ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い?   作:ark.knight

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結果と褒美

久しぶりの達人魔法を使用したためか疲労感を感じながら自宅に帰る。その途中で豊饒の女主人を通ると1人のエルフ耳の金髪の女性に引き留められた

 

「あなたクラネルさんのお仲間ですよね?」

 

「クラネル?あぁベルの事か。そうだが貴様は誰だ?」

 

「私はリュー・リオンと言います。あなたの名前はクラネルさんから聞いていますので言わなくていいです」

 

手間が省けるがどうしてベルの名前が出るのだ?

 

「中でクラネルさんと神ヘスティアがいますので上がってください」

 

店の中の様子が見えるがまだ客らしき人物もいなく客として2人がこの店に上がったのではないと予想を立て中に入る。リューの案内で階段を上ると私が制作した革装備を纏ったベルがいた

 

「あ、ハイドさん」

 

「どうしてこんなところにいるのだ?それにヘスティアの姿が見当たらないが」

 

「えっとですね・・・」

 

ベルから何があったかを聞いた。怪物祭(モンスターフィリア)で街にモンスターが放たれた時、シルバーバックという大型のモンスターに襲われたそうだ。その際に装備していたロキ・ファミリアで貰ったショートブレードは破壊されたがその代わりに私の作った武器でそのモンスターの首を刎ねたみたいだ。だがその直後にヘスティアが倒れ今に至るということらしい。ちなみにヘスティアが倒れたのは単なる疲労だそうだ

 

「よくやったなベル」

 

「いえいえ!そもそも今こうして生きていられるのもハイドさんが作ってくれた武器と防具のおかげですし」

 

確かにそれもあるだろう。しかしどれだけいい装備をしていても使い手が弱ければすぐに死んでしまう。初めて使ったにしてよくやったと思う

 

「謙遜が過ぎるぞベル。確かに作ったのは私だが使い敵を倒したのはお前だ。結果論だが、これだけでも十分だとは思わんか?」

 

「そうですね」

 

「それはそうとその武器や防具の使い心地はどうだ?もし違和感が感じるようであれば、武器の方にはある程度目を瞑ってもらうが防具の方はある程度の修正はできるぞ?」

 

その内ベルの装備にも付呪をしてやらねばな。こいつには冒険で死んでほしくは無いからな

 

「んーあんまり感じないですね。それどころか、すっごくしっくりきます」

 

ベルは腰につけていたダガーを取り出し私に見せびらかすように見せてくる。余程嬉しいのだな、気に入ってもらえて何よりだ

 

「ならいい、さて私は帰るとする。こっちも久しぶりに達人魔法を使ったせいか気怠いのだ」

 

「わかりました!神様が起きたら僕たちも帰ります」

 

「では先に行ってる。あぁそれとヘスティアが起きたらこれでも飲ませとけ」

 

疲労に聞くかどうかわからんがスタミナ回復のポーションを渡して豊饒の女主人を出ていく。それにしても長らく冒険なんてせずに自宅に引きこもっていたからどうも疲れが酷い。しばらくはダンジョンに潜って勘を取り戻さねばいけないな。そう思いながら自宅に帰ることにした

 

 

 

ハイドさんから緑色をした瓶を渡され神様が起きるのを待っている間、ずっと鈍い金色をしたダガーを眺めていた。今まで使っていた武器よりも手に馴染んで、何よりも切れ味が凄い。シルバーバックの太い首でさえも簡単に斬り落としてしまう程だった

 

『ベルく~ん』

 

神様が眠っている部屋から声がした。どうやら起きたみたいで部屋の中に入るとベッドの中でモゾモゾと動いていた

 

「神様、大丈夫ですか?」

 

「あ、ベル君!君こそ大丈夫だった?」

 

「この武器のおかげで何とかなりました!」

 

ハイドさんが作ったこの2振りのダガーのおかげで何とかなった。だけどこれだけじゃまだ目標に到達できない。剣姫、アイズ・ヴァレンシュタインに同じファミリアのハイド・クロフィ。この2人が今の僕の目標だけど今日のことだけじゃまだ追いつけない

 

「あ、それとハイドさんから神様にってこれを渡されました」

 

緑色の瓶を渡し一気飲みする神様だけど飲み干すが、なんか凄い顔になった。それほどこのポーションがマズイのかな?

