ドヴァキンがダンジョンに潜るのは間違い?   作:ark.knight

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祭事と騒動

ティオネがなぜこの家に来たかは知らんがどうせダンジョンに潜ろうとか言うのだろうと思い一応の装備とアイテム、金を整えてきた。以前と同じようにナイチンゲール装備にモロケイを着けてデイドラのダガー2つとデイドラの弓、矢はあまり余っている鋼鉄の矢にした。全てエンチャントはしていないが殺傷能力は十分にある装備だ。部屋を出て下に降りるとティオナがヘスティアに絡まれているではないか

 

「どんな用があってハイド君に会いに来たのかい?」

 

「えっとですね。今日は怪物祭(モンスターフィリア)じゃないですか。それでもし暇だったら一緒に出店を回ろうかなーって思ったんですよヘスティア様」

 

「へー、ふーん」

 

遠目から見ていればヘスティアは難しい顔をしているがなぜそんな顔をするのだ?私が何をしようと貴様には関係なくそれはティオナも同じことだろうに

 

「待たせたなティオナ」

 

「あ、ハイド君!」

 

ヘスティアはそっちのけでティオナはこっちに飛びついてくるが反射的に避けてしまいそのまま地面を滑ってしまう

 

「なんで避けるの!?」

 

「すまん。反射的に避けてしまったみたいだが驚くから飛びつくな」

 

「ぶー」

 

ティオナは怒った表情で頬を膨らます。確かに私も悪いかもしれないが飛びついてさえなければ避けることもなかったのだがな

 

「ベル君といいハイド君といいなんでこうもロキのところの眷属()に何かあるのかな?」

 

「知るか。それよりもベルに装備を届けなくていいのか?」

 

「おっとそうだね。今日は許すけどくれぐれも羽目を外し過ぎないようにね!」

 

「私がすると思うのか?」

 

もし肯定されるようであれば何か言い返してやろう。例えば駄女神とかな

 

「そうは思わないけど念のためだよ!それじゃあ行ってくるよ」

 

ヘスティアは大きな袋を肩にかけ家を出ていく。さて怪物祭とやらに行くのだったな

 

「ねぇ私達も行こう!」

 

「そうだな。ドレ行ってくるぞ」

 

「かしこまりました。行ってらっしゃいませお2人とも」

 

「うぇ!?」

 

いつの間にか私の横に立っていたドレに驚くティオナだがこいつはいつもそうなのだから仕方ないのだ。隠密に長けた私でもたまに気が付かない時がある

 

「驚かせて申し訳ございませんお客様」

 

「次からは気をつけろドレ。それはまぁ行ってくる」

 

ティオナの手を引き家を出ることにした。さて怪物祭はどんなことをするのだろう?あっちの世界では祭事なぞなかったと思うのだが如何せん2,30年も前の事だから記憶はあまり覚えていないのだ

 

「あ、あの手を・・・」

 

「ん?ああ、すまない」

 

私が知っている限りではこいつはエンと同じで活発な女だと思っていたが今のこいつは如何にも可愛らしいではないか

 

「どうしたのだ?顔が赤くなっているが」

 

「ハイド君のせいだよ!もう今日は奢ってもらうよ!」

 

「仕方ない。何でそうなっているかどうかは知らんがそれくらいはしてやろう」

 

私達はメインストリートの方に歩いていくさて今日はどれくらい金が飛んでいくのだろうな。到着すると今まで経験してきた人混みの中でもおかしいぐらいの人混みでいろんな出店が出ていて見たこともない食べ物が満載だ

 

「何か食べるのか?」

 

「もっちろん!ハイド君も一緒に食べようよ!」

 

「仮面は外さんが一応は食べることにしよう」

 

「・・・こういう時位外してみようよ」

 

「断る」

 

なぜこうしてまで仮面を外させようと思うのだ。私は外したくないのだ。あっちでもこの顔のせいで笑われもしたので見せたくないのだ

 

