ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
街中をいろいろと探索してみたがソリチュードよりもいい品ぞろえだった。帝国軍のある街よりも品がいいとはこの街はすごいのか?それよりも私のいつも持っている金だがゴールドではなくヴァリスというものに代わっていたのだ。恐るべしクソ爺
「ハイド様あそこ」
「何かあるのか?」
ヒョウが立ち止まり指を差すとそこには洞穴らしきものがあった
「これは洞窟か、いろいろと探索したし入ってみるか?」
「うん、入ってみたい」
「では行くか」
どうせドラウグルのような相手しかいないのだろうがヒョウが行きたいと言っているのだから仕方ないだろうな、さていくか洞窟の中に入っていくがどうも明るすぎる、松明がない代わりに何かの石を使ってるようだがあれは魂石ではないが中々に幻想的な雰囲気だ
「綺麗・・・」
「そうだがここはダンジョンだ気を抜くな」
「失礼しました」
「まずは生命探知」
右手にマジカを集め変性魔法の生命探知を発動する。1分間だが同じ階にいる生きている者がいるかどうかが分かる呪文だ
「今は何もいないみたいだ」
「ハイド様あそこ」
ヒョウは勝手にどこかに行ってしまった。仕方ない追いかけるとしようか
しばらく追いかけていったがどこにもいないどころかモンスターにも遭遇しない。いつでも戦えるように弓を持っているが暇である
「とりあえずもう一度生命探知を使うか」
もう一度生命探知を使うと見たこともないモンスターとそれに追いかけられている少年がいた、よくよく観察していると壁際まで追い詰められていた
「仕方ない狙撃するか」
弓を構え少年を攻撃しようとしたモンスターの頭部に矢を放つが私の矢の方が早かったがどこからともなく現れた金髪で長髪の少女の斬撃がモンスターを一刀両断し少年に大量の血が降り注ぐ
「牛頭のモンスター、見たことがないが随分と弱いな」
「探しました」
後方から探していたヒョウの声がした
「どこにいってたのだ?」
「モンスターが壁から出てきて」
「それは本当なのか?それは面白いが勝手にどこかに行くな探したのだぞ」
「すみません」
声に抑揚とかはないが本当の事しか言わない彼女はお辞儀をする
「さて帰るぞ今日の収穫はここしかあまりないというのが分かっただけでも十分だ」
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
急に大声がしたと思ったらこちらの方に全身血塗れになった少年が走ってくるのだが道が狭いためヒョウにぶつかり少年は顔から思いっきり地面にダイブしてしまった
「大丈夫かヒョウ」
「私は大丈夫、でも・・・」
少年の方を見るとピクリとも動かない。ヒョウが確認すると少年は息をしているが気絶しているだけであった
「仕方ないな、運ぶぞ」
私は少年を担ぎ地上に出るために元来た道を戻ろうとするが後方から肩を掴まれたため振り返ると先ほどの金髪の少女がいた
「待って」
「何用だ?私はこの少年を上に運ばなければならないのだが」
「それはわかってる・・・さっきの事」
「さてなんのことやらな、いくぞヒョウ」
私はできる事しかしてないのだがこの女は何を切羽詰まって聞いてくるのだ?
