ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
リリルカを雇って1週間が経過した。毎度、私は先にダンジョンに潜りドロップアイテムを集めにいく。その最中で魔石を集め、リリルカの報酬として渡す。その後に私が手に入れた魔石も渡す。これが私たちの契約ということでリリルカには承諾した。リリルカが時たま怪しい行動をしているのは知っている。バレていないと思っているのだろうが魔石をちょろまかしていたりしているのが普通に分かっている。とはいえ、そのことで咎めるつもりは無い。手伝っている以上、多少の役得はあってもいいだろう
「それで、ハイド氏はどうしたいのですか?」
今は1人でギルドに来てエイナと話している。一応の報告という形で話をつけることにした
「いやどうもしない。奴がどんな事情を抱えていても私は知らん。だがもし、もしあいつが契約している間に何かあればそれを解決するつもりだ」
「だったらそこで完結しているじゃないですか」
「念のための報告だ。それにギルド側から何か分かることは無いかと思ってな」
誰しもが欲を持つ。そこに悪人善人の差は無く、全ての人が持つもの。だからとやかくは言えんのだが何かあるのだったら教えて欲しい。何かの手助けはしてやれると思う
「えっと・・・確かそのサポーターは、ソーマ・ファミリアの人でしたよね?」
「そうだ」
「ここ数か月、いやこの数年でソーマ・ファミリアの団員はお金に執着している気がしますね。先日も魔石の換金で揉めましたし」
だとするとリリルカもそうなのだろう。魔石をちょろまかしている事を考えると執着はしている。これは1度聞いてみた方がいいだろう
「厄介事が多くなってきて私達もそろそろ手に負えなくなってきているというのが現状ですね」
「それは大変だったな。さて今日もダンジョンに潜ってくるとしよう」
「気をつけてくださいね。こちらでもある程度は注意を払っておきますが」
「助かる」
私はギルドを出ることにした。さてリリルカの事は一旦後回しでダンジョンに向かうことにしたが、その最中にリリルカの姿が見えた。案外、朝早くから来ているのだな。私は立ち止まり見ているが見知らぬ男に茂みに連れていかれるのが見えた。どうせ厄介事に巻き込まれたのだろうと近づこうとした
「おいテメェ、いつぞやの仮面野郎だな」
「ん?誰だ貴様」
リリルカに近づこうとするがゲスのような感じがする男に止められた。奴は私の事を知っているようだが私は忘れているか、単純に相手の方が知っているだけだろう
「テメェにやられたの覚えてねぇのか!?」
「いちいち戦った相手の顔を覚える訳無いだろう。強ければまた別だが」
戦ったことがあるのだろうが全然思い出せない。強い奴ほど印象に残り覚えているのだが、こいつは覚えていない
「なんだとテメェ。セコイ手で俺を倒したからって調子乗ってんじゃねぇよ」
「例えそうであろうと、その程度で倒される貴様が悪いとしか言えん」
「なんならここでやってみるか?」
奴は腰に掛けた剣に手にしようとするのが見えた瞬間、駆け出しドラゴンプリーストのダガーを左手に抜き近づく。奴の剣を抜く前に右手で静止させ眼前にダガーを突きつける
「ほれどうした。私を倒すのではなかったのか?」
「な・・・」
「剣を抜け、そしてこの私を倒して見せろ、まぁ貴様程度では無理だがな」
この状態では基本的に覆すのは無理だ。さて、これでどのような反応を示すのかは見ものだ。
「参った!参ったから勘弁してくれ!」
「・・・呆気ない。呆気なさすぎる」
いつもならこの程度で屈せず歯向かうのだがこの程度で降参してしまうのか……山賊の方がまだ強く感じる。私はダガーをしまい、こいつを突き飛ばす。私と戦うのであればオッタル程に手強い方が良いのだがな
「覚えていろよテメェ!」
奴はどこかに行ってしまった。なんと変わり身の早い奴だ、降参したと思ったら今度は捨て台詞とは驚くのを通り越し呆れるぞ
「あのハイド様。あの方と何を話していたのですか?」
「リリルカか。貴様が茂みに連れていったのを見て近づこうとしたら、さっきのが絡んできたから払っただけだ。それよりも貴様の方は大丈夫だったか?」
「あ、いえ・・・リリは大丈夫です」
言葉ではそういうが声がそうではない。多少何かに怯えるのが聞いて取れる。はてさて何があったのやら
「そうか何かあったら言うのだぞ。契約をしている以上、リリルカを守ってやるからな」
私はリリルカの頭を撫でた後、ダンジョンに向かうことにした。今日もドロップアイテムを獲得しに行くとしよう。この前はゴブリンの爪を食べようとしたのをヘスティアにバレてしまい、大目玉をくらったが今度はバレないようにしよう
リリは同じファミリアの冒険者様に言い寄られていた。理由はお金。ファミリアの主神、ソーマ様が作る酒を欲しがり、同じファミリアの人間から金を奪ったり他人を殺したり、モンスター殺させたりとやりたい放題にしている。そんな現状のファミリアから抜け出す為にお金を集めている。だけどハイド様に近づいてきた奴にバラされたと思うからそろそろ潮時だと感じる。実入りがよかったからもう少し続けたかった
「おーい!リリルカさーん!」
手を振っているベルとヴェルフがこちらにやってくるのが見える。この際、最後にベル様の武器を盗むのもありだと思う。しかし、今日は作戦を練ることにしよう
「あ、ベル様にヴェルフ様。おはようございます!」
「おうリリ助」
「リリ助ではありません!リリにはリリルカ・アーデという名前があります!」
「そうかそうか、んで今日はどこまで行くんだ?」
この方は全く話を聞きませんね。失礼にも程があると思います
「今日はもう少し深く行ってみましょう。ハイド様も先行して行かれたのを確認できましたし」
「でも大丈夫かな?僕たちのステイタスも上がってきたところだけど、なんだかんだでハイドさんに頼りっきりなところがあるからさ」
実際にハイドの援護で助かっている部分がある。しかし互いの稼ぎを増やすにはこれしかない
「そうだけどよ、今の俺らにくらいの実力があるのかを試すのも兼ねて行ってみねぇか?」
「そうですよベル様、もし心配でしたらハイド様に報告してからいたしましょう!」
「本当にそれで大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ!冒険者様が頑張るのは普通ですよ。それじゃあ行きましょう!」
強引なやり方だけど2人の背中を押してダンジョンへと向かう。後はどうするかを考えることにしよう。それにしてもどうやってハイドかベルの武器をどう盗もうかもだ
今回もお読みいただきありがとうございます
少しずつギアが入ってきて書けるようになりましたが基準としている3000字には届かなくなっているジレンマ