「ちぇ~でもいつかは見せてもらうよ」

 

「私に勝てたら見せてやると言っただろう」

 

あの程度で膝をつく奴には元英雄扱いされたただのハイエルフがそうやすやすとこいつらに負けてやるつもりもないティオナは私に近づいてくると話しかけて来る

 

「そういえばロキから聞いたけどレベル8なんでしょ?」

 

「・・・なぜ知っている」

 

「ヘスティア様から聞いたって言ってたよ」

 

あの駄女神め。自分で言いふらすなとか秘密にとか言っていたくせに貴様がバラすとはどういうつもりだ?

 

「はぁ・・・」

 

「そんなに深い溜息ついちゃってどうしたの?」

 

「いやなに自分から隠しておけとか言われたからお前の拠点では教えなかったのだがこうもあっさりとばらされることに苛立ちを覚えてな」

 

「そりゃドンマイだね」

 

「話は変わるが何か買うかは決めたか?」

 

「んーまだかな。一応全部見てから考えるよ」

 

「わかった」

 

まだ回るのかと思いながら人混みの中歩き出す。時たま揺れを感じるが何か嫌な予感がする。今はそれを考える時じゃなくこいつに付き合うとするか

 

 

 

ハイド君を誘えたのは嬉しいけどどうしたらいいんだろう?歩いているときにたまに手が当たったり人にぶつかって彼の身体にぶつかっちゃうことはあったけど少し恥ずかしいや。でも仮面の下には何が隠されてるんだろう?アイズは見たって言ってたけど『いろんな意味で負けた』って言ってたのはどういうことなんだろう?確かにあの模擬戦では最初は押してたのにも関わらず目で追えるかどうかの速さで動きアイズを負かしたハイドのレベルは8というところまでは分かった。どうしてレベル1からじゃなくて8だったんだろう?と考えば考えるだけドツボに嵌ったので一旦考えるのをやめて今はこのデートを楽しむことにしよう。既にいろいろと奢ってもらったけど

 

「はいハイド君のクレープ」

 

「なんだこれは?」

 

「クレープを知らないの!?」

 

こんなにおいしいものを知らないなんて本当にどこに住んでたの!?私ですら小さい時からクレープぐらい知ってたよ・・・

 

「デザートみたいなものだから甘くて美味しいよ」

 

「そういわれるとムーンシュガーを思い出すからやめろ」

 

彼は仮面を外すことなく顎の部分を掴みずらしてそこから食べる。こういう時ぐらいはその仮面を外そうよ。食べ辛そうなんだけど

 

「甘すぎやしないか?すまんが私には合わないようだ」

 

「ならちょうだい。捨てるのも勿体ないし私が食べるよ!」

 

食べかけのクレープを手渡される・・・あれもしこれを食べたら間接キスになっちゃうよ!?私なんてこと言っちゃってるの!?鏡を見なくても分かるほど顔が赤くなるのが分かる

 

「そこでボケっと立っているな。危ないぞ」

 

「へ?ああごめんね」

 

「少しはずれで休まないか?人が多すぎてろくに歩けんしさすがに辛いものがある」

 

またしてもハイド君に手を引かれ比較的人が少ない広い場所に出た。どうしてこんなことができるのかなハイド君は///こっちは恥ずかしいんだよ!あの模擬戦以来よく君の事を考えたりするようになったりしちゃってなんかもういろいろと大変なんだよ?お姉ちゃんにも『ようやくティオナにも春が来たのね』ってからかわれるし

 

「そ、そういえばハイド君ってどこ出身なの?」

 

「前にも言ってなかったか?遠く遠く離れた場所だと」

 

「そうじゃなくて地名だよ。なんていう場所なの?」

 

「それくらいならば教えても問題は無いだろう。タムリエル大陸のサマーセットという島だ」

 