「かしこまりました」
「あなた・・・名前は?」
「名前か・・・ではドヴァキンとでも名乗っておこう」
私は何十年も前に勝手に名乗られていた称号を偽名として使ったが悪気はない。名前も知らない奴に私の名前を教える義理は無い
あの人は血塗れになった少年を担いで綺麗な蒼い髪をした少女と一緒に行ってしまった。私たちが逃したミノタウロスを追っていたら1人の少年を殺そうとする。私が倒そうと思い剣を抜き切ろうとした時に左側から矢が飛んできてミノタウロスの頭部を貫き先に殺してしまった。矢が飛んできた左側を確認すると全身真っ黒な装備で仮面を着けて弓を構えている彼がいた。だがその距離がおかしい、20
「おーいアイズ!」
「ティオナ?」
彼が去ったあと私はそれを思い出していると後方から遠征に来ていたメンバーが走ってくる
「早すぎるよアイズ」
「ごめん」
「それでアイズ、私たちが逃したミノタウロスはどうしたの?」
「先に倒された」
「そうだったんだね」
小柄な彼は私の前に来ると睨んでくる
「今回は仕方ないけどもう勝手に行動してはダメだよ?」
「ごめんフィン」
彼は団長フィン・ディムナは私のファミリアのリーダーだ。先に行ってしまった私を咎めたのとは別にもう1つ質問してきた
「それとさっき先に倒されたと言っていたけどどういうことだい?」
「弓で50
普通ではそんな距離での狙撃はできないのだが彼はそれが普通かの如く狙撃してきたのである。それを聞いた全員は驚いていた
「嘘ですよねアイズさん!?」
「確認したからそれは本当」
「名前ぐらいは聞いてんだろうなアイズ?」
「彼はドヴァキン・・・所属は知らない」
「そうか、もし無所属であれば欲しいところだね。それはともかく今日はもう帰ろうか」
遠征では私の求めるものは見つけられなかったけど最後に彼を見つけることができた。もし彼なら私の求めるものが見つけられるかもしれない。アイズはそう思いダンジョンを出るために歩き始める
外に出たはいいもののこいつを届けるにはどうしたらいいものか、そう悩んでいるとヒョウは私の手を引いて歩き始め建物の中に入る。そうすると一人のエルフの女性がこちらに走ってきた
「あなたベル君をどうしたのですか!?」
「どうしたって、ただあの洞窟から運んできただけだが問題あるだろうか」
そういうとエルフの女性が安堵した様子で溜息をついていた
「そ、そうですか」
「ちなみにこいつの名前はなんだ?」
「この人はベル・クラネル、あなたと同じ冒険者ですよ。というよりもあなたはだれですか?」
「自分の名前を名乗らない奴に名乗る名前は無い」
名前を聞くのであればまず自分の名前を言わなければ私は信用しないのが私だ
「あ、すみません。私はエイナ・チュールと言います」
「そうか私はハイド・クロフィ。種族はエルフだ」
本当は嘘なのだがな、実はハイエルフだが元は同じ種族なのだから問題は無いだろう
「エルフだったのですか。その仮面とフードで分からなかったですよ」
「顔は隠したいから仮面を着けているのだ」
「そうですか」
「それよりもこいつを届けたいのだがこいつの拠点はどこだ?」
そう聞くとエイナは地図を出し懇切丁寧に教えてくれる。あっちの世界ではまともな説明をするのはほとんどいなかったのでありがたい
「ではこいつを運ぶとしよう」
私はエイナの説明通りに道を歩むとそこにはボロボロになった教会があった。一応ここが拠点ということが分かっているからノックするが誰も出てくる気配はない
「仕方ない入るか、ヒョウはここで待機していろ」
「かしこまりました」
中に入ると埃臭く嫌になるが地下に降りるとそこそこ綺麗でベッドとテーブル、ソファがあるぐらいの質素な部屋があった
「とりあえず治療するか」
ベルについた血を布でふき取りベッドに寝かせ回復魔法である他者治癒を使う。するとベルは目が覚める
「あれ・・・ここはってあなたは誰ですか!?」
「お前をこのボロボロな教会に運んだ者だ」
「え、でも僕はダンジョンで・・・」
「私の従者にぶつかり顔面から地面にダイブ、そして気絶した。そのままにしておくのもどうかと思いここまで運んだ次第だ」
「そ、そうでしたか。ご迷惑を掛けてしまい申し訳ありませんでした」
ベルは立ち上がりお辞儀をする。礼儀正しいのはいいことだ
「そ、それよりもあなたは?」
「名前を聞くならまず自分から名乗れ、それが礼儀だ」
訂正、礼儀に関しては微妙だった
「僕はベル・クラネルです」
「私はハイド・クロフィだ、種族はエルフだ」
「そ、そうだったんですね、仮面とフードでわかりませんでしたよ」
「エイナと同じことを言いよるな」
「エイナさんですか?」
「お前の拠点を知らないのだから知っている者に聞くのは当然だろうに」
少し考えれば分かることだがまだこの少年には幼さが残るな。成人していないのかこいつは?
「あぁ・・・エイナさんにみっともない姿を見られたんだ・・・」
ベルは落ち込むがそんなにもエイナとやらが好きなのか?
