ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
ベルや他の奴らがダンジョンと呼ぶ洞窟の中に入ることにした。ちなみに今日の装備はサルモール装備に麻痺魂縛エルフのダガーに火炎の魂縛デイドラのダガーに冷気デイドラの弓で来てる。正直サルモールの連中は苦手なのだがこの装備は好きでよく着ている。エンチャントはしてないがな
「ハイドさんに簡単な説明をしますけどここはダンジョンといって階層で区切られていてそこにモンスターが湧きます。そのモンスターに埋め込まれている魔石やたまにドロップアイテムを換金したり武器や防具の素材にするのを生業とするのが僕たち冒険者です」
「魔石とはなんだ?」
「魔石っていうのはですねモンスターの動力源みたいなもので人で言う心臓ですね」
ふむ、そうなると多少は体の構造が違うのだろうな。しかもその魔石とやらが換金できるとは少し物騒な気もするな
「あ、あそこにいるのがコボルトと呼ばれるモンスターです」
ベルが指を差す方を見てみるとそこには犬の頭をしたモンスターが3匹ほどいた
「では腕試しとするか。ここは任せてくれ」
私は背中に背負っているデイドラの弓を手にし矢を構えると落ち着いて頭部を狙う。この時は少しばかりか時間の流れが遅く感じるがそれを抜きにしても狙いやすい標的だ。少し離れているためまだ気づかれていないからか無防備な頭に向かって矢を放つとちゃんと頭部に当たり灰になるとコボルトは周りを見渡し始める
「頭部に一撃入れるなんて凄いですよ!それでモンスターを倒すとあんな風に灰になるんです」
「説明ご苦労だ。助かったぞベル」
「いえいえ、今度は僕の番ですね行ってきます!」
ベルは腰につけていたダガーを装備するとコボルトの方に駆け出し斬りつけていくがまだ駆け出し冒険者ということもあってか攻撃の仕方や攻撃の回避などがぎこちないのが窺える
「さすが初心者というべきか全然なっていない、仕方ない明日稽古でもつけてやるとするか」
ベルはようやくコボルトを倒し終わると何かを拾ってからこちらの方に走ってくる
「少し攻撃を食らっちゃいましたけど倒せましたよハイドさん。はい、これが魔石です」
ベルはアメジストに似た石を手にしていた。これが魔石というのか魂石と違って綺麗だ、これがモンスターの心臓部なのか
「モンスターを倒すとこの魔石が出てきます。それとこの魔石を壊すことでもモンスターを倒せますがその代わりに魔石が確保できません」
「そうか、それにしてもベルの戦い方はまだぎこちないな」
「やっぱりそうですか・・・」
「では私が見本を見せてやるから見ておけ」
「はい!」
まずはこの階層を完全制覇してみるとしよう。錬金素材があるかどうかの確認もしてみたいしな
僕はハイドさんと一緒に第2階層で周りを確認しながら移動していた。たまに何かを呟いているのは聞こえたけど僕には何を言ってるかはわからなかった。周囲を確認しているとハイドさんは腰につけていたダガーを2本抜き始める
「この先の曲がり角にモンスターが4匹いる。静かにしてろよ」
僕は首を縦に振るけどなんで見えていないところがわかるんだろう?でも今はハイドさんの戦い方を見て学ばなきゃ!曲がり角まで進んで確認してみるとゴブリンが本当に4体いた
「行ってくるから見ていろよ」
ハイドさんは曲がり角を出てゴブリンのいる方に向かって走り出す。それに気付いたゴブリンはその手に持っている剣で斬りかかるがハイドさんは左手に持っている黒いダガーを逆手に持ち直しそれを受け流すと右手の鈍い金色のダガーで首を落とす。その光景を見たゴブリンは一瞬立ち止まってしまった、すると流れるように両手のダガーを振るい斬りつけると黒いダガーで斬られた方は燃え上がり炭化し、もう片方のダガーで斬られた方は動きが完全に止まり地面に這い蹲る。そのゴブリンの首を刎ねると灰になり魔石がコトリと地面に落ちた
「ふむこんなものだろう。これなら山賊やドラウグルの方が強いな」
「か、かっこよかったですよ!流れるような剣捌きで見事に倒しちゃうんですもん!」
「いずれベルもできるようになる・・・これはなんだ?」
ハイドさんは魔石を拾いに行くとゴブリンのドロップアイテム、〈ゴブリンの爪〉を拾っていた
「それがドロップアイテムですよ、ツイてますね!」
「これがか、錬金の素材にできるのか調べてみるか」
聞きなれない言葉が言うけどなんだろう?
