タイムトラベル物見遊山   作:朝鮮ニンジン

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どうも、朝鮮ニンジンです。
ついに江戸編完結です。
かなり長めになってしまいましたが、どうぞお願いします。

胃「カツラァ------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------」
飛「ちょっと黙りますか?」
胃「ギャ----------------------------------------------------------」
ではどうぞ。


~帰還~

 

出「わが出故鶴家は、鎌倉の時代から続く名門の家でな。それはそれは...」

出故鶴が上機嫌で話している。それを商人たちは、まるでとても大事な話であるかのように聞いている。ただ商人のうち、三人の人物だけがまともに話を聞いていなかった。

胃部鯉個はここ30分間、ずっとカツラを狙っていた。ただ胃部鯉個の前に座る飛鳥と池袋が胃部鯉個からカツラへの道を閉ざしていたのと、カツラ(ではなく出故鶴なのだが)を守る四人の侍によって胃部鯉個は大きな動きはできなかったのだ。

 

10分経過、胃部鯉個はトイレに立った。

 

出「さらにわしの4つ前の代の出故鶴 薄髪(はくはつ)様の時に…」池袋は胃部鯉個がどこからかカツラを狙っているのではないかと気が気ではなかった。

 

10分経過、胃部鯉個が戻ってきた。なぜか大きな扇を持っている。なんだか部屋が暑い。出故鶴の額にも汗が浮かんできている。

 

さらに10分経過、

出「ええい、この暑さはどうにかならんのか!」その時、急に胃部鯉個が動き出した。

胃「ここに巨大な扇があります。私が扇ぎ、少しでも涼しくなるようにいたしましょう」胃部鯉個がこんな言葉使いをするなんて、よほどのことがあるに違いない。そう、よほどのことが。

池袋は飛鳥に目配せした。絶対何かおかしい。その考えは飛鳥にも伝わったらしく、

飛「わかりました」

という言葉とともに部屋を出て行った。その間に胃部鯉個は出故鶴に近づいてしまった。が池袋には何もできない。胃部鯉個は扇をゆっくり扇ぎだした。

「そうそう。かの有名な関ヶ原の戦いときにな、薄髪様は最前線で戦っていたのだがそこに軍神がやってきたと家記に記してあるのじゃ。その軍神によって軍は全員気絶したのだが、薄髪様はその中でただ一人最後まで傷一つ受けずに立っていたそうだAAAAAAAAA? おいちょっと風が強いぞ‼」出故鶴が頭を押さえながら言う。そうなのだ。さっきから池袋は気づいていたのだが、

胃部鯉個の扇の扇ぎ方おかしい。最初はゆっくりだった扇ぐ速度がどんどん速くなっている。必死の猛攻撃である(カツラへの)。

胃「ぜぇ、はぁ、そうですか?」そうだよ‼息が切れるほど早く扇ぐな。池袋は飛鳥が早く戻ってくることを願った。

 

もう一度10分経過。

出「ほほぅ。これはいいのぉ~」くそう。呑気に言うな。こっちはかなり腕が痛いんだぞ。

出「まさか両側から扇いでもらえるとはのぉ~」そう、今池袋は胃部鯉個が扇を扇ぐのとは反対の方向から出故鶴に向かって扇を扇ぐことによって風でカツラが飛ぶことを防いでいるのだ。

胃部鯉個はさっきほどではないが、かなり速い速度で扇を扇いでいていつカツラが吹き飛ぶかわからないような状態だった。だがそうはさせないと、池袋は飛鳥が持ってきたこれまた大きな扇で胃部鯉個の反対側から胃部鯉個と同じぐらいの速度で扇を扇ぐことによって胃部鯉個の猛攻に耐えていたのだ。そしてそれは思ったよりうまくいった。途中、胃部鯉個は扇ぐ速度を変則的にしてきたが、池袋がうまく対応したのと出故鶴がそれを嫌がったのとで胃部鯉個も渋々普通に扇ぐことに専念することにしたようだ。飛鳥は元の場所に座って待機している。

