俺はあれからいつも通りの生活を送っていた。家では家事をしたまに暴力を振るわれ嫌になる毎日を送っていた。だがそんな俺にも少しは楽しみが出来ていた。毎朝いつもの公園でシャイニィと戯れながら空を見上げるがあの女性はあれ以来現れることは無かったがな。でもこんな生活でも癒しができただけでも十分だ。後は間延びマシンガンこと本音と簪との会話だ。たまに反応してやるだけでも嬉しそうに話してくれる簪にはありがたいと思ってる。さて今日も1日を過ごすことにしよう
俺は雨の中傘を差しいつもの公園に来ていた。シャイニィと戯れるだけだが今日はあいにくの雨で空を眺めても変わらない風景だったが今日はなぜかシャイニィは現れなかった。雨だから仕方ないだろうな。さて学校に行くか
登校途中で簪と同じ髪をした奴が校門の前で立っていたが俺はそんなのはスルーして校舎へと向かったが肩を掴まれ止められた
「無視しないでよ!」
「・・・邪魔」
正直な話邪魔なのだ。早く自分の机に向かい空を眺めてた方がマシと思えるくらいに
「あなたが佐野七実君ね。簪ちゃんと本音ちゃんから話を聞いてどんな子かと思ったけど聞いた通りに無表情ね」
「・・・邪魔」
俺は面倒臭くなって誰だか知らない奴の手を払い校舎の中に入るがまたしても邪魔される
「素っ気ないわね七実君は。もうちょっとお話ししましょう?」
「面倒」
「だから行こうとしないでよ!」
まだほとんどの生徒がいないから彼女の声が反響しているが俺には興味ない。さて今日も同じ生活が始まる。俺は自分の席について空を眺めてると窓に簪と本音が教室に入ってくるのが映し出されていた
「やっほ~ななみん!」
「お、おはよう七実君」
「ん」
肘をついて顔を支える手で軽く反応する。今日はなんとなくなんだか嫌な予感がするな
「ねぇななみんはどうして空を眺めてるの~?」
「・・・なんとなく」
そう空を眺めるのは趣味でもないただなんとなく眺めて時間を潰すためである。まぁ本当の理由は別にあるからな
「ん?」
窓には反射した教室全体が見えるのだが俺たちの後方、つまり入り口にはさっきの女がいた
「なぁ簪、お前に姉はいるか?」
「う、うんいるけどどうして?」
「後ろ見てみろ」
簪が後ろを見てみると外にいた女は驚いてどこかに行ってしまった
「あ、お姉ちゃんだ」
「すっご~い!なんでわかったの~?」
「窓を見てみろ、少し分かり辛いかもしれないけど反射して教室が見えるだろ?」
光の反射で見える簡易型鏡みたいなものだから分かるがこれは今日の天候だからできたこと
「七実君はなんでもわかるの?」
なんでもは知らない、知っていることだけと言ってしまえば簡単なのだろうが面倒だ。ここは知らないふりをしておこう。てかまたいるぞ簪の姉が、まだ教室には俺ら3人しかいないから呼ぶか
「入って来いよ簪の姉とやら」
「「え!?」」
「バレちゃったか、仕方ないわね」
2人は入口の方を見ると少し驚いてた
「よくわかったわね七実君、私が監視してたなんて」
「・・・なぁ簪、こいつどうにかしてくれないか?お前たちが来る前からやたらと邪魔してくるんだけど」
なんの目的で俺にそうしてくるのかはわからんが邪魔だから本当にやめて欲しい
「どうしてこんなことするのお姉ちゃん?」
「う・・・だってここ最近、簪ちゃんと本音ちゃんは七実君の話しかしないからどんな子かなって気になっちゃって」
俺を話題にできるほどに何か話をした記憶は無いが簪と本音には俺がどう映っているのだろうかは気になるがその前にだ
「だったら普通にしろ付きまとうな面倒だ」
「だってそうするしかないじゃない。私の方が学年が1つ上なんだから」
学年が1つ上か。まぁ全体の年齢で言えば俺はお前らの倍は生きているんだがな。そんな突拍子のない話をしても無駄だろうしな
「刀奈ちゃん、ななみんはね~こんな風だけどちゃんと普通に接してくれる人だよ~」
「そうだよお姉ちゃん!」
本音は俺を貶しているのか褒めてるのかわからない言い方だよなそれ?
