ISにおける授業を受けるも知っている内容だったため聞き流していた。ちょくちょく一夏はこちらや箒とやらの方を見てくるがもしかしてあいつは勉強がダメな奴なのか?
「織斑君に鏡野君、どこか分からないところがありますか?」
「大丈夫です」
一応手元には馬鹿のように分厚いISにおける法律の本は持ってきているし既に覚えているから何の心配もない。これでも小中での勉強もできて成績も上位だったから普通科目でも行けるはずだがこのIS学園は入試の難易度は高く通常の高校よりも授業速度は高い。本音は勉強が苦手だったはずだがよくここに入れたな
「先生!」
「はい織斑君、何でも聞いてくださいね」
「ほとんどわかりません!」
クラスにいるほとんどが机に突っ伏した。いやいや俺が男性IS操縦者として発見される前にISを起動しているお前の方がなんでわからないんだよ?
「織斑兄。必読の冊子は読んだか?」
「古い電話帳と一緒に捨てたと思うぅ!?」
またしても快音を響かせ一夏の頭に振り下ろされる出席簿チョップ。頭を押さえ悶絶しながら椅子に座る一夏
「再発行するから1週間で覚えろ。いいな」
「いや1週間なんて「覚えろいいな」わかったよ千冬ね・・・織斑先生」
「山田君授業を再開してくれ」
「は、はいっ!」
授業が再開される。しかしつまらない授業からは逃げ出したくなるがあの出席簿チョップだけは食らいたくないから一応ちゃんと受けておこう。無事授業が終わり騒がしくなる教室だが俺はただ空を見ている。だだ流れる雲を眺めるだけでも時間を潰せるもんだ
「ちょっとよろしくて?」
「なんだ?」
一応振り向くと金髪の縦ロールの如何にもお嬢様らしい女子がいた
「なんですの、その対応は!」
「これが俺だ」
「これだから男というのは嫌ですわ。ちなみにこのわたくしを知っていますわよね?」
さも当然知っているかのような口ぶりだが知っているわけは無い。何せまずあまり関わりを持とうとは思っていないのだから
「知らんし興味ない」
「なんですって、わたくしの事が興味ないですって!?」
「ああそういった」
「も~ななみんダメだよ~」
金髪の後ろからひょっこりと顔を出す。するとこの金髪は大変よく驚き慌てふためる
「ごめんねセッシー。ななみんはいつもこんな感じなんだ~」
「セッシー?」
「セシリア・オルコットだからセッシーね~」
面倒臭くなり空を眺めようとするが本音に頭をテシテシと叩かれる
「ななみんもダメだよ~?」
「男だから嫌といわれたから俺は突き放しているだけだ。もしその言葉が無ければ変わっていたかもしれん。以上」
そうそんな理由で嫌といわれたら俺としてもどうしようもない。歩み寄るどころかすでに違えているのだから
「それでもだよ~本当は優しいのは知ってるんだよ~?」
「ふん。
更にこういう風に言われたならもうこいつとは関わりたくない。あんな奴が親など認めない。周りの女子の数名は笑い出すが真実を知らない奴がそう言っているだけだ。例えばニュースだけを見てそれを信じ切ってしまうとか。それは本音も分かっているようで俺の頭に置いた手が少し震え始める
「だいたいなんですの?犯罪歴が身内にいる家庭で育った方がこの学園にいること自体間違っていますわ」
「はいはいそこまでにしておきなさいセシリア」
これを止めたのは俺や本音、ましてや先生でもなく円華だった
「おや日本代表候補生の円華さんじゃないですの」
「あなた、自分で何を言ってるのか分かってる?」
「分かっているつもりですわ。だって
「っ!」
本音は何かを言おうとし俺の頭から手を放すがとっさにその手を捕まえた。この手の奴に何を言っても無駄というのが分かっているからの行動だ。世間知らずなお嬢様は嫌いだ
「やめておけ本音」
「でも!」
「あら何かあるのかしら?」
「何一つ当たっていない物を真実と言い張る馬鹿に付ける薬はないと思っていただけだ」
「なんですって!」
「貴様ら席に着け、授業を始めるぞ!」
丁度いいタイミングで入ってきた織斑先生には感謝せざるを得ない。今すぐに喧嘩でも勃発しかねん状況で入ってきてくれたからだ。クラスの生徒は全員自分の席に戻るが本音はいつもの眩しい笑顔ではなくどことなく悔しそうな雰囲気を漂わせていた
「本当はSHRで決めるべきだったのだが、再来週に行われるクラス対抗戦に出場するクラス代表を今の時間を使って決めようと思う」
どうせ俺は立候補されることは無い。なぜならばこのクラスには日本代表候補生である織斑円華が存在するし俺は嫌われものだ
「クラス代表者は、対抗戦等の代表選手になる他、生徒会の開く会議や委員会への出席。また、私達教師の補佐もする事がある。要は学級委員だな。再来週のクラス対抗戦は現時点でのクラスの実力を測るものだ。現時点では大して実力差は出ないだろうが、そう言ったイベントは競争力を生み全体の向上心に繋がる。特別な事情でもない限り、一年間は務めてもらうからそのつもりでいろ。ちなみに自薦他薦は問わんからな」
「はい。私がなりたいです」
円華は手を上げ自薦した。これが普通であるべき姿のいい見本だ。だがしかし周りはそう行かず一夏を推薦していく。確かに注目はされやすくなるだろうがそれは傲慢というもの。経験者と未経験者では実力は段違いだ。ならば効率よく実力者がなるべきだろう
「お、俺!?俺はなりたくない!」
「他薦されたのだから諦めろ」
「だったら俺は七実を推薦する!」
なんで俺を推薦するんだよ・・・てか巻き込むんじゃねぇよ。ダメだ一夏は良い奴かと思ったがそりが合わない。そう感じ肩を落とす
「待ってください、納得いきませんわ!」
金髪は立ち上がり反対の意を示そうとする
「この代表候補生であるこのわたくしセシリア・オルコットが選出されないのですか!そもそもこのような選出、認められません!大体、男がクラス代表だなんていい恥晒しですわ!この貴族であるわたくしに一年間屈辱を味わえと言いますの!?」
いちいち癇に障る言い方だな。お嬢様ってのはこうやってヘイトを稼いでいくのか?
