水曜日 天候:曇りのち雨

 

3日目、天候は良くないが午前は雨も降ることもなく早朝ランニングから始まり、格闘訓練と続いた。相手は変わるがそれでも相手は軍人、技を決めれば決め返されやることなすこと返されるのだ。だが昨日のようには遅れは取らない。負けないためにはどうするか。相手の行動を真似ることだ。真似るとは、学ぶの語源にもなった言葉であり、上の立場の人間の行動や教えを真似る。これにより何が有益かと言えば技術の向上は勿論のこと、選択肢の幅を実践を交えて経験として得られるということ。自分のISの特性に感化されたのか、ここ最近はこのやり方がしっくりくるのだ。それはともかく、午後にはISの整備の見学をさせてもらった。学生とはいえ、ドイツ軍のISに触れることはできない。保身的な意味も兼ねているが、遠巻きながら見てて思うことがある。どこぞのキチガイ兎の技術は凄いと思った。

 

 

 

7/31 木曜日 天候:雨

 

4日目、生憎の悪天候により訓練内容が変更されてしまった。室内練習場にてランニングから始まり格闘訓練、場所を移動して実物による射撃訓練。ドイツ軍基地に来て、早くも4日目となったが最初は慣れないことばかりだったがどうやら体は覚えてきているようで、ランニングに耐えられるようになった。さらに言うと格闘訓練においては選択肢が増えてきているおかげで対応力が出てきたまである。そのおかげで満足とはいかないがそこそこの実力が持てたと思う。だが、先ほど記述したようにこれで満足とは言わない。こんなレベルじゃ自分が満足しない。完璧とはいかないが目標を掲げるとしたら打倒織斑千冬である。この話は置いておくとして、射撃訓練について1つ疑問に思ったが銃を撃った時、薬莢が排出され後に回収するのは経費削減のためには理由として十分だが、回収の仕方が問題だと思う。わざわざ、地面に落として排熱させてから拾うよりか虫網を使って回収した方がいいと思う。拾う苦労もなくペアを組んで片方が射撃、もう片方が薬莢の回収した方が効率的だと思う。購入費用は掛かってしまうが、それ以降は修繕を繰り返していけば何度でも使える。この方式は日本の自衛隊でも導入されており、十分な効果が保証されている。あくまで提案、疑問でしかないので悪しからず

 

 

 

8/1 金曜日 天候:晴れ

 

5日目、移動日を考えて今日を含めて残り2日となった。恒例の早朝ランニングですらこなせるようになっていた。慢心をするつもりはないがようやくこのレベルまで到達できたのだと実感した。しかしだ、早朝ランニングに格闘訓練は慣れたものの、もう一つの訓練であるIS模擬戦は流石に堪えた。情報として入手していることだろうし記述するが<M.M.>の特性上、被弾できないため苦戦よりも長期戦を強いられる。且つ、回避技術が伴っていなければできない行動も多く存在する。IS部隊であるシュヴァルツェ・ハーゼ隊の隊員は生半可な技術では打倒できないのは知っていたが、よく勝てたものだと思う。やはり自分はISを操縦しているのではなく、操られているのだと感じた瞬間でもあると感じた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

8/2 土曜日 天候:曇り

 

最終日、ここまで来ると名残惜しいものも感じるが感傷に浸っている暇なんてない。最終日とはいえこの日も早朝ランニングから始まる。このランニングも随分と慣れたものだ。その次の格闘訓練では、訓練初日で相手をしたクラリッサ・ハルフォーフ副隊長との手合わせをしたが五分五分とはいかずともほぼ対等に戦えるようになっていた。だが、上には上がいるものだ。クラリッサ・ハルフォーフ副隊長にはほぼ対等だとしても、ラウラ・ボーデヴィッヒ隊長には歯が立たなかった。副隊長よりも隊長が強いのは想像できたが身長差をものともしないあの力には驚きを隠せなかった。午後の訓練はサバゲーもとい実地訓練だった。ペイント弾を使用したサバゲーという認識でやっていたが軍隊の本気を見た気がする。部隊を半分に分け。森林の中で条件、状況を指定してその範囲内での銃撃戦やステルス戦をしたが、これがまぁ尋常じゃなかった。指示や地形での行動予測、侵入経路の探索等々。的確すぎて怖すぎるほどなのだ。もしかしたら、何度も経験して慣れてしまったのだろうと思っていなかったが年に2回という開催で慣れるはずがない。昨日は晴れていたものの一昨日は雨だったため、ぬかるんでいたところも多々あったのだ。怪我もなく無事訓練を終えたが被弾したペイント弾が落ちないのは流石に堪えた

