【完結】テニスこそはセクニス以上のコミュニケーションだ(魔法先生ネギま×テニスの王子様)   作:アニッキーブラッザー

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ここから先の物語には一部のお姉さま方が不快になる描写があると思われますので、ご注意下さい。


ナンパの王子様−アフター1

「さあさあ、先鋒の真田君はなんやかんやでちゃっかり成功! 立海リードで迎えた次の挑戦者は誰か!」

 

 朝倉の司会で場を盛り上げつつ、次の挑戦者は誰かと煽る。

 まあ、なんやかんやで、真田は納まるところに収まったと考えれば、本当の戦いはここからスタートとも言えた。

 

「く~、よ、よ~し、こういうのは先に行ったほうが、絶対いいはず! 俺、行きます!」

 

 そこで手を上げたのは、青学二年のスポーツマンの短髪がよく似合う、桃城武だった。

 

「キター、桃! 青学の切り込み隊長! ではでは~、青学二年の桃城武、いっきまーす!」

「ふふ、桃も男の子だったんだね」

「桃城、油断せずに行け」

 

 青学の先輩たちは温かい声援を送り、その男の情報を朝倉は読み上げる。

 ちなみに、情報提供者は、柳と乾。

 

「さあ、青春学園から出たのは、二年生の桃城武くん! 青学の意外性男でもあり、ムードメーカーの男。その明るい性格で後輩からの信頼も熱く、桃ちゃん先輩と呼ばれているとか! さあ、豪快なジャックナイフで乙女のハートを突き刺せるか!」

 

 来年の青学を海堂と共に引っ張る男が自ら戦地へ赴くことを選んだ。

 

「おっ、次は爽やかスポーツマンの兄ちゃんだ」

「えっ、でも、今、二年生って……私らの一つ下か」

「ん~、最初は気さくな兄ちゃんみたいに見えたけど、こうしてみると、明るい弟って感じ?」

 

 桃城が女子に向かってゆっくりと歩く。

 男女分け隔てなく接することが出来る桃でも、相手が年上の女性で、しかもこういう改まってというような空気は苦手なのか、緊張で顔を赤くしている。

 だが、それでも青学の意地を見せるためにと、桃は一人の女の前に立つ。

 そして……

 

「あ、あの、お、俺とお話してくんないっすか!」

 

 桃城武の選んだ女。それは……

 

 

「うおっ、わ、私!?」

 

「「「「「今度は、ユーナがキターアアアアア!」」」」」

 

 

 日本ファザコン選手権代表でもあり、麻帆良弱小バスケ部員であり、そして最近胸が大きく成長していることからクラスメートたちから舌打ちされている明石裕奈だった。

 

「うっはー、桃がいったー!」

「うん。でもあの子、確かに桃が好きそうなタイプかな?」

 

 ちなみに、桃城武の好きな女性のタイプ。それは、スポーツ好きの活発な子。

 

「あ、あの、ふ、普段はなにされてるんすか?」

「えっ、と、あの、私、えっと、部活かな? 弱いけど、一応バスケ部で……」

「えっ、バスケっすか! 俺、テニス部員だけどバスケも得意っす! こう、ダンクをガーンっと」

「ダンクできるんだ! あっ、でも確かにジャンプ力凄そう。えっと、モモシロくんだっけ?」

「そうっす。みんなからは桃とか、桃ちゃんって呼ばれてるッす!」

 

 最初はナンパされたことで慌てふためいた裕奈。

 何よりも彼女は極度のファザコンゆえに、人の恋愛を茶化すのは好きだが、自分からというのはあまり考えたことがなかった。

 しかし、まあ、楽しくお喋りというのは嫌いではなく、バスケ話で緊張も解けてやがて笑顔を見せて……

 

 

「おーっし! パフパフパフー! ナンパ成功と判断しまーすッ!」

 

 

 桃のナンパ成功の判定が下されたのであった。

 その判定に拍手と祝福が上がる。

 青学からは「よくやった!」

 女子側からは「キャー、いいかも!」とこの企画がとても良いものだと興奮して騒いでいた。

 そんな中……

 

 

「ふん、やるじゃねーの、桃城。来年のチームと部長を支える男としての意地を見せやがった。ならば、こっちもそれでいく! 出番だ、鳳!」

 

「……え、ええええ! お、俺ですか?」

 

 

 立海と青学の成功を見た氷帝も対抗すべく男を跡部が出す。それは、来年の氷帝軍団と次期部長の日吉を支える、鳳長太郎だった。

 

「長太郎、ビビんじゃねーぞ。女相手に激ダサな姿を見せんなよな!」

「宍戸さん……ッ、分かりました! 俺、頑張ります!」

 