「だいたいなぜこんな下賤な男まで推薦されているのですか!」
オルコットは俺の方を指さししてくる。下賤な男とやらはやはり俺のようで本音の方を見るといつになく真剣な表情でセシリアの事を睨んでいる。こんな本音を見るのは初めてだ
「やりたいんだったら織斑円華よろしく自薦しとけ。それとも何か?推薦されて当然だとでも思ったか?」
「ええその通りですわ。この学園で1番の実力を持つ私がクラス代表を務めるのが1番ですわ!」
なら楯無や教師陣をタイマンで相手にしろとか言ってみたい。間違いなくフルボッコにされるだろうからな
「特に貴方が気に入りませんわ。この場で決闘を申し込み負けたら私の小間使い、いえ
おい今この金髪はなんて言った?奴隷?おいふざけんじゃねぇよ・・・何が悲しくてまたあんな生活しなきゃいけぇんだよ!自由も権利も人権も何もかもを奪うことの何がいいんだよ!自然と俺の心臓の心拍数が増えていき呼吸も荒くなり視界も白くなりやがて意識がなくなっていった
本音サイド
ななみんの様子がおかしい。セッシーから決闘を申し込まれあまつさえも人権を損なう発言をされた辺りから呼吸が乱れているように感じた。私は一応授業中にも関わらずななみんの傍に近寄ろうとし立ち上がった瞬間ななみんがいる方から大きな音が立ちその方を見てみると力なく机に頭を打ち付けたななみんが目に映った
「鏡野大丈夫か!?」
私と織斑先生はななみんに近寄り体を揺するが全く反応を示さないが脈はあるようだったので気絶したようだ
「あら?わたくしに恐れおののき気絶してしまったのかしら?」
「ふざけないでよっ!」
さっきも言ってたけどななみんの過去も知らないでよくもそんなことを言える!私は思いの丈をぶちまけようとしたら頭に手を乗せられた
「いや~面白いこと言うねセシリア・オルコットちゃん」
「ほえ?」
聞こえてきたのは織斑先生の声でもなくななみんの声だった。だけどおかしいいつものななみんの声だったらもっと冷たいような声だけど今の声は温かみのある声だった。振り返ってみると口角を上げ目は髪で隠れているが笑っているかのような表情だった
「あなた何を言っていますの?」
「質問を質問で返すようで悪いんだけど君こそ何を言っているのか分かってるのかな
ISを起動してからというもののこういうことに関して一切調べてこなかったななみんが的確にどこの国の代表候補生を当てていた。まぐれだとしてもこんなことはありえない。その数は200を変えるのだから
「君の言葉は国家の言葉と同義なんだよ?なのに人権を無視させるような発言はいただけないかな。それにこうして
「このわたくしを侮辱しますの!?」
「先に
ただ私と織斑先生、クラスのみんなは見てるしかできなかった。彼の一人称が崩れおかしくなり徐々に狂気を孕んだ声で問いかける彼にはセッシーも黙ってしまった
「ここで何か反論がすぐに出てれば面白かったけどもう時間切れみたいだ。本音ちゃん
「へ?」
先ほどの狂気を孕んだ声ではなく温かみのある声に戻り私の頭を撫でてくれた。私には何が起こってるのか分からず理解するのにしばらく時間がかかった
「一夏君と円華ちゃんそれに千冬ね・・・これはまだ言っちゃいけないんだったっけ、じゃあね千冬先生。気絶するんで後はよろしくお願いしますね~」
そういいまたしても力なく倒れたななみん。だが今回は織斑先生によって支えられ頭を打ち付けることは無かった。クラスを覆っていた緊張感にも似た何かがなくなり一斉にざわめき始める
「静かにしろ!しばらくここを離れるが自主学習とする。それとオルコットは昼休みに生徒指導室に来い」
「なぜですか!?」
「先ほど鏡野が言っていた通りに貴様は言ってはならないことを言ったからだ。それと布仏一緒についてこい」
「あ、はい。わかりました・・・」
車椅子を引き先に行ってしまった織斑先生。私はセッシーに近づきこれだけは言っておかなけらばならない
「セッシーがあんなことを言ったのは許さないから」
その後は何も聞かずただ織斑先生とななみんを追って教室を出た
今回もお読みいただきありがとうございます
やりたいこと第2弾です・・・セッシーにはどんな結末が待っているのでしょうかね?