ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
ダンジョンを抜けるともう夕暮れ時だった。私たちは魔石を換金するためにギルドに行くとエイナが出てくるなり私たちの肩を掴んで個室の中に入れられる
「おかえりなさい2人とも。疲れてるとは思うけど少し話があるの」
「ま、まさかお説教ですか!?」
「それは後でするわ。それよりもまずはハイドさん」
「ん?何か問題があったか?」
何か問題を起こすようなことをしたか思い出すがあの犬っころを躾けようとしただけだが・・・あれはあの犬っころが悪いから俺は悪くないはずだ
「なんでレベルの欄に何も書いていないの?」
「ああそのことか。あまりばらしたくないのだが書かなければならないのか?」
「書かなきゃいけないわ。そうじゃないと罰則になるし」
それではどう答える?普通にレベル8なんて言えば面倒事に巻き込まれるのは目に見えているし下手に誤魔化そうものなら下手なことを言えないから困ったものだ
「・・・ここだけの話にできるなら言ってもいいのだが守れるか?」
「ええこれでも口は固い方よ」
「助かる。それで私のレベルだが8だ」
「嘘おっしゃい。恩恵を受けたばかりの人は一律でレベル1なのよ?それなのにレベル8なんてありえないわ」
別に嘘はついていないのだが信じてもらえんようだ
「嘘ではないのだがな。ヘスティアも同じ事を言っていたが信じてもらえんことには私からは何も言えん」
「・・・分かったわよ、神ヘスティアが嘘をつく理由が無いものね」
エイナは慣れた手付きで紙に記入していく。それにはキチンとレベル8と書かれていた
「正直あり得ないと思うわ。でも神ヘスティアが嘘をつく筈が無いけど暫くは疑いをかけられると思うわ」
「勝手にしろ」
「さて次はベル君の番ね。私のお説教を受けるまでが冒険だったわね」
「すみませんでした!つい思ったことを言ってしまったんです!」
・・・こいつは馬鹿なのか?また同じことを言って話をややこしくしてくれるな、ほれみろエイナの額に青筋が出て来たぞ
「私は外で待っているぞ」
「置いていかないでくださいよ!?待って、待ってくださーい!」
ベルの叫びを聞きながら部屋を出ると案内板に換金所という案内があったためそこに自分の取った魔石を渡す
「2300ヴァリスだ」
まだそんなに戦っていないのとあそこまで弱いモンスターではそこそこなのか
「それにしてもこれがどれほどの額かが分からんな」
「あー!仮面君だー!」
声のした方に振り向くと名前は知らんが昨日見た髪の短い褐色の女と茶髪青眼のエルフ、アイズがいた
「こんばんわ?」
「もうそこは自信を持ちなよアイズ」
「まぁこんばんわで合っているぞ。それでお前は誰だ?」
褐色の女の方に顔を向けるが不思議そうにこちらを見てくる。この仮面が希少なのは分かるがなぜそんなにこちらに近づいてくるのだ?
「私はティオネ・ヒリュテだよ。よろしくね仮面君!」
「私の名はハイド・クロフィだ。仮面君と呼ぶな」
「分かったよ。ほらレフィーヤも自己紹介しなって」
「レフィーヤ・ウィリディスです。覚えなくていいです」
ずいぶんな嫌われようだな。特別何かをした記憶はないのだがどうしたものやら
「ハイド君はダンジョンに潜ってたの?」
「ベルの実力を見るためにダンジョンとやらに潜っていたぞ。私にとっては取るに足らない物だったがやはり冒険は楽しいものだ」
「そんなわけないじゃないですか。いつでも危険が潜んでいるというのに楽しいなんてありえません!」
確かにモンスターが湧く以上大変というのは普通だが余裕が持てるようになると楽しいのだがな。特に弓で隠密狙撃したり影の戦士で背後から首を刎ねたりとできるからな
「それは余裕が持てないからだろう。肉体的にも精神的にもな」
「あなたにはわからないでしょうね!」
「いや知っている。過去に地下遺跡での冒険もしたことがあるから危険なのは分かるがそれでも楽しいものだ」
絶滅したドワーフの遺跡を探索したがあれは凄かったな。ドワーフ・センチュリオンの構造を調べようとしたが一切分からないほどのものがあったしな
「オラリオに地下遺跡なんてないってば」
「いや、ここから遠く遠く離れている場所だ。行けるかどうかも分からない距離だがな」
そう異世界なのだからいけるかどうかなんて分からないぐらい離れているのだろう
「ならあなたは・・・どうやってこっちに来たの?」
「送られてきた。忌々しいクソ爺の奴にな」
「大変だったんだね」
「まあな」
「ハイドさんお待たせしましたってアイズさんにティオナさん、レフィーヤさん!?」
エイナの説教が終わったようで部屋から出てくるなりベルはこいつらを見ては挙動不審になり始めた
「えっと・・・ベル?」
「は、はひぃ!?すみませーん!!」
顔を赤くしながらベルはギルドを走り去って家の方向へと行ってしまった。初心な奴だな。そんなベルを見てはアイズが肩を落として落ち込んでしまった
「私・・・嫌われてるのかな?」
「「むしろ逆のような気がする(のだがな)」」
はもったな。ティオナも同じ意見のようだがレフィーヤの剣幕がより一層険しくなる。まさかとは思うが同性愛という奴なのだろうか?