「錬金ってなんですか?」
「錬金とはな素材を掛け合わせて回復や耐性、その他諸々の薬を作ることができるものだ」
やっぱりハイドさんってなんでもできるんですか。剣に鍛冶、回復アイテムの製作・・・あれこれって店要らずなんじゃ
「それも異世界の技術なんですか?」
「そうだな、もっともこの世界では元の素材があるかどうかが分からないから量は作れないかもしれんがな。今ある素材が切れたらおしまいだ」
「わかりました。僕の方でも素材になりそうな物を探してみますね」
「そうしてくれると助かる。家に戻ったらある程度の素材を教えるから見かけたら採って来てくれ」
「はい!」
「それではもう少し冒険をするとしよう」
僕たちは2階層を完全に探索し終わると3階層に降りる。3階層からは少しづつモンスターの出現が多くなるから要注意しなきゃすぐにやられちゃう。僕たちは3階層に降りるとゴブリンとコボルトの集団に出くわす
「来るぞベル、私の後に続け!」
「わかりました!」
ダガーを抜き集団の中に入り次々と切り伏せていく。ハイドさんが移動しながらゴブリンやコボルトを切り刻んでいくが中には斬り漏らしたのを僕が処理していくが少し数が多くて処理が間に合わなくて背後から来たゴブリンに気付かず僕は攻撃を受けてしまった
「っ!」
「数が多いな、大丈夫かベル」
「少し攻撃を受けましたけど大丈夫です」
「そうか、それじゃあ仕方ないこれを使うか」
そういうとハイドさんは両方のダガーをしまった。その代わりにその両手には紫色の光が集まっていて手を集団の方にかざすと一筋の光が走り連鎖するように次々とコボルトやゴブリンを灰にしていく。これはまさか魔法!?
「ベルも突っ立っていないでさっさと戦え!」
「は、はい!」
僕は驚きながらも先ほどよりも数が減った集団に突っ込む。さっきのハイドさんの戦い方を思い出しながら戦うことにした。明確にモンスターを倒すには首を刎ねるか魔石を破壊すること。なら分かりやすいのは首だ
「ここだ!」
ジャンプしてきたゴブリンの首を刎ねる。剣を振ってくる敵にはダガーを逆手にして剣筋を逸らして背後に回って首を刎ねる。すると後ろからコボルトの声がして振り返ると3匹同時に攻撃してきてた。僕は思わず目を瞑ってしまったがバチンという音が聞こえた。いつまでも攻撃がこなかったので目を開けると先ほどのコボルトは既にいなく足元に3つの魔石が落ちていた
「危ないところだったなベル。もう少しでお陀仏になるところだったぞ」
「へ、あ・・・助けてくれてありがとうございます」
「礼は言うな、あれは私の判断ミスでお前を突っ込ませたのだ。最初から魔法を使っておけばこんなことにならんで済んだのだからな」
・・・これは僕も悪い。ハイドさんは戦えとしか言っていないのに僕は集団の中に入ってしまった僕にも責任がある。僕が弱いからまたハイドさんに助けてもらったんだ
「いえ、僕も自分の実力を弁えないで集団の中に入っていったのも悪かったですし」
「ではお互いが悪いということにするぞ」
「・・・はい」
-雑魚じゃあアイズ・ヴァレンシュタインに似合わねぇ-
そんな言葉を思い出し僕は顔を顰めるとハイドさんは溜息をつき僕の方に近寄ってくる
「なぁベル、お前は何のために冒険者になったのだ?」
「え?」
「いいから答えろ」
「僕はかっこよくて強い冒険者になりたくて冒険者になりました」
昔からお爺ちゃんに言われてそうなりたいと誓っていた。だけどこの世界は無情だった、死に目にあわされこうして守ってもらってこれじゃあ誓った意味がない
「強さか、ならば焦らずに強くなれ。急ぎ過ぎると死ぬぞ」
「っ!?」
「私の経験なんだが早く強くなろうとしてたくさんの傷を負って何度も死にかけた。今のベルはその状態なのだ」
あんなにも強いハイドさんにもそんなことがあったなんて驚きだけど死んじゃったらそこでおしまいなんだ。それだけ今のハイドさんの言葉が重いんだ
「故にお前は少し考えろ。強くなるのと同じくどうやったら死なないかをな」
「・・・わかりました、僕やってみます!それであなたやアイズさんに追いつけるように追い越せるように頑張ります!」
「やってみろ。湿っぽい話はこれくらいにして魔石を拾って帰るぞ」
僕たちは魔石を拾い集めるとすぐに帰路についた。僕はまだ弱いけどこれから強くなって絶対にアイズさんやハイドさんを追い越して見せます!
「そういえばハイドさん。気になったことがあるんですけどいいですか?」
「何かあったか?」
「ハイドさんのレベルっていくつなんですか?レベル1とは思えないぐらい強かったんですけど」
「私のレベルは8だ」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
僕の絶叫がダンジョンの中でこだまする。どうやら僕の
今回もお読みいただきありがとうございます
ベル君の目標が決まって強くなろうという会でした
追記:パワー、同胞の洞察は味方に誤爆しないという効果に変更いたしまします