「んーだったらどうしたらいいの?」
「お友達から始めるとか~?」
「それはいいわね!」
いや、それが普通なんじゃないのか?俺にはあんまりわからないけどよ
「それじゃあ私の名前を教えるわね。私の名前は更識刀奈よ、よろしくね七実君」
「ん」
付き纏われるのよりかはだいぶマシだが面倒なことをしない限りはいいか。とりあえず右手で反応しておくか。俺は簪と本音と同じく右手の親指と人差し指で丸を作る
「うん、わかったってお姉ちゃん!」
「え?そんなこと言ったの?」
「分からないよね~ななみんの右手にごちゅうもく~!」
「えっと丸を作ってるわね」
「えっとねこれがOKのサインなんだよお姉ちゃん」
「分かり辛いわよ!?」
知らん、そんなのは俺の管轄外だ。慣れろとしか言わん
「まぁいいわ、今日はもう行くわね」
さっさとどっかに行け朝一から面倒なことをしてくれた奴め
「ねぇ~ななみん~」
「ん?」
「私のお姉ちゃんにも紹介していい~?」
もう面倒ごとを増やさないでくれ大変なんだよ。とりあえず首を横に振っておくか
「そっかー・・・」
「でもお姉ちゃんが虚ちゃんに言いふらしそう」
もう勘弁してくれよ・・・なんかこいつらと友達になってからこうなったのか。やっぱなれないことをするんじゃなかったな
刀奈サイド
昨日は簪ちゃんと本音ちゃんのお友達の佐野七実君とお友達になれたわ。でも七実君はなんで私達を見ないで空ばっか眺めてるんだろう?まぁいいや今日は虚ちゃんも一緒に行くわよ!
「あ、あのどうして私もなんでしょう?」
「そんなの私の気まぐれよ、さて行くわよ~」
私は朝早くから登校して2年生の教室に行くと昨日と同じく七実君は簪ちゃんと本音ちゃんの話を聞きながら空を眺めていた
「今日も来たよ七実君!」
簪ちゃんと本音ちゃんが言うにはだいたい無反応なのが七実君らしい
「あれ~お姉ちゃんだ~!」
「ど、どうも」
「あ、虚ちゃん!」
「ふふーんどうかしら七実君、少しはこっちを向いて話しましょう?」
彼は首を横に振ると一言「面倒」といいそのまま外を眺めている
「あの彼は?」
「簪ちゃんと本音ちゃんの
「七実君ですか・・・どうして外を眺めてるんでしょうか?」
「気分らしいよ~」
そう彼はいつも気分で私たちに顔を向けず外を見ながら会話に混ざっているの。でもね今日はこの目で見てやるわ!
「今日から虚ちゃんも友達でいいわよね七実君!」
「え!?そ、そんな急に決めないでください!」
「・・・勝手にしろ」
あれ?私達とは違った反応ね。なんで私たちの時は何も喋らずサインで教えてくれたのに虚ちゃんだけズルいわね
「いつもと違う反応だ~!」
「ず、ズルいです虚ちゃん!」
「悪いのは私ですか!?」
「そうね・・・どうしてそんな反応をしたのかしら?」
私は彼に聞いてみようと近づき彼の顔に触れまじまじと見たが顔は整っていてかっこいいと思ってしまったがそれと同じく目を見てしまった。彼の眼は普通の目をしていたが黒い部分には光が無くそこには闇があった。1度見てしまえばそのまま彼の眼に引きずり込まれる感覚に陥った。あぁ分かっちゃった。彼がどうして目を合わせないのかが分かっちゃった。あれは死を望む目だ・・・
「・・・ちゃん?お姉ちゃん!」
「ひょわ!?」
我ながら変な声が出たと思うわ。でもありがとう簪ちゃん彼の眼を見て嫌な汗が出てきちゃった
「なにしてるのかなお姉ちゃん?」
「えっと・・・七実君の顔を見ようとして」
「もう駄目だよ七実君が困ってるよ!」
私は彼の方に目を向けると首を縦に振っていた。・・・ごめんなさい、でもどうして彼はあんな目をしてたの?
「ご、ごめんね七実君」
「・・・俺に何を見た?」
何を?それは目だけど・・・どのことを言ってるのかな?
「な、何をってなに?」
「・・・忘れてくれ」
忘れるわけがないわよ。あんなにも怖い目は初めて見たわ・・・七実君、あなたは何を見て来たの?
七実サイド
ヤバい、刀奈にあまり見せたくない物を見せちまった。自分でもわかるほどに俺の眼は死んでいる。目で済めばよかったのだがそうじゃない。本当は俺自身が死んでいるに等しいからあまり見せたくはなかったのだ
「・・・悪いが今日は帰ってくれ」
「うん、そうするわ・・・」
元気がなくなっているな。すまん刀奈、でも今回は完全にお前が悪いんだ。わざと目を合わせないように空を眺めていたんだからさ
「ななみん大丈夫~?」
「もうお姉ちゃんたら!」
たぶんこいつらも俺の眼を見たら逃げ出してしまうだろうな。さて授業が始まるまで寝よう
今回もお読みいただきありがとうございました
ななみんの闇は深い(確信)