 

「なにこれ・・・元気になったけど、このポーション味しない・・・」

 

「え!?」

 

少なからず素材の味が出るはずだけど、そんなことが無かったようで何も味がしないなんてことがあるのかな?でも神様が元気になったみたいで安心しました

 

「それにしても頑張ったねベル君」

 

「まだまだですよ。こんなんじゃまだハイドさんにもアイズさんにも追いつけないですし」

 

「なんでここでヴァレン何某の名前が出てくるのかは置いておくとして、ハイド君に追いつくつもりなのかい?」

 

「だってオラリオで1番レベルの高い人なんですから目指すに決まってますよ!」

 

僕がそういうと神様は少し悲しそうな顔をした

 

「ボクはね、ベル君にはハイド君みたくなってほしくないかな。彼の身体見たことある?」

 

「いえ、無いですけど」

 

神様は言った。ハイドさんに恩恵を与える際に見た全身にできた火傷や誰かに斬られたような跡が無数に存在したらしい。異世界から来たと言っていたハイドさんが、いったいどんな経験を積んでこのオラリオに来たのかは知らない。でもその身体の傷がどれだけ大変な冒険だったのかを物語っていたそうだ

 

「もちろんこれはボクの推測だけどほぼ確信といっても過言じゃない。それでもベル君はハイド君のようになりたいのかい?」

 

「これでも僕も冒険者なのでなってみたいです」

 

「わかった。けど無茶だけはしないでおくれよ? もしベル君がいなくなったらボクは嫌だよ」

 

神様はなんとも言えない表情を浮かべて僕の方を見る。どれほど大変な道のりなのかは知らない。けれど僕も一端の冒険者なのだから憧れや夢を抱く。その為なら僕はどんなことでもしてみせる!

 

 

 

私は1人で考え事をしていた。今日の出来事を思い出すも今までの経験に匹敵するものではなく達人魔法である、ライトニングテンペストを付呪での消費マジカ軽減も無しにマジカが尽きるまでの5秒間放射し続けただけであっさりと灰になってしまった。やはりこの世界で私たちの破壊魔法を使うのは危険だ

 

「さてどうしたものか」

 

ブロムジュナール聖堂に来ているがここでは誰にも邪魔されず、快適とは言えないにしろこの個人空間でただ一人で自由にしたい時やデイドラ関係の装備を使う時にはここに来る。しかし今回の目的はそうじゃない。ベルに何か魔法を覚えさせてやろうと思っている。人の持つマジカにある程度比例し威力が増す破壊魔法は、別に私達が使うのでなければそこまでの威力も出ないはずだ

 

「ここは素人魔法か?いやでもな・・・」

 

素人魔法は、名前の通りに初心者向けだが近接にならざるを得ないのと消費マジカと火力を考えると狼2,3匹と戦うので精一杯になる。それにレフィーヤ曰く、1日に使える魔力があるというのがネックになる。それを加味して見習い魔法にしよう。それならベルの使用する武器のことも考えるとこれが一番いいだろう。そう思い1冊の呪文書を手に取り仮面を外す。しばらくすると使った場所である自室に戻っていた

 

「それにしても疲れたな。久しぶりに隠密以外での戦闘をしたもんだ」

 

以前ティオナ達としたのはお遊びとは言えないがオッタル程ではなかった。アイズには仮面を剥がれたからこその時間減速の(シャウト)を使ったが、今回は使わなければどうなっていたかわからなかった。そこは流石王者といったところか

 

「あとはこれを渡すだけか・・・それまでは寝てるとしようか」

 

私はベッドに潜りただ瞼を閉じ、深い眠りにつくのであった

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

次回第1章完結です

独自設定として魔法は使用する魔力量によってある程度の威力調整ができるということとします

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