元奴隷がゆくIS奇譚   作:ark.knight

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幼馴染

 

あれから7年もの時間が経つが俺はまたしてもこんな(奴隷)生活を余儀なくされていた。名前も付けて貰った佐野七実という名前だ。それはともかく前と違うのは今回の主は偽物の親だということだ。学校にも通っているし勉学の類は問題ないのだがそれ以外に問題が出来ていた。それはISの登場である。女性にしか動かせない宇宙開発用のパワードスーツなのだがそれを兵器として見てしまう事件「白騎士事件」が起きたのも2年前だ。日本に向けて各国からミサイルが襲ったのを<白騎士>と呼ばれるISが解決したのだがそんなせいもあってか世の中は女尊男卑なんていうつまらない世界になってしまった。そのせいで世の中の男性は冤罪なのにも関わらず逮捕されることも増え俺の通う学校でも女子による虐めも増えた。正直元奴隷としてはあまり辛くはないどころかそもそも友達すらいない俺にはどうでもいいのだがな

 

俺はいつも通りに朝5時に起床し朝食の用意をする。ここの家主はこの家における家事を俺に任せているのでサボろうとしたものなら容赦なくボコされる。それが例え高熱を出し寝込むものであろうとだが反逆しようとは思ったが今しようものなら返り討ちに遭うのが目に見えてわかるからしないだけでその内しようとは思ってはいる。無事朝食を作り終え次は洗濯と大変だがもう慣れた。1年間もしてるとさすがに嫌でも分かる。ただ1番面倒なのは不条理な暴力だ。気にくわないから、邪魔だとかいろいろあるがそれだけは解せない。さて全部終わったことだし見つからないようにさっさと家を出よう

 

俺は教科書をランドセルに入れ家を出た。だがまだ6時だから学校が開いていないため公園で時間を潰すのが日課だ。公園ではベンチに座りただただ空を見つめているだけだが何も無いと空を見上げてるだけで何もかもを忘れられる気がした。だが今日は違ったいつもこの公園で暇しているときに1匹の白猫が俺に近づいて体を摺り寄せてくる

 

「俺なんかに何の用だ白猫」

 

俺はその白猫を持ち上げ膝の上に乗せるとそのまま丸くなった

 

「はぁ・・・俺なんかに懐くなよな」

 

膝の方から猫の鳴く声が聞こえるが今までこういった経験がないためどうしたらいいか迷っていると着物を着崩して胸元が露出した着物と同じ赤い髪をした長身の女性が俺の隣に座りキセルふかし始める

 

「シャイニィがこうも懐くなんて坊やは余程いい人なんサ」

 

「・・・あなたがどんな人かは知りませんが俺はいい人ではないです。ただ何もかもをあきらめようとしてる人形同然のゴミです」

 

「・・・キミに何があったかは知らないけどサ、これからもっと大変な目に遭うのサ」

 

「それまでに俺が死んでいなかったらですけどね」

 

「はは、君は中々に見どころがありそうなのサ!」

 

キセルを吹きながら女性は俺の膝の上で丸まっている猫を肩に乗せ立ち去ってしまった。こんな世の中でもこんな俺に接してくれる人がいたのか。今日は何かいい気分で学校に行けそうだ・・・せめて名前でも聞いていておけばよかったな

 

俺はランドセルを背負い学校に向かうことにした。学校の自分の教室に着くなり俺は窓側の1番後ろにある自分の席に座り肘をついて空を見上げていた。次々に他の生徒が来るなり騒がしくなるが1番面倒なのは俺の目の前の席の奴だ

 

「やっほ~ななみん!」

 

彼女は布仏本音といいいつも幼馴染と一緒に学校に来ているそうなのだが俺の隣に座っている奴がそうらしい。名前は聞いたことはあるが興味がなかったので忘れた。本音はいつも勝手に話しかけて来るからなぜか覚えた

 

「今日もいい天気だね~」

 

「ほ、本音・・・やっぱり無理だよ」

 

「ううん、あとはななみんでこのクラス全制覇できるんだよ?私はやるよ~」

 

全制覇ってなんだよ?話すのか?それとも友達というものか?俺にはわからないものだ

 

「・・・お前ら一応話は聞いてるからな?」

 

「ひぃ!?しゃ、喋った!?」

 

「かんちゃん、それは酷いとおもうよ~?」

 