聞いたことの無い大陸の名前が出てきた。ある程度だけどこの世界にある大陸の名前ぐらいは憶えてるつもりだったけどその中に当てはまらない名前が出てきた

 

「今となってはどうでもいいがな。老害ばかりで何でもかんでも私に責任や面倒事を押し付けられるのが嫌になって出たあんなところはもう知らん」

 

「うわぁ・・・それにしても聞いたことの無い場所だね」

 

「だろうな。近くにあってたまるか」

 

そういえばハイド君はリヴェリアと同じハイエルフなんだっけ。皇族のエルフでハイエルフだったっけ、嫌になって家を飛び出したって言うのに近くに逃げるのは流石にしないよね

 

「家を出て冒険者になったはいいものの冤罪で処刑されそうになるわ、いろんなところに派遣されるわ、挙句の果てにはドラゴン討伐だとかそれ以外にもたくさんあるが大変だったぞ」

 

「今聞き逃したらマズイことが聞こえたような気がするけど」

 

え、何?処刑!?しかもそれが冤罪ってどういうことなの!?

 

「気のせいだろ」

 

「・・・そういうことにしておくよ」

 

それにしても本当にどんな偉業を成し遂げてレベル8になったのかな?冒険者はみな何か偉業を成し遂げないとレベルが上がらない。かの猛者(おうじゃ)オッタルでさえハイド君よりもレベルは下ということは彼の方が1つ多く偉業を成し遂げてきているということになる

 

「ねぇねぇ1つ気になったこと聞いていいかな?」

 

「答えられるものであればな」

 

「うん。どうやってレベルが上がったのか教えて欲しいなー」

 

「何をしたかと問われると色々ありすぎて何も言えんな。アルドゥインやドラゴンプリースト11体に黒檀の剣士、初代ドラゴンボーン、吸血鬼の王を倒したりデイドラの連中に愛され(振り回され)同胞団の導き手やアークメイジにもなったぞ」

 

多分要約したにもかかわらずさっぱりわからない。今言ったのが偉業なの?でもさっき言った中で1つだけおかしいものが混じっていた気がする

 

「まぁこれだけしてレベルが上がった要因の内4つ分らしいがな。死闘の末だったものが多いのだが意外とレベルアップとはシビアなものだ」

 

「ハイド君で死闘を繰り広げるってもう誰にも勝てないんじゃない?」

 

「私とてなぜ勝てたのかは分からない物が多かったがな」

 

「それ以前に恩恵も無しにずっと前からダンジョンに潜ってたんだね」

 

「ダンジョンといえばダンジョンなんだが・・・なんて言えばいいんだ?遺跡もそうだし墓場もだし・・・」

 

ダンジョン以外にも確かにモンスターは存在するけどそれはある程度弱体化してる。しかしそれは冒険者からの視点だけど彼はそれをものともしないだろうと思う。でもどうして恩恵を受ける前でも冒険者に勝てるだけの実力を持っていたの?そんなことを考えていると悲鳴が聞こえてくる

 

『モンスターが逃げ出したぞ!急いで逃げろ!』

 

「怪物祭は街中にモンスターを放すのか?」

 

「そんなわけないよ!せいぜい調教(テイム)するくらいだけど厳重に守られてるはずなんだけどな」

 

「そのテイムとやらは知らんが行くぞティオナ。ここは冒険者の見せどころじゃないか?」

 

「そうだね!」

 

いつぞや模擬戦を行った時と同じように左手に光が集まる。しかし今回の光の色が赤ではなく黄色だった。その光を霧散させると彼は先に走り出した

 

「こっちの方向に人以外の反応ありだ」

 

「何が何だかわからないけどとりあえずわかった!」

 

私は武器を持っていないけどアビリティで≪拳打≫があるから大丈夫だと思いそのまま少しづつ離れていくハイド君の背を追うことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回もお読みいただきありがとうございます

そろそろ考えていたことができそうです

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