ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
翌日の早朝、私はロキ・ファミリアの拠点にある訓練場に来ていた。まだ私以外、誰もいなく1人寂しく武器の確認を行っていた。ドラゴンプリーストのダガー2本に黒檀のグレートソード1本、デイドラの弓、練習用の矢20本。全て付呪を行っていなく特筆すべきことは何も無い。訓練に使う装備では無いが本気でやらねばアイズも退屈だろう。ちなみに防具はコナヒリクを着けている以外は只の革装備である。こちらはちゃんと鍛えている
「来たか」
足音は4人分。稽古を頼んだのはアイズだけなのだが、見学か?
「ハイドくーん!」
「ティオナか。それにフィンにアイズ・・・誰だ貴様は?」
大手を振ってこちらに駆け寄ってくるティオナ、それと長い棒状の先に刃が付いたものを持っているフィンに腰に剣を携えたアイズ。それに昨日見た平凡そのものを体現したような男もいた
「ラウル、ラウル・ノールドっス」
「そうか。というよりもなぜアイズ以外がいる?私が頼まれたのはアイズのみだったはずだ」
「遠征前にどれくらい実力があるか再確認したくてね。ティオナとラウルは混ぜて欲しいそうだよ」
今更1,2人増えようが構わないが教えてほしかったものだ。まぁ、昨日の今日で伝達できなかったのだろうが
「別に構わん。来るものは拒まず去る者は・・・だ」
ジョークで去る者はソブンガルデまで、といいそうになった。私は行ったことがあるが、あくまでアルドゥインを倒す為に行っただけだ。そもそもこっちの世界はソブンガルデに行けるのだろうか?
「ならよろしくっス」
「よろしくね!」
1対1でやるものを想定していたができないようだ。なら1対多でやってみるか?初日はどれくらいの事ができるか確認するのことを優先しよう
「今日は確認のために1対1でやるぞ。誰からやるか?」
「なら・・・私から」
「アイズか」
最初の相手はアイズか。ならグレートソードを使ってみるとしよう。使えないことは無いが重いからあまり使わないだけで両手斧や戦鎚なんかも同様だ。私は背負っている黒檀のグレートソードを抜刀し切っ先を地面につけ、右足を前にして構える
「あれ?ハイド君ってグレートソード使えたの?」
「一応な、ダガーが一番使い慣れてるが」
「じゃあ・・・なんでそれなの?」
「どれくらいの実力があるかの確認だから本気ではいかない。それと魔法の使用は禁止だからな」
あくまでも剣の実力を見たいだけだ。以前、アイズの魔法で酷くやられたから使用を禁止しているわけでは無い
「わかった・・・なら行く!」
抜刀しながら私目掛けて駆けてくる。私がグレートソードを使って戦う時は片刃のしか使わない。理由は体術と一体で使うからだ。峰を軽く蹴り上げ突きを繰り出す。しかし、寸でのところで左側に躱される。今度は蹴り辛い方へ避けられたもので地面に突き刺し体をアイズへと向ける
「っ!」
血がアイズの頬を伝うように流れている。この訓練は死ぬ気でやらねば死んでしまうだろう、というのを感じただろうがその気はない。止めることもできるし、これくらいの緊張感を持ってもらわねば強くなることはできない。ましてや初心者ならともかく手練れであればあるほど、慢心しやすくなるからな
「ほれ、どうした?この程度で終わりでは無いだろう?」
「うん」
地面に突き刺さっているグレートソードを背後になる様に回り込んでくるのに合わせて足裏で峰を蹴り上げ加速を与えアイズ目掛けて振り下ろす
「来ると・・・思った!」
どうやらこれは読んでいたらしくバックステップで回避するがそれは悪手だ。私はそのまま切っ先を地面に突き刺し回転の際に使用した力を利用してそのまま宙に飛び、そのまま1回転し叩きつける。アイズは回避中の出来事だったため回避はできずとも剣を盾にして防御を図る
「ここまでだ」
「え?」
剣で叩きつける寸前で静止させた。両手武器の特性としてリーチがあるがもう一つは重量だ。速度を持たせ過ぎて叩きつけると盾ごと相手を潰したりしてしまう可能性がある。昔、戦鎚で山賊相手にやってしまったことがあるのでな。今回は片手剣での防御だ、破壊して殺してしまう可能性もあるんでここでやめる