なんとなく雰囲気で分かるがかんちゃんと呼ばれる彼女が俺が喋ることが無いと思って驚いたのだろうな。こんな人形同然が喋るのはおかしいかもしれないが一応生物(ヒト)なのだから喋りもするだろう

 

「でも聞いてるなら話し返さないの~?」

 

「・・・面倒」

 

「なら勝手に話すよ~?」

 

今日も始まったよ。間延びした声で話してくるこいつのマシンガントークが、たまにかんちゃんとやらに振るがその反応が少し面白いのだが笑えない。笑うだけ無駄だと思える話だったが今日はいつもよりは気分が良いからある程度は反応しよう

 

 

 

簪サイド

 

本音はいつも彼に話しかける。彼は佐野七実、いつも無表情でつまらなそうにしているが私は彼がかっこいいと思う、だけどそれと一緒に怖いと思う。1度だけ彼の目を見たが黒く塗りつぶされたようなめで光は無く見た人を飲み込んでしまいそうになる目。たまに私たちと一緒の歳とは思えないほどの知識を披露するのはなんでだろう?

 

「な、七実君?」

 

「・・・」

 

そう彼はいつも決まって私達の話す内容を無視するの。他の生徒は元気に仲良く話しているが彼はいつも違う。誰とも話さないし、誰とも友達を作らない。たまに話したと思ったら一言二言で終わってしまうのが七実君

 

「わ、私と友達に・・・なってくれないかな?」

 

「・・・」

 

彼は首も降らず言葉も発しない。だが顔を支える手に親指と人差し指が動き丸を作ったのが見えた。これはいいってこと?

 

「いいの?」

 

「・・・自分で考えろ」

 

「う、うん」

 

やった!七実君とようやく友達になれた!でも大変なのはこれからだよね。七実君は反応に乏しいから分かりにくいところがあるからそこを察せるようにしなきゃね

 

「えぇ~なんでかんちゃんはよくて私はダメなの~?」

 

「うるさいから」

 

「え、酷くない?」

 

・・・あぁそういうことね、本音からは見えないけど私には見えた。彼はあんなこと言ってるけど私と同じように指で丸を作ってるね

 

「本音・・・大丈夫だよ」

 

「ほえ?」

 

こっちから見るように言うと本音は立ち上がり七実君を見ると大はしゃぎし始めた

 

「もう照れ屋さんなんだから~」

 

「・・・やっぱやめる」

 

「ごめんってば~」

 

今思うと彼はどこかでサインを送っていたが全員が全員見逃してたんだと思うな。怖いけどかっこよくて無表情で反応が乏しい彼はどこかではちゃんとなにかをしていたんだと私は思う

 

 

 

七実サイド

 

たぶん初めて気づいたんじゃないかな?ちゃんとどこかでサインを送っていることを。いや、でも最初でそこまで分かる人はいないのは知っているがどうせなら気付いて欲しいものだな

 

「ねぇ~ななみんはさ、家ではどんな生活をしてるの?」

 

やめろ、その話題は出すな。悪いけどイラついてきた

 

「ねぇ~どうな「黙れよ」っ!?」

 

悪いとは思う正直話してどうにかなるとは思えないから何も言わない、けどとりあえずは謝ってはおく

 

「ご、ごめんね」

 

「悪いとは思ってる、()()

 

泣きそうな声で謝られたら仕方ないがでも悪いのはそっちでもあるんだ

 

「い、今名前で呼んだよね?」

 

「ず、ズルいよ本音!」

 

かんちゃんとやら耳元で大声出さないでくれさすがに驚くからやめろ

 

「・・・耳元で大声を出すな、かんちゃんとやら」

 

「か、かんちゃん?」

 

「えーっと、もしかしてだけどかんちゃんの名前、知らない?」

 

まぁ知らないというよりも覚えていない。有象無象の一人だとは思ってたしとりあえず首を縦に振っておくか

 

「わ、私は・・・更識簪・・・簪でいい」

 

「・・・わかった()

 

「う、うん!」

 

はぁ・・・慣れないことはするもんじゃないな。あの女性に会ってからというもの変な感覚になったな。仕方ないここは寝るか

 

この後は退屈な授業が始まるまで本音の妨害にあいながらも寝た

 

 




今回もよろしくお願いします

うぷ主推しの簪と本音だい!!

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