ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い?   作:ark.knight

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武器と盗難

 

 

今日も今日とてダンジョンに潜ることにした。いい加減、ドロップアイテムを錬金素材として扱いたいのだが全然落ちてくれないのだ。朝早くから出て先にダンジョンに潜っているのだが、ドロップアイテムの出現量が少なすぎる。7階層ぐらいまで来て早3時間、100は超える数のモンスターと対峙したのだが、ウォーシャドウの指に生えていた刃が2つ、ゴブリンの爪1つ位しか入手できなかった

 

「なぜこうもドロップアイテムが入手できない・・・」

 

既にある程度、モンスターを殲滅させ暇を持て余していた。だがそろそろベルたちがやってくる頃合いになるだろう。それにしてもなんだ?ドロップアイテムがここまで出ないのもおかしい気がする。あっちの世界では必ずと言っていいほどに何かは入手できた。スケルトンやドラウグルからは骨の粉、巨人からはつま先などが手に入る。しかしこちらではどうだ?100体倒してこれだけしか入手できない

 

「ハイドさーん!」

 

「ん、ベルか」

 

そんなことを考えていると3人がやってくる

 

「意外に早かったな」

 

「5,6階層のモンスターが全然いなかったので意外に早く来れちゃいました」

 

壁から出るモンスターだが出現しては即座に狩っていたし、私もその階層を4,5往復もすれば魔石は相当数手に入る。一応、魔石で付呪ができることを確認できた。ドワーフ・オートマトンは魂石を動力源としている。それに対してモンスターは魔石を動力源として生命活動をしている。似ていると思い、付呪をしてみたら成功したのだ

 

「そうか。ほれリリルカ、貴様にはこれをやる」

 

今日のサポート代として集めた魔石を袋ごと放り投げ渡した。投げた魔石入りの袋を慌てて手に取るリリルカは、中身を確認するなり目を大きく開けて驚いていた

 

「な、なんですかこの量の魔石!?」

 

「今日の報酬だと思ってくれ。俺は金よりもドロップアイテムが欲しいのだ」

 

「おいおいハイドの旦那、それにしてもこの魔石の量は無ぇだろ」

 

「だから報酬という扱いだ。その分はキッチリ働いてくれ」

 

前渡しという名の脅し。先に渡してその分、働いて貰う算段だ。無論、私の私たちの前でだ

 

「わ、わかりました・・・・・・変な人」

 

了解を得たが最後に何か呟いたがそれは聞き取れなかった。それはいいとして今日もドロップアイテムを手に入れるために頑張るとしよう

 

「後で爪でも食うか」

 

「何言ってるんですかハイドさん!?」

 

そういえば素材を食べればどんな効力を持つか分かるのだから食べようとするのだがベルに止められた

 

「何って、ただゴブリンの爪を食おうとしているだけだが」

 

「いや本当に何考えてんだよ!?」

 

「ただゴブリンの爪にどんな効力があるか食べて確かめようとしているだけだが」

 

「それがおかしいって言ってんだよ!」

 

本当におかしいのか?いや私が普通では考えられないようなことをしているのはわかる。しかし昔からこうして錬金素材の効力を調べてきた。なので凄く今さら感が凄い

 

「別に気にするな。私からすると1つの習慣だ」

 

私がそういうと3人とも、引いていくのが分かる。いや・・・そこまでされると、さすがの私でも多少の寂しさを覚える

 

「あ、あのーハイド様。非常に申し上げにくいのですが、ドロップアイテムの中には毒が混じっている物もあるのですよ?」

 

「毒だからなんだ、そんなもの私には関係ない。ただ錬金素材としての効力があるやもしれん物は全て食らうだけだ」

 

異世界の錬金素材がどれだけ存在するのかは知らないが、試せるだけ試そうと思う。しかしこいつらの前でやるべきではなかったか

 

「今はこの問題は置いておくとしてモンスターを狩りに行くぞ」

 

「「ハイドさん(の旦那)のせいだっ!」」

 