 氷帝軍団先鋒は、二年生鳳長太郎。

 

 

「さあ、氷帝学園からは二年生、鳳長太郎くん! こんな優しい顔をして、サーブは二百キロを超える全国最速レベル。しかし、趣味はピアノで絶対音感まで持っているという芸術性も持っている伊達男! しかも世界平和を願うほどの優しさまで持っているって、オイオイ超いい子じゃん! 尊敬する宍戸先輩の前で、見事なラブリーエースを取ることが出来るか!」

 

 高身長、イケメン、優しさまで持ち合わせた、高スペック男の鳳長太郎。

 彼の挙動に、女生徒たちも結構ガチで緊張している。

 そんな鳳の好みの女性のタイプは、浮気しない女の子。

 

「あの、自分と一緒にお話をさせてもらうことはできないでしょうか!」

 

 賑やかで、騒がしく、他人の恋愛ごとにキャーキャー騒ぐ乙女たちの中で、彼が選んだ女は……

 

 

「へうっ!?」

 

「「「「「のどかああああああああああああああああッ!?」」」」」

 

 

 クラスの一途代表の宮崎のどかであった。

 

「あ、あの、でも、私……その……」

「あっ、ごめんなさい。その、別に困らせるつもりは……ただ、その……あなたがとても優しそうな人だから……仲良くなれたらと……」

 

 恋に一途で性格は内気の宮崎のどかは顔を真っ赤にしてパニック状態であった。

 そう、浮気しない女の子が好みのタイプというのであれば鳳の選択は間違っていなかった。

 しかし、だからこそ……

 

「ひっう、う、うう、ご、ごめんなさいい……」

「えっ……あ、あの!」

 

 なんと、のどかは混乱を通り越して泣いてしまったのだった。

 

「本当にごめんなさい、わ、私……私……す、好きな人が……」

 

 別に付き合ってくれとか、好きだといっているわけではなく、ただ、楽しくお話しましょうというのが今回の趣旨である。

 しかし、それでも自分が「好きな男以外の異性と仲良く話すのは不誠実」と思ったのどかは、鳳の気持ちは嬉しいと思いながらも、断ることを選んだのだった。

 彼女の涙を見て、鳳は慌ててハンカチを差し出す。

 

「あの、泣かないでください。こちらこそ、あなたの事情を知らずに困らせてごめんなさい」

「ひっぐ、でも、私……私……」

「いいんです。それよりも、あなたはその気持ちを大切にしてください。あなたはとても素敵な人です」

「鳳さん」

「自分がこういうのもなんですが、その男の人はとても幸せ者ですね。あなたみたいな人にそこまで想われているんですから」

「ッ!」

「頑張って、幸せになってください」

 

 嫌な顔一つせず、のどかを慰め、最後まで笑顔を見せる鳳。

 そのあまりにもイケメンすぎる姿に、女子たちからは嬌声が上がった。

 

「ちょーーー、なに、のどかがダメでも私なら!」

「鳳クーーーン! こっち、こっちなら空いてるって!」

 

 試合に負けても勝負には勝った。まるでそんな雰囲気が流れていた。

 だが……

 

「では、失敗したらペナルティキンスープ」

「ッ!?」

 

 結果は失敗。ゆえに、長太郎は……

 

 

「一球入コケコッコオオオオオオオオオオオオ!」

 

 

 鳥になったのだった。

 

「さあさあ、なんと氷帝学園の鳳君は失敗ということで、一歩出遅れた氷帝学園。このまま破れてしまうのか? さあ、続いては立海です! 誰が行きますか?」

 

 気を取り直して次は誰か?

 そこで名乗りを上げたのは……

 

「おっし! じゃあ、俺も真田副部長に続くっす! 次はお――――――」

 

 切原赤也が名乗りを上げようとしたとき……

 

「んふふふふ、ちょっと待ちなさい、赤也くん」

「待ちなはれ、赤也はん。峰打ちですえ」

 

 切原の背後に回りこんだ千鶴が、黒いオーラを纏った笑顔で、切原のケツに葱をぶッ刺した。

 そして三日月のような笑みを浮かべた月詠が切原の意識を断った。

 そのまま気を失った切原は、二人の女に担がれて闇の中へ……

 

 

「…………さあ、これはこれで成功ということで、立海は連勝きました! さあ、青学は続いては誰がいきますか!」

 

「「「「「いや、いいのか今のは!?」」」」」

 

 

 今のことは触れず、とりあえず成功にカウント。

 立海がとりあえず連続成功ということで、続いての青学は……

 

「今日は手塚が青学の部長として命を懸けた。ならば、俺もその負担を少しでも軽くする! だから、俺が行く!」

 

 名乗りを上げたのは、大石秀一郎。

 

 

「さあ、名乗りを上げたのは大石秀一郎くん! ダブルス日本ナンバーワンの異名を持つ生粋のダブルスプレーヤー。青学の副部長としてチームを支え、その責任感やチームや部員に対する想いも厚く、『青学の母』との異名を持つ男! 果たして彼は、シンクロできる異性のダブルスパートナーを見つけることが出来るか!」

 

 

 タマゴボーズの大石が動く。

 

「いっけー、大石!」

「そういえば、大石の恋愛絡みって何も聞いたことないよね」

「男女共に信頼は厚いがな」

 

 ダブルスプレーヤーとしては全国トップクラス。しかしナンパプレーヤーとしての実力は未知数。

 そんな大石の選んだ相手は……

 

「俺とペアを組んでくれませんか?」

「………………………………へっ? あ、あの、まさか、私ですか?」

 

 本人は、自分がこのナンパ大戦ではあまり絡まないと思っていたのだろう。自分が男から声をかけられると思っていなかったために、すっとんきょんな声を出してしまった。

 

「「「「「ハ……ハカセエエエエエエエエエ!」」」」」

 

 超鈴音に続く学園の頭脳。マッドサイエンティストの葉加瀬であった。

 ちなみに、大石のタイプはメガネの似合う女性。

 そして、葉加瀬本人は、驚きはしたものの、特に現在は好きな男が居るわけでも断る理由もないわけで……ちなみに、メガロメセンブリアの総督府が数年後に色々と問題となるが今は特に何の関係もなく……

 

 

「おーっと、すごい! 青学も連勝きました! 青学の母と麻帆良のマッドサイエンティスト、このダブルスペアのシンクロによりいかなる化学反応が起こるかは興味深いところですが、とにもかくにも成立とします!」

 

 ということで、青学は見事二連勝したのであった。

 これで、氷帝は一歩出遅れた。ここを逃せば離されるだけ。

 ここで氷帝を敗北させないためにも、気合を入れた男が立ち上がる。

 

「ちっ、俺たちが出遅れるなんて、激ダサだぜ。だが、まだ負けねえ。長太郎の仇は俺が取る」

 

 氷帝学園きっての熱き男。宍戸であった。

 

「さあ、氷帝学園からはこの男、宍戸亮くんが登場です! かつてはロン毛のチャラい感じの男だったという噂ですが、ある試合での敗戦をきっかけにその髪をバッサリ切って生まれ変わったとのこと! ちなみに、切った後のほうが普通にカッコいいと評判です。その向上心と熱き心は多くの部員たちからも尊敬され、氷帝学園内には鳳君をリーダーとする宍戸信者まで居るという男! 氷帝は関東大会と全国大会で二回、青学と対戦し、二度とも負けておりますが、しかし、宍戸君と鳳君のダブルスだけは青学には一度も負けてない模様。激ダサにならないためにも、ここでも勝利をキメられるかーっ?」

 

 氷帝最強のダブルスを担う宍戸。超高速ライジングカウンターで勝利を手にしてきた。

 そして、ここでも迷わない。

 ウジウジ迷うような激ダサとは違う。駆け引きも無用。

 熱き男はとにかく全力でぶつかるだけ。

 

「まどろっこしいのは苦手だからよ、ハッキリ言うぜ! 俺についてきてくれ!」

 

 宍戸が迷わず進んだ先に居た女生徒。それは……

 

 

「ッわ、私!?」

 

「「「「「くぎみいいいいいいいいいいいいいいいいッ!?」」」」」

 

「あ、えと、は、はい! お、御願いします」

 

「「「「「しかもアッサリOKしたーっ!」」」」」

 

 

 麻帆良チア部。ボーイッシュな黒髪の似合う、釘宮円であった。

 ちなみに、宍戸の好きなタイプはボーイッシュな子。

 釘宮はどちらかというと、バカっぽい男の方が好きだったりもするが、宍戸の勢いに押されたことと、普通に嫌ではなかったということで、顔を赤らめながらもアッサリOKを出した。

 

「よくやったじゃねーの、宍戸。アーン」

「決まりましたーッ! カップル成立! あんた、フツーにカッコいいよ宍戸くん! では、カップルになった二人は親睦を深めてくださいっ!」

 

 宍戸の勝利に跡部もご満悦。

 朝倉のアナウンスも響き、成立した二人に歓声が上がる。

 

「さあさあ、ではどんどん行きましょう! 続いては、再び一周して立海です! 連勝を守れるか? 次は誰!」

 

 立海と青学はまだ並んでいた。

 ここでミスをすれば逆転されるかもしれない。

 ならばここは確実に取るためにもと、立海はジョーカーを送り込む。

 

「ぷりっ」

 

 仁王が動いた。

 

「ついにキター! ある意味で立海最恐の男。その本心も出身地も謎に包まれ、同じチームメイトからも『悪魔をも騙せる男』と言われし、コート上の詐欺師が……って、詐欺師がナンパってその時点で色々ヤバイんじゃないのかい! 立海三年、仁王雅治! 彼に騙される不幸者は一体誰だーっ!」

 

 この瞬間だけは、色めき立っていた女子たちも思わず顔を引きつらせた。

 自他共に認められる詐欺師のナンパ等、恐怖以外の何者でもない。

 

「ふう……良かった……私は仁王さんと試合していて……もし、お嬢様の姿でナンパされたら、私は絶対についていっていたでしょう……」

「は~、そうなん? それなら、ウチ、せっちゃんの姿で仁王君にナンパされたらどないしよ」

「ふえええええん、夕映どうしよう、私、ね、ネギ先生の姿でなな、ナンパ……」

「落ち着くです、のどか。所詮イリュージョンはイリュージョン。幻であり、本物ではありません。毅然とした態度でいるです」

 

 そう、仁王のイリュージョンによって、彼女たちが好きな人に化けてナンパされたら、かなり恐ろしいことになる。

 それゆえに、女子たちはビクビクとして仁王を警戒。

 だが、一人だけ毅然とした態度を振る舞おうと、友に諭す者が一人居た。

 

「偽者は所詮、偽者です。そこに本物の魂も心も愛もないようなものに、心を揺るがすことはないのです」

 

 綾瀬夕映。怯えるのどかに懸命に言葉を贈る彼女は、「偽者は所詮偽者だ」と恐れない……のだが……

 

「……ぷっぴーな」

 

 それが、詐欺師のプライドを刺激した。

 

「……あの……夕映さん」

「……………………………………へっ?」

 

 なんと、夕映の前にネギが現れた。

 

「あ、あの、ネギ先生? えっと、どうしたですか?」

「ごめんなさい、夕映さん。でも、僕……夕映さんが他の男性にナンパされるかもしれないと思うと……すごく嫌で……そう思ったら体が勝手に動いていました」

 

 その時だった。ネギは夕映の手首を、ガッと掴んだ。

 

「ッ! ね、ねねねね、ネギ先生!?」

「ごめんなさい、夕映さん。でも、あの……お、御願いします……僕とこの場から一緒に抜け出しませんか?」

「ねねねねえ、ネギせんせええええええええ!?」

 

 あまりにも突然の出来事で、先ほどまで友に毅然としろと言っていた張本人が顔を真っ赤にして大パニックを起こしてしまった。

 そして、回りも当然……

 

「に……仁王くんが……」

「ね、ね、ネギくんになっちゃった……」

「仁王さんがモシャスでネギくんになって、ユエ吉にメダパニかけた……」

「仁王さんが僕にッ!」

 

 そう、仁王のイリュージョン。

 

「ね、ネギ先生、だ、だめだめです。その、のどかの見ている前で……」

「はい、分かっています、夕映さん。でも……今……僕の瞳に写っているのは夕映さんなんです……」

 

 仁王はネギになり、夕映をナンパしたのであった。

 そのことに気づかず、ネギに誘われていると思った夕映はメダパニ状態。

 

「ゆ、ゆえ~~! 騙されちゃダメだよ、その人は仁王さんだよ!」

「はっ!?」

「本物の、ネギせんせーはアッチだよーッ!」

 

 このままでは親友が騙されてしまうと、慌ててのどかが声を出す。

 その声にハッとなり、正気を取り戻した夕映はキッと仁王を睨む。

 

「あ、危なかったです! 感謝するです、のどか! 仁王さん、もう騙されないです! いくら上手に化けても所詮は偽者に騙され……騙されかけたですが、でも、もう私は揺るがないです!」

 

 もうこれ以上は無理だ。そう夕映が宣言したとき、ネギの体にノイズが走り、仁王が元の姿に戻った。

 

「ふ~、やれやれ。既に想い人が居る少年の姿で、他の女にナンパは無理があったぜよ」

 

 

 観念した仁王が両手を挙げて降参した。

 

 

「こ、降参ですか? 本当に?」

「ああ、もうやらんぜよ」

「…………」

「信用ないぜよ」

 

 素直に降参するという仁王を訝しげに見る夕映。詐欺師の言うことを本当に信じていいのかと疑っている。

 だが、言質はとったということで、朝倉が判定を下す。

 

「はい、これまでー! 仁王さんももっとズルイ手を使えたはずですが、一度破られた以上潔く引き下がりました! では、約束どおりペナルティキンいってみましょーっ!」

 

 誰もが、騙されて成功するだろうと思っていた仁王のナンパだったが、予想が外れて仁王は鳥になる。

 しかし、詐欺師はただでは死なない。不吉な言葉だけ残していたことに夕映たちは気づいた。

 

 

「……へっ? ……他に想い人が居る少年……?」

 

「「「「「……………………………………あっ!?」」」」」

 

「はぐっ!?」

 

 

 他に想い人が居る少年。訳すと、他に好きな人が居るネギ……

 

「にににに、仁王さん!?」

「ん? 何を驚いているぜよ。そんガキの本命の女は誰がどう見てもh「うわああああああああああああ」え、ぜよ」

 

 ペナルティキンスープに手をかけて飲む前に暴露しようとした仁王に慌ててネギが叫ぶ。

 しかし、誰もが思った。

 この男は、ネギの本命を知っていると。

 何故なら、イリュージョンはその本人に技も思考も振る舞いも同じにする技術。

 だからこそ、仁王はネギにイリュージョンしたことによって、ネギの本命が誰なのかを気づいたのだ。

 そして、同時にそれは、今の発言でネギの本命が夕映でないということもサラッと暴露されたも同然だった。

 しかし……

 

「まあ、ガキの本命が誰だか分かったからこそ……どうやったら、『本命から自分に振り向かせられる』かも俺ならば……」

「ッ!?」

「本当なら二人で話をしたときに教えてやりたかったぜよ。しかし、それも望まないというのであれば……」

 

 それは正に、悪魔の囁きだった。

 

「だだだ、ダメだよ、ゆえ~! 詐欺師の言うこと聞いちゃだめだよー!」

「~~~~、し、しかし、のどか……」

 

 重要なのは、ネギの本命が誰かなのではなく、どうやったら本命から自分に振り向かせられるか。

 そして、ネギになりきった仁王ならばそれを知っているというのも納得できる。

 ならばどうする? 

 物凄く迷いに迷った表情を見せて苦しむ夕映だが、結局……

 

「仁王さん……やっぱり少し話をするです」

「ぷり」

「ゆええええええええええ!」

 

 悪魔の誘惑には抗えなかったのだった。

 

「キタアアア! 正に外道! 正に詐欺師の囁き! こんな卑怯なナンパがかつてあったでしょうか? しかし結果は結果! 仁王さんのナンパ成功により、立海が無傷の連勝となりましたーっ!」

 

 仁王のナンパ。一度振られたと思ったが、大どんでん返しとなったのだった。

 

「って、ちょっと待ってくださいよ~、仁王さん! それ、ナンパなんですか? っていうか、サラッと僕の好きな人がどうとか……やめてくださいよー!」

「ちょ、いやいやいや、ネギくんの本命が誰かとか、むしろそっちが気になるっていうか!」

「えっ、あの、仁王くん、後でサラッと私らにもおしえてくれない?」

「けっ、くだらねえ。本命が誰かとか、そんな大騒ぎすんなよ。まあ、私には関係ないけどさ」

「んも~、千雨ちゃん冷めとるえ~。これで本命が千雨ちゃんだったらどうするん?」

「いや、その前に……のう、タカミチ。あの仁王くんから、魔力を感じたかのう?」

「いいえ、学園長。つまり彼は……魔法を使わずにネギ君になったと……僕の目にもネギ君にしか見えなかった……あれを魔法を使わずに……なんと恐ろしい青年なんだ……」

 

 様々な想いが交錯するも、戦いはまだ終わらない。

 

 

●途中経過

・立海・3勝0敗

・青学・2勝0敗

・氷帝・1勝1敗

 

●内訳

■立海

・真田&アスナ(成立?)

・切原&千鶴&月詠(拉致)

・仁王&夕映(詐欺)

 

■青学

・桃城&裕奈(成立)

・大石&ハカセ(成立)

 

■氷帝

・鳳&のどか(不成立)

・宍戸&釘宮(成立)




舌の根も乾かぬうちに、アフターです。
カップリングは「なんとなく」で決めてます。

一応、テニスの王子様キャラの好きな女のタイプは参考にはしてますが、あくまで私の独断でやってます。多分、乙女ゲーなどにはもっと参考になりそうなのがあるんでしょうけど、私はソレにまでは手を出してないので、あくまでコミックスと40.5巻です

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