「おいベルよ、エイナとやらが好きなのか?」
「エイナさんは僕の冒険のアドバイザーですよ」
「そうか、ではどうしてそこまで落ち込む?」
「それはですね、僕のお爺ちゃんが『女の前でみっともない姿をさらすんじゃない』とか『ハーレムは英雄のサガだ!』とかいろいろと教えられてですね」
ほう、その爺さんとやらの意見は凄くわかるぞ。あっちの世界ではそんなことできなかったからな
「その爺さんの言う通りだな。確かに女の前では強くあらねば他の男に取られてしまうかもんな」
「やっぱりそうなんですか!?」
「だろうな」
『誰だい君は!!』
上から知らない声がするということはヒョウが絡まれているのか
「神様の声だ・・・すみません僕行きます!」
「私も行こう、原因は私にある」
「では行きましょう」
ベルと一緒に上の階に行くとヒョウが黒髪ツインテールの少女に絡まれていたがなんだ。この少女からはデイドラの神々と似た雰囲気を醸し出しているぞ?
「あ、ベル君に誰だい?もしかして初の入団希望者かい?」
「いえこの人は気絶した僕をここまで運んで治療をしてくれたんです」
「すまない、私の従者が何かしたか?」
「いやいや、ボクとベル君以外がいたのに驚いてね」
「そうか、ではヒョウ帰るぞ」
さすがにもう夕暮れになって来たからな。早く帰らねばめんどうなのだ
「えぇ!?入団希望者じゃないのかい!?」
「何が悲しくてこんなボロボロなところに所属せねばならんのだ」
「ボ、ボクだって好きでこんなところに住んでるんじゃないよ!」
「まぁまぁ神様、この人が僕をここまで連れてきたのは確かなんですから落ち着いてください」
「ふん!ベル君が優しくてよかったね」
いや怖くないからあんまり恐怖感は無いのだが、どっちかというとグレイビアードの連中の方が末恐ろしいからな
「さてベル君、今日はバイトの打ち上げがあるから適当に食べてくれないか?」
「わかりました神様」
「それじゃあ行ってくるよ」
帰って来たであろうその足でそのまま外に行ってしまう。さて私達も帰るとしようか
「ハイドさん待ってください!」
「なんだベル?」
「今日のお礼をしたいのですがいいでしょうか?」
「ふむ、ではご相伴に預かるとしよう。6人でいいか?」
「へ?」
なんと間抜けな声を出しているのやら、まぁ説明はしておくか
「私とベルを入れ私の従者込みで6人だ」
「えっとー・・・」
目が泳いでいるな、さしづめ資金的に大丈夫かどうかだろう
「大丈夫だ、資金は私が出すが如何せんいい店を知らないのだ。だから店の方を頼む」
「はい!では僕は準備してきますね」
ベルは着替えるために地下に行くのを確認したし召喚するか。まずはドレを召喚して報告を聞こう。懐に仕込ませた印石を取り出しマジカを流し込むと目の前にドレを召喚する
「どうかなさいましたか?これから夕飯の支度があるのですが」
「今日の夕飯は外食だいい店を教えて貰えるそうだ」
「かしこまりました」
「それよりも何か異変はあったか?」
この異世界に来てる時点で異変はあるのだがそれは置いておくとしよう。下手に巨人とか来られても損害が出て面倒だからな
「巨人も山賊も来る気配はなく平穏でした」
「そうか、ではエンとランも召喚するとしよう」
右手の手袋に隠れているが付けているルビーの指輪とアメジストの指輪にマジカを流し込むと2人も召喚される。ちなみに全員が武装してるため
「エンちゃん呼ばれました!!」
「うるさいエン」
「ふぇ、ここどこですか?」
「大丈夫だぞラン、ほれこっちに来い」
ランは人前に出るのが慣れていないせいか少し怖がっているので手を握ってやると落ち着いてくれた
「あ、ありがとうございますハイド様///」
「お待たせしましたハイドさん!」
地下からベルが出てくると目を見開いていて驚いていた。何を驚いているのだ?
「なんかすごい装備をしてますけどもしかしてハイドさんたちは凄い人ですか?レベル的な意味で」
「レベル?なんだそれは」
「冗談ですよね!?
ベルの言うファルナが何なのかは私のは分からないが重要な物なのだろうな。
「そのファルナとやらが何なのかは知らんが私たちは強いぞ、ここにいる私の従者含めな」
「そ、そうなんですか」
ベルは何やら尊敬にも似た視線をこちらに向けるが正直興味ない。尊敬されるほどベルに何かしたつもりはないからだ
「申し遅れました。ハイド様に仕えておりますドレと申します」
「はいは~い!!私はエンだよ!!」
「わ、私はランですぅ・・・」
「あ、僕はベル・クラネルです。よろしくお願いします」
「紹介も終えたことだし行こうかベル」
ベルを先頭に食事処に向かっていくのであった
今回もお読みいただきありがとうございます
次回はダンまち恒例のあれです