誠に遺憾である。昨日飲ませてやった体力治癒のポーションだって小麦と山の青い花、サーベルキャットの目を使ってできているのをヴェルフが知っていたらどういう反応をするだろう。それはさておき今日はもう少し下の階層に進むとしよう

 

 

 

リリは昨日からオラリオ中で噂になっているハイド・クロフィのサポーターをさせてもらっている。以前にリリは彼に助けて貰った。その時に彼が持っていた武器がとても高価に見えた。あの鈍い金色のダガー。あれがあればリリはファミリアから抜け出すことができる。だけど他の2人が邪魔で盗もうにも盗めない。ベルはチョロそうだけど、もう一人の方、ヴェルフという男が注意して時たまこちらを見てくるから盗もうにも盗めない

 

「そういえばベル、お前に教えた魔法なのだがどうして魔法名を言うのだ?」

 

今は戦闘が終わり、リリは魔石を拾い集めていると話しているのが聞こえる

 

「アイススパイクの事ですか?」

 

「ああそうだ。あっちの魔法は別に唱える必要は無いのだが」

 

唱える必要のない魔法!?そんな魔法はありえないはず。だけどどうだろう、あのレベル8(ハイド・クロフィ)も魔法の詠唱をした記憶がない

 

「んー、なんでしょうね?気合を入れるためと言うか、かっこよくするためと言いますか」

 

「まぁお前がしたいようにしたらいい。ただあれは詠唱の必要は無いということは常に意識しろ」

 

全身真っ黒な装備に仮面を着けたハイドがそういうが、このダンジョンにかっこよさを求めるだけ無駄だと思う。以前にもそう言って死んでいった冒険者も多くない

 

「それと冷気系の破壊魔法は当たった相手を鈍足にさせる効果がある」

 

「え?そんな効果があるんですか?」

 

脚を遅くさせるほど冷たい氷の槍状の物を射出するのですから、鈍足程度で済めばいいと思いますよ。リリが受けてしまえば風穴が開きそうな程でした

 

「炎系は延焼、雷撃は・・・もしかしたらここでは最強クラスの破壊魔法なのかもしれない」

 

「どういう意味だよ?」

 

「雷撃は相手のマジカ、所謂魔力を無くす効果がある」

 

魔力を無くしてしまう魔法!?そんな魔法、強すぎますよ!魔力枯渇させて気絶させることなんてできるじゃないですか!?

 

「魔力を削りきる前に倒してしまうのが普通だがな。こんな風にな」

 

私の方に手を翳し、雷撃を放ってくる。突然の事でリリは動けなかった。しかし放たれた雷撃はリリを通り越しリリの後方からモンスターの断末魔が聞こえる

 

「すまんなリリルカ。動くよりも先に手が出てしまった」

 

「あ、え・・・あ、はい」

 

流石に今のは怖かったけど一応は助けて貰った。リリの嫌いな冒険者に助けて貰った

 

「危ないですよハイドさん!もしリリルカさんに当たったらどうするんですか!」

 

「今は味方だから当たらない・・・はずだ」

 

「曖昧すぎねぇか?それにリリ助に攻撃を当てちまって問題になったらどうするつもりだったんだよ?」

 

「その時は素直に謝罪でもするさ。死霊術でも使えれば変わるのだが、ここでは使えないからな」

 

リリは魔石を拾い集め終わる。しかしあの魔石に加え少しちょろまかしておくことにして3人の元に戻り今日のダンジョン探索は終わった。今日のリリの収入は47200ヴァリスになった。いつものやり方で稼ぐよりも多く稼げている。このペースなら今月中に必要な資金が集まるかもしれない。あの事を素直に伝えて、リリの手伝ってもらおうかな?いやでも、いずれ裏切られるのが目に見えている。今日の雷撃の事もあるから、まだこのことは話せない。3人と別れて宿泊している宿に戻ることにした

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

スランプ状態から抜け出せずにいます。そのせいもあってかグダグダになっております

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