タイムトラベル物見遊山   作:朝鮮ニンジン

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どうも、朝鮮ニンジンです。
こっから新しい章始めます。
でも相変わらず胃部鯉個さんの快進撃は止まらないのでどうぞよろしくお願いします。



戦国ハチャメチャ絵巻
旅の始まりPART2


「兄貴!大丈夫ですよ。三日間ぐらいの間なら俺たちだけでもなんとかなります。」

「そうか?」今まで数えるほどしか仕事を休んだことがない。しかも今回は初めて自分の娯楽のために仕事を休むのだ。少し不安感があった。

 

京極 岳道(きょうごく たけみち)は唐獅子一家という組織で働いている。一家の中での階級は若頭で、まだ三十前半の会員としては異例の出世だった。とはいっても最初からヤクザになろうと思っていたわけではない。まだ三歳のころに両親が交通事故に巻き込まれて死に、祖父母に引き取られ、普通に地元の小中学校、高校に通い大学も三流の大学に入り、別にヤクザ業にも興味はなかったが高校、大学とカラ出部に所属していたので、けんかは強い方だった。しかし社会人になってからは自分に合っていると思える就職先が見つからずダラダラと日々を過ごしていた。何かいい職はないかなと思っていたとき、大学の時に同じ空手部だった友人の宇佐美に誘われて唐獅子一家に入会した。唐獅子一家に入ってからは極道に生きる男にカッコよさを感じるようになった。

 

唐獅子一家に入ってからの京極の昇進ぶりは目覚ましかった。三流とはいえ大学で普通に勉強していた甲斐もあり、今のツッパリだけでは儲けられないヤクザ業にあって相当な利益を出していたことが会長の目に留まり宇佐美とともに若頭にまで上り詰めた。そして周辺地域では実力を認められ、角のようなモヒカンから唐獅子一家のサイと呼ばれるようになった。次々と昇進していく中で、この職業が天職だと感じた。そこからも次々と利益を出し、出世の道が向こうに見えていた。

 

タイムトラベル体験の抽選に選ばれたのはそんな時だった。最初は宇佐美に話しただけだったのがどんどん会の中で広まり、ついには会長の耳にまで届き、会長にぜひ行って来いといわれてしまった。まぁ、言って来いといわれて行かないのも失礼だし、行くかと軽いノリで行くことに決めた。

 

電車と徒歩で海老シェングローバル社まで行く。

会場までの行き方を確認して廊下を数回曲がり、会場につく。会場前にはたくさんの展示物があったがなんの展示がよくわからなかったので素通りして厚い金属製のドアをノックする。

「オープーーーーーン‼」と奇声が聞こえ、ドアが急に開く。少しびっくりしたが、かまわず会場に入る。それにしてもすごい奇声だったな。

会場内はよくわからないものであふれていた。もしかしたら何の使い道もないものなのかもしれない。ただその中でも会場の中央にあるオブジェクトに目が行く。イカのような形状のものだった。

何というか人気が感じられない。

京「すみませ~ん、誰かいませんか~」人を呼ぶ。するとゴソゴソと音がして、イカオブジェの中から中年の太った男と若い女が出てきた。男は手に饅頭を持っている。

胃「もう~飛鳥ちゃん~。お客さんが来たら教えてって言ってるじゃ~ん」饅頭を食べながら男が小学生のような高い声で言う。

飛「いや、私が何度もお客さんが来てますよといっても三箱目の饅頭を食べ終わるまでどこうとしなかったのは課長でしょう」男の口の周りには餡がついている。三箱かぁ~。完食するのは意外と難しいな。

胃「でもたったの一箱十二個入りだよ。しかもさっき運動したし」運動しても三箱は食えない。

飛「運動といっても街角でやってたサーカスに乱入しただけでしょう。しかも...」女が話し続ける。何だろう、客であるはずの自分が無視されている。疎外感がすごい。

胃「ブァーーーーーーーーーーカ」男が女に饅頭を投げる。女の目がキラリと光ったような気がした。さすがにこのままだと無視され続けそうなので、

京「ごほん。私はタイムトラベル体験の参加者の京極ですが」と少しすごんで言う。

飛「京極さんですね。お待ちしておりました。タイムトラベル体験にようこそ」男にヘッドロックをかけている女に平然と対処される。

飛「こちらが胃部鯉故太郎タイムトラベル課課長で、私が秘書の三笠山飛鳥です。今日から二泊三日の間よろしくお願いします」この飛鳥という女、意外といい女だな。かなりの美人だ。

胃「よっろしっくね~」胃部鯉個がヘッドロックされながら言う。

飛「ではさっそく体験に移りましょうか」そう言って飛鳥がイカオブジェの方に歩いていく。

何なんだろうあのオブジェ。

イカオブジェの前まで来た。

飛「こちらがタイムマシンです。ではどうぞ、中にお入りください」

ああ、これがタイムマシンなのね。今までタイムマシンなんてものを見たことがないので何の文句も言えないが、なんでイカ?しかしわざわざ質問する気も起らなかったので、そのまま中に入る。

飛「それでは、さっそく体験についての説明をしていきましょうか。課長、よろしくお願いします」

胃「勝手にやっといて」必死に鼻くそをほじっている。あのままほじると宝物でも出てくるのか?

飛「はぁ、課長。せっかく課長でもできる仕事の時に課長に任せようとしているのに、そんなときに限ってくだらないことをするのはなぜですか」

胃「わかったよ。じゃぁ一つだけ仕事をするよ。京極さん、これから行く時代は明治より前の時代なんだよね。だからさぁ、ちょっとその髪型はまずいんだよね~」

京「カツラかなんかを上からかぶせちゃダメなんですか?」

胃「う~ん。そうすると髪の毛の分カツラが浮いて、不自然になるし。何より剥ぎ取りたくなっちゃうんだよね~」

え?剥ぎ取りたくなる?それはどういうことだろうか。

胃「だからぁ~」胃部鯉個が飛鳥に目配せする。飛鳥はそれに対してうなずく。なぜか不吉な予感が...

胃「髪の毛そっちゃおうか‼」まずい、と思った時にはもう遅かった。巨漢の胃部鯉個による、のしかかり攻撃を受けてしまったのだ。重くて体が動かない。

胃「飛鳥ちゃん、はやくそっちゃって」

飛「まぁ、仕方ないですね。でも何でそればいいんですか?」何でそるかの問題ではないだろう。

胃「用具一式そこにおいてあるから。それを使って」胃部鯉個が部屋の一角を指す。そこには袋が置いてあった。あそこに用具が入っているのだろう。

飛「課長、なぜそんな都合よくこの部屋にあるんですか?」それはそうだ。普段一般人が髪を切る機会なんてない。

胃「なんかいつか必要になる気がして」変なとこで未来予知するな。

くそう。このままだと唐獅子一家のサイの目印の角型モヒカンが...精一杯抵抗する。これは拉致だ。警察に通報しないと。柄に合わないようなことを考える。

胃「いてっ」京極が振り回した手が胃部鯉個に当たる。胃部鯉個がよろめく。

飛「このままだとうまくそれませんね。お客様には悪いですが、一回気絶してもらいましょうか」は?

そう言って振り下ろされた飛鳥の手が視界に入った次の瞬間、京極の意識が飛んだ。

 




いかがでしたか?
次話からタイムトラベルが始まるのでよろしくお願いします。

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