と、こちらに追い風(ほんとに来たらカツラが吹き飛んでしまって困るのだが)が吹き始めたとき、胃部鯉個は着物の上から何かボタンのようなものを押した。

 

そして10分後。急に暑さは消え屋敷の中はひんやりとし始めた。

出故鶴の、

「もうよいぞ」という言葉で池袋たち二人と胃部鯉個の戦いは終わったかのように思えた。

しかし

?「じぃじ‼」という言葉とともに小さな影が一つ部屋に入ってきた。

出「おお、おお。無毛の助(むけのすけ)か‼」そう言って出故鶴がまだ歩き方がおぼつかないその子を抱き寄せる。

出「この子はわしの孫の無毛の助じゃ。無毛の助、じぃじはまだお勤めの途中だからどこか別の部屋で待っていておくれ。おい、どこか空いている部屋はないのか」

有力商人「はぁ、この部屋から南に少し行ったところに空いた部屋がありますが」

出「じゃぁ、そこでよい。ついでに無毛の助のお守りもしてくれんか?」

有力商人「私でよければ」そこで急に口をはさんだものがいた。

胃「私にお任せください」ん?またまた嫌な予感。

池「ならば私も」

出「お守りは胃部鯉個殿だけでよいだろう。従者殿はここに残って胃部鯉個殿の代わりに話を聞いてくれ」話といってもどうせ自慢話だろ。

胃部鯉個は無毛の助とともに部屋を出て行ったが、池袋と飛鳥は仕方なく部屋に残った。

 

そして10分経過。

出「江戸の初めまではただの家臣だった出故鶴家がどうやって家老まで上り詰めたかというとな...」今日は自慢だけで終わりそうだ。

 

胃部鯉個の様子が気になったのでトイレと偽って様子を見に行った。

先ほど有力商人が言っていた部屋の前に行くと胃部鯉個の声が聞こえてきた。

池袋は(胃部鯉個は子供のような人間なので)子供と子供が遊ぶような声が聞こえると思っていたのだが、想像とは裏腹に呪詛を唱えるような声が聞こえてきた。

胃「出故鶴 無毛の助はじぃじの髪の毛にくっついているものをむしり取る。

 出故鶴 無毛の助はじぃじの髪の毛にくっついているものをむしり取る」

無「じぃじの髪、とる‼」なんかマインドコントロールしてる!?

胃「さぁ、じぃじのもとに行くんだ‼」

無「うん‼行く‼」その直後に襖がガラッと開いて、はいはいの無毛の助が飛び出してきた。池袋が止めようとする前に無毛の助は池袋の足元をすり抜けていく。

池「待て‼ぐはぁっ」後ろから胃部鯉個の猛牛のような力強いタックルを受け、池袋は数メートル吹き飛ばされた。痛みで体が動かない。くそう。二つの人影は池袋がさっき歩いてきた方へと向かっていった。

廊下が静かになった後、やっと体が動くようになったので池袋は集会の開かれている部屋へ全力で走った。

 

出「それでな、二代前の出故鶴薄薄(うすうす)様のころに見事出故鶴家は家老職についたのじゃな。おっ無毛の助じゃないか。じぃじが恋しくなってしまったのか?」

胃「そうみたいですね」まだカツラは無事なようだ。池袋は静かに引き戸を開け部屋に入った。

部屋の上座で出故鶴が無毛の助を抱いている。池袋に気付いた飛鳥が不安そうに池袋を見る。

出「よしよし。そんなにくっつかなくてもよいのに」出故鶴は知る由もないだろうが、その子は...くそう、胃部鯉個が勝ち誇った顔で見てくる。無毛の助の手がだんだんカツラに近づいていく。

「とる‼」無毛の助の手が勢いよくカツラに伸びる。池袋も飛鳥ももうだめだ、と思ったその時。出故鶴の体が後ろにはじきとび、宙に舞った。そして、すとんと着地する。カツラは...

