ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
私達がダンジョンに出た時には既に日も暮れて夜になっていたので今日は我が家で泊めさせることにした。リリも賛同し、来ることになったのだが我が家を見たリリルカは非常に驚いていた。ベルやヘスティアが来た時と同じ反応だったな。家に入るなり夕食のいい匂いが漂ってくる。一旦3人と別れ、部屋で着替えてくる。夕食時なので仮面を外し上等な服に着替え、下に降りる。下ではヘスティアとリリルカの2人が話しているのが聞こえてくる
「サポーター君、君はベル君やハイド君、ヴェルフ君に何もしていないんだね?」
「していません。それどころか助けていただきました」
「う~ん・・・嘘じゃなさそうだけど、どこか引っかかるんだよなー」
何処か引っかかるというのはどういうことだ?別に嘘ではないと思うのだが
「別にいいではないかヘスティア。私達がみな無事なのだから追及する必要もないだろう」
「あ、ハイド・・・様?」
そういえば初めてこの顔をリリルカに晒すのだったな。そのせいもあってかリリルカはこちらを向くなり首を傾げ、私でも分かるほどに瞬きに回数が増えたのが見て取れる
「今日も大変だったみたいだねハイド君」
「まぁな、なぜドロップアイテムが出んのだ」
「あ、本当にハイド様だったんですね」
「リリルカ、今何を基準として判断したか言ってみよ」
どうせ私の顔を見て誰だと思い、声と言動で判断したのだろう。いつもの事だ、気にする必要などない。私は椅子に座った
「い、いえ。ただその・・・お顔を見たのが初めてだったもので」
「サポーター君もそう思うよね。女性の顔そのものなのに素は男なんだから」
「バラシてくれるなよリリルカ」
「分かってますって」
「それにしても本当に何もなかったのかいハイド君?」
何があったか、か。人を殺したと易々と言える訳は無い。今日の事で思い出した、人殺しを許容し正義と偽り暗殺者として活動をしていたことを
「まぁリリルカを助けたこと以外は何もないな」
「やっぱりどこか引っかかるんだよ。一見何も無いように思えてもボクには引っかかるんだよ」
「だからなんだ。別に問題は無いし起きない」
「まただよ・・・どこか引っかかる言い方」
分かるようで分からない言い方にしようとしている。話術はあまり鍛えていないからバレなければいいな
「・・・まぁもう詮索はしないよ。でも本当に問題は起こさないでおくれよ?」
「分かっている。起こさせなければいいんだろう?」
「そういうことじゃない!」
ダメなのか。誰にも見つからなければ問題は無いはずなのだがそうじゃないのか。やれやれ面倒な話だな。バレなければ犯罪ではないというのに
「皆様、そろそろご夕食ですのでお席にお座りください。お客様もどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
「それでは私はベル様とヴェルフ様に教えて来ます。料理の方はエン達が持ってまいりますので」
台所から出てきてドレはそう言い2階へと上がっていく私は角席に座っているのだが、その隣にリリルカが座る。時たまこちらを見てくるのだが、なんだか養子を貰った時のような感覚になった。そういえばあいつらはまだ生きているのだろうか
「今日はありがとうございました」
「ん?」
隣に座ったリリルカの方に顔を向けると面と向かってこちらを見てそう言ってくる。別段気にすることでもない。私のした事は所詮、人殺しの上で成立したこと。感謝される義理はない
「ある意味でリリとハイド様は一蓮托生です。どうかこれからもよろしくお願いしますね」
「貴様がそこまでする理由は無いのだが・・・」
声は小さいが微笑んで言われるのだが、やったのは私だけでリリルカは違うのだ
「それでハイド様、今日の夜に話したいことがあるので部屋に窺ってもいいでしょうか?」
「別に構わん。来たければいつでも来い」
話したいことか、今回はどんな厄介事に巻き込まれるのだろうか。やはり私はどこに行っても厄介事が起きるのだろうか。個人的に最悪だったのはあれだな。マルカルスのシルバーブラッドのことだろう。首を突っ込んだだけで罪人にされたのは流石に驚いたな。今回はそういうことではないと祈るとしよう
夕飯を食べ終え、部屋で1人寂しくエールを飲んでいた。食事中、メイド3人組はリリルカを睨んで怯えさせてしまった。全く困ったものだ。酒を飲んでいるのだが1人で飲む酒は虚しく感じた。自棄で飲む酒では無いにしろ1人酒はいつも寂しいものだ
『ハイド様いますか?』
「その声はリリルカか。入っていいぞ」
話のタネを持ってきたリリルカだがその面影はどことなく不安に満ちたような顔だった。さてはて今回は何があるのだろう
「とりあえず、適当に座ってくれ。何か飲み物はいるか?」
「いえ、大丈夫です」
「そうか。私は適当に飲むからな」
リリルカが話し始めるまで待つことにしたが一向に話す気配は無い。だが私が飲んでいるエールに視線が注がれている
「これがどうした。飲みたいのか?」
「そういうわけでは・・・1つ聞きたのですが、どこまでリリの事を見抜いていましたか?」
「・・・貴様がしていたことというのであれば、魔石をちょろまかしていたことや私の武器に視線が行っていたことだろう。差し詰め、私の武器を盗もうとしていたのだろう」
「・・・やっぱり気付いてたんですね」
「貴様はやりすぎだ、さすがに分かりやす過ぎた」
毎度のようにやっていたのでさすがに分かった。まぁこういうのはやられた方が悪いと思うのだ
「それがどうした」
「リリにはお金が必要なんです。ソーマ・ファミリアから抜け出すためには大量のお金が必要なんです」
いつの時代も何をするために金が必要だ。武器や防具、アイテムといった全ては自作できれば言うことは無いのだが、こっちではそうはいかないのだろう
「それでリリルカは金が欲しいと」
「ええ」
このファミリアは入った時を見るに比較的、新しめのファミリアだろう。冒険者しかおらず補助的な役割ができる奴はいるが基本的にこの家の事を任せっきりだ。ならばリリルカに恩を売っておいて損は無いだろう
「いいだろう。この話はヘスティアにも報告するが構わないか?」
「構いません。というより勝手に決めちゃってますがいいんですか?」
「私を舐めて貰っては困るぞリリルカ。金はいくらでもある」
一度、東棟の3階にある大きめの金庫を確認したが、その中には大量のヴァリスが入っていた。ベルを呼んで数えたのだが途中から数えるのも馬鹿馬鹿しくなってやめたほどだ。ちなみに1億ヴァリスは超えていた
「あ、はい。その・・・ありがとうございます!」
リリルカはお辞儀してから部屋を出ていく。これでダンジョンで出来ることが増えるだろうな。それにしてもリリルカの事もそうだが厄介事はついて回るものだな。だがこれくらいは優しいぐらいだな、今日はもう少し酒を楽しむとしよう
今回もお読みいただきありがとうございます
前後編で分けさせていただきます
うぷ主の妄想
もしハイドがFGOの世界でサーヴァントとして召喚されてしまったら
ぐだ子「金鯖確定キター!」
ハイド「アサシン、ハイド・クロフィだ。よろしく頼む」
ぐだ子「・・・誰?」
ジャック・ザ・リッパー「聖母解体!」
ぐだ子「いや~ジャックたんの宝具はいいね!なんかこう・・・かっこいい!」
ハイド「私も似たようなことできるぞ。ほれ(影の戦士で腕を切り刻む)」
ぐだ子「なんでさ・・・」
というのが瞬間的に思いつきました、まる