 

 

 

8/3 日曜日 天候:晴れ

 

訓練の全工程を終え、そろそろ出立する時間だ。忘れ物は無し。この一週間で得るものは多く、有意義な時間を過ごすことができた。自らの力を再確認でき、伸ばすことができた。それだけでも十分な収穫だったがそれでも最後に言うとしたら、隊の人員が女性だけなのは些か厳しいものがありました

 

 

 

「まったく・・・」

 

相棒が既に日本へ帰っている頃だろう。相棒が書いた報告書に改めて目を通しているがこのまま提出できるような状態じゃない。臨海学校で現れた篠ノ之束博士の事を示唆する内容が含まれている。そのことで問い詰められるのもが記されていた

 

「しかも、書いておきながら一本線を入れておくだけ・・・2学期が始まる前に戻るから、その時に毒づいてやろうか?」

 

このくらいなら軽いくらいだろう。あれやこれやとこちらも忙しい時期に来させてしまったので、確認はしたがサラッとしかできていなかったのがこうなるとはな。私は自分の席に着かず、相棒が座っていた席に座っていた

 

「どうぞ、コーヒーです」

 

「ん、ありがとうクラリッサ」

 

卓上にカップを置き、自分の椅子へと戻るクラリッサ。既に他の隊員は宿舎へと戻っているため二人きりである

 

「先ほどからPCを覗いてどうなされましたか?」

 

「あぁ、相棒が書いたレポートを見ていてな、出来はいいかもしれんが内容に呆れてな」

 

「そうでしたか・・・ですが、その割には笑っていらっしゃる」

 

どうやら無意識のうちに笑ってしまっていたのか

 

「そのお顔を見るのはあの時以来でしょうか」

 

「・・・そうかもな。いや、訂正しよう。IS学園でも多少は笑えてた・・・と思うぞ」

 

あの時と言えば織斑教官がドイツ軍に来る前、4年前の事だろう。不慮の事故で死んでしまった、元この机の持ち主である()()()。当時の隊長を務めていた彼女は尊敬の値するただ一人の女性だった

 

「時が経つのは早いものだ・・・」

 

「いろんなことがありましたね。隊長が織斑一夏を恨んだり、和解したり、相棒ができたり」

 

「ここ最近の出来事が多いな。まぁ、その通りなんだが」

 

これからもあんな出来事が無ければいいな。

 

「私たちを見守ってくれているだろうか」

 

「きっとあの人なら見守ってくれていますよ」

 

「・・・それもそうだな。あの心優しき彼女のことだ、きっと見守ってくれているに違いない」

 

()()()()()()()()()隊長、私は元気にやっております。どうかこれからも、シュヴァルツェ・ハーゼ隊の行く末を見守ってくれ

 

 

 

七実サイド

 

ようやく日本へと戻ってくることができた。この1週間で学んだことはこれからに役立つこともあるだろう。空港から離れ、IS学園のモノレール駅に到着した。まだ日も暮れていないが夏の暑さが未だに残っている。さっさと寮の部屋に戻ろうと駅から出たところを後ろから誰かに抱きしめられた

 

「お帰り七実・・・1週間ぶり」

 

「その声は簪か。久しぶりだな、そしてただいま」

 

周囲を確認してみるが簪以外には誰一人としていない。もし見られていたとしたら互いに悶絶しているだろう、恥ずかしくて

 

「うん、おかえり。疲れたでしょ?」

 

「正直に言うと疲れた。ただ、その分いい経験を積むことができた」

 