無事だ。

そうか。池袋たちは出故鶴をなめ過ぎていた。よく考えたら出故鶴は何十年もの間、あのバレバレのカツラを守ってきたのだ。こんな簡単にカツラを取られるはずがない。

出「はぁ、はぁ。無毛の助、一回家に帰りなさい」どうやら池袋たちは二回目の危機も乗り切ったようだ。隣の胃部鯉個の悔しそうな顔と言ったら。池袋はおもちゃを取られた子供のように顔をしかめた胃部鯉個に一瞥をくれてやった。

 

そして10分経過。

出「そしてわしに至るというわけじゃ。さぁ、そろそろ暗くなってきたし、この会も終わりにするとしようか」ついに終わった。池袋たちはカツラ争奪戦に勝ったのだ。飛鳥が安堵に似た表情で池袋を見た。池袋も同じような表情を返す。しかしそんな空気をぶち壊すかのように胃部鯉個の声が聞こえた。

胃「出故鶴様、少しお話したいことが」

出「なんじゃ」そう言って出故鶴が胃部鯉個に手招きをする。胃部鯉個め、強行突破するつもりか。胃部鯉個が出故鶴にゆっくり近づいてゆく。途中で一瞬だがさっきよりもねちっこい顔で池袋を振り返った。悔しさで思わず顔がゆがむ。飛鳥を見ると目で池袋に動くなと訴えかけている。

もう胃部鯉個は止められない。

胃「あの、少し耳を貸していただけますか?」そう言って胃部鯉個が出故鶴の横にかがむ。

出「何かな」

胃「今回言いたいことはですね」そう言って一泊置く。

胃「こんなバレバレのカツラに気付かないと思っているのか‼ブァーカ‼」そういうと胃部鯉個は恐ろしい速度でカツラを頭からさらうと、着物からスマホを出しあらわになった出故鶴の頭とカツラを持った自分の自撮り写真を撮った。

池、飛鳥、出故鶴、侍と商人たち「...!?」

え?自撮り?ていうかそもそもスマホって持ってきていいの?

胃部鯉個が侍や商人を突き飛ばしながらこちらに向かってくる。そうか、逃げないと‼

出「お、追えー‼」やっと状況を理解した出故鶴が呂律(ろれつ)の回らない声で言う。

池袋たちは必死に出口へと向かい、飛鳥が引き戸を開ける。後ろから侍たちが追ってくる。

廊下を必死に走ると出入り口が見えてきた。急な出来事に驚く女中の隣をすり抜け外に出る。走って逃げるのかなと思いきや、飛鳥と胃部鯉個は侍たちが乗ってきた馬のほうに向かう。よく考えたら胃部鯉個って体型の割に走るの速くない?余計な考えを頭から振り払う。

馬の近くには刀を持った馬の見張り役がいたが、飛鳥たちはそのまま走っていく。見張りまで2メートル程のとこで見張りは怪しい3人組の姿を認め、刀を抜いた。

見張り「おぬしら、止まれ‼」その瞬間、飛鳥の体が池袋の視界から消えた。そしてそのままの速度で見張りに一つ、突きを入れた。うめき声とともに見張りが膝から崩れる。

胃「やっぱり飛鳥ちゃんはすごいね」原因を作ったやつが言うな。

飛「まぁ、お客さんを危険から守るのも仕事の一つですからね」そのお客さんは危険を作る原因になってないからね。飛鳥さんは何も悪くないけど。

飛「早く馬に乗りましょう」そうだ、追ってはもうそこまで来ている。

飛「池袋さんは私の後ろに乗ってください」飛鳥に支えられて、何とか馬に乗る。

飛「では、行きますよ‼」飛鳥が鞭を打つと、馬が急に走り出す。数秒でまたがるのが難しいほどに加速する。

池「ちょっと速すぎません?」思わず言う。

飛「遠慮せずに私につかまってください」飛鳥につかまると、何とか体勢が安定する。飛鳥の髪と着物のいいにおいが鼻をくすぐる。池袋は何も余計なことを考えないように、馬がつぶれそうな程の巨体で馬に乗る胃部鯉個に心を集中しながら必死に馬にまたがった。

 

飛「何とか逃げ切りましたね」

あの後、池袋たちは屋敷に戻り各自荷物をまとめ、馬に乗ってタイムマシンがある神社のふもとまでやってきた。馬のうち一頭は胃部鯉個の重みでへとへとになってしまって胃部鯉個が下りたとたんに倒れてしまった。池袋と飛鳥が合わせた体重より重いって...

