ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い? 作:ark.knight
私道中のモンスターを狩りながら進んでいくといつの間にかティオナとはぐれてしまい路地裏で彷徨っていた。私の周囲には人は人がいないがこの周辺には人が多く生命探知も使いにくい。かといってこのままここでただ彷徨い続けるのもおかしい。さてどうしたものかと思っていると目の前に私よりも背が高い厳つい獣耳を生やした男がいた
「お前がハイド・クロフィであっているか」
「確かにそうだ。貴様は誰だ」
「私の名はオッタル。主の命によりお前の実力測らせてもらう」
今はそんなことをしている暇などないのだがどうやら相手をしなければこの先には行かせてはもらえなさそうだ。私がデイドラのダガー2振りを逆手に持ち構え駆け出す。オッタルはグレートソードを抜き突きつけてくるがそれを流そう右手のダガーで受け流そうとするが片手でそのまま横に振られ足を止めざるを得なかった
「ぐっ・・・オッタルとやらよくもグレートソードを片手で振るえるな」
「ふんっ!」
両手で持ち更に力を加え私も片手では抑えきれず押され始める。これ以上押されるのはマズいと思い左手に持っていたダガーを脚目掛けて投げるとそれを避けようとオッタルは手を引き後ろに下がった。この時グレートソードによる拘束が解かれ私は自由になる
「貴様相手では力押しはできんようだ。やれやれ面倒だ」
「舐めてもらっては困る。この
王者か。もしかしたらこの世界における冒険者の中で一番の実力を持っているのか?だとしたら私とて存分に力を使わねばなるまい
「ならば私とて王者に力を見せねば失礼に当たるな」
こいつ相手であればあれを使っても構わんだろう。かつてミラークと対峙する際に習得した究極ともいえる
「
全身にドラゴンソウルを感じ包まれ篭手、鎧、兜が生成される。翼を持たないドラゴンとなりオッタルは物珍しそうにこちらを見てくる
「ほう、それがお前の魔法か」
「ただの魔法と同じにしてくれるな」
この
ダガーを拾い両手に持ち構え再び駆け出す。オッタルはさっきとうって変わって楯のようにグレートソードを構えるが今の私には関係ない。ただひたすら斬るだけ。縦横無尽にダガーを振るうとそれに合わせて回避防御されるが足元までは確認できていないようだったので足を引っかけようとするが大きく飛び跳ね私を超え背後に回ってきた
「やるなハイド」
「まだ全力ではないがな。例えば・・・」
私はしゃがみ影の戦士を発動させオッタルには目視できないようにさせてやった。これは目の前であろうが関係なしに黒い霧を出現させ闇に紛れて攻撃することができる隠密スキルの極み。無論こちらからは見えるが短時間しか持たないので今回は背後に回ることだけにしとく
「こういう風に背後に回り暗殺紛いも事もできるがな」
「っ!?」
急に背後に現れた私に驚きグレートソードで横薙ぎしてくるがそれをダガーで受け止め今度は逆に押し返してやった。これもドラゴンアスペクトでこそ成し遂げられる力業。ドラゴンの力は常人では敵うはずのない力故のこの力
「王者オッタルよ。ドラゴンとは対峙したことはあるか?」
「あるとも。それがどうしたというのだ?」
「ドラゴンとは常人ではまず敵うことの無い圧倒的強者だ。故に恐れられ時には人々を支配し操ることができやがては世界を滅ぼすこともできる存在だ。だが私の前ではその一切は通用せずまたその力を得て私は強くなった」
「お前が何を言っているのかは分からんぞ!」
ダガーでグレートソードを押しオッタルの眼前まで迫る。世界を滅ぼさんとしたアルドゥインを倒しあまつさえ死後の世界であるソブンガルデまで赴き完全に倒した私には全ドラゴンなぞ弱者に過ぎない。だが私はそのドラゴンの魂を吸収し自らの力とすることで強くなってきた
「そのドラゴンの力を受けるがいい!