「まだ・・・できる」
「あのまま続けていたら貴様、もしかしたら死んでいたぞ。その剣を破壊して一刀両断だ」
これから協力関係を結ぶ相手にこんなことをしては大変なんでな
「まぁ判断はいいと思うがあまり飛ぶな。今回みたいに相手にこのような動きをされるやもしれんからな」
「・・・うん」
「交代だ、次は誰だ?」
「はいはーい!私がやるー!」
「ティオナも同じ条件で始めるぞ」
この後はラウル、フィンも確認したがフィン以外は圧勝出来た。ティオナは武器の特性上、縦方向と斜め方向には強いが横方向には弱くそこを重点的に突いていた。ラウルは私がしたことをあたかも普通のようにこなして攻撃してきたが何が弱点か分かりやすく、すぐに対処できた。問題のフィンはグレートソードでは相性が悪く戦い辛いというのが分かった。だが一応、勝てたが
ロキ・ファミリアでの訓練を終え、私は帰宅した。帰る頃にはかなり疲れており慣れないことをするものではないと思った。しかし頼まれたことだから仕方ない。やるしかないのだ。家の中に入るとベルが誰かを探しているのが目に入る
「あ、ハイドさーん!」
「なんだベル?」
「これから一緒にダンジョンに行きませんか?」
今からダンジョンへと行くのか。準備不足だから一旦戻って準備せねばならんな
「一旦準備してからでいいか?」
「それじゃあ僕はリリとヴェルフを呼んできます!」
ベルが2人を呼びに行く。私は自分の部屋に戻り装備品を脱ぎ、ナイチンゲール装備に身を包む。なんだかんだでこの装備を着ている期間が長いせいか着慣れてしまっている。闇の一党の時に着ているこの装備は確かに便利である
「まぁ今はそんなことを考えなくともいいか」
再び武器を装備するが、しばらくの間は両手武器を使うのもいいだろう。今日の早朝に使ったがまだまだ未熟に感じたからな。私は部屋を出て、玄関先に向かうと既に3人が揃っていた
「おはようございますハイド様!」
「ああ、おはようリリルカにヴェルフ」
「旦那もグレートソード使えたのか?」
「この家にある武器は全て使えるぞ。ただ、使用頻度はダガーや片手剣に比べて段違いだが」
どうしても重さが慣れない。そのせいで体術と一体となって両手武器を振るう羽目になっている。種族的にも筋力が少ない方なんでな
「それじゃあ行きましょう!」
「「おー!」」
朝っぱらから元気だな貴様ら。こっちはロキ・ファミリアで訓練をつけてきた後なんであまり元気は無いのだが、如何せん本当に私は体力が無いな。ダンジョンへと向かう途中で私の朝食と皆の昼食を買い、ダンジョンへと入っていく
「てかハイドの旦那。武器持ちすぎじゃねぇか?」
「これくらいは普通だ。多い時はダガー2本、片手剣2本、両手武器1本、弓に矢が100本とかはザラだ」
状況によって武器を変えて戦うので今持っている武器はわりかし数は少ないと言える。それに回復アイテムや魂石、ロックピック、ドロップアイテムを持つことになるのだからな。今はサポーターがいて万々歳というべきなのだろう
「どんだけだよ・・・」
「寧ろ貴様らの方が少々心配でな。武器1つで足りるのか?」
確かに1つの武器に愛着を持って使うのもいい。だが、いずれ限界が来る。武器の方にも使用者の能力にも。それを実感しているからこそ、私は様々な武器を使うのだ
「結構足りてますね」
「ならいい。ベルにヴェルフは最近、武器を新調したからな。今度はリリルカの武器でも作るか?」
「本当ですか!?」
「別に構わんさ。今やるか後でやるかの差でしかない」
リリルカにあそこまで言わせたのだからな。やるべきことはしっかりとやらせてもらう
「ありがとうございます!」
「ああ」
この日は特に異常も無くダンジョンで魔石とドロップアイテムの回収を行った。途中でブルーパピリオという
今回もお読みいただきありがとうございます
しばらくぶりで、なんか駄作感がマシマシになってしまいました