飛「池袋さん、本当に申し訳ないと思っているのですが、このままだともともと二泊三日のつもりだった体験が一泊二日になってしまいます。町のどこかに潜伏すればあと一日ぐらいなら見つからずに体験を続けられるかもしれませんが」

池「もういいですよ。二日間とても楽しかったですし」それは本当だ、江戸での生活はとても楽しかった。

飛「ありがとうございます。それではタイムマシンに乗りましょうか」その時、

胃「ちょっと待って」という声が聞こえた。

池「どうしたんですが、この期に及んで」皮肉めいた声の調子で言ったが、完全に無視される。

胃「僕たちを追いかけてきた侍に仕返ししようよ」

池「仕返し?子供じゃあるまいし。それにどうやってするんですか?」

胃「それはね、こうやってするんだよ」そう言って着物からスマホを取り出す。そしてスマホのホームボタンを長押しする。ピコ、という音ともにバーチャルアシスタントOSIRIが起動する。

OSIRI「ご用件は何でしょうか?」

胃「あれ、ドカーンといっちゃってよ。カウントダウンスタート‼」

OSIRI「はい、分かりました。カウントダウンをスタートします。30,29...」

池「なんのカウントダウンですか?」

胃「爆弾だよ」

池、飛「はぁ?」飛鳥の顔に深刻そうな表情が浮かぶ。

OSIRI「22,21、...」うそだろ。爆弾って...

池「まずい...ことですよね?」深く考えなくてもまずいことなのはわかる。

飛「まずいどころではなく、江戸の町の危機といえるかと。江戸の建物はすべて木造なので爆弾の数にもよりますけど爆発したら江戸の町は壊滅的な被害を受けると思われます」

 

嘘だろ。池袋は江戸の町の様子を思い出した。あの子供たちの笑顔が、働く人たちの後ろ姿が、おしゃべりに花を咲かせる女性たちの声が...灰になるのか?そんなのいいわけない。

OSIRI「12,11...」

池袋は思わず胃部鯉個の胸ぐらをつかんで言った。

池「爆弾は何個、どこに埋めたんだ」

胃「そこら中に。自分でもわからない」なんていい加減なやつなんだ。

OSIRI「5、4...」

池袋は走り出した。何もできないのはわかっているが走った。しかし石ころにつまずいて倒れてしまった。自分はなんて無力なんだと嘆く池袋をあざ笑うかのように轟音が響く。

胃部鯉個は爆弾といったが、それはロケットのようだった。町の10か所以上の場所から垂直に炎の塊が空へと昇っていく。そして雲に届くかに見えるほどの高さに達した。

 

次の瞬間、轟音とともに、江戸の空に巨大な花が咲いた。

え?...花火?

思わず後ろの方から歩いてきた胃部鯉個を見る。

胃「間違えた。爆弾かと思ったら花火だった」嘘だろ。安堵感とバカバカしさでため息が出る。

バン。轟音とともにまた花火が開く。

さっきは江戸の町が焼けるかもしれないと思っていたので余裕がなく、きちんと花火を見られなかったが今度はきっちりと見ることができた。はぁ、さっきとは違う種類のため息が出る。

飛「うわぁ、綺麗...」

そう巨大な花に照らされた夜の江戸の町は、本当に綺麗だった。

 

 

 