猛烈な冷気を吐くようにしてオッタルに当てる。冷気系の攻撃には鈍足にさせるほかにスタミナダメージや通常のダメージもある。間近で受けたオッタルは怯み、ろくに動けなくなった。やれやれここまでしたというのにこれで終いか
「私は用があるので行かせてもらうがその前に1ついいか?」
「なんだ・・・ろくに体が動かせない私に何をするつもりだ」
オッタルは私に睨みを利かせながらゆっくりと顔を向けてくる。一応武器をしまいもう敵対するつもりが無いことを確認させる
「ここからどうやって抜け出せばいい。絶賛迷子中なのだ」
「・・・ここの道をまっすぐ行き2つ目の右の曲がり角で曲がりそのまままっすぐ行くと出られる」
「助かる。ではな王者オッタル」
オッタルはもっと鍛えればもしかしたら黒檀の剣士に敵う程の実力になるやもしれんな。もし敵対するようであれば一番厄介になるだろう。私はそのままの姿でオッタルの案内の通りに進んでいく
私はハイド君と一緒に街中に放たれたモンスターを倒していくといつの間にか彼はいなくなっていた。探そうにも今はモンスター討伐の方が先で騒ぎの方に行ってはモンスターを倒していった。倒していくうちに地面が揺れ爆発したかの轟音とドラゴンの
「3人とも大丈夫!?」
「大丈夫よ。でも武器が無くて苦戦してるわ」
「そうなん、だっ!」
何本も伸びてくる触手を殴りつけるがとても硬い皮膚によって阻まれてしまう
「かったーい!」
「だから言ったでしょう、レフィーヤお願い」
「は、はい!【解き放つ一条の光、聖木の弓幹。】」
レフィーヤは魔法の詠唱を始める。この間はレフィーヤが無防備になっちゃうから私達はこのモンスターからヘイトを稼がなきゃね!アイズも
「【汝、弓の名手なり。狙撃せよ、妖精の射手。穿て、必中の矢】」
レフィーヤの詠唱が終わり山吹色の
「レフィーヤ!」
レフィーヤに触手が当たろうかという時に黒い服を着て弓を担ぎ両手には禍々しいダガーを持った仮面を被った人が彼女目掛けて伸びた触手を輪切りに刻んでいった。外見だけはハイド君が今日着ていて持っていた武器と一緒だが炎みたいなものを全身に纏いまるで翼のない人型ドラゴンだった
「【アルクス・レイ】」
触手に追尾していく光の
「前線の3人は避難しろ!私の魔法に巻き込まれるぞ!」
声はやっぱりハイド君のものだった。言われたとおりに一時撤退すると彼は両手に魔力を溜め始める。すると今度は彼目掛けて触手を伸ばしてくる。蛇みたいな触手は先端を変化させまるで花のようになる。その中心には魔石が取り込まれていた。前線で戦っていた3人はハイド君を触手から守っていると極太なレーザーが射出され触手を薙ぎ払い全てを灰にしていく。魔法がうち終わるとハイド君はその場に座り込んだ
「あの・・・大丈夫?」
「アイズか。マジカが切れたこと以外は大丈夫だ」
マジカ?耳慣れない単語が出てきて私達は首を傾げるが私は魔法を使用したことから直感で魔力なのではと思った
「魔力の間違いじゃない?」
「ん?ああそうかこっちではそういう風に言うのか。たぶんそれだ」
「ならなんで
普通だったら魔力を使い果たせば気絶する。これを
「魔力なぞ使えば使った分だけ回復していくだろうに」
『なっ!?』
私達は驚愕した。彼の答えが常識のそれとはまったくの正反対とも取れる回答だった。1日に使える魔力は決まっている上でどのように使いマジックポーションを使って何回も魔法を使うはずなのに彼はありえない回答を出してきた
「それにしてもなんだったのだ今のモンスターは?」
「さ、さぁ?それよりもその全身を覆っている炎は何?」
「これか?これは以前アイズに使ったあれと系統は似たようなものだ。時間が立てば元に戻る」
そういうと彼に纏っていた炎は消え、初めにあったハイド君そのものに戻った。
「あんた本当に何者よ?常識を覆すかのような発言をするしそれに本来魔法を詠唱するはずなのに一切しないであの火力を出すなんてありえないわ」
「だから以前にも言っただろう?」
彼は立ち上がり服に付いた砂を取り払う
「貴様らとは何もかもが違うとな」
そう言い残し彼は立ち去った。たぶん彼が進んでいく方向はたぶん彼の家の方だ・・・ん?方向?方向、ほうこう、咆哮・・・咆哮!
「すっかり忘れてた!もしかしたらドラゴンもいるんだった!」
「なんでそんな重要なことを忘れてんのよ!」
咆哮があった方に駆け出そうとすると帰ろうとした彼の声が聞こえてくる
「多分その咆哮は私の物だ!だからドラゴンなどいやしない!」
そう言い再び歩き始める彼・・・え、いやどういうことなの?あの咆哮がハイド君のものとか冗談だよね?でも彼が来た方向を考えるとそうなのかも知れない。さっきの姿もドラゴンみたいだったし
「全くなんなんですかあの人は!」
「落ち着きなさいレフィーヤ。助けて貰ったんでしょ?」
「・・・まぁそうですけど」
「今度会った時にはお礼を言いなさいよ?してもらったことには礼をするのは当然よ」
「気に食わないですが分かりましたティオネさん」
私達はこの場から離れようとしたが私はずっと見ていた。私達が話しているときにアイズが一時もハイド君から目を放さなかったことを
今回もお読みいただきありがとうございました
この話を制作し完成した直後にブルースクリーンに見舞われ文章全消去とかいう最悪な事態が発生しました・・・
没ネタ
オッタル「お前の実力試させてもらう!」
ハイド「うっとうしい(氷晶のシャウトで凍らせる)」
陰で見ていたフレイヤ「お湯でも掛ければ元に戻るかしら。誰か手伝ってちょうだーい」