「そうなの?」
「これはベルの問題だからあまり言わんがお前を嫌っているわけではない。普通に接してやれ」
「わかった」
もういい頃合いだな。家に帰る頃にはもう日が落ちるから帰るとしよう
「さて私も帰るとするか。それでは」
「ちょっと待ってハイド・・・明日私たちの
「別に構わんがベルも連れていくぞ?それに私はお前らの拠点なぞ知らん」
「だったら案内するから広場の噴水まで来て」
「分かった。それでは」
私はギルドを出るなり自分の家へと足を進めることにする。明日はあいつらの拠点へと行くことになったがまたあの犬っころと戦うことになったらまたしても遊んでやるとしよう。せいぜい死んでくれるなよ?あの時はたまたま死ななくて良かったとした後に気付いた。何年かぶりに声を使ったもんで忘れていたのだ
僕は既に自分の部屋にあるベッドの上で蹲っていた。ギルドでアイズさんに会って恥ずかしくなってつい逃げ出してしまった。憧れていたアイズさんを目の前にしてやっちゃったよ・・・
「もし次にあったらちゃんと謝ろう。今日のあれは失礼だったし」
そんなことを考えていると部屋の扉が開き神様が部屋に入ってくる
「どうしたんだいベル君?元気がないじゃないか」
「あ、神様・・・ちょっとアイズさんに失礼なことをしちゃって」
「またヴァレン何某かい?それより近くにある幸せを掴んでみてはどうだい?」
僕の近くにある幸せってなんだろう?でも今はそんなことを考える時じゃなと思う
「まだいいですよ。僕にもやりたいことがたくさんありますし」
「むぅ・・・ボクはいつだって受け入れるつもりだけどね」
小さな声で何かを呟くけど聞こえなかった。何をいったんだろう?
「話が変わりますけどハイドさんのレベルって8なんですか?ダンジョンで教えて貰ったんですけどあまりにもおかしいと思ったんですよ」
「誰だって信られないよねでも彼が言ったのは本当だよ。正真正銘彼のレベルは8でこの世界じゃ最強だよ。もっとも彼のいた世界でも最強だったと思うけど」
「それは僕も思いますよ。今日だってダンジョンで見せてくれた弓に剣術それに魔法だって凄かったですよ。それこそ僕が到底敵わないほどに」
ダンジョンであったことを思い出し神様にそういった。流れるように確実に敵を倒し正確に射抜き魔法で灰にしていく。さすがレベル8と言ってしまえば簡単なのだろうけど僕はそんな
「でも僕はハイドさんに勝ってみたいんです!」
「なら私から教えを乞うか?」
「「え?」」
扉を閉めていなかったらしく部屋の前にハイドさんは腕を組んで立っていたのである
「盗み聞きなんてダメじゃないか」
「ここは私の家だ。どんな話をしていようが自由だ、それに扉を閉めていなかったから聞こえてきたのでこれは盗み聞きではない」
「「なんという屁理屈」」
「そんなものはどうでもいい。ベルよ、貴様は強くなりたいのだったな」
「はい、あなたを倒せるほどに強くなりたいです!どれだけ大変な思いをしようが構わない、どれだけ辛い目に遭わされようが構わない。強くなる為だったらどんなことも受け入れます!だから僕を強くしてください!」
僕は思いの丈をハイドさんに話した。もしこれで断られようとも盗み見てでも彼の強さを知るつもりでいる
「面白いことを言いよるな。やるからには絶対に超えてみろ。これは絶対条件だ」
「はい!」
「無茶しないでおくれよ2人とも。強くなるのは問題ないけど怪我でもしたら心配なんだ」
「怪我の心配はしなくていい、私の魔法には回復魔法も存在するからな」
「そういう問題じゃなーい!!」
家の中全体に響き渡るような声で叱りつける神様。あはは・・・でも僕の冒険はまだ始まったばかりなんだ、これからどんどん強くなってアイズさんに認められるようになるんだ!
「それとベル、明日はロキ・ファミリアのところに行くぞ」
「え、何でですか?」
「招待されてな。あの犬っころに謝罪されるといい」
「は、はぁ」
その前になんだか嫌な予感がするなー
今回もお読みいただきありがとうございます
ベル君の決意によってどれだけ魔改造されることになるのでしょう?