池「はぁ、帰ってきたぁー」

現代に戻ると、どっと疲れが出てきた。

胃部鯉個はすぐにどこかに言ってしまった。さすがにさっきのことが後ろめたかったのだろうか。

飛「池袋さん、二泊二日間ありがとうございました」

池「いやいや、こちらこそありがとうございました。飛鳥さんにはとてもお世話になりました。もう一人の方にはいろいろと振り回されましたけど」飛鳥が苦笑する。

胃部鯉個が何か紙袋を持ってやってきた。自分への贈り物かなと思ったがそうでもなさそうだ。

胃「池袋さんはどうやって帰るの?」

池「歩きですけど。結構家が近いので」

胃「そっか。じゃぁ、僕たちもついていくよ。体験についての感想も聞きたいし」

どうせ意見を言っても無視されるだけなのだろうが、家までついてきてもらうことにした。もう少し体験の余韻に浸りたいと思ったのだ。

 

歩いている途中で体験中疑問に思ったことを聞いた。

池「あの時、なんで屋敷が急に暑くなったんですか」カツラ争奪戦の時である。

胃「ああ、あれはね、部屋の中に小型ヒーターをつけておいて、スマホで電源を入れたんだよ」

池「じゃぁ、あのマインドコントロールは?」

胃「あれはね、これを使っただけさ」そう言って胃部鯉個が服のポケットから何か取り出す。

それは五十円玉に糸を通したものだった。

池「え?これであんな高度なマインドコントロールを?」

胃「うん、そうだよ」うわぁ、こわ。

胃「あ、そういえば忘れてたけど、体験についての意見はある?」もちろんあります。

池「やっぱり従業員に問題があるかと。男性の」胃部鯉個に非難めいた表情を向けてみる。

胃「そっか、ごめんね。フロントの案内係のことでしょ。あいつは本当にやなやつなんだよ。むかつくから、会社の食事会の時に胃腸薬を仕込んでやったのを思い出すなぁー」

案の定、無視(というかもっとひどい結果を生んだ?)されてしまった。というか海老シェングローバル社ってブラックなの?

 

あと5分ほどで家につく。ここらへんでお別れだな。

池「そろそろ家が近いので。改めてありがとうございました」

飛「私たちもとても楽しいときを過ごせました。ありがとうございました」

池「では」と言い家の方へ向かう5歩ほど進むと、

胃「ちょっと待って」という声が聞こえた。

池「なんでしょうか」

胃「池袋さんって記者さんだよね」

池「はい」そうだが、それがどうしたというのだろう。

胃「はい、これ、あげる」そう言って紙袋を手渡された。さっき会場で胃部鯉個が用意していたものだ。

池「なんですか?」

胃「まぁまぁ中身を見てみてよ」そう言われたので中身を見てみるとそこには写真と何かのパンフレットのようなものが入っていた。

池「これは...」

胃「体験中に僕が撮った写真。ほら、初日に一瞬別行動したでしょ。あの時に撮ったの」

ああ、あの時か。確か胃部鯉個はふんどし一丁で戻ってきたんだったよな。

胃「ちなみに、花火を仕掛けたのもあの時だよ。話を戻すけど、このパンフレットは一か月後に公表しようと思っていたやつなんだ。だけど、池袋さんにあげるよ。新聞を書くときに役立つでしょ」

池「あ、ありがとうございます」正直この男にこんな配慮ができるとは思わなかった。確かにこれでだいぶ楽に記事を作れるだろう。

胃「それじゃ、これでほんとのお別れだね」

池「はい、ありがとうございました」そして池袋は家の方角に向かってまたゆっくり歩きだした。

はぁ、なんだかんだ楽しかったなぁ。とにかくハチャメチャだったけどあの男には何かエネルギーをもらった気がする。ほんの少し寂しさを感じながら、歩く。

池袋はこれからやる大きな仕事について考えた。やらなきゃいけないことはたくさんある。

でも、何かが今までの池袋とは違った。その仕事から逃げずに、ちゃんとやりきろうと思った。そしてそれが今の自分にはできるような気がした。

胃「じゃぁ、また遊びに来てね」

その声に振り向いた池袋の目と心には何か光るものがあるように見えた。

 

 




ありがとうございました。
おいおい次章の更新、今までの話の編集もしていくのでよろしくお願いします。

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