「それはよかったね・・・それじゃあ部屋に戻ろ、今日はシャルロットが食事当番なの。そろそろ出来上がるころだと思う」

 

「ん、了解だ。さすがに腹も減ってるわ、疲れてるわで少しキツイ。さっさと戻ろう」

 

「それじゃあ・・・はい」

 

抱きついていた手を解き、俺へ手を差し伸べてくる。俺はその手を握り、寮へと歩き出す。心なしか体が熱く感じるが夏の気温のせいだろう。寮の中に入ると、いくらか冷房が利いていて涼しい。ここは極楽ですな

 

「着いたよ」

 

「おー、ようやく帰ってこれた」

 

扉を開けると冷気が部屋の中から漏れ出すのと、肉を焼く音と匂いが同時に襲ってくる。簪に背中を押され部屋の中に入ると、キッチンには黄色いエプロンを付けたシャルロットがいた

 

「帰ってきたんだね、おかえり七実!」

 

「ただいま、シャルロット」

 

「もう少しでお夕飯できるからシャワー浴びてきたら?」

 

「んじゃ、そうする」

 

「今日はハンバーグだから期待しててね!」

 

ぶっちゃけシャルロットの作る料理は初めて食べるからどうなんだろうか。まぁ、さっきチラッと見た限りでは特に問題無かったように見える。今はシャワーでも浴びて、ゆっくりと夕飯でも食べるとしよう

 

夕飯も食べ終え、今はベッドの上で寝っ転がりながら某スマホゲーをしていた。ここにいない間はログインすらしていないから久しぶりの感覚だ

 

「ねぇ、七実。さっきから何してるの?」

 

「FG〇」

 

「FG・・・何?」

 

「要約、過去の偉人やら英雄、はたまた英雄とは正反対の人物を仲間にして、戦うゲーム。知ってそうなキャラではジャンヌ・ダルクにマリー・アントワネットとかか」

 

人によってはアストルフォとかか、俺は持ってないが。だが、どういう人物か知っている人からしたらあのアストルフォってどう思うんだろうな

 

「へぇ、やってみようかな?」

 

「おう、やってみたらいいさ・・・んで、2人してどうしてこのベッドに座ってるんだ?」

 

「ん・・・久しぶりだから一緒にいたい・・・ダメ?」

 

おっふ・・・こうも素直に言われるとは。だが、声に出して言われてしまった以上はどうしようもない。スマホを充電してサイドテーブルに置い2人を抱き寄せ、ベッドに倒れこむ

 

「急にどうしたのさ、七実?」

 

「気のせいじゃないことを祈って言うが、寂しい思いをさせてしまった。今日はこうしててもいいだろうか」

 

「いいよ。ううん、僕からもお願いしていいかな?」

 

「私も・・・いい?」

 

3人では少し狭いベッド。互いにより密着しているせいか涼しい部屋でもどこか熱く感じてしまう

 

「バッチこいや」

 

「それじゃお風呂入ってくる・・・覗かないでね」

 

「僕も一緒にいい?」

 

「いいよ」

 

2人はベッドから立ち上がり、着替えを持って浴室へと向かっていった。それにしても、1週間とはいえ長く辛い訓練がようやく終わったのだ。もっとやらねばいけないことはたくさんあるだろうし、不安なことはたくさんあるだろう。だが今回のドイツでの訓練で得たもので対応できるようになればいいな。そもそも、そういうことにならなければもっといいのだが。ちなみにこの後3人で一緒に寝ましたとさ。R18的な展開は無いからな?

 

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

次回はちょっとしたメタ視点があるのでご注意ください



どうでもいい余談

FGOでは羅生門に鬼ヶ島が終わり夏イベですね。

酒呑童子で爆死したので頼光さん当てました、まる

今年は異様に1%を引き、4%を引かない何とも言えない半年でした

正月でジャンヌ、剣式狙いですり抜けドレイクやらマルタ、マリー、剣スロ・・・

6月段階では星5が7体、星4が11体でした。残り半年は確率収束で当